転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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転生した私、新たな遺跡を探索する。

 

 

 

 領土拡大のための足場となる居住区を建設した私たちの前には3つの選択肢が現れていた。

 

 一つ目は、旧文明の遺跡探索。

 今回、発見されたのは日本疾病対策センター、日本版CDCと呼ばれていた施設だ。

 最先端の医療施設で、文明崩壊の原因となった感染症に対しても研究の最前線に立っていたはず。

 残念ながら治療法を確立することは出来なかったが、医療分野において得難い知見を得られるのではないかと期待されている。

 

 二つ目は、山岳地帯に近い盆地でハーピーと呼ばれる上位感染者の群れが確認された。

 かなりの数が密集していることから、この地をハーピーの巣と命名する。

 周辺の安全のためにも、このまま放置することは出来ない。

 ただ、近くに大規模な感染者の群れも存在しているため、襲撃にも対処しなければならない。

 ハーピーと対峙しながら、群れの襲撃に対処していられる期間は、せいぜい2ヶ月程度であろう。

 その期間内にハーピーの駆逐を完了させ、群れの襲撃への対処に専念できる状況を構築できなければ、ジリ貧になってしまう。

 ここに進出するなら、今まで以上に時間との勝負になる。

 

 三つ目は、豊富な資源と肥沃な大地が広がっている居住区を建設するのに最適な場所であり、なにより、周辺に感染者の姿がまったく確認されなかった。

 まさに楽園と呼べるほどの好条件な土地。

 かなり巨大な居住区を建設することが出来るだろう。

 

 

「さて、この三つのどれから手を付けるべきか」

 

「最も魅力的なのは楽園となりますが…」

 

「まあ、確実に罠だろうな」

 

 あれだけ広大な土地に感染者が1体もいないのは不自然だ。

 道を塞いでいた2万の群れの時と似ている。

 開拓のために入植した生存者を包囲して襲うため、あえて空白地帯を作っているのだろう。

 

「楽園は、我々が入植してから包囲網を形成し始めるなら襲撃までそれなりの猶予があるはず。監視を厳にすれば、襲撃の時期もかなりの精度で予測できます」

 

「だが、襲撃の規模がどの程度になるか分からん。万全を期すなら、ハーピーの巣を駆除して安全を確保してからにしたい」

 

「ハーピーに関する情報がほとんどない状況での駆除は危険だ。

 楽園を開拓した後なら、戦力に余裕を持って駆除にあたれる。

 楽園を優先すべきでは?」

 

「私としては、遺跡探索を優先したいと考えている。

 確かにハーピーの情報がほとんどない状況での駆除が危険だ。

 だからこそ、情報が欲しい。

 日本疾病対策センターには、感染者に関する情報が集まっていたはず。

 ハーピーについて有益な情報が得られるかもしれない」

 

「なるほど、遺跡探索は短期間で成果が見込める。

 開拓は準備にも相応の時間が掛かるので、その間に探索を済ませるのは効率的かもしれませんね」

 

 特に反対意見もなかったため、開拓の準備をしつつ遺跡探索を行うことが決まった。

 探索で得られたもの次第で、ハーピーの巣と楽園のどちらから開拓するかの判断をすることになった。

 

 

 

 日本疾病対策センター前

 

 探索チームが遺跡の目前まで到達した。

 今回の編成は、レンジャー✖︎1、サムライ✖︎2、鉄砲衆✖︎1の4マンセルが2チームとなっている。

 偵察、索敵を行うレンジャーと戦闘要員のサムライ、上位感染者に対する火力として鉄砲衆という役割分担になる。

 

 彼らが建物に侵入していく。

 施設内は広いが所々崩れていて死角が多い。

 そのため、少しずつクリアリングしていく必要があった。

 

「やはり、内部に感染者が多いですね」

 

「施設の性質上、戦争末期には保護と治療を求めて民衆が押し寄せていただろうからな」

 

「ですが、今のところウォーカーとランナーほとんどで、たまにエリートが混ざっているくらいです。上位感染者はいないのかもしれませんね」

 

「まだ入り口のホールを確保しただけだ。

 その判断をするのは早すぎる。

 甘い見積もりは、自分だけでなく仲間の命まで危険に晒すことになるぞ」

 

「はっ、申し訳ありません」

 

「では、東棟から探索を開始しよう。

 …慎重にな」

 

 遺跡は、大きく東、中央、西の三つの区画で構成されていた。

 探索チームは、東棟へと侵入していった。

 

 

 感染者を排除しつつ探索を進めていくが、この棟に重要な施設はないようだ。

 事務室らしき机が並んだ部屋には、総務や経理の書類ばかりで技術研究に役立つようなものはなかった。

 倉庫にあったのも、蛍光灯や事務用品といった消耗品ばかりであった。

 

「ここは外れのようだな」

 

 そう言って、奥にある最後の扉を開けた。

 中は食堂になっていたが、これまでのように大量の感染者がいるということはなかった。

 

 代わりにいたのは………

 

 

「まずい!デブがいる!」

 

「下がれ、一度には相手に出来ない!」

 

 怪力と強靭な体力を持つデブがいた。

 それも、5体もだ。

 デブが一斉に動き出したのを見て、この場での迎撃は不可能と判断。

 リーダーが即座に後退の指示を出す。

 

 通路に戻り、鉄砲衆が先頭のデブに向けて発砲する。

 弾丸は命中したが、倒れることなく向かってくる。

 

「やはりタフだな。

 だが、効いてないわけではなさそうだ」

 

「ああ、動きが鈍くなっている。

 こいつはここで仕留めるぞ!」

 

 二手に別れたサムライが挟み込むように斬り掛かる。

 デブは、どちらを狙うか悩んだのか一瞬だけ動きを止める。

 その隙を逃すことなく、サムライたちが激しく攻め立てた。

 デブはあっという間に傷だらけとなり、倒れて動かなくなった。

 

 だが、これで終わりではない。

 後続のデブたちが、すぐそこまで来ているのだから。

 2体のデブが並ぶようにして接近してくる。

 その後ろにほとんど差がなく、残りの2体が追いかけている。

 

 最初の1体は突出していたため仕留めやすかったが、他の個体はかたまっているため各個撃破は難しい状況だ。

 

「サムライと鉄砲衆は前の2体を倒してくれ。

 その間、後ろの2体は俺たちが引き付ける!」

 

 後退しながら、レンジャーが作戦を提案する。

 

「無茶だ。通路は狭く、相手はデブだぞ」

 

 サムライが懸念を示した。

 デブは、その体型から鈍いイメージがある。

 だが、実際はランナーに負けないほど足が速いし、巨体ゆえにリーチもある。

 広い場所ならともかく、狭い廊下で捕まらずに誘導するのは至難の技となる。

 

「見くびるなよ。

 俺たちが、どれだけ感染者を振り回してきたと思っている。

 デブの2体くらい、キリキリ舞にしてやるさ」

 

 その言葉には、地形の制約や荒れた地面などのリスクを背負って囮の役目を果たしてきた自負があった。

 それを感じたサムライと鉄砲衆は、彼らを信じて任せると決めた。

 

 サムライが前を走るデブ2体に斬り掛かった。

 デブも腕を振り回して応戦するが、サムライが上手く間合いを取り、相棒と連携しながら有利に立ち回っていく。

 レンジャーが彼らの横をすり抜けるように走り、後続のデブに攻撃し、自らを狙うように仕向ける。

 狭い通路での囮は、いつもと違った難しさがあるが、彼らは軽い身のこなしでデブの腕を掻い潜り、後続の2体をその場から引き離すことに成功した。

 

 こうして各個撃破が可能になった。

 サムライが隙を作り、鉄砲衆が撃つことで削っていく。

 いかにタフなデブでも、そう長くは持たなかった。

 デブが完全に沈黙したことを確認すると、一息吐く間もなく次の行動に移る。

 今もレンジャーが死と紙一重のダンスを踊り続けているのだから。

 

 幸いレンジャーが死神に捕まる前に駆けつけることが出来た。

 こうなってしまえば、後は狩るだけ。

 順当に、されど油断なく慎重に戦いを進め、残りの2体も処理された。

 

 こうして東棟の探索は完了したが、いくつかのメモや新聞が見つかった以外にめぼしいものはなかった。

 彼らは、さらに探索を続けていく。

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