転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る 作:ソロモンは燃えている
司令部に感染者動くの報が入った。
「ついに来たか」
「やはり一万を超える規模です!」
「周辺で確認されていた感染者を全て一度の襲撃に投入。
奴らも本気になったか…」
「この日のために備えてきたのはこちらも同じ。
我らが歩んできた道が正しかったことをここで証明しよう。
勝つぞ!」
「「「おう!」」」
そう、私たちも備えてきたのだ。
感染者が包囲網を構築しようとしていると報告を受けた時から準備を進めてきた。
防衛戦を想定し、強固な石の壁を居住区を囲うように建設。
同時に火焔砲塔やバリスタなどの防衛兵器の配備も順次開始していった。
当然、内政に回す資源は減るが、それでも可能な限り開拓も進めていく。
(この辺りは、内政官が奮起してくれた。
兵士たちに隠れがちではあるが、彼らも成長していたのだ。
おかげで満足のいく備えが出来た)
射角、射程を考慮して火焔砲塔を配備。
その隙間を埋めるようにバリスタを設置した。
流石に隙間なくとはいかなかったが、壁の上にはワスプが並んでいる。
ワスプだけではない。
サムライも壁の上に陣取り、群がる感染者を蹴散らそうと気炎を上げている。
壁の後ろには塔が立ち並び、その上から鉄砲衆が狙いを定める。
これがたどり着いた防衛網の完成系。
現時点でこれ以上はない。
そう確信できる陣容が構築されていた。
ついに戦闘が始まった。
火焔砲塔が焼き払い、ワスプやバリスタ、鉄砲衆がデブを優先的に撃ち抜いていく。
壁に取り付いた感染者をサムライが切り倒す。
「…悔しいですね」
各方面から報告を受けている司令部で、私の隣にいるレンジャー隊長が呟く。
「大規模な戦闘になると我々は役に立てない。
仲間が血を流していると言うのに…」
その顔は自身の不甲斐なさを悔いているようだった。
「君たちを役立たずなどと思う者はいない。
今回も、偵察部隊が感染者の動きを監視し続けてくれたから、我々は内政に集中できたのだから」
「頭では分かっているのです。
それでも、隣に立って戦いたいと思ってしまう。
せんなきことですが…」
「いや、私にも覚えがある。
司令官である以上、許されないことと分かっているが、部下が死ぬたびに自分も前線で戦いたいと思ってしまう」
「……辛いですね」
「ああ、だが、ここが我々の戦場だ。
前線に立つ兵士たちが踏みとどまっているのだから、我々が投げ出すわけにもいくまい?」
「そうですね」
会話を止め、指揮に集中する。
前線からは、激しい戦闘の報告が届いている。
兵士たちは、よく戦ってくれている。
それでも壁への攻撃を完全には阻止できなかった。
「東西に比べて、北と南の圧力が強いようですね」
「壁の損傷、蓄積しています。
破られる恐れあり!」
「予備兵力を北と南に向かわせろ」
「第2防壁の建設は、損傷の激しい箇所を優先させるんだ。
絶対に居住区まで侵入させるな!」
焼き払い、撃ち抜き、切り倒しても、その後ろから次々と軍勢が押し寄せ、壁を叩き続ける。
奴らに死の恐怖などない。
最後の1体になっても前進を止めはしない。
そして、その1体でも居住区に到達されてしまえば、瞬く間に数を増やしてしまう。
完全に殲滅するまで、決して手を緩めることは出来ない。
「くそっ!もう壁が持たない」
「神さま…」
「祈るな!手を動かせ!
今は少しでも崩壊を遅らせるんだ」
「司令官を信じろ。
俺たちが時間を稼げば、絶対に何とかしてくれる!」
不利になりつつある戦況の中、兵士たちはその命を賭して戦い続ける。
それが勝利への一助となることを信じて。
防壁が破られる場所が出始めた。
第2防壁で受け止めるが、戦闘中に建造した急増品であり、最初の壁ほどの強度はない。
兵士たちは必死に迎撃しているが、このままでは第2防壁も破られてしまう。
居住区の一部を撤去し、第3、第4防壁を用意すべきか?
それは後方支援を削ることを意味する。
難しい判断を強いられていた。
決断のタイミングを間違えるわけにはいかない。
頭を悩ませていると朗報が入った。
「東で戦闘の終結を確認!」
「西でも感染者が途切れ始めました!」
「よし、監視のための最小限の人員を残し、北と南に向かわせろ!」
良かった、これで手足を齧るような真似をしなくて済む。
北と南では、まだ激しい攻撃が続いているが、東西の戦力を再編し、向かわせたことで戦力差は逆転した。
戦局は一気に有利となり、戦線は安定。
時間は掛かったものの感染者を殲滅し、居住区を守りきることが出来たのだった。
勝利に湧く司令部に王国から急報が入る。
感染者の攻撃により居住区の一つが壊滅。
攻め込んできたのは20メートルに達する巨人。
地獄の釜が開き、また新たな絶望が這い出てきた。
この程度では終わらせない。
まるで、そう突きつけられているようだ。
…分かっていたさ。
この世界で希望を持つことがどれほど難しいことかくらい。
それでも、絶望なんてしてやらない。
どれだけ血と泥に塗れようとも、このクソったれな世界をひっくり返してやる!
覚悟しておけ、感染者ども!
新たな脅威、巨人に対するため、その詳細について報告を受けるのだった。
最強の感染者『巨人』の登場です。
ゲーム以上の鬼畜設定になるかもしれません。