転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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防衛装備庁・技術研究所

 

 

 

 報告を聞けば聞くほど巨人の脅威を思い知らされることとなった。

 

 

 それは地平の向こうから突然現れた。

 見張りの兵士たちは、最初は気付かないうちに接近されてしまったのかと錯覚してしまったが、すぐにそれが勘違いだと理解させられた。

 あまりの大きさ故に近く見えるのだと…

 

 未知の脅威を前に守備隊の隊長は、住民を避難させる決断を下した。

 事実上の開拓地の放棄だが、結果的に英断となった。

 開拓地が滅ぼされたが、多くの住民が生き延びることが出来た。

 引き換えに住民が逃げる時間を稼ぐために残った守備隊が文字通り全滅することになった。

 

 生き残った兵士は、避難民の護衛に就いた部隊のみだった。

 そのため戦闘の初期段階の情報しか得られなかったが、巨人の脅威を知るには十分だった。

 

 外見的な特徴は、太った感染者をそのまま巨大化させたような姿だった。

 その重量から動き自体は鈍かったが、巨体ゆえに歩幅が広く、進撃速度はランナーよりも速い。

 これは、見つかって追いかけられたら最後、レンジャーですら逃げきれないことを意味する。

 

 さらに腕力も桁違いだった。

 腕を振り回すという単純な攻撃でありながら、リーチが長く、広範囲に渡って薙ぎ払われ、火焔砲塔やバリスタなどの防衛兵器が破壊された。

 強固なはずの石の壁ですら、容易く破壊されてしまったと言う。

 

 壁が破壊された箇所から、引き連れてきた死者の群れが侵入。

 守備隊は、その身を盾に防衛戦を展開。

 生き残っているバリスタやワスプの照準を巨人に集中させた。

 撤退中の護衛部隊が見たものは、巨人が腕を振るうたびに多くの防衛兵器が沈黙し、守備隊が削られていく姿だった。

 死者の進撃は止まらず、逃げ遅れた住民を見捨てるしかなかった。

 

 偵察部隊からの報告では、巨人は今も滅ぼした開拓地に留まっている。

 住民を逃すために守備隊が奮闘した結果、巨人に手傷を負わせることに成功していた。

 その傷を癒すために休眠状態に入っていると予測された。

 

 それは、傷が癒えれば再び動き出す可能性を示唆している。

 その傷も表層的なもので、致命傷にはなり得ない。

 防御を固めた開拓地で迎撃してそれなのだ。

 我々が保持している技術では、巨人の中枢に届くほどの打撃力がない。

 大きな犠牲を払って進撃を一時的に止めることしか出来ない。

 このままでは、一つ、また一つと開拓地が滅ぼされていってしまう。

 

 状況を一変させる何かを得られなければ負ける。

 外部に得た領土だけではない。

 巨人の力を持ってすれば、王国への道を閉ざしている土砂すら削り取り、進軍路を造られてしまうかもしれない。

 ここでなんとかしなければ、人類の命運すら閉ざされてしまいかねない。

 たった1体の巨人に、ここまでの窮地に追い込まれていた。

 

 アーティファクトに賭けるしかない。

 幸いにもおあつらえ向きの古代遺跡が発見されている。

 

 防衛装備庁・技術研究所

 

 ここになら巨人を倒せる何かが眠っているかもしれない。

 事前の調査は十分ではないが時間がない。

 危険を冒してでも巨人が動き出す前に探索を終わらせなければ。

 

 

 王国は、精鋭部隊を遺跡探索に向かわせることを決定。

 現地の詳細は不明。

 いかなる事態が起きようと、臨機応変に対処して必ずアーティファクトを持ち帰るよう厳命された。

 

 

 防衛装備庁・技術研究所

 

 探索部隊が遺跡に到着し、休む間もなく内部に侵入しようと試みるが…

 

「ダメです、扉が固く閉ざされていて開きません」

 

 扉は鋼鉄製で、こじ開けることも難しい。

 火薬を使っての破壊は、感染者の大群を呼び寄せることになり、探索どころではなくなってしまうため論外だ。

 

「…やむを得ん。

 外周を探索し、侵入できる場所を探そう」

 

 正面入り口が使えない以上、他の入り口を探すしかない。

 うろつく感染者を排除しながら、施設の周りを時計回りで探索していく。

 しばらく進むと外壁が崩れ、内部に侵入できる場所が見つかった。

 付近の感染者を全滅させ、退路を確保してから内部へと進む。

 

 内部には、外周部以上に感染者が存在した。

 

「やはり、この施設も汚染されていたか」

 

 感染者の中には、白衣を着た研究者やツナギ姿の技術者らしき者も多く、当時の職員が避難もままならない程、急速に感染が広がったことを教えてくれる。

 

「当時の状況がそのまま保存されていると考えることもできる」

 

 改めて感染の驚異的なスピードを実感し、恐怖を覚える。

 楽観的な思考でその恐怖を抑えるが、高い技術力を持っていた古代文明でさえ抑え込めなかった感染力に対する不安は消えなかった。

 それでも引くことは出来ない。

 逃げる場所などないのだ。

 ここで巨人に対する有効なアーティファクトを引き当てなければ、かつてよりなお暗い未来しかないのだから…

 

 いくつかの部屋を探索した結果、技術資料が見つかった。

 どうやら試験中の対感染者地雷についての資料のようだ。

 

 対感染者地雷

 センサーと組み合わせることで感染者にのみ反応する地雷。

 性能試験のため、屋外実験場に設置済み。

 実験用の感染者が搬入されしだい実験を開始する予定。

 感染者にしか反応しない地雷であるが、爆発そのものは無指向性であるため、実験時は爆発に巻き込まれないよう注意が必要である。

 

「地雷か…防衛戦には使えそうだが、巨人に対しては威力が足りそうにないな」

 

「ですが、何かに転用出来るかもしれません。

 その辺りは本国の研究者が判断することかと」

 

「そうだな、使えそうな物はすべて持ち帰る。

 回収を急げ、探索を続けるぞ」

 

 その後も探索を続けるが、進むだけでもかなりの時間を要した。

 複雑な造りになっているわけではないが、セクター間の扉が内側から鍵が掛けられていて回り道をしなければならなかったからだ。

 おそらくセクター毎に封鎖して、感染拡大を阻止しようとしたのだろう。

 だが、決まって他の場所に穴が開いていたり、別の扉が破壊されていたりして先に進めた。

 探索部隊は、かつて感染者が切り拓いた道をたどっているのだ。

 

 途中、少し変わった部屋があった。

 その部屋には感染者がいなかった。

 代わりに白骨化した遺体が一つ。

 頭蓋骨に開いた穴と床に落ちている拳銃から感染する前に自殺することを選んだのだろう。

 部屋の壁には血で文字が書かれていた。

 

 ちくしょう

 誰だ、実験体保管室の電子錠を解除した奴は

 全ての電子錠が解錠されるなんて普通じゃない

 人為的なものとしか考えられない

 ああ、奴らがそこまで来ている

 もう、お終いだ

 

 何らかの事故があり、閉じ込めていた感染者が外に出てしまったのか。

 人為的なもの…古代文明が滅んだ理由の一つが人間同士の足の引っ張り合いだと言う仮説もあながち間違いではないのかもしれないな。

 

 探索部隊は古代人の愚かさを嘆き、同時に自分たちはこうはなるまいと自戒するのだった。

 

 さらにいくつかのセクターを進んだ先に中庭のような場所があった。

 学校にある土のグラウンドのような場所。

 屋外実験場だった。

 その証拠にスイッチのようなものが地面から頭を出している。

 対感染者地雷だ。

 地雷は規則正しく並んでいて、欠損があるようには見えない。

 設置したものの施設が汚染され、使用する前に壊滅してしまったのだろう。

 

「これが対感染者地雷か…実物もいくつかサンプルとして持ち帰りたい。

 帰りに回収することにしよう」

 

 探索部隊は、さらに奥へと進んでいく。

 この地雷原を発見したことは幸運だった。

 なぜなら、奥へと続く扉を開いた彼らの目に飛び込んできた光景は…

 部屋を埋め尽くすほどの太った感染者、デブの大群だった。

 

 それは巨人とは別種の絶望だった。

 少なく見積もっても50体はいる。

 強固な防壁と防衛兵器を駆使して初めて相手にできる規模の群れ。

 こんな遭遇戦では、勝ち目などない。

 

「てっ、撤退だ!

 下がれ!下がれ!」

 

 デブたちは扉が開いた音に反応し、一斉に向かって来ていた。

 こんな数を相手にしては、飲み込まれて死ぬだけ。

 指揮官は、即座に後退を決断した。

 

「中庭にある地雷原まで戻れ!

 地雷を利用して奴らを殲滅する」

 

「了解しました。

 奴らを地雷原に誘導します」

 

「爆発には巻き込まれるなよ」

 

 部隊が屋外実験場に逃げ込むと、後を追ってデブたちも突撃してきた。

 わき目振らず真っ直ぐに突き進んできた先頭のデブが地雷を踏む。

 その瞬間、大きな爆発が起き、デブが肉片へと変わった。

 

「良し、地雷は十分な威力がある。

 各自、散開してデブを地雷に誘導しろ!」

 

 安心している暇はない。

 次々と後続のデブがなだれ込んで来ている。

 地雷を活用しなければ勝ち目はない。

 死と隣り合わせの鬼ごっこが始まった。

 

 相手は真っ直ぐ追いかけてくることしか出来ない感染者。

 地雷を踏ませることは簡単だったが、数が多いため上手く距離を取ることが出来ずに爆発範囲からの離脱が間に合わないこともあった。

 

「うあぁぁ、足が!」

 

 地雷の爆発で足を負傷し、動けなくなった兵士にデブが迫る。

 

「させるか!」

 

 他の兵士が援護に向かおうとするが…

 

「来るな!間に合わない」

 

 負傷した兵士が制止の声を上げる。

 援護に向かおうとした兵士も解っている。

 デブは、もう至近距離まで近づいている。

 援護が間に合うはずもない。

 

「そうだ、来いよ、化け物!」

 

 デブが腕を振り下ろそうとした瞬間…

 

 カチッ

 

 作動音と共に地雷が起爆。

 デブと兵士は肉片となった。

 足を負傷し、逃げられないと悟った兵士は、自らの命を囮にしてデブに地雷を踏ませたのだ。

 

「くそっ!あいつの覚悟を無駄にするな!

 必ず奴らを殲滅して、生き残るぞ」

 

 部隊の全員が、この任務の重要性を理解している。

 最後の一人が任務を達成できるのなら、他の兵士全員が犠牲になることを是とする。

 文字通り、王国の命運を左右する任務だった。

 

 実験場の地雷を使い尽くし、それでも僅かに残ったデブを兵士たちが駆逐したことで戦闘は終結した。

 デブの群れを殲滅したことで、さらに奥のセクターに進むことが可能になった。

 

「どうやら、ここが最後のセクターのようだ」

 

「最奥にあるだけあって、重要機密を取り扱っていたようですね」

 

 棚に並んでいる資料には、例外なく極秘の文字が刻まれている。

 






作者も初見の時は、地雷のステージで巻き込まれて死んでしまいました。
仲間ルシファーの火炎放射器に焼かれて死んだり、凡ミスが多かったです。
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