転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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岩戸基地

 

 

 

 アルファ討伐のため東京方面へ進出することが決まったわけだが、その前に探索しておきたい場所があった。

 防衛装備庁の探索中に得た資料から岩戸基地の場所が判明。

 古代日本において最後の大規模反攻作戦で使用された拠点なら、役立つものが残されているかもしれない。

 敵の本丸へ進む前に出来ることは全てしておきたい。

 前回の探索でレールガンを得たこともあり、岩戸基地の探索にも大きな期待が寄せられた。

 

 

 

 岩戸基地

 

 現地に到着した探索部隊は、基地の状況を確認。

 軍事基地らしく要塞化されているため、正面からの侵入は出来そうになかった。

 

「仕方ない、周辺を探索して侵入できる場所を探そう」

 

 外壁に沿って進んでいくと、基地に隣接する飛行場にたどり着いた。

 滑走路には飛行機の残骸が横たわっている。

 

 おかしい、軍事基地のはずなのに非武装の民間機しかない。

 

 隊長は、飛行場を探索する中で感じていた違和感の正体に気付いた。

 

 そもそも、なぜ民間機がある?

 脱出のために徴用したとも考えられるが…どうも引っかかるな。

 

「隊長、鍵の掛かっていない扉を発見しました。

 内部に侵入できそうです」

 

 鍵が開いていたのか?

 壊れているのではなく?

 

 ここでも違和感を感じたが、内部に入って困惑へと変わった。

 隊長だけでなく、部隊全員が困惑している。

 

 今までの遺跡と同様に感染者はいた。

 ベノムやハーピーとも遭遇したが、数が少なかったためサムライや鉄砲衆がその都度対処して、探索は順調に進んだ。

 

 ただ、明らかにおかしいことが一つ。

 軍事基地に侵入したはずの彼らが目にしたのは、バーが併設された高級レストラン、カジノやシアタールームといった娯楽施設などだった。

 荒れ果てているが、まるで高級リゾート施設だ。

 

「ここは、岩戸基地ではないのか?」

 

 とても軍事基地とは思えない。

 奥には宝物庫まであった。

 

「文明が崩壊しようとしている時に、こんな物を後生大事に抱え込んでいたのか」

 

 その部屋には、金貨などの貴金属や紙幣の他に絵画や彫刻などの美術品も大量に並んでいた。

 貴金属などは、経済を回すために王国も求めているし、工業製品の触媒にも使える。

 だが、それ以外の物には何の価値もない。

 隊長が侮蔑の表情を浮かべたのも無理はない。

 

「隊長、こちらに来てください!」

 

 部下に呼ばれて、向かうと…一転して軍事基地らしい無骨な造りの区画に入った。

 探索を進めると武器庫や兵舎などがあり、軍の施設であることは確かなようだ。

 

「なんだここは?まるで意味がわからない」

 

 半分はリゾート施設、もう半分は軍事施設というあり得ないほど歪な構造は、もはや理解不能だった。

 

 この謎は、司令室の執務机から見つかった日記を読むことで明らかになった。

 それは、当時の総理大臣であり、岩戸計画の責任者であった男のものだった。

 

 

 無為無策の権力者どもを見るたびに苛立ちを覚える。

 私が権力を手にすれば、もっと上手くやれる。

 だから、権力を得るためにどんなことでもしてきた。

 そうやって、都知事を経て総理大臣まで上り詰めたのだ。

 これで、この国を救える。

 そう思ったのに、何もかもが上手くいかない。

 状況は悪くなるばかりで、何とかしなければならないのに、打った手がことごとく裏目に出てしまう。

 人類の滅亡は運命であり、決して覆すことが出来ないのではないかと思えるほどだ。

 

 

 

 アメリカが人類の命運を賭けた反攻作戦としてフェニックス計画を始動した。

 それに続く形で我が国も岩戸作戦が議会で承認された。

 無能な権力者たちも、ようやく崖っぷちであることを理解したようだ。

 これ以上、先延ばしにすれば賭けに出ることすらできなくなっていた。

 この作戦が失敗すれば、もう我が国に大規模な作戦を実行する余力はない。

 正真正銘、最後のチャンスだ。

 

 

 

 あの俗物どもめ!

 奴らは何も理解していなかった。

 なんだ、あのバーやカジノは!?

 ここはリゾート地じゃないのだぞ!

 

 どうやら、私は総理の器ではなかったようだ。

 権力者どもに賢明な判断を期待していたなんて。

 奴らにそれが出来るなら、事態はここまで悪化していない。

 つくづく嫌になる。

 それでも投げ出すわけにはいかない。

 私は、この国の総理大臣なのだから…

 

 

 

 私の鬼人化処置も終わった。

 アメリカのミュータントとは異なるアプローチの強化人間『鬼人』

 まさか、自分自身にこの技術を使うことになるとは思わなかった。

 人間を辞めたことに後悔はない。

 いまだに贅沢三昧の権力者どもを見ていれば、むしろ清々する。

 奴らが岩戸計画に群がったのも、庶民を戦わせて自分たちの安全を守らせるためだった。

 保険として用意した箱舟計画から目を逸らせたのだから、返って好都合だったのかもしれない。

 奴らが箱舟に乗り込んでいれば、早晩崩壊していただろうからな。

 希望の種は、もっとも信頼できる者に託した。

 後は、この国を救うことに集中しよう。

 明日、他の鬼人たちを率いて前線に向かう。

 

 もし、岩戸計画が失敗し、我が国が滅びた先の世界でこれを読む者がいたならば、希望の種が芽吹いたということなのだろう。

 先人として言葉を残す。

 どうか、我々のような愚か者の二の舞にはならないでくれ。

 

 

 

 ここで日記は終わっている。

 

「……この男のやり方に賛同は出来ないが、同情はしよう。

 私たちは恵まれている。

 誰よりも厳しく自分を律する上層部、未来に希望を持たせてくれる司令官。

 前線で戦う者にとって、今の王国がどれほど得難いものかを教えてくれた」

 

「そうですね。

 古代の兵士たちに同情します」

 

「感傷はここまでにして、探索を続けよう」

 

 軍事施設であるこの区画なら、まだ何か残されているかもしれない。

 アーティファクトを求めて探索を続けていくと、プレートに処置室と書かれた部屋を発見。

 

 中には大きなベッドが並んでいて、その上には3メートルを超える人型の何かが横たわっていた。

 

「鬼か!?」

 

 サムライたちが反射的に構える。

 

「いや、鬼ではない。

 見ろ、死んでミイラ化している」

 

 感染者である鬼なら、死ねば塵となる。

 

「なら、これが…」

 

「鬼人…だろうな。

 鬼は、感染した鬼人の末路だったか」

 

 残されたレポートには、何度も失敗し、多くの犠牲を出しながらも完成させた鬼人について書かれていた。

 

 薬品による肉体の活性化を確認。

 身体能力だけでなく、免疫反応も大幅に強化された。

 感染への強い耐性を持つ鬼人は、感染者に対する切り札になり得る。

 

 

 計画が失敗し、鬼が生まれていることから、鬼人でも感染に耐えることは出来なかったのだ。

 

 

「隊長、薬品のアンプルが保管されています。

 ラベルには鬼人化薬と書かれています!」

 

「人間を鬼人へと変える薬か…いくつある?」

 

「3本です」

 

「…回収しておけ。

 もう、未探索区画はないな。

 撤収するぞ」

 

 

 王国に持ち帰られた鬼人化薬。

 身体を人間ではないものに作り変える禁忌の薬であるため、封印されることが決定。

 

 

「良いのか?

 鬼人は、強力な戦力になるだろうに」

 

「私は、人の未来を守りたい。

 そのために人間を辞めさせては本末転倒だ」

 

 サムライ隊長の言葉も間違ってはいない。

 鬼の戦闘能力を考えれば、鬼人は戦力としては魅力的だ。

 私が望み、志願者を募れば、手を挙げる者も多いだろう。

 だからこそ、この薬に頼りたくはない。

 もし使わなければならないなら、まず私が使うと決めていた。

 

 

 

 

 読切新聞

 

 ウイルスは何処から?

 

 世界が総力を上げて対処しているのに、この感染症は衰えるどころか、ますます猛威を振るっている。

 これまでの感染症ではあり得なかった事態だ。

 隔離し、封じ込めたと思っても、全く別の地域で発生してしまう。

 感染源も分からないまま。

 ここまで感染源を特定できないのは何故なのか?

 学会ではあり得ないと一顧だにされなかったが、このウイルスは人間の遺伝子の中に組み込まれた自滅機構(アポトーシス)が発生源であると言う説を唱える者もいる。

 食物連鎖のピラミッドから外れ、増えすぎた人口を調節するために発現している。

 そのため、特定の感染源はなく、決して撲滅もできない。

 我が社も、この説が間違いであると願っている。

 先日、世界中から最高の頭脳を招聘し、この感染症を克服するための特別チームが編成された。

 彼らに出来なければ、誰にも出来ない。

 そう言われるほどのメンバーである。

 彼らには、ぜひこの説を否定する成果を上げてもらいたい。

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