転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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ついにラストステージに突入しました。
ゲームでの運命の女神に相当するステージになります。


転生した私と天空の塔 その1

 

 

 

 その日、王国から緊急の通信が入った。

 恐れていた事態が起きたことを告げるものだった。

 

「東京の中心部で強力な信号が発生!

 アルファです。

 同時に各地の偵察部隊からも緊急報告

 周辺の感染者が合流しながら東京方面に移動を開始しました!」

 

「動いたか。

 もう少し時間が欲しかったが、そう上手くはいかないか。

 しかも、単純に感染者をけしかけるのではなく、戦力を集結させてからの大侵攻が狙いのようだな」

 

「こちらも動かざるを得ませんか?」

 

「ああ、戦力の集結を許せば勝ち目はなくなる。

 その前に突入して、各個撃破するしかない」

 

「今回も時間との勝負になりそうですね」

 

「いつものことだ。

 時間と共に奴らの戦力は増大していく。

 それ以上の早さで拠点の戦力を拡充していかなければ飲み込まれて終わる」

 

「なら、勝てますね」

 

「レンジャー隊長…」

 

「いつものことを…いつものようにすれば良いのでしょう?」

 

 いつものことをいつものように…か。

 レンジャー隊長の顔に迷いはない。

 奴らとの戦いにおいて、それがいかに困難なことか分からない男ではない。

 それでもやり遂げてみせると言っているのだ。

 

「アルファ討伐作戦を開始する。

 出撃するぞ……いつものようにな」

 

「はっ!」

 

 

 

 森と瓦礫の山によって感染者が侵入できない安全なルートを進んで開けた場所に到着した。

 司令部を設置しながら辺りを見回す。

 

 

 ここが東京だった場所か…

 

 

 かつて行われた滅菌作戦の爆撃によって荒廃した光景が広がっていた。

 東京のランドマークとなっていた天空を貫くほどの高さを誇った塔は半ばから折れ、無惨な姿を晒している。

 その姿は、傲慢さゆえに神の怒りに触れ、打ち砕かれたバベルの塔を思わせた。

 ここが信号の発生源。

 アルファは、このエリアのどこかに潜んでいる。

 

 

 スカイツリーだった残骸を背にした司令部を拠点に周辺の感染者の排除を開始する。

 展開させる兵士は、当然静粛性に優れたレンジャーだ。

 今までの作戦との違いは、いつもの3倍近い規模だということ。

 今回の作戦において、王国は特別輸送態勢を取った。

 保有する全ての車両を投入しての物資と人員の輸送。

 この作戦が王国の…人類の行く末を左右することを誰もが理解していた。

 

 そして、王国の全力のバックアップと大戦力を投入してもなお、戦局は厳しい。

 感染者と戦っているレンジャーのすぐ後ろにテントがある。

 レンジャーが少しでも戦線を押し上げれば、すかさず必要な施設を建てていく。

 ほんの僅かなミスが崩壊につながる。

 それ程ギリギリの綱渡りをしなければ間に合わない。

 東京に迫っている感染者の戦力は、それ程に絶望的なのだ。

 数だけではない。

 質の面でも、これまでとは違うはず。

 間違いなく巨人も来る。

 それも複数体が……

 奴らが姿を見せる前にレールガンを配備しなければならない。

 領土拡大を急ぐ理由がこれだ。

 日本製のテスラタワーによって後方から電力が供給されているが、密集して建てると互いに干渉してしまい機能しなくなる。

 電力が必要なのはレールガンだけではない。

 通常戦力にも手は抜けないことを考えれば、このエリアの大部分を制圧する必要があるのだ。

 

 もともと存在する膨大な数の感染者に加えて、センサーによって鬼が各地に点在していることも判明している。

 度重なる襲撃を乗り越えながら前進し、防衛体制を整えなければならない。

 本当に最後まで楽をさせてくれないな。

 

 

 

「広場を南に抜けた先に廃墟を確認しました」

 

「嫌な位置だ…」

 

 広場は森や瓦礫に囲まれていて、出口は3箇所。

 東は、瓦礫と森で狭く、裏口のようになっている。

 西には川が流れていて、橋が掛かっている。

 橋を渡ってさらに西に進むか、川に沿って南西に進むかだ。

 そして南、抜けた先には広大な土地が広がっている。

 防衛が難しい反面、確保できれば国力を飛躍的に高められる。

 だが、その出口を塞ぐように廃墟が陣取っていた。

 規模そのものは大きくないものの、作戦序盤で戦力が整っていない状況では侮ることは出来ない。

 

 私は、ここで大きく動くことを決断した。

 

 東の道に後方から輸送させたワスプを配備。

 狭い道だから、感染者が入り込んでも少数のワスプで防衛できるだろう。

 弾薬の輸送の負担も許容範囲に収まるし、発射音も南の戦線には影響するほどでもない。

 唯一の懸念は、北東にいる鬼が反応してしまうことだが…そこは祈るしかない。

 

 裏口を抑え、西の防衛をレンジャー部隊の一部に任せて、南の攻略に集中する。

 南の出口付近にバリスタを3台配備。

 廃墟に攻撃を集中させる。

 当然、廃墟から多数の感染者が溢れ出てくる。

 ランナーやエリートだけでなく、デブまでいた。

 だが、兵士たちもこれまで様々な戦場を潜り抜けてきたベテランだ。

 焦ることなく落ち着いて対処してくれる。

 

 バリスタがデブを優先的に狙い。

 レンジャーは、木の杭を利用してランナーやエリートを足止めしながら仕留めていく。

 序盤の廃墟攻略なのに安心して見ていられるほどに彼らは成長していた。

 やがて、廃墟から感染者が出てこなくなった。

 廃墟が空になったのだ。

 このまま開けた土地に進出と行きたかったが、ここで最初の波が来てしまった。

 

 

 12日目

 

「感染者の第1波が到達しました!

 ランナーとエリートで構成された群れ。

 その数、およそ500!」

 

「くっ、第1波でそれか」

 

 近場にいた群れだけで下手な総攻撃に匹敵する規模だ。

 奴らは合流しながら接近してくる。

 遠くにいる奴らほど、より広範囲から集結した群れになる。

 最終的にどれ程の群れが押し寄せてくることになるのか。

 

 いや、そんなことを考えている余裕はない。

 思考を切り替えろ!

 

「侵入方向は?」

 

「南西からです」

 

 レンジャー部隊が防衛している方向か。

 廃墟攻略のために前線が停滞していたことで防衛体制はそれなりに整っている。

 バリスタをいくつか配備すれば凌ぎ切れるだろう。

 

 川に沿って作られた防衛陣地に木の罠を敷き詰め、囮のレンジャーが走り回ることで足止めをし、後方からバリスタや他のレンジャーが攻撃することで群れの数を減らしていく。

 犠牲を出しながら試行錯誤して作り上げてきた戦術。

 前線を無理に押し上げずに迎撃に適した場所に防衛線を築いたことで群れの規模が大きくとも対処可能だった。

 

 最初の襲撃を乗り越え、廃墟という脅威も排除したことで南への領土拡張を本格的に開始した。

 今回の襲撃など序章に過ぎない。

 安堵している暇などないのだ。

 

 南の開けた土地は広く、防衛には向かない。

 そのため、制圧が終わる前に襲撃を受けてしまえば、防衛に掛かる負担は半端ではない。

 だが、我々には進むという選択肢しかない。

 拠点を設置した広場はすでに手狭であり、領土の拡張が喫緊の課題となっている。

 

 東の道の先には鬼の反応がある。

 それほど近くはないものの、進んでいけばいつ反応するか分からないリスクを負わなければならない。

 南西も鬼の反応があり、同じだ。

 西の橋を渡った先には大規模な廃墟があり、今の戦力では攻略に時間が掛かりすぎる。

 最も安全で効率よく国力を高め、戦力を増強するにはこれしかない状況だった。

 南の地を制圧すれば、大規模な廃墟の攻略や鬼の討伐に着手する態勢が整うだろう。

 

 だが、ここはアルファが潜む場所。

 言わば、感染者たちの本拠地だ。

 そうすんなりとは進むはずもなかった……

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