転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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転生した私、廃墟を攻略する

 

 

 

 あの後、バリケードに引っかかり動けなくなっているだけで、まだ息のある感染者にトドメを刺し、戦闘は完全に収束。

 王国に一つ目の居住区の完成と感染者の群れとの戦いに勝利したことを報告した。

 

 それから1か月、居住区は様変わりしていた。

 出口に木の防壁を建設し、壁の外側にバリケードを設置。

 群れの襲撃への警戒として見張りのために櫓も組んだ。

 常時監視するためにレンジャーの詰め所もすぐ側に建設してある。

 

 壁内が安全地帯となったことで王国に残っていた人員も移動させ、居住区の人口は800人になった。

 農地を作ったり、石材の利用方法を研究するための石材工房も建設されているが、一番の変化はテントを木の家に建て替えているところだろう。

 テントは手早く用意できるが居住性も悪く、寝泊まりできる人数も少ない。

 このまま木の家への建て替えが進んでいけば、生活が安定し、居住区はさらに発展することができる。

 

 また、兵舎を建て、志願した住民に訓練を受けさせている。

 今後、東に進出していけば戦力が不足するようになることは明らか。

 この地を防衛し、維持していくための戦力も必要となる。

 新たなレンジャーの育成は、急務だった。

 

 

 いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。

 ランナーの群れを殲滅し、東への道が開かれた今が進出するチャンスなのだ。

 

 遠征隊の主要メンバーを集めて、今後の方針を伝える。

 

「東への進出ですか?」

 

「少し性急すぎるのでは?

 もう少し、ここで足場を固めたほうが…」

 

「それでは遅い。

 感染者の膨大な数を考えれば万全な準備などどれほど時間を掛けようと不可能だ。

 東の道に感染者の姿が見えない今こそが前進する絶好の機会なのは、皆も理解していると思うが…」

 

「しかし、前進を急ぐあまり感染者の奇襲を受けてしまえば、今回の勝利の意義すら失われてしまいます」

 

「分かっている。

 私も無計画に進むつもりはない。

 まずは偵察隊に先行させて、情報を収集させる。

 その報告を聞いて、拠点の設置場所などの具体的な計画を立てるつもりだ」

 

 私の話を聞いて、納得の表情を浮かべるメンバー達。

 偵察部隊が情報を持って帰るまで、各自でできる限りの準備を進めていくことが決まった。

 

 

 

 1週間後

 

 偵察部隊が帰還した。

 彼らの報告では、東にしばらく進んだ先で小規模な集落だった場所を発見。

 100年以上の時が経ち、ボロボロの廃墟になっていると言う。

 

「山間にある小さな集落か…」

 

 世界人口が900億以上になろうと都市部に人が集中し、地方の過疎化が問題になっていた。

 文献でそれを知った私は、どれほど人口が増えてもこういう問題はなくならないのだなと微妙な気持ちになってしまった。

 かつての世界で私は人口さえ減らなければといつも思っていた。

 だが、それは思い違いだったようだ。

 都市部への人の流出という問題の根本をどうにかしないと意味がないのだと思い知らされた。

 

 この集落も過疎化に苦しんだのだろうが、それが私たちに有利に働いている。

 もし、人口が地方に分散していれば最初の居住区すら建設できなかったかもしれない。

 山奥の田舎にもともと人が少なかったからこそ、感染者が少ないのだ。

 

 かつて集落があったということは、この地には人が生きていく上で必要なものが揃っているということでもある。

 事実、周辺には農地だった痕跡が残る場所も確認されている。

 居住区を作るのに向いた場所ではあるのだ。

 

 問題は、廃墟となった集落の存在。

 おそらく廃墟の中には多数の感染者がいるはず。

 それは感染者の習性が関係している。

 感染者は雨などの悪天候を避けようと建物や洞窟の中に入ろうとする習性がある。

 だから、形が残っている建物の中には感染者がいると考えた方がいい。

 

 周辺に感染者の姿があまり見られない事実が廃墟内の感染者の存在をより強く感じさせる。

 どれほどの数がいるのかは分からない。

 最悪、家の中に感染者がギチギチに詰まっているかもしれない。

 

 だけど、廃墟さえどうにかしてしまえば居住区として利用しやすい土地だ。

 さらに先へ進むための中継点としても攻略しておきたい場所だった。

 

 作戦は単純明快。

 廃墟の中にいる感染者に勝てるだけの戦力を用意して、彼らの戦いを支えることができるだけの後方支援体制を整える。

 その上で廃墟に攻撃を仕掛けるのだ。

 

 幸い、偵察部隊によれば周辺に感染者の群れは存在しない。

 襲撃を心配することなく、廃墟攻略に集中できる。

 新たな群れが接近してくる前に作戦を実行すべきだという意見で一致した。

 

 こうして、廃墟攻略作戦の実行が決まった。

 

 

 レンジャー部隊を伴い、静かに、速やかに廃墟を臨める位置まで前進し、拠点を構築する。

 基本的にやることは今回も変わらない。

 拠点を中心にクリアリングを進め、周辺の木材を伐採できる環境を整える。

 今回は廃墟攻略が目標の短期決戦のミッション。

 食糧はともかく、廃墟への攻撃が始まれば一気に消耗が激しくなる矢は、ある程度現地で生産できるようにしなければ後方からの補給だけでは追いつかなくなる。

 

 農地などの食糧生産は、廃墟を攻略した後、周辺防御を固めてから着手する予定だ。

 まずは矢の生産やバリケードや木の防壁を建設するための木材の確保を優先して行なっていく。

 

 これまでの経験からレンジャー達も手慣れた様子でクリアリングを進めていった。

 ランナーの群れを排除したからなのか、周辺にいる感染者のほとんどがウォーカーだった。

 そのため、かなりのハイペースでクリアリングは進み、14日目には廃墟の手前まで進出することに成功。

 

 まだ廃墟を攻める準備が完了していないため、廃墟を刺激しないようにレンジャーの一部を監視に残し、周辺から流れてくる感染者から居住区を防衛していく。

 並行して、住民を総動員して必要な物資の生産を続けさせる。

 

 

 

 24日目

 

 ついに防衛施設が完成し、廃墟攻めの準備が整った。

 廃墟の少し手前で道が二股に分かれている場所があり、そこを主戦場に設定した。

 それぞれの道に木の防壁を建設し、道の合流地点にバリケードを設置してある。

 

 囮役のレンジャーが廃墟に接近、手前の家に向かって石を投げ込む。

 それに反応して出てきた感染者達を迎撃地点まで引っ張っていく。

 引っ張ってきた感染者は、手前のバリケードに引っかかり、足を止めたところを2方向からの十字砲火で殲滅する。

 

 殲滅が完了したら、再び廃墟に接近し、さらに奥の家に石を投げる。

 後は、これを繰り返していくだけ。

 私は、この作戦を心の中でピンポンダッシュ作戦と呼んでいる。

 

 このピンポンダッシュ作戦で廃墟の感染者を削っていくのだ。

 予想以上に多くの感染者が反応してバリケードを突破されれば、木の壁で耐えている間に殲滅。

 バリケードを再設置して続行する。

 これが今回の作戦のすべてだ。

 

 

 囮役のレンジャーが開戦の狼煙となる石を投げ込んだ。

 廃墟に当たった石が乾いた音を立てる。

 

 次の瞬間、続々と感染者が外に出てきた。

 やはり、かなりの数の感染者が中にいたようだ。

 感染者が反応しているのは手前の廃墟のみだった。

 

 最初の賭けには一先ず勝てた。

 もし、すべての廃墟が同時に反応して大量の感染者が出てきていれば、撤退を余儀なくされていたはずだ。

 田舎だからなのか、あるいは長い年月で残っていた家屋が朽ちてしまったからか、廃墟がまばらに点在していたため、一度にすべての廃墟が反応する事態は避けられた。

 

 

 反応した感染者は、設定したキルゾーンまで誘導され、レンジャー達の十字砲火で問題なく殲滅されていく。

 

 よし、行ける!

 

 初戦は苦しみながらギリギリの戦いの果てに犠牲者を出すことなく乗り切れた。

 その経験がレンジャー達を強くしていた。

 

 少しずつ奥の廃墟に石を投げていく。

 その度に多くの感染者が出てくるが、効率的な防御陣地の前にあっさりと殲滅される。

 

 壊れたバリケードの修復や矢の補充を繰り返しながら作戦を継続し、3日ですべての廃墟から反応がなくなった。

 

 念の為、廃墟の中も一軒一軒クリアリングして安全を確認。

 後方の居住区から住民を移住させ、本格的な開拓を開始する。

 

 もともと集落があった場所なので、開拓は早期に形になるだろう。

 廃墟を解体して資源として利用できることも内政を加速させる要因になる。

 

 早くも二つ目の居住区を建設できた。

 計画は予想以上に順調に進んでいる。

 いまだに犠牲者もゼロ。

 これほどの成果を叩き出したことで私は慢心してしまったのかもしれない。

 

 後に私は、自らの過信が招いた惨劇を悔いることになる。






廃墟攻略も成功裡に終わり、前途は揚々……とはなりません。
これはThey are billionsですから。
圧倒的数の暴力こそ感染者達の本領です。
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