転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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転生した私、草原を開拓する

 

 

 

 道を塞いでいた感染者の群れを殲滅した我々の前には二つの道がある。

 一つは、東にある、かつて高崎市だった土地。

 偵察隊の報告によれば、長い時間の流れによって建物の多くは瓦礫となっていて、複雑な地形を形成している。

 形が残っているのは、中心部にある市庁舎と北部にある病院のみであり、どちらも廃墟となっていて、中には感染者がいると予想される。

 徘徊している感染者も、これまでとは比較にならないほど多い。

 この地に居住区を建設するのは困難を極めるだろうが、郊外に工場跡地が確認されている。

 調査隊を送り込むためには、市内の感染者を殲滅し、安全を確保する必要がある。

 

 もう一つは、北に進んだ先にある開けた草原地帯。

 肥沃な土地が広がっており、この地に居住区を建設できれば、かなり有力な食料供給地となる。

 また、周辺に感染者の群れは存在しないため、大規模な襲撃を警戒する必要なく開拓に取り組むことができる。

 ただし、油断はできない。

 周辺には感染者が点在しており、小さな集団がどこからともなく近寄ってくる恐れもある。

 全方向を警戒する必要があるだろう。

 

 

 私は、悩んだ末に北の開拓から着手することを選んだ。

 確かにアーティファクトは早期に入手したいが、現状の戦力では市内を制圧し、維持していくことは不可能だと判断した。

 兵舎での訓練は順調で、レンジャー部隊の増強の目処は立っている。

 しかし、実際に戦力となるのには、もう少し時間がかかる。

 

 防衛施設の建設や補給など後方支援の能力も不足している。

 幸い、我々の報告を受けた王国もその気になってくれたようで追加の人員を送り出してくれるようだ。

 この地に大規模な居住区を建設し、後方支援体制を強化することで高崎市への進出を可能とするのが今回の作戦の目的だ。

 

 

 

 いつも通り、レンジャーを護衛に進出した地に司令部を設置する。

 同行した住民がテントを建てていく。

 レンジャー達には、さっそく周辺のクリアリングを開始してもらう。

 

 今回、動員されたレンジャー部隊は4チーム16人。

 二つの居住区を守る戦力や物資を運ぶ補給部隊の護衛としても必要なため、新兵の訓練が終了するまでは、この戦力でやりくりするしかない。

 

 

 4日目、最初の危機が居住区を襲う。

 突如として住民の悲鳴が聞こえた。

 急いで現場に向かうとテントに近づく感染者の姿があった。

 幸いにも襲われる前に気づけたようで住民は無事だった。

 感染者も矢の補充に戻ってきていたレンジャーによって排除された。

 

 だが、これは問題だ。

 レンジャーには周辺のクリアリングを行わせていたが、その隙間を抜けられたことになる。

 今回は、たまたま矢の補充に戻っていた部隊がいたから事なきを得た。

 もし、レンジャーが不在のタイミングであれば住民が犠牲になっていた。

 住民に感染が広がれば、今の無防備な司令部は陥落していた可能性が高い。

 

 くっ、開けた場所を守ることがこれほど難しいとは……

 群れがいないことで侮っていた。

 

 とにかくレンジャー部隊を呼び戻し、拠点周辺の防御に専念させるしかない。

 

 

 それから3日が経ち、レンジャー達は疲弊していた。

 群れがいないということは、感染者の数が少ないことを意味するわけではなかった。

 感染者は、散発的にあらゆる方角から忍び寄ってきた。

 ある方向から接近してきた2〜3体の感染者に対応している最中に、別の方向から感染者の接近が報告される。

 レンジャー達は、拠点の周りを走り回らされる状況に陥っていた。

 貴重な木材でバリケードを作り、住民達も見張りやボウガンなどでサポートしているが焼石に水の状態だ。

 前線を押し上げられていないため、感染者の接近は夜になっても止まらない。

 レンジャー達は、交代で巡回し、感染者が接近してくる度に対処に駆り出されることになってしまう。

 住民達はあくまでサポートにしか使えない。

 激しい戦闘音が発生してしまえば、遮るもののないここでは広範囲から感染者を呼び寄せることになってしまう。

 どうしてもレンジャーの技量に頼らざるを得ないのだ。

 

 

 

 拠点を築いてから8日目

 

 感染者の接近に苦慮している私達の下に、待ちに待った朗報が舞い込んできた。

 

「こちらに向かって来ている補給部隊がかなりの数のレンジャーを伴っているのだな?」

 

「はい、まだ遠くて正確な人数は不明ですが、明らかに護衛に配置したレンジャーの数を上回っています」

 

「司令官殿、これは……」

 

「ああ、訓練を終えた新兵達だろう」

 

 司令部の面々の顔も少しだけ明るくなった。

 

「しかし、新兵達ですか…

 どれほど戦力になってくれるものか?

 どうせならベテランを寄こしてほしかったですな」

 

「そう言うな。

 防衛を疎かにはできん。

 新兵に訓練を施す教官も必要だ」

 

 そう、いつまでもベテランに頼っているわけにはいかない。

 新兵をベテランに育て上げること……

 つまり、新兵を死なせない戦いをすることが私に求められているのだ。

 そうしなければ、後になるほど状況が難しくなっていく。

 

「人手が足りていない現状では、頭数こそが重要。

 今は少数のベテランより、多くの新兵が必要なのだ」

 

 私達は笑顔で補給部隊を迎え入れた。

 

「司令官殿、補給物資をお持ちしました。

 お待たせしてしまって、申し訳ありません。

 叶うなら毎日でも物資を送りたいのですが……」

 

「いや、よく来てくれた。

 草原に進出して補給路も長くなっている。

 君達がベストを尽くしてくれているのは理解しているよ。

 それより、彼らは……」

 

「はっ、ありがとうございます。

 彼らは、訓練を終えたレンジャー達です。

 実戦の経験はありませんが、必要な技術は叩き込んであります」

 

「そうか、君達もよく来てくれた。

 感染者との戦いは過酷だが、私も君達が生きて帰れるようにベストを尽くす。

 これからよろしく頼む」

 

「「「「はっ、よろしくお願いします!」」」」

 

 5チーム20人のレンジャーが加わったことで居住区の防衛に余裕が生まれ、ようやく前線を押し上げることが可能となった。

 とは言え、無計画に前線を進めては、すぐに限界点を迎え、今と同じ状況に陥ってしまう。

 まずは司令部を中心にエリアを4つに分け、それぞれに偵察を出して状況を探る。

 

 北東及び北西エリアはランナーが多く、正面からの戦闘は困難。

 南東はランナーこそ少なかったが感染者の数が多く、前線を押し上げるには多くの時間と労力が必要。

 南西は、感染者のほとんどがウォーカーで数も他のエリアに比べれば少ないことが判明。

 

 まずは南西エリアの制圧を進めることが決まった。

 拠点の防衛は引き続きベテラン部隊が主体となって行い、南西へのクリアリングは新兵に任せる。

 ウォーカー相手のクリアリングは、安全に経験を積ませるにはうってつけの任務だ。

 

 クリアリングを進めて確保した土地には、木材を加工するための製材所や補給部隊と共にやってくる住民を受け入れるためのテントを建てていく。

 

 レンジャーだけでは防衛力に限界がある。

 壁やバリケードを建設するためのマンパワーが必要なのだ。

 補給だけで全てを賄うことはできない。

 

 レンジャーが前線を押し上げて土地を確保する。

 確保した土地に住民を招き入れて生産力を高める。

 高めた生産力で防衛施設を建設して防御を強固にする。

 防衛力を高めたことで抽出可能になったレンジャーでさらに前線を押し上げ、新たな土地を確保する。

 

 感染者が跋扈する土地を開拓するためのサイクルがこの地でも回り始めた。

 

 一度補給路が開拓されたため、2度目以降は5日毎に補給が届くようになった。

 それに合わせて、計画的にテントを増設していく。

 

 最初はどうなることかと思ったが、どうにか開拓を軌道に乗せることには成功した。

 だが、この地の開拓は想像以上に難しい。

 残りのエリアは、一筋縄ではいかないだろう。

 まだ、始まったばかりだ。

 気を引き締めていこう。







ポロリ回でした。
ゲームでは、何度もユニットの間をすり抜けて来た感染者によってコロニーが崩壊してしまいました。
こういうマップが一番難しいまであります。
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