スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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この小説はフィクションです。
本作に登場する人物や団体、製品名、国家や企業・宗教など全てのものに関して、実在の物とは一切関係ありません。


怒りの戦士編
〜怒りの戦士編〜1


ーーーー暗い。

 

何も見えない。

すぐ目の前の物も見えない、闇。

手足も動かない。

重力も感じない。

空気の流れも無い。

浮いているのか落ちているのかも分からない空間に、俺は居た。

 

どれくらいの時間、そこに居たのだろうか。

異変が起きた。

何かが、俺の身体を撫で回している。

細長く、生温かい無数の“何か”。

幾つもの、蛇か巨大ミミズを思わせるそれは、一通り俺の身体を這い回ると……

 

身体の中に入って来た。

 

肉を食い破られるとか、そういう痛みは無い。

ただ、何の抵抗もなくズルリと体内に侵入してくる。

違和感に俺は吠えた。

動かない身体を少しでも動かそうともがく。

目も、鼻も、耳も、叫んだ口の中にもそれは入ってくる。

体積は感じないのに、自分の中が“何か”に満たされてゆく……

 

 

完全に恐慌状態に陥った俺の視界に、一人の老人の顔が浮かんだ。

 

髪も髭も真っ白な痩せぎすの老人は、慈愛に満ちた笑みを浮かべて俺に、俺の意識下に語り掛けてくる。

 

(受け入れるのです)

 

(新しい自分を受け入れるのです)

 

(私の加護ある限り、貴方に害が及ぶ事はありません)

 

その声に、その笑みに、俺の恐怖は薄らぐ。

 

 

だが…………

 

 

冗談じゃねぇ!

 

俺は自身の安堵を、老人への信頼を怒りと憎しみで塗り潰す。

 

ふざけんな!

 

ふざけんな!

 

ふざけんな!

 

気がつくと、俺は自分の舌に噛み付いていた。

鋭い痛みが、俺の意識に発破をかける。

 

奴は敵だ!

 

奴は仇だ!

 

奴は倒すべき相手だ!

 

ともすれば萎えそうになる闘志を必死に奮い起こし、俺は耐えた。

奴等をぶちのめす、これは最初で最後のチャンスだ。

なんとしても耐え抜いて、俺は奴等の喉笛に牙を突き立てるんだ!

 

俺の身体を侵食する“何か”と、俺の精神を蝕む老人の姿と声。

いつ終わるとも知れない責め苦に遭いながら、俺はひたすらに己の中の怒りと憎しみに縋り付くのだった。

 

 

 

 

 

 

俺の名前は城 晶(じょう あきら)。

ゴア教団というカルト集団の幹部だ。

 

もっとも、その身分でいるのも後わずかだが。

 

 

俺は、常人には無い能力を持って産まれた。

帯/放電能力。

俺は体内に電気を蓄えて放出したり、他人の脳パルスや筋電流を見て思考や行動をある程度読む事が出来た。

 

そんな不気味なガキを親が可愛がる筈もなく、俺は幼くして施設に捨てられた。

施設でも、当然のように俺は周囲から孤立し、手酷いイジメを受けた。

 

荒む俺を救ってくれたのは新進気鋭のジャーナリスト、三崎ユリ子だった。

彼女は施設での虐待やイジメを取材に来た際に俺と知り合い、俺の境遇に怒り、憐れみ、俺を施設から引き取ってくれた。

 

その後の数年間は、夢のようだった。

 

ユリ姉は俺を畏れるでもなく、一人の人間として対等に扱ってくれた。

天涯孤独だという自身の家族として、当たり前に愛情を注いでくれた。

そして、俺が中学を卒業する前日に……

 

 

ユリ姉は、死んだ。

 

 

心霊商法や強引な信者勧誘で問題になりつつあったカルト団体『ゴア教団』を取材に行った直後に行方不明。

 

教団の集団生活施設近くの山中で死体が見つかったのは、失踪三日後だった。

野犬の類の仕業だろうか、あちこち食い荒らされた死体は、ヤケに軽かった。

 

葬儀の翌日には、俺は教団の門を叩いた。

教団の連中がユリ姉を殺したに違いない。

俺は三崎の姓を捨て、施設に居た頃の姓を名乗って教団に入信し、ユリ姉の仇を探そうと思ったのだ。

 

俺は己を殺し、多くの他人の不幸を築き、教団内での地位を高めた。

そうして知ったのは、この教団が世界をひっくり返そうとしているヤバい組織だという事だった。

そして、幹部として頭角を表してきた俺に「改造手術」の誘いが来た。

 

千載一遇のチャンスだった。

俺は二つ返事で了承し、教団最高の軍事機密『改造人間』になる事となった。

 

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