「そ、それがお前の……怪人態か」
「“怪人”……ねぇ。手前ぇ等と同等に語ってもらいたかぁねぇな」
力を手に入れ、教団に敵対することを決めた以上、教団と同じ『改造人間』を名乗るつもりは毛頭無い。
俺は、教団を抜けた時にどう名乗るかを、随分前から決めていた。
そう、教団側にとってはクソ忌々しい“あの名前”を。
視界の隅を走る放電が、更なるインスピレーションを与える。
「俺は……『仮面ライダー』……『仮面ライダースパーク』だ!」
ヒルコウモリが突進してきた。
鉤爪を揃えて貫手を放って来る。
速い……つもりなんだろうな。
欠伸が出るぜ。
俺は頭をズラして貫手を躱すと、奴の顔面にカウンターパンチを叩き込んだ。
グシャリと鼻骨の砕ける感触。
鼻血を吹き出し、歯を撒き散らして吹き飛ぶヒルコウモリを見て、俺は確信した。
俺は……強い。
少なくともこの野郎よりは。
ヒルコウモリは這々の体で立ち上がると、唇を突き出して溶解液を放った。
俺は腕で受ける。
白煙を出す俺の腕を見て、奴は僅かな勝機を見出しただろうか?
血塗れの奴の顔が、歓喜の形に歪む。
まぁ、希望を持つのはいいこった。
それに付き合うつもりはないが。
次の瞬間、背部の触手が俺の腕の装甲を削り取った。
布状の触手は鋭利な刃物だ。
薄皮一枚を削る精度に、そして何より絶望の相を浮かべるヒルコウモリの野郎に、俺は満足した。
もうヒルコウモリに士気は無かった。
逃走を選択したのであろう奴は、先ずは空へと逃れた。
一気に高度100メートルへ。
さすがにジャンプしても余裕で躱されるだろう。
ーーーーならば。
俺は天空に向けて人差し指を掲げた。
指先から、一条の雷光が曇天に刺さる。
……喰らいやがれ。
「サンダァァァ、アロォォォォ!」
黒雲から撃ち出された雷矢は、狙い過たずヒルコウモリの羽根を撃ち抜いた。
「ば、バカなぁぁぁぁ!」
今までにも落雷を受けた事があるのだろう、驚愕にヒルコウモリが叫ぶ。
天然自然の雷なら、改造人間にゃ効かねぇだろうよ。
……だがな、手前ぇの受けたその落雷は、俺が放った一撃を含んでるんだぜ。
異界の住人が放った雷が異界の住人に効くのは、当たり前だ。
無様に錐揉み墜落するヒルコウモリの落下点で、俺は拳を溜めて待ち構えた。
電撃のエネルギーを右手に籠める。
片羽を喪った奴には、避ける技倆も余裕も無かった。
「雷打ァァ、ナックル!」
目の前に落ちるヒルコウモリの左胸に、俺は右拳を捻じ込んだ。
そして全力の雷撃。
パンチの威力+電撃のパワーを食らって吹き飛ぶ奴の胸には、焼け焦げた風穴が空いていた。