スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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〜神子の戦士編〜3

套路程度で汗をかく訳でもないのだが、厚意を無にするのも忍びないので形だけでも顔を拭って食堂に入る。

と、幼年部の少女達が集まって来た。

それぞれ昨日あった事を報告したり、何も言わずに熱っぽい視線を送るなどしてくる。

導師や闘士を目指す、候補生だ。

 

ショッカーに育成施設を襲われて以降、教会は現役の導師や闘士の下に少数の候補生を付ける方針を取っていた。

私の場合はそのシステムが確立されていなかったので、教会が懇意にしていた中国拳法の達人に預けられたのだが。

 

候補生達にとって、現役の導師や闘士は憧れの的であり、仰ぐべき師であり、人生の先輩だ。

だからリスペクトも理解できるのだけど……

私の身の回りの世話をする当番の娘が、預けたタオルに顔を埋めて陶然としているのを見ると、ちょっと不安になる。

 

まぁ私の長身ーーーー190センチを超えるーーーーから、私を男役に見立てて疑似恋愛を楽しんでいるのだろうが……

 

 

本気ではないと信じたい。

 

 

朝食と朝の鍛錬を終えると、私は黒のレザージャケットとジーパンに着替えてバイクのエンジンに火を入れた。

教会の観測班からの情報で、ここ最近頻繁に魔の反応を感じるという自然公園の調査の為だ。

 

観測班の話だと、反応は捉えられるかどうかギリギリという程に微弱だが、捉えられた数は膨大だったという。

「反応が七分に黒が三分」とか言ってたけど、ニヤニヤしながらの報告だったので冗談なのだろう。

 

公園に着くと、私は他に客が居ない事を確認してから遊歩道を外れて森の中に入った。

暫く適当に進み、頃合いを見計らって立ち止まる。

一呼吸で気を体内に巡らせて……

 

「哈っ!」

 

助走無しに跳び上がった。

その高さ、約5メートル。

頭上の細枝に手を掛けて身体を反転、その上に乗る。

私の親指程の太さの枝は、しかし折れもしなりもせずに私を支えた。

 

軽身功ーーーー気功による身体操作の出来に、私は満足した。

最近は打撃や防御の鍛錬ばかりで、身体強化系の気功の鍛錬を怠っていたことを反省する。

帰ったら修行のメニューを見直さないと。

 

現在地から元の遊歩道までは、ざっと300メートルといったところか。

私は枝の上で結跏趺坐の姿勢を取って気配を絶った。

今の私ならば、誰かが私を見ても人間とは認識しないだろう。

網膜が捉えても、脳が像を人間とは判断しない。

今の私を認識出来るのは、私と同程度の気功技術の持ち主だけだ。

そしてそれは正直な話、世界に五人と居ない。

 

こちらが発する気を断ち切る代わりに、私は周囲の気を感じるアンテナの感度を上げた。

言わば“生体レーダー”だ。

有効半径は300メートル。

誰かが私の様に遊歩道から外れれば、すぐに分かるという寸法だ。

 

さて、誰か引っかかるかな?

 

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