スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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〜神子の戦士編〜4

掛かった!

 

 

一日毎に場所を変え、いかにも怪しげな黒い背広の男を捉えたのは、あれから三日後だった。

 

自然公園に背広という格好も怪しければ、周囲を警戒しつつ遊歩道から外れるという行動も怪しい。

でも、どんなに警戒しても気配を消した私には気付きようがないのよね。

5メートルの高みから見張られているとも知らず、黒服は森の中を進んで行く。

 

黒服が立木の前で止まったのは、遊歩道からは肉眼で確認不可能な程の森の奥だった。

立木に手を付き、時計回りに二周。

すると、黒服の姿が気配と共に消え去った。

私を感知出来ない程度の相手を、私が見逃す筈がない。

ならばこれは、物理的に消失したという事だ。

 

私は地上に降りると、黒服の仕草に習って立木を二周した。

二周を終えて一歩踏み込んだ瞬間、目眩に似た違和感を感じたかと思うとーーーー

 

 

私はSFの宇宙船内を思わせる人工物の中に居た。

 

 

そこは、真っ白な廊下だった。

照明らしい物は無いが、天井全体が発光しているのか、鮮明に明るい。

念のため一歩退いてみたが、景色は白いままだった。

ちょっと軽率だったかな?

後悔しても始まらないので、探索してみる。

 

周囲の気配を探りながら進んでいると、圧縮した空気が漏れる音がした。

壁の一部が盛り上がり、スライドする。

継ぎ目らしいモノは見当たらなかったが、ドアがあったのか。

その向こうから気配がやって来るのを感知して、私はドアの陰に身を潜めた。

出て来たのは、黒服。

ただし、先刻と同じ人物かは分からない。

どっちでも構わないか。

今すぐ昏倒してもらうんだから。

 

私はドアの陰から飛び出すと、無防備な黒服の脇腹に縦拳を叩き込んだ。

常人なら確実に昏倒する威力。

だが、黒服はたたらを踏んで咳き込むだけだった。

拳に残る異質な感触が、相手がマトモな人間ではないことを物語る。

薬物か、催眠術かな?

なら、もう少し本気を出しても大丈夫そうね。

私は黒服が態勢を整える前に追撃に入った。

 

黒服の右ストレート。

咄嗟の攻撃に当たってあげるほど、私は慈善家じゃない。

身を低くした状態で黒服の懐に滑り込むと、私は立ち上がると同時に腕を振り上げ、黒服の股間を打ちあげた。

 

通天炮でカチ上げられた黒服は、天井にヒビを作って気絶した。

死んではいない……と思う。

落ちて来た黒服を抱えて、私は黒服が出て来たドアから中に入った。

 

 

ドアの向こうは二十畳程の広さの、研究室を思わせる部屋だった。

室内にはアクリルケースがうず高く積まれ、その中には……

 

 

その中に居るのは、この世のモノではなかった。

小さな、コオロギに似た昆虫。

だが、その気配は現世に有り得るものではない。

これが観測班が感知した“魔”の正体か!

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