スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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〜神子の戦士編〜5

「でも、こんな大量の異世界の虫を一体何の為に……」

「世界を混乱させる為に決まってるだろう」

 

不意に背後から声を掛けられ、背筋が凍る。

意識を集中して“生体レーダー”になっていなくとも、私の“気”は常に周囲を探っている。

それがあっさりと背後を取られるとは。

 

「どうやって入り込んだかは知らんが、見られた以上は生きては帰せんな」

 

背後の男から、殺気が溢れる。

その殺気が、私と男との距離を示した。

私の肩に男の手が伸びる。

手が触れる直前、私は倒れ込むように後ろへ跳んだ。

振り返る必要はない。

 

ズン!

 

私の震脚で、床面に亀裂が走る。

脚で作り出した衝撃力を、足腰を通して背面へ。

気をも乗せた、渾身の体当たり『鉄山靠』には必殺の威力を込めていた。

常人ならば死亡確定、さっきの黒服でも重体は免れないーーーー

 

 

ーーーー筈だった。

 

 

男は吹き飛び、部屋を抜けて廊下の壁に激突した。

頭を振って起き上がる。

 

 

……ウソでしょ……

 

 

「変身していないとはいえ、改造人間相手にこれ程やるとは、大したものだ」

 

紺色のスーツを着た、ビジネスマン然とした中年男は、鉄山靠を受けた箇所を摩りながら話し掛けて来た。

どうやら全くのノーダメージという訳でもないようだ。

男の放った単語が、私の記憶を揺さぶる。

 

「改造人間?まさか、ショッカー!」

「ほう、ショッカーを知っているか。だが、あのような過去の遺物と一緒にしてもらっては困るな」

 

言い終えると同時に、男が変貌していく。

頭髪は抜け落ち、皮膚は赤銅色に硬化する。

顎が割れて昆虫のソレを思わせる形に。

両手は巨大な鋏に、頭頂部からは辮髪のように蠍の尻尾が伸びる。

 

受肉した魔を見慣れた私にも不気味な容姿の怪物は、両手の鋏を鳴らして威嚇して来た。

 

 

サソリ男の鋏を掻い潜り、頂肘を打ち込む。

無論、気も込めて。

だが、魔をも悶絶させる一撃を受けても、怪物は小揺るぎもしなかった。

 

「無駄ですよ!」

 

カウンターや隙を警戒する必要のない連続攻撃を、私は化勁でやり過ごす。

と、サソリ男の頭部の蠍尾が動き出した。

左右の鋏と蠍の尾。

両脚を含めた体術を防ぎきるのは、至難の技だ。

私は徐々に押されていき、やがて壁が背に当たる。

廊下を退き続けた結果、私はT字路の突き当たりにまで追い込まれていた。

 

マズい!

 

サソリ男の甲殻に固まった顔が、笑みを浮かべた様な気がした。

鋏が私の腹と首を固定して壁に刺さり、毒針が顔にーーーー

 

 

その瞬間ーーーー

 

 

ーーーー目の前を紅い流星が走った。

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