スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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〜神子の戦士編〜6

「トオゥッ!」

 

裂帛の気合は、後から飛んで来た。

紅い拳はサソリ男の横っ面を強かに叩き、吹き飛ばす。

 

「レディをエスコートするには、お前さんにゃちと優雅さが足りんな。顔を洗って出直して来な」

 

何度も夢で見た顔が、倒れるサソリ男に辛辣な挑発を放った。

 

真紅の拳。

濃緑のライダースーツ。

白いベルト。

赤いマフラー。

そしてーーーーバッタの仮面。

 

間違いない。

絶体絶命のピンチを救ってくれたのは、仮面ライダー2号だった。

 

「お嬢さん、走れるか?俺が今来た道を真っ直ぐ行け。そうすれば出れる筈だ」

 

そう言うと、2号ライダーは立ち上がるサソリ男に飛び掛かった。

 

「時代遅れの出来損ないが!我等に立ち向かう愚かさを知るがいい」

「ヘッ、その“時代遅れの出来損ない”にボコボコにされても、泣くんじゃねぇぞ!」

 

2号ライダーとサソリ男の戦いは、膠着した。

サソリ男の攻撃は悉く躱され、2号ライダーの攻撃は甲殻に阻まれる。

互いに有効打もなく……いや、これは……

 

2号ライダーの攻撃に意図を感じた、その時だった。

廊下の壁の一部がうねり、数本の触手に変化した。

サソリ男との戦いに夢中な2号ライダーは、その異変に気付かない。

触手は暫く周囲を探るかの様に蠢くと、先端を尖らせて2号ライダーを狙う……

 

 

声を掛ける前に、体が動いていた。

 

 

伸びる触手と2号ライダーとの間に、その身を滑り込ませる。

ドリル状になった触手の先端が私の体に到達する瞬間は、全てがスローモーションに見えた。

触手が体に触れる、その刹那ーーーー

 

 

ーーーー何もかもが、停まった。

 

 

 

 

キィィィィィィ……ン

 

 

耳鳴りに似た金属音。

その時私は、今まさに触手に貫かれようとしていた私を見下ろしていた。

そのまま、意識が急激に後方へと引っ張られる。

日本が、地球が、太陽系が、銀河系が、眼下に広がり、消えてゆく。

際限なく加速する意識は、やがて真っ白な空間で止まった。

上下も左右も無い、光のみの空間で、私は一人の男性と相対していた。

 

 

恐らくは、世界で最も有名な男性と。

 

 

「シスターアリス、貴女を迎えに来ました」

「迎えだなんて、そんな……」

「貴女の勇気、清廉さ、慈悲心、どれも此方に来るに相応しいものです。さぁ、手を……」

 

差し出された手を、しかし私は素直に取る訳にはいかなかった。

 

「彼は……仮面ライダーは、この後どうなるでしょうか」

「彼は……間も無く死に至るでしょう」

「!?」

「彼は修羅の世界に足を踏み入れ、そこから逃れる意思を捨てています。死した後、此方に来ることは難しいでしょう」

「彼を救う手立ては無いのですか?」

 

“彼”は私の眼を覗き込んだ。

私の意思を確かめるかの様に。

その顔に、悲しげな苦笑が浮かぶ。

 

「彼に関わる事で、貴女の魂もまた修羅に惹かれるかも知れません。そうなったら……」

「私は、彼に命を救われました。その恩も返さずに自分ばかりが良い目を見るのは、フェアじゃないでしょ?」

 

私は決然と答えた。

これが私の中の“神”であり、私の“正義”なのだ。

 

「分かりました。では、貴女には力を授けましょう。あの歪んだ獣達に立ち向かえるだけの力を」

 

そう言うと、“彼”は私が胸に提げたロザリオに手を触れた。

 

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