“彼”がロザリオに触れた瞬間、私の意識は肉体に戻っていた。
目の前でうねる触手。
その突端は、ロザリオに受け止められていた。
「お嬢さん!今のは正直助かったが、コイツ等はヤバい相手だ。早く逃げろ!」
私に庇われた事に気付いた2号ライダーが叫ぶ。
しかし、私は判っていた。
今の私には、奴等に対抗出来る力がある。
「そういう訳にはいきません。私は貴方に命を救ってもらった御礼をしなくてはなりませんから」
「命を?そのロザリオは、聖堂教会……!お嬢さん、まさか15年前の⁉︎」
答えず、私はロザリオを取り出して眼前に掲げる。
どうすれば良いのかは、現世に戻った時に“理解して”いた。
「父と子とーーーー」
掲げたロザリオを下げると、その軌道に光の帯が残った。
「聖霊の名においてーーーー」
ロザリオを左から右へと振ると、目の前に“光の十字架”が象られる。
「変身!」
ロザリオが光の粒子となって消えると、目の前の“光の十字架”が私の体を覆う程に巨大化する。
両腕を左右に広げた私は、それを前方に翳した。
光を通過した腕には、白く輝くガントレットが備わっていた。
変化した両腕で“光の十字架”を抱き締める。
光が私の体を通過すると、私の全身を白銀が鎧う。
私の背後で“光の十字架”は“光の翼”に姿を変え、私を包む。
再び両腕を開くと“光の翼”は舞い散り、変身は完了した。
「お嬢ちゃん、その格好は……」
呆気にとられる、怪人とライダー。
私の方はというと、全身を駆け巡る歓喜に身を震わせていた。
この“彼”が与えてくれた力があれば、私でもライダー達の手助けが出来る!
「私は邪悪を祓う神の使者『仮面ライダーセラフ』!主の威光を恐れぬ魔の者よ、光の裁きを受けなさい」
私は2号ライダーを背後から襲った触手の発生源である壁を指差し、見栄を切った。
その声に押される様に壁面が盛り上がり、人型の蔦の塊に変化する。
もう一人の怪人ーーーー蔦男とでも呼ぶべきかーーーーは、壁に擬態していたのだ。
私と2号ライダーは互いに背中を預け、蔦男とサソリ男に対峙する形になった。
精神的衝撃から立ち直った2号ライダーが、背中越しに話しかけてくる。
「あの時のお嬢ちゃんが、こんなに立派になるとはな。今日はアイツが不在だが、ここは一丁『変則ダブルライダー』と行きますか!」
2号が顔横に掲げた右拳の甲を、私の左甲をが叩く。
その瞬間、ダブルライダーはそれぞれの相手に向かって、弾かれる様に飛び掛かった。