異世界の虫が保管されたプラントは、私とライダーとで全て破壊した。
どの様な企みだったかは知らないが、とりあえず挫く事が出来て良かった。
2号ライダーが潜入したルートを辿り、施設の外に出る。
と、そこには純白のスーツに身を包んだ、赤毛の青年が待ち構えていた。
その尋常ならざる気配に、私の全身が総毛立った。
この男、只者じゃない!
身構える私達を尻目に、青年は自然体を崩さない。
それだけ余裕がある、という事か。
「初めまして、仮面ライダー……と、その他一名くん。私の名はアポロカイザー。君達には特別に『カイザー』と略する事を許そう」
そう言うと、赤毛の青年アポロカイザーは優雅に一礼した。
礼にも一分の隙も無い。
流派は分からないが、達人であることは確かだ。
「余所者が無傷で出て来るところを見ると、どうやら施設は制圧された様だな」
「残念だったな。お前等の企みは、この仮面ライダー2号と仮面ライダーセラフが潰してやったぜ」
「ほう、そちらの白いのも仮面ライダーだったか。仮面ライダーセラフ……なるほど、覚えておこう」
覚えておく?
アポロカイザーの物言いには、引っかかる所があった。
「私達を、見逃すつもり?」
「私は、この計画の立案者でも責任者でもないのでね。仮面ライダーによる襲撃の噂を聞きつけて、件の戦士を見物に来ただけだ」
「せっかく来たんだ。見物だけじゃなく、実力も見て行ったらどうだ?」
2号の挑発に、空気が氷結する。
「ほう……」
アポロカイザーが目を細めた。
一瞬にして湧き上がった殺気が、私達を大地に縫い付ける。
マズい、このままでは……
だが、急激に膨れ上がった殺気は、消失するのも一瞬だった。
「やめておこう。疲れきった旧式のロートルと生まれたてのヒヨッコが相手では、私が楽しめん」
笑みさえ浮かべた返答に、私達は声もない。
見抜かれている。
2号の疲労も、私の未熟も。
「次に会う時までに、その牙に磨きをかけておきたまえ。少なくとも、私に狩り甲斐を感じさせる程度には、ね」
アポロカイザーは踵を返して数歩歩くと、周囲に溶け込む様に姿を消した。
姿だけでなく、気配ごと消失したのを確認して、私はへたり込んだ。
命拾いをした、としか言いようが無い。
徒手空拳“のみ”の勝負であれば、後れを取るつもりは無い。
しかし、異能の力を駆使しての戦いとなると話は別だ。
力の使い方を“識っている”だけの今の私では、彼に挑んでも万が一の勝ち目も無かっただろう。
私の横で、2号が一息つく。
極限状態であの挑発を行える胆力は、果たして見習うべきか否か……
ともかく、一件落着だった。