スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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〜邪神の戦士編〜2

目が覚めると、眼前には満天の星空が広がっていた。

 

上体を起こす。

どうやら、公園のベンチで寝ていたようだ。

見回すと、あの美女に会った近所の公園と判った。

 

僕は先ず、服をはだけて胸を確認した。

あの悪夢の様な施術の跡は無い。

……夢……だったのだろうか?

時計を見る。

午後10時⁉︎

こんな遅くまで帰らなかったとなると、親からのカミナリは覚悟しなければ。

僕は大慌てで家へと走った。

 

 

ギリギリ都内の一軒家、父さんが悩みに悩んで買った我が家に、息を切らせて帰ると、廊下の奥のリビングから声が聞こえた。

仕切り戸のガラスに、ソファに座ってテレビを見る父さんの後ろ姿が見える。

ただいまの声に反応しなかったところを見ると、かなりご立腹の様子だ。

僕はリビングに入ると、もう一度声を掛けた。

 

「ただいま」

 

返事は無い。

微動だにしない。

 

あれ?

 

何かがおかしい。

 

「父さん?」

 

呼び掛けるも、反応無し。

 

「父さん!」

 

肩を揺すろうと掴んだ、その瞬間。

父さんは頷いた。

 

ーーーーいや、“頷いた”様に見えた。

 

父さんの頭は傾き、胸の前を通過し、膝の間を通り……

 

 

床に落ちた。

 

 

 

「う、うわあああぁぁぁぁぁぁ!」

 

首から溢れた血が僕の手を染める。

その生温かさに、僕は絶叫していた。

 

腰を抜かしてリビングから這い出ると、嘔吐感が込み上げて来た。

床に血の手形を押しながら、四つん這いでトイレを目指す。

トイレに辿り着いて、便器の蓋を開けると……

 

 

そこには、母さんの生首が嵌っていた。

 

 

血涙を流して目を剥く母さんの顔は、死の恐怖と苦痛を体現していた。

 

「ひいぃぃぃぃ!」

 

視線が合ったような気がして、咄嗟に便座の蓋を閉め、尻餅をついたままトイレから退き出る。

更なるショックで刺激されたからか、既に吐き気は去っていた。

 

なんでこんな事になったのか。

110番に連絡とか、とにかく脱出とか、理性的な思考はとっくの昔に吹き飛んで、僕は二階を目指した。

二階には妹の茉莉(まつり)が居る筈だ。

立ち上がれないままに階段を這い登りながら、僕は理由もなく「二階は一階とは隔絶されていて無事」と思い込んでいた。

 

 

甘かった。

 

 

茉莉の部屋の扉を開けて、真っ先に飛び込んで来たのは、赤だった。

部屋全体を染める赤。

鉄の臭気は、一歩遅れて届いた。

部屋中に撒き散らされた、血、血、血。

 

その中で、妹は生きていた。

 

全身を、五臓六腑を腑分けにされて。

 

最早悲鳴も絶叫も出なかった。

部屋を人体に見立てて、整然と並べられた臓器。

どう見ても生存は不可能な状況で、どの様な魔技によるものか、妹の心臓は確かに脈を打っていた。

扉の正面、勉強机に置かれた妹の首が、パクパクと口を開く。

声帯が無いので声を紡ぐことは出来ない。

出来ないが、妹の口は

 

「お兄ちゃん、殺して」

 

と動いていた。

 

怒りなのか、悲しみなのか、恐怖なのか。

感情のうねりが僕の身体を満たし……

 

 

ドクン!

 

 

途轍もなく大きな脈動を聞いた瞬間、僕の意識は再び闇に呑まれた。

 

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