スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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〜邪神の戦士編〜7

「待て!」

 

呼び止める声は、僕の背後から聞こえた。

言うまでもない、本郷さんだ。

 

「その子に干渉してはいけない!」

 

……え?

本郷さんの警戒心はシザース達ではなく、僕に向けられている?

だが、興奮状態のシザース達は本郷さんの警告の意味を理解しなかった。

 

「我等が神の聖遺物を盗み取った小僧!返さねぇなら、切り刻んで探してやるぜ!」

 

神の聖遺物?

そんな物、盗んだ覚えは……

言いかけて、心当たりに気付いた。

 

 

僕の左胸……

 

 

思考がそちらに向いた、正にその瞬間だった。

 

ドクン!

 

身体が揺れる程の鼓動。

同時に、僕の頭の中に“僕ではない何か”の思考が浮かんだ。

 

(ソウ簡単ニ諦メラレテハ困ル)

(……何だよ、これ……)

(我ハ貴様ノ心臓、ソノ元ノ持チ主ヨ)

(心臓……)

 

ドクン!ドクン!

 

目の焦点も合わず、周囲に響くほどの鼓動と共に揺れる僕に圧倒され、シザース達も本郷さんも声も無く見守るのみだ。

 

(……何が望みだ?)

(貴様ニハ生キテモラウ、勝手ニ死ヌ事ハ認メヌ)

(僕の生き死にだ、僕が決める!)

(イイノカ?貴様ノ目ノ前ニ居ルノハ、貴様ノ家族ヲ皆殺シニシタ仇ダゾ)

(⁉︎……そうか、やっぱり皆は僕のせいで死んだのか……なら)

(チィッ!貴様、復讐心モ無イノカ!コノ軟弱者メ!)

 

ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!

 

鼓動が速まる。

全身に、血液ではない“何か”が巡る。

……なんとなく解る。

これは、“闇”だ。

あのおぞましい術式の時に見た、醜悪な塊が吹き出していた、闇。

 

(ナラバ、コレデドウダ?貴様ガ戦ッテ彼奴等ヲ退ケネバ、後ロノ男ガ死ヌゾ)

 

僕の思考が一瞬、止まる。

本郷さん……仮面ライダー。

あの人を殺させては、いけない。

 

ドッドッドッドッドッ!

 

更に鼓動は加速する。

体内を巡る“闇”は毛細血管までも浸透し、血液は闇に置き換わる。

 

(彼等に従う条件に、本郷さんの身の安全を求めれば……)

(彼奴等ガ約束ヲ守ルト思ウカ?)

(……僕が戦う気になれば、この事態を切り抜けられるんだな?)

(ソノ為ノ能力ハ、我ガ与エテヤル)

(……いいだろう、やってやる!)

(ナラバ……『旧キ盟約ニ則リ、汝“神楽衛児”ニ我ガ神能ノ片鱗ヲ与エル!我ガ名ハ【ゴア】、全テヲ破壊シ滅スルモノ也!』)

 

ドドドドドドドドド!

 

もはや“痙攣”というより“振動”というべき状態になった僕に、本郷さんが叫ぶ。

 

「駄目だ!衛児くん!闇に呑まれてはいけない!」

 

その言葉に応える様に、僕の振動は鼓動と共に止まった。

僕は目を閉じる。

家族の死に様が、本郷さんや一文字さんと過ごした時間が、脳裏をよぎる。

 

「大丈夫ですよ、本郷さん。今、話はつきましたから」

 

腰回りから滲み出た“闇”が凝固して、ベルトを形成した。

バックルの中央に一つ、四隅に一つずつ『閉じた瞼』を意匠した、闇色のベルト。

 

大丈夫……ではないのかも知れない。

“闇”は恐らくもう既に、脳にさえ達しているだろう。

思考さえ闇に呑まれている可能性は、ある。

 

だとしても。

 

僕は、僕の意思で周りの人を、世の希望を守れるのなら、もう躊躇いはしない。

 

「変…………身!」

 

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