スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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〜科学の戦士編〜4

地下でも、惨状は変わらなかった。

破壊された機材、破壊された(アンドロイドの)人体……

 

唯一違うのは、現在進行形で破壊活動を行っている犯人が居る。という事だった。

 

…………犯人、だよな?

 

アンドロイドの首に手を掛けて片手で持ち上げているのは、黒いスーツの上下に身を固め、サングラスをした妙齢の女性だった。

サングラスの下は美人なんだろうなぁと連想させる造形の顔は、ウェーブのかかったブルネットに覆われている。

身長160センチ、体重は55キロというところか。

華奢な女が片手で自重100キロ近いアンドロイドを持ち上げているのは、むしろ滑稽といえた。

 

女がアンドロイドの頚骨をへし折りながら、此方を向いた。

 

「深海博士の孫……か。運が悪かったな」

 

ちょっとハスキーな、落ち着いた声。

こんな形で知り合わなけりゃ、確実に口説きに行ってたんだがなぁ。

惜しい事をした。

 

などと考える暇もあればこそ。

女はアンドロイドを投げ捨てると、此方に飛び掛かって来た。

早い!

10メートル近い距離を一足飛びで詰め、女はオレの懐に入り込んだ。

腹に、衝撃。

研究所のドアを捻じ曲げ、アンドロイドを八つ裂きにしたパワーでの正拳は、鍛え上げたプロレスラーや相撲取りですら一発で殺害し得るだろう。

必殺の一撃をモロに受け、オレは…………

 

 

 

「危ねぇなぁ。マトモな人間なら死んでたぜ」

 

 

 

平然と女に声をかけた。

 

 

呆然と此方を見る女。

感情の起伏があるってことは、造り物の類いじゃなく薬物強化か。

問答無用で襲って来るような乱暴者が驚愕に染まる様を見るのは、思いのほか気持ち良いな。

 

 

16の頃の交通事故。

オレはあの時、半ば死んでいた……らしい。

四肢は砕け、内臓は大半がミンチ。

奇跡的に頭部だけが無事だったとは、当時の担当医の話だ。

かろうじて原型を留める心臓が脈動を弱めるのを、医師達は眺める事しか出来なかった。

オレが未だに生きているのは、その病院に医療用サイバネ機器を寄附しに来ていた爺さんが居たからだった。

 

軍用に耐えるどころか超える程の爺さんのサイバネティクス技術。

狂気の天才の超科学の粋を尽くして、喪われたオレの身体は“再建”された。

今現在、生身なのは脳味噌だけだ。

 

「んじゃ、今度はこっちの番ね♪」

 

生まれ変わって以来、初めての全力全開。

オレのボディアッパーは、受けた女の腕を砕いて吹き飛ばし、壁に叩きつけた。

 

女は不利を悟ると壁を蹴って跳び、地下に降りて来ているエレベーターへと逃げ込んだ。

体当たりで天井を抜くと、シャフトの壁を蹴って登って行く。

なかなか頑丈だな。

これくらいなら死にはしないだろうとは思ったが、ああも元気に飛び跳ねるとは想定外だ。

詳しい話をしてくれるなら、お茶の一つも出そうと思ったのに、残念。

 

女の尻を追うのも悪くないが、とりあえず爺さんの無事を確認しておかないと寝覚めが悪い。

オレはまだ荒らされていない地下研究スペースの奥、爺さんの居住区域を目指した。

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