スーパー特撮ヒーロー大戦   作:ウェステール

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〜邪神の戦士編〜8

ベルト中央の目が開かれた。

同時に、僕の全身から“闇”が溢れ出す。

目から、鼻から、口から、耳から、毛穴という毛穴から。

闇は僕の身体にまとわりつき、固着し、鎧を形作る。

 

噴出する闇の気配は、シザースを総毛立たせ、取り巻き達を蟹男・蟷螂男・蜥蜴男といった怪人態に変化させた。

本郷さんは毒で弱っているところに闇の雰囲気に当てられ、身動きもままならない。

 

一方僕はというと、爽快感というか、高揚感に包まれていた。

アッパー系の薬物によるトリップというのは、こういう感覚に近いのだろうか?

「今の自分なら何でも出来る」という根拠のない自信が、僕の中の僅かな好戦性を無限に拡大していた。

 

シザース達に向かって、跳躍。

軽い!そして速い!

自分の身体がイメージを超えたスペックを叩き出している事実が、僕を更に興奮させる。

僕は一跳びで彼等の頭上を飛び越え、後方彼方で着地した。

彼等には、黒い風が走ったようにしか見えなかったろう。

 

闇は完全に固着した。

漆黒の鎧に重さは感じない。

腕も、脚も、体全体が一回り大きくなっていた。

彼等に対して背を向けている僕に、しかし彼等は仕掛けるタイミングを見出せない。

それほど、今の僕は先刻までと比べ、異形で、邪悪で、強大だった。

 

 

僕は右手を開いて天に掲げる。

 

「僕は……邪神の力を持つ男」

 

掲げた右手を握り降ろし、振り返る。

 

「仮面ライダー、ダーク!」

 

{IMG6850}

 

「なぁにが『仮面ライダー!』だぁ!」

 

シザースの怒号は、自身の恐怖を振り払う為のものだったのかも知れない。

それは、本人よりむしろ取り巻き達に作用した。

尚も動かないシザースをよそに、蟹男・蟷螂男・蟷螂男が踊り掛かる。

 

僕は蟹男に狙いを定めた。

三人の中で一番強そうだったからだ。

真正面から突っ込み、両手の鋏を押さえる。

 

やっぱりだ。

 

僕の力は、僕より上背も腕の太さもある蟹男に負けていなかった。

それどころか、身体を震わせて全力で押し込んでくる蟹男のパワーを、苦もなく止めていた。

 

今の僕は、彼等より強い。

 

安心すると、今までの高揚が嘘のように去った。

好戦性が厭戦感にすり替わり、戦わずに済む方法を模索し始める。

彼我の戦力差を見れば、彼等を追い払う事も出来るかも知れない。

 

「大人しく帰ってくれ。そうすれば危害は加えない」

 

勧告は反抗で返された。

蜥蜴男が尻尾で僕の両脚を絡め取り、自切する。

尻尾は脚を締め付けたまま融解して硬直し、僕の動きを制した。

 

振り払うのは簡単な筈だった。

邪魔さえ入らなければ。

 

蟹男は蜥蜴男に呼応して、口から泡を僕の顔面に吹き掛けた。

視界が塞がれ、混乱した僕の背中を、蟷螂男の鎌が切り裂く。

 

「ぐああぁぁぁぁっ!」

 

激痛に、思わず叫んでいた。

あまりの痛みに、目が霞む。

 

(愚カ者メ!調子ニ乗ルカラダ)

 

邪神の叱責が耳に痛い。

僕はフルパワーで蟹男を投げ飛ばすと、脚に力を込めて蜥蜴男の拘束を引き千切った。

 

三人の怪人は決して僕の正面には陣取らず、左右と真後ろの位置を確保していた。

仕掛ける時も、退く時も同時。

見事なチームワークだった。

 

(純粋ナぱわーデ勝テネバ、戦術デ勝ツ……カ。シカシ、コノ程度ノ相手ニ翻弄サレルトハ、情ケナイ宿主ダナ)

(うるさい!)

 

情けないのは重々承知だ。

でも戦う方法なんて、今までの人生では碌に学んでこなかったんだ。

「逃げる」「耐える」しか選択肢を持ってなかった人間が、格闘技を習い始めて二ヶ月やそこらで強くなんてなれるもんか。

 

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