広 side ①
プロデューサー室を、後にした私は、自分の教室へ向かって歩いていた。
プロデューサーに言われたように、私の歩き方はアイドルの歩き方じゃないのもあって、脚の付け根と足の裏が、ピリピリ痛い。
でも、心は嬉しい気持ちでいっぱい、だった。
「ふふふ。みっしょんこんぷりーと」
プロデューサーを『ご褒美』と称して、デートに誘う。
目標が達成出来た、私はとても満足していた。
「……とりあえず、この事は佑芽と千奈に話してこよう」
二人には教室で待っていて、と伝えてある。
私に出来た初めての友だち。
デートのこととか話して、アドバイスを貰おう。
そんなことを考えながら歩いていると、何とか目的地の教室まで辿り着けた。
「篠澤さん!!どうでしたか!?上手く行きましたか??」
教室に入ると、千奈が私に首尾を聞いてきた。
プロデューサーをデートに誘うのは、二人にはもう話してる。
隣に居る佑芽も、興味津々な表情をしてた。
私は二人にピースサインをしながら、結果を報告する。
「ふふふ。大丈夫だった、よ」
「良かったですわー!!」
「やったね、広ちゃん!!」
「でも、デートをするのは初めてだから、二人の協力が欲しい」
「もちろんですわ!!倉本家の総力を上げてお手伝いしますわ!!」
「私もいっぱいマッサージするよ!!」
「ふふふ。ありがとう、二人とも」
そして、私はプロデューサーとデートをする当日の朝。千奈の家に佑芽と二人でやって来た。
まずは佑芽に身体のマッサージを、してもらう。
その間に千奈が、私のお化粧をするための準備を、進めて行く予定。
佑芽のマッサージは強烈だけど、効果は抜群。
「……うぅ……っ!!!!いたたたたた!!!!」
「ひ、広ちゃん、……だ、大丈夫……??」
「ふふふ。大丈夫……どんとこい……」
「よ、よーし!!じゃあやるよ!!」
「ああああああああぁぁぁ!!!!!!」
佑芽ににしてもらった、身体のマッサージは、とても良く効いた……
身体がすごく軽くなった。
「ありがとう……佑芽……」
「えへへぇ。どういたしまして!!」
そして、私は千奈が待つ彼女の部屋へと、足を運んだ。
そこには化粧道具を一式揃えた千奈が、待っていた。
「だ、大丈夫でしたか……篠澤さん。ここまでお声が聞こえてましたわ……」
「ふふふ。大丈夫。お陰ですごく身体が軽い」
「そ、それなら良かったですわ……」
そう言ったあと、千奈はペチンと自分の頬を叩いて、気合いを入れた。
「それでは篠澤さん!!私が全力でお化粧をいたしますわ!!」
「うん。よろしくお願いします」
こうして、私は生まれて初めてのお化粧を、千奈にしてもらうことになった。
「篠澤さんはお肌がすごく綺麗ですので、薄くしかやりません。それでも十分お綺麗だと思いますわ」
「ふふふ。ありがとう」
「私からしたら羨ましい限りですわぁ……」
「千奈も、すごく可愛いよ」
「あ、ありがとうございます……ですわ」
そして、三十分ほどかけてお化粧が終わった。
「わぁ!!広ちゃんはいつも綺麗だけど、すごく綺麗になったね!!」
「これならプロデューサーさんもイチコロですわ!!」
「ふふふ。ありがとう、千奈」
私は鏡に映った自分を見て、千奈にしてもらったお化粧が、今度からは自分だけでも出来るようになろう。と思っていた。
ふふふ。プロデューサーには、ちょっとでも可愛い私を、見てもらいたいから。
「今日はプロデューサーさんとゲームセンターに行くんだよね?」
「うん。一度も行ったことがないから、興味があった」
「私も行ったことがありませんわ。花海さんは行ったことがおありですか?」
「うん!!お姉ちゃんと一緒に行ったよ!!色んなゲームで勝負したんだよね!!」
「プロデューサーの話だと、とてもうるさい場所らしい」
「うーん。お姉ちゃんといる時はそんなに気にならなかったけど、確かにちょっとうるさかったかもね」
「なるほど……今度放課後に皆さんで行ってみませんか?」
「うん!!それがいいね!!」
「ふふふ。それじゃあ千奈に色々教えられるように、今日はいっぱい楽しんでくる」
こうして私は、千奈の家でデートの身支度を整えてもらって、目的地の駅前まで千奈の使ってる車で、送り届けてもらった。
「待ち合わせ場所はここですわね」
「うん。ありがとう、千奈に佑芽」
「えへへ。友達だもん。当然だよ!!」
「私もですわ!!それじゃあ篠澤さん。頑張ってくだ!!」
「うん。それじゃあ、行ってくる」
千奈の家の車から降りて、少し歩いていると、プロデューサーと思える後ろ姿が見えた。
いつものスーツも、似合っててかっこいいけど、今日は私服で来てる。
まぁ、当然と言えば当然かな。
Gパンにジャケット。髪の毛もキチンと整えてる。
後ろ姿だけしか見えないけど、プロデューサーも私とのデートを楽しみにしてたって、わかった。
「ふふふ。よかった。私だけじゃなかった」
さて、それじゃあプロデューサーに声をかけよう。
これから、楽しいデートの始まりだね。