篠澤広のプロデュースは、ままならない   作:味のないお茶

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第十五話

 第十五話

 

 

 

 試しにやってみた競馬ゲームで、篠澤さんが5000枚以上のメダルを手にしてしまった。

 何を言ってるかわからないかも知れないけど、現実だった。

 明らかに、今日一日で使い切れるものではなかった。

 

「ねぇ、プロデューサー。これ、どうしたらいいの?」

 

 篠澤さんはそう言って、足元にある5000枚以上のメダルを指差した。

 

「これを持って遊ぶのは流石に難しいです。カウンターに行ってある程度の枚数だけ残して預けてきます」

「わかった。預り者はプロデューサーで、いいよ」

「良いんですか?当てたのは篠澤さんですよ」

「いいよ。どうせ一人では来ないし。来るとしたら、プロデューサーとでしょ?」

「花海さんや倉本さんと来ることもあるかと?」

「その時には『ボディーガード』が必要だよね?」

「……ですね」

 

 納得した俺は、メダルを1000枚分だけ残して、あとのメダルはカウンターに預けて来た。

 

「お待たせしました。それでは続きと行きましょう」

「うん。今度はアレをやるんだよね?」

 

 俺と篠澤さんが向かったのは、大人気ゲームのタイアップ機で、倒したモンスターに応じて上からメダルが降ってくるタイプのメダル落としだった。

 

「そうです。これなら期待値にもそこまで差は無いですし、運が非常に大きいですね」

「それと、あの椅子に座って、やるんだよね?」

「そうですね。長椅子に座ってやります。背もたれが無いので気を付けてください」

「ふふふ。それじゃあ、プロデューサーに寄りかかってる、ね」

「……それが一番安全ですね」

 

 俺の心臓には悪いけど……

 

 そんなことを考えながら、俺と篠澤さんは空いているところに座って、ゲームを始めた。

 

 まずは手持ちのメダルの半分くらいをメダル受けのところにばらまいた。

 

「何してるの?」

「こうするとメダルを取りやすいですからね。二人でやるなら、これが最適解です」

 

 俺がそう言うと、篠澤さんは何故か少しだけジトっとした目でこちらを見てきた。

 

「詳しいね、プロデューサー。誰かと来たの?女の人?」

「…………残念ながら男友達と。ですよ。デートなんて、生まれてこのかた、経験がありません」

「ふふふ。そうなんだ。じゃあ私が『プロデューサーの始めての女の子』だね」

「……まぁ、そうですね」

 

 嬉しそうにそう言う篠澤さんに、俺は少しだけ話題を変えるように言葉を続けた。

 

「ゲームのコツとして、タイミングを見計らって、あの辺りにメダルを落としてください」

 

 俺は篠澤さんに手本を見せるように大体10枚くらいのメダルを投入していく。

 するとメダルが押し出されて、5枚くらいのメダルがこちらに戻ってきた。

 

「……だいたい、入れた枚数の半分くらいが、戻って来るんだね」

「そうですね。ただこれだとジリ貧です。ですので、あの球を落としたり、ルーレットを回してモンスターを倒して、ボーナスメダルを獲得していきます。するとメダルが増えるチャンスが出てきますね」

 

 俺はそう言って、メダルの上に落ちてる赤い球やメダルが落ちるところにある、ルーレットを回す穴を指差した。

 

「なるほど……確かにこれなら『運勝負』だね」

「それでは早速やっていきましょう。コツはメダルをケチらないことです。バシバシ入れていきましょう」

「ふふふ。了解。メダルならいっぱい、あるからね」

 

 こうして俺と篠澤さんは手元のメダルをバシバシ投入していく。

 たくさんあったメダルが面白いように減って行ったが、隣を見ると楽しそうにメダルを入れている篠澤さんが居た。

 

「ふふふ。プロデューサー。これ、楽しいね」

「楽しんでいただけてるようで、良かったです」

「こうしてプロデューサーと一緒に、くっついていられるのも、高評価。一緒に頑張ってる気持ちになれる」

「…………まぁ、俺も悪い気はしないですね」

「………………え?何か言った?」

 

 俺が小さく言った言葉は、ノイズキャンセリングをしてる篠澤さんて聞き取れなかったようで。

 まぁ、聞かせるつもりは無かったけど。

 

「いえ、何も言ってないですよ。ほら、篠澤さん。あの球が落とせそうです。あの辺りに集中的にメダルを落としましょう」

「…………はぐらかしたね、プロデューサー。でも、まぁいいか。今は聞き返さないでおいてあげる」

 

 こうして俺と篠澤さんは、残った時間をめいっぱい使って、メダルゲームを楽しんだ。

 何回かモンスターを倒したり、ルーレットを回してあわやジャックポットか?みたいなこともあったが、無事に手元にあったメダルは全部使い切ることが出来た。

 

 まぁ大量のメダルを貯めているからな。

 これ以上増えても使い切れないし、困ってしまう。

 

 今度篠澤さんと来た時や、彼女のお友達の花海さんや倉本さんらと来た時に使えばいいかな。

 アイドル候補をそのまま遊びに行かせるのは危険すぎる。

 今日のようなことがあったらと思うと、心配過ぎる。

 決して目を離すことなく、しっかりとボディーガードを果たそう。

 

 そう結論付けて、俺は篠澤さんと共にアミューズメントパークを後にした。

 

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