篠澤広のプロデュースは、ままならない   作:味のないお茶

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第十六話

 第十六話

 

 

 篠澤さんとのデートを終え、彼女を学園の寮まで送り届けた俺は、そのまま自宅へと帰って行った。

 そして俺は、ジャケットも脱がずに自室のベッドに身を投げた。

 

「疲れた……」

 

 楽しかったのもあるが、やはりめちゃくちゃ疲れた……

 篠澤さんを危険な目に合わせてしまったのは、反省点だが、無事に帰宅させられることが出来たことは、及第点だろう。

 

『また、デートしようね、プロデューサー』

 

 なんて言葉を残して帰って行った篠澤さん。

 とても良い笑顔で言っていたから、このデートは成功だったのだろう。

 まぁ、彼女は彼女でこの後は花海さんと倉本さんに質問責めにあってるだろう。

 変なことは言わないと……いや、無理だな。

 明日、あさり先生に呼び出しを食らわないことを祈るか……

 

 そうしていると、俺のスマホがメッセージを受信した。と告げてきた。

 

『よう。担当アイドルとのデートは楽しんできたのかよ?』

 

 送信者と内容を確認すると、友人からのメッセージだった。

 今日。篠澤さんと出掛けることはコイツにだけは話してはあった。

 変に隠し事をして、探られるのも嫌だったからだ。

 

 

『楽しかった。と言うよりは、疲れたの方が大きいな』

『そうか。まぁ無事に担当を帰宅させられたんだろ?良かったじゃねぇか』

『まぁ、多少のいざこざはあったけど、何とかなったよ』

『ふーん?そうか。まぁ詳しくは聞かないでやるよ』

『それで?こんな内容の話をするためにメッセージしたんじゃないんだろ?』

 

 俺が友人に核心を話すように伝えると、彼奴は本題を話し始めた。

 

『俺の担当アイドルがファーストライブをやることになった。それをお前にも見せてやろうと思ってな』

『ソロになってから初めての、月村手毬のファーストライブか。プラチナチケットじゃねぇか』

『そうだよ。何とか月村さんも課題を克服出来た。信頼も構築出来たと思ってる。満を持してのファーストライブだ』

『……でも不安なんだろ?』

 

 俺がそう送ると、少ししてから返事があった。

 

『そうだよ。すげぇ緊張してる。俺がライブをするわけじゃねぇのにな』

『アイドルとプロデューサーは二人三脚だ。その緊張は仕方ねぇよ』

『なぁ……俺は適切なプロデュースが出来てたと思うか?』

 

 そのメッセージを見た瞬間、俺は笑っちまった。

 なんだよ、マジで緊張してんな、コイツ。

 だから笑ってやることにした。

 

『ははは!!ばかだな。それを決めるのは俺やお前じゃない。月村さんだろ?』

『そう……だな』

『それに、担当アイドルにセクシー写真を撮られて、あさり先生に呼び出されるようなプロデュースをしてきたんだろ?』

『……やめてくれ。あれはマジで黒歴史なんだ』

『まぁ、明日のファーストライブを楽しみにしてるよ。リハーサルから呼んでくれるんだろ?』

『もちろんだ……悪い。担当アイドルから電話だ』

『了解。上手く担当アイドルの緊張をほぐしてやれよ』

 

 俺は友人にそうメッセージを送って、やり取りを終えた。

 

「さてと、それじゃあ風呂にしっかり入って疲れを取ろう。明日は月村手毬のファーストライブか。色々と勉強させてもらうとするか」

 

 こうして俺は、今日一日の疲れをしっかりととって、簡単な夕飯を手作りしてから食事を取った。

 今日の夕飯は豚肉ともやしをキムチの素で簡単に炒めた物にした。

 簡単に出来て、ご飯が無限に食えるやつだ。

 

 そして、昨日の篠澤さんのレッスン状況をまとめてから、篠澤さんのご両親に送信した。

 特にメッセージが来てないことから、まだ花海さんや倉本さんと、楽しく時間を過ごしていると思われる篠澤さんへ、

 

『今日はとても楽しい時間を過ごせました。ありがとうございます。篠澤さんも遅くならない内に寝てくださいね。おやすみなさい』

 

 と送った。

 

 すると、

『ふふふ。プロデューサーは何でもお見通しだね。ありがとう、私も楽しかったよ。遅くならない内に寝るね。おやすみなさい』

 

 と返事が返ってきた。

 

 とりあえず今日の分のやることを終えた俺は、ベッドに身を沈めて眠りについた。

 

 まさか、成功すると信じて疑っていなかった月村手毬のファーストライブが、あんなことになるとは、この時にはまだ夢にも思っていなかった。

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