篠澤広のプロデュースは、ままならない   作:味のないお茶

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第一話 前編

 第一話 前編

 

 彼女と出会ったのは、初星学園 第一話 前編

 

 俺が彼女と出会ったのは、初星学園の廊下を何気無しに歩いているときだった。

 その日の俺は、特にプロデュースするアイドルを決めることなく、どんなアイドル候補生がいるかを確認するためでもあった。

 

 まぁ、一年生の中では『首席』の『花海咲季』や『中学ナンバーワンユニットの一員』の『月村手毬』などが有名か。

 

 その辺の候補生には他のプロデューサー仲間が殺到しているだろうし、その中に混ざるのも『何か違う』とも思っていた。

 やはり『完成したアイドル』よりも『未完成なアイドル』に惹かれる。

 あとは『困難なほど楽しい』という気持ちもあるな。

 

 そうしていると、目の前に『今にも倒れそうな雰囲気の、亜麻色の髪の美少女』が目に飛び込んできた。

 

「あれは……篠澤……広?」

 

 彼女は上記の二人とは『全く違う意味で』有名な少女だった。

 

 篠澤広。十五歳。十四歳で大学を卒業した天才少女。

 初星学園の入学試験で座学は満点。

 あの花海咲季を抑えて一位に輝く才女。

 しかしながら実技では0点を叩き出したため、首席の座は花海咲季に譲っている。

 

 そんな彼女が目の前で倒れそうになっていた。

 

「あの、大丈夫ですか?」

「………………」

 

 返事は無かった。だが、顔は真っ青で命の危機にさえ思えた。

 

 そして、

 

「………………きゅう」

「なぁっ!!??」

 

 彼女はパタリと倒れてしまった。

 

 ま、まずい!!このままだと学園で死人が出てしまう!!大袈裟ではなくそう思い、彼女を担ぎあげて保健室へと走った。

 

「か、軽!!??ちゃんとご飯を食べてるのか!?」

 

 凡そ平均的な女子生徒の体重とは思えない軽さに驚きながら、保健室へと急いだ。

 

「失礼します!!」

 

 そう言って中に入ったが、担当の先生は居なかった。

 まぁ先生も忙しいんだろう。

 そう結論付けたあと、彼女をベッドへと寝かしつける。

 

 すると、程なくして彼女が目を覚ました。

 

「うぅん……どこ?」

「保健室です。あなたは急に倒れて……」

「覚えてる。運んでくれたの?ありがとう」

「どういたしまして。どうかベッドに戻って休んでください。ほどなく保健医が戻ってくるはずです」

 

 そう答えると、彼女はこちらの瞳をじぃっと見つめて聞いてきた。

 

「あなたは、プロデューサーの人?」

「はい。プロデューサー科の一年です」

「そう。わたし、篠澤……広。はじめまして」

「はじめまして」

 

 自己紹介を終えると彼女はまた無言でこちらの瞳を覗き込んできた。

 そして、彼女は意を決して言葉を紡いだ。

 

「わたしを、プロデュースして欲しい」

 

 これが、俺と篠澤広との初めての出会いと会話だった。

 

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