篠澤広のプロデュースは、ままならない   作:味のないお茶

20 / 21
広 side ④

 広 side ④

 

 

 プロデューサーとの『デート』を終えた私は、寮まで送って貰ったあと、自室へと足を踏み入れた。

 多分……いや、きっと、中には佑芽と千奈が、居るはず。

 二人には、何時でも遊びに来て欲しいと、思っていて、部屋の合鍵を渡してある。

 私も、二人の部屋の鍵を、持ってる。

 今日のことをきっと、聞きたいと思ってるはずだから。

 

「おかえり広ちゃん!!先に待ってたよ!!」

「お帰りなさいませ、篠澤さん。お邪魔してますわ」

「ふふふ。ただいま、二人とも。きっといるって、思ってたよ」

 

 私がそう言って、佑芽と千奈に微笑むと、二人も笑いながら言葉を返してくれた。

 

「えへへ、だって気になるじゃん!!真っ先に話を聞きたかったし!!」

「そうですわね。でも、その様子なら、とても楽しんで来たと、見受けられますわ」

「そうだね。多少のアクシデントは、あったけど、すごく楽しかった、よ」

 

 そう。知り合いを名乗る、不審者に遭遇したけど、プロデューサーが追い払って、くれた。

 いつもは、私のことなんか大切にしてくれてない、ような雰囲気だけど、心の底では、とても大切に、してくれてる。

 それが、とても良く、伝わって、きた。

 すごく、嬉しかった。

 

「デートにはアクシデントが付き物だからね!!ねぇ、広ちゃん。今日のことを話して欲しいなぁ!!」

「ゲームセンターに行ったのですよね?そのぬいぐるみはプロデューサーさんが、取ったのですか?」

「違うよ。これは私が、取った」

 

 私が胸を張りながらそう言うと、佑芽と千奈はすごく、驚いていた。

 

「すごいね、広ちゃん!!私がお姉ちゃんとやった時は、一個も取れなかったよ」

「篠澤さんには隠された才能があったのかもしれませんわ」

「プロデューサーが言うには、確率機って言うもので、私がたまたま、運が良かったんだと、思う」

「それでも、位置取りとかあるからね。広ちゃんの実力だよ!!」

「篠澤さん。他に何をしたんですの?」

「レーシングカーゲームをやった、よ。ふふふ。これも私がプロデューサーに勝った」

「おー!!すごいね広ちゃん!!今度は私とも勝負しようよ!!」

「篠澤さんにはゲームの才能があるのかもしれませんわ!!」

「ふふふ。かも知れない」

 

 そんな話をしていると、二人が少しだけ、アクシデントについて話を、振ってきた。

 

「アクシデントがあった。って話だったよね?何があったか聞いても平気?」

「うん。なんか、私が通ってた大学の研究室で、一緒だった。とか言ってくる不審者が、私の名前を呼んで、近寄ってきた」

「……え?何それ。怖いね」

「し、篠澤さん。プロデューサーさんは近くに居なかったのですか?」

「ちょうど私がお化粧を直してて、プロデューサーは、飲み物を買いに行ってた。タイミングが悪かった」

「それで、広ちゃんはどうしたの?」

「プロデューサーが戻ってくるまで、何とか時間を稼いでた。普段なら護身用に、スタンガンを持ってるけど、今日は持ってなかったし」

「必要ですわよね。わかりますわ」

「私は返り討ちに出来るけど、広ちゃんや千奈ちゃんだと難しいよね。でも、出掛けた時なら、二人のことは私が守るよ!!」

「花海さん!!頼もしいですわ」

「ふふふ。その時はプロデューサーと一緒に、守ってね」

 

 そして、私は二人に言葉を続けた。

 

「でも、何とかギリギリで、プロデューサーが助けてくれた」

「おー!!さすが広ちゃんのプロデューサー!!」

「頼りになりますわ!!」

「ふふふ。プロデューサーがその不審者を追い払ったあと、私の事を、抱きしめてくれた」

 

 私がそう言うと、二人は顔を赤くして、はしゃいでいた。

 

「わー!!!!聞いた、千奈ちゃん!?」

「聞きましたわ、花海さん!!素敵な話ですわ!!」

「プロデューサー。すごく反省してたみたい。でも、私にとっては、プロデューサーが、私を大切にしてくれてるって、わかって嬉しかった」

「羨ましいなぁ!!私もプロデューサーさんが欲しいなぁ!!プロデュースされたいなぁ!!」

「ふふふ。プロデューサーはあげないよ」

「甘いですわぁ。私もプロデューサーさんが欲しいですわ。お爺様にお願いしてみましょうか……」

 

 と、私が二人と楽しく話をしていると、スマートフォンがメッセージを受信した。と告げてきた。

 

「噂をすれば、プロデューサーからメッセージだ」

「え!?ねぇねぇ広ちゃん!!見てもいい?」

「は、花海さん。流石にそれは……気にはなりますけど……」

 

 プロデューサーからの、メッセージを確認したした私は、その内容が『二人にも見せて構わないもの』だと判断した。

 

「良いよ。これなら見ても、問題ない」

 

『今日はとても楽しい時間を過ごせました。ありがとうございます。篠澤さんも遅くならない内に寝てくださいね。おやすみなさい』

 

「うわー!!これってさぁ!!もうラブラブのカップルだよね!!」

「プロデューサーさんも、私たちがこちらで篠澤さんと話をしてるのが、わかっているのでしょうね」

「うん。だから『夜更かしし過ぎるなよ』って、釘を刺してるんだね」

 

 

 だから、私はプロデューサーにこう返信を、送った。

 

『ふふふ。プロデューサーは何でもお見通しだね。ありがとう、私も楽しかったよ。遅くならない内に寝るね。おやすみなさい』

 

 そして、私は二人に、笑いながら話しをした。

 

「ふふふ。あとね、二人にはとても重要な、話がある」

「……重要な、話?」

「なんですの?」

 

 首を傾げる二人に、私はプロデューサーとした『間接キス』の話をした。

 

 

「私、プロデューサーと、キスした」

 

 

 さて。

 今夜はお友達二人と、夜更かししよう。

 プロデューサーには悪いけど、せっかく出来た友達と、明日は休みだし、今夜は遅くまで、楽しくおしゃべりしたい。

 私は、そう思った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。