広 side ④
プロデューサーとの『デート』を終えた私は、寮まで送って貰ったあと、自室へと足を踏み入れた。
多分……いや、きっと、中には佑芽と千奈が、居るはず。
二人には、何時でも遊びに来て欲しいと、思っていて、部屋の合鍵を渡してある。
私も、二人の部屋の鍵を、持ってる。
今日のことをきっと、聞きたいと思ってるはずだから。
「おかえり広ちゃん!!先に待ってたよ!!」
「お帰りなさいませ、篠澤さん。お邪魔してますわ」
「ふふふ。ただいま、二人とも。きっといるって、思ってたよ」
私がそう言って、佑芽と千奈に微笑むと、二人も笑いながら言葉を返してくれた。
「えへへ、だって気になるじゃん!!真っ先に話を聞きたかったし!!」
「そうですわね。でも、その様子なら、とても楽しんで来たと、見受けられますわ」
「そうだね。多少のアクシデントは、あったけど、すごく楽しかった、よ」
そう。知り合いを名乗る、不審者に遭遇したけど、プロデューサーが追い払って、くれた。
いつもは、私のことなんか大切にしてくれてない、ような雰囲気だけど、心の底では、とても大切に、してくれてる。
それが、とても良く、伝わって、きた。
すごく、嬉しかった。
「デートにはアクシデントが付き物だからね!!ねぇ、広ちゃん。今日のことを話して欲しいなぁ!!」
「ゲームセンターに行ったのですよね?そのぬいぐるみはプロデューサーさんが、取ったのですか?」
「違うよ。これは私が、取った」
私が胸を張りながらそう言うと、佑芽と千奈はすごく、驚いていた。
「すごいね、広ちゃん!!私がお姉ちゃんとやった時は、一個も取れなかったよ」
「篠澤さんには隠された才能があったのかもしれませんわ」
「プロデューサーが言うには、確率機って言うもので、私がたまたま、運が良かったんだと、思う」
「それでも、位置取りとかあるからね。広ちゃんの実力だよ!!」
「篠澤さん。他に何をしたんですの?」
「レーシングカーゲームをやった、よ。ふふふ。これも私がプロデューサーに勝った」
「おー!!すごいね広ちゃん!!今度は私とも勝負しようよ!!」
「篠澤さんにはゲームの才能があるのかもしれませんわ!!」
「ふふふ。かも知れない」
そんな話をしていると、二人が少しだけ、アクシデントについて話を、振ってきた。
「アクシデントがあった。って話だったよね?何があったか聞いても平気?」
「うん。なんか、私が通ってた大学の研究室で、一緒だった。とか言ってくる不審者が、私の名前を呼んで、近寄ってきた」
「……え?何それ。怖いね」
「し、篠澤さん。プロデューサーさんは近くに居なかったのですか?」
「ちょうど私がお化粧を直してて、プロデューサーは、飲み物を買いに行ってた。タイミングが悪かった」
「それで、広ちゃんはどうしたの?」
「プロデューサーが戻ってくるまで、何とか時間を稼いでた。普段なら護身用に、スタンガンを持ってるけど、今日は持ってなかったし」
「必要ですわよね。わかりますわ」
「私は返り討ちに出来るけど、広ちゃんや千奈ちゃんだと難しいよね。でも、出掛けた時なら、二人のことは私が守るよ!!」
「花海さん!!頼もしいですわ」
「ふふふ。その時はプロデューサーと一緒に、守ってね」
そして、私は二人に言葉を続けた。
「でも、何とかギリギリで、プロデューサーが助けてくれた」
「おー!!さすが広ちゃんのプロデューサー!!」
「頼りになりますわ!!」
「ふふふ。プロデューサーがその不審者を追い払ったあと、私の事を、抱きしめてくれた」
私がそう言うと、二人は顔を赤くして、はしゃいでいた。
「わー!!!!聞いた、千奈ちゃん!?」
「聞きましたわ、花海さん!!素敵な話ですわ!!」
「プロデューサー。すごく反省してたみたい。でも、私にとっては、プロデューサーが、私を大切にしてくれてるって、わかって嬉しかった」
「羨ましいなぁ!!私もプロデューサーさんが欲しいなぁ!!プロデュースされたいなぁ!!」
「ふふふ。プロデューサーはあげないよ」
「甘いですわぁ。私もプロデューサーさんが欲しいですわ。お爺様にお願いしてみましょうか……」
と、私が二人と楽しく話をしていると、スマートフォンがメッセージを受信した。と告げてきた。
「噂をすれば、プロデューサーからメッセージだ」
「え!?ねぇねぇ広ちゃん!!見てもいい?」
「は、花海さん。流石にそれは……気にはなりますけど……」
プロデューサーからの、メッセージを確認したした私は、その内容が『二人にも見せて構わないもの』だと判断した。
「良いよ。これなら見ても、問題ない」
『今日はとても楽しい時間を過ごせました。ありがとうございます。篠澤さんも遅くならない内に寝てくださいね。おやすみなさい』
「うわー!!これってさぁ!!もうラブラブのカップルだよね!!」
「プロデューサーさんも、私たちがこちらで篠澤さんと話をしてるのが、わかっているのでしょうね」
「うん。だから『夜更かしし過ぎるなよ』って、釘を刺してるんだね」
だから、私はプロデューサーにこう返信を、送った。
『ふふふ。プロデューサーは何でもお見通しだね。ありがとう、私も楽しかったよ。遅くならない内に寝るね。おやすみなさい』
そして、私は二人に、笑いながら話しをした。
「ふふふ。あとね、二人にはとても重要な、話がある」
「……重要な、話?」
「なんですの?」
首を傾げる二人に、私はプロデューサーとした『間接キス』の話をした。
「私、プロデューサーと、キスした」
さて。
今夜はお友達二人と、夜更かししよう。
プロデューサーには悪いけど、せっかく出来た友達と、明日は休みだし、今夜は遅くまで、楽しくおしゃべりしたい。
私は、そう思った。