第七話
篠澤さんのご実家を後にした俺は、予約していたビジネスホテルへと足を運んだ。
その時に、通りすがりのコンビニで夕飯として簡単にお弁当を買っておいた。
食べ盛りの男がコンビニ弁当一つでは足りないとか言われてしまいそうだが、ちょっと今日は緊張することが多すぎて、食欲があまりなかった。
そして、ホテルのフロントでチェックインを済ませ、部屋へと向かう。
渡された鍵で部屋の扉を開いて中へと入ると、緊張が一気に解けた。
「……もう、今日は疲れた」
スマホと財布とコンビニ弁当をテーブルの上に置き、俺はベッドに身を投げた。
ふかふかの布団が身体を包み込む。
あぁ……このまま寝たい。
でもダメだ。ちゃんとお風呂入って、夕飯を食べて、今日の話をきちんとまとめて、レポートにして提出しないと
……
「……レポートにまとめるのは明日の午前中にやろう。帰りの新幹線の時間は昼過ぎだから、少し長めに寝てようかな」
そんなことを考えてると、スマホがメッセージを受信したと知らせてきた。
「誰だよ……あいつかなぁ……」
友人がメッセージでも送ってきたのか?
スマホを手に取ってメッセージを確認すると、差出人は篠澤さんだった。
「はぁ……アイツだったらシカトしてやろうかと思ったけど、無理だな」
とりあえず……どんな内容だ?
メッセージアプリを開いて内容を確認すると、とても驚く事が書いてあった。
『ふふふ。聞いてプロデューサー。ついにわたしは友達が出来た』
今日一日でわかったことから考えると、これはとんでもなくすごい事だと理解出来た。
『なるほど。それは良かったですね。お相手は花海さんと倉本さんですか?』
『そう。千奈からは片足立ちの、極意を教わった』
花海佑芽さんのお姉さん。咲季さんの食事で篠澤さんの健康が改善の兆しを見せている。
さらに体力的にも同レベルな倉本さんのお陰で、篠澤さんの身体の使い方が改善されつつある。
とても良い友好関係を結んでると思う。
周りからは『補欠組』なんて呼ばれてる三人だが、
『花海佑芽』さんは学園でもトップクラスの体力を持ち、
『倉本千奈』さんは日本有数の財閥のお嬢様で、
『篠澤広』さんは日本屈指の頭脳を持つ神童。
飛び抜けてるところはとんでもない3人だとは思っている。
『それで、片足立ちは何秒出来るようになったんですか?』
『5秒』
快挙だった。
1秒も出来ない状況から、5秒も出来るようになったのか!!
だがここで褒める訳にはいかない。
俺は心を鬼にして返事を送った。
『その程度では全然ダメですね。わかってますか?今月中に出来なければ解約です』
『ふふふ。わかってるよ。期日は守る。安心して。』
『期待せずにいますよ』
そう送ったあと、俺は疲れた身体に鞭を打って椅子から立ち上がった。
「よし!!お風呂に入って、ご飯を食べて、早めに寝よう」
こうして俺は、激動の一日を終えて、ベッドの中でゆっくりと眠りについた。