かまてん一口短編集   作:ゆずっこ

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解釈違い上等の方向け



初めて寝込みを襲ったあの日

 

 眩しいほどの月明かりが広大な学園都市、ヒノツチに降り注ぐ夜。

 

 多くの住宅が消灯している時間帯に、一体のデモンズギアが隙間風さえ入ってきそうなほどボロボロな部屋で眠る(彼女)────那滝ケイ(ソルシエラ)を見つめながら独り言ちる。

 

「ふむ……普段ならばコロコロと変化する(滅多に変化しない硬い)表情も、眠りに付けばこうも穏やかになるのか」

 

 男の状態では美少女に触れることさえタブーとし、日々の行動を心掛けてきた彼を傍で見続けてきたデモンズギア────星詠みの杖(0号)は、目の前で穏やかに眠るケイ(ソルシエラ)の姿とのギャップ感じていた。

 

「ソルシエラとして活躍する君も同然ではあるが……無防備な姿を見せる今の君もまた良いものだ……」

 

 目付きは次第に妖艶なものへと変わっていき、顔と顔がゆっくりと近づく。

 

相棒(マスター)、ずっと見ていたんだ。ずっと協力していたんだ。ずっとずっとずっと隣で傍で腕の中で君の()を誰よりも間近で受けながら!!!」

 

「…コホン」

 

 大きな声を出してしまったことにより、ケイ(ソルシエラ)が起きてしまわないか心配になったが……杞憂に終わったようだ。

 

「この際だ。いつもでは出来ないようなことをしてしまおう」

 

 自らの指の腹を彼の頬、鼻、唇、耳にかけて滑るように触れる。

 

「いつも見ているだけだったからな。こうして実際に触れられるというのは幸せなものだ」

 

「……なんだろうか、この気持ちは」

 

 触れているうちにふと、(彼女)への気持ちがひとつの感情によって支配されていることに気づいた。

 それは人間が感じる我が子への母性でも、家族への親しみでも、友人への絆でもない。…………ならばその感情の名前は──────────

 

「愛……だろうか」

 

 言葉に出してみるとやけにしっくり来る言葉の響きであった。

 

ケイ(ソルシエラ)、愛してる。愛してるぞ相棒。私は君を愛してる」

 

 耳元に口を近づけ、囁くように、宣言するように声に出してみる。

 

「ふむ……?」

 

 なぜだか分からないが、これらの『愛の言葉』は胸に落ちない。

 

「愛してるよ、ケイお兄ちゃん(ソルシエラお姉ちゃん)ケイ君(ソルシエラちゃん)ずっと愛してる」

 

 インターネットで見たものを真似てみるが、またしても心に引っかかる。

 

「私の考える愛と、この『愛』は別物なのか……?」

 

 そもそも、今まで擬似人格として過ごしてきた星詠みの杖(0号)にとって、感情を持つことさえ初めての体験であった。よってこの愛を正体を知るべく、思考に耽ける。

 

 

 

 長い逡巡の後、心の底から湧いてきた言葉をそのまま発してみることにした。

 

「ずっと相棒(マスター)のデモンズギアとして傍に居続けたいんだ。例え世界が滅びようとも、君がまた死んでしまって転生しようとも、何かしらに躓いて絶望しようとも」

 

 一呼吸置いて、言葉を続ける。

 

「初めて私に感情を、この『愛』を教えてくれた唯一無二のマスター……敬愛している。愛しているんだ」

 

 尊敬し、愛してやまないケイ(ソルシエラ)の傍に永遠に居続けたい────────紛れもない本心だった。

 

「単に愛するだけでなく、これほどまでの執着を持っていたとは……自分でも驚きだね…」

 

 とは言いつつも、これが自分の感情だということに意外性は無かった。

 

 

「…………あんなことを言ったところで、君が望む限り世界は存続し続けるし、私は君を絶対に死なせないだろうがね」

 

 そして彼が何かしらに躓いて絶望し、全てを投げ出してしまうこともありえないだろう。

 

 しかしもし、もしも万が一そんなことがあったのなら────────

 

「この世界の全てから君と私だけを切り離し────悠久の時を2人きりで過ごそうじゃないか」

 

 人間が抱く感情としては異常だが、人ならざる存在であるデモンズギアならば……………

 

 

「んんっ……」

 

 トリップしていた意識はケイ(ソルシエラ)の寝返りによって現実へと戻されることとなった。

 

 しかし、この寝返りによって今まで横を向いていたケイ(ソルシエラ)の顔が上を向き、先程よりも顔が見やすくなる。

 満月のみが銀色に輝く夜空。照明の無い部屋で(彼女)の顔を照らすのは窓からの月光だけであるが、これがまた星詠みの杖(0号)の情欲を掻き立てる。

 

「ダメだ。昂りが抑えられない────────少しくらいならば、良いだろうか?」

 

 空腹の中、絶品料理を前にして我慢できずつまみ食いをしてしまうかのような心情で、星詠みの杖(0号)ケイ(ソルシエラ)の上に跨り、両手で頭が動かないように優しく抑える。

 

「ん………」

 

 そのまま顔を近づけ、唇と唇が軽く触れ合うような優しい口付けを交わす。

 

「まだまだ……こんなのものでは……」

 

 だがその程度では満足出来ず、今度はより深い関係を求めるように舌が絡み合うキスをしようとするが……

 

「ちゅ…くちゅ……んぅ……」

 

 口が閉じているため、舌は歯茎をなぞるように動くのみでケイ(ソルシエラ)の舌には届かなかった。

 

「となれば……こうするしかないねぇ…」

 

 頭を抑えている手の片方をあごに持ってくることで無理やり口を開かせる。

 

「はぁ…んんっ、れろ……」

 

 暴走した愛欲によって行われる一方的なディープキスと唾液の交換。

 

 もしも紫髪の元暴露系配信者の彼女が見てしまったのならば呆然と立ち尽くしてしまうような光景である。

 

 それほどまでに濃密で魅惑的な空間で、激しいものとはいえキスだけでは済むことなく…………

 

「もう少し、もう少しだけだから……別に構わないだろう?」

 

 『少し』では済まされない行為をする為に、星詠みの杖(0号)ケイ(ソルシエラ)の服をしゅるしゅると脱がせることにした────────

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

『というのはどうだい?』

 

「エロ同人誌の導入じゃねぇか!!!」

 

 とある昼下がり、俺達は新刊の内容について話し合っていた。

 ヒノツチ文化大祭も無事に終わり、一段落したのは間違いないが……ソルシエラコンテンツはまだまだ続くのである。

 

『健全な教育的にアウトな部分は黒塗りで対応すればいいだけだし、たまにはこういうのでも良いじゃないか』

 

「それはそうなんだけど……違う! 問題はそこじゃない!」

 

 別にエロ同人誌チックなのは構わない。むしろ歓迎したいくらいである。しかし、この案には最大の問題点が隠されている。それは────

 

「なんでまたソルシエラが受けなんだよ!! しかも今回は最初から最後までの全展開で受けじゃないか!!! 反対だぞ反対!」

 

 いい加減受けシエラから脱却したいと思っていた矢先にこれである。

 世界は攻めシエラに飢えているというのに、この変態的な相棒は何を考えているのだろうか。

 

『チッ……まあまあ。何度も言うけども、こういうのもたまにはあっても良いじゃないか』

 

「今舌打ちしたよな!? クソッ……これ以上ソルシエラ受け概念を浸透させてなるものかってんだ…!!」

 

 不当なソルシエラ受け概念の強要は良くないぞ! みんなもそう言ってる!

 

 ……この前トレンドに載っていた『受けシエラ』の文字列は見なかったことにする。

 

 

「……それはそうとして、よくここまでリアルなものを思いついたな。また電子の海から拾ってきた情報から作ったのか?」

 

 明らかに使い道を間違えている能力の使い道、俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

『……もちろんだよ』

 

「ははぁ、俺は相棒が恐ろしいよ……」

 

 ピロリンッ!

 

 相棒の情報収集能力に戦々恐々としていると、クラムからメールが届いたことを表す通知が届いた。

 

「理由は後回しで、今すぐ来られますか? だと……よし、向かうぞ」

 

 クラムからのメールに夢中だった俺は、星詠みの杖君がボソッと発した一言に気づく事が出来なかった。

 

 

 

 

 

『……本当は全て実話だし、服を脱がせた後の行為もさせてもらったぞ^ ^』

 

 

 

 





好評だったりして気が乗れば他のシチュエーションも書きます。

書くとしたらクラムちゃんあたりですかね…?
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