ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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かなり短いですが次への伏線というか繋がりを感じる様にはしています。時系列で言うとDESTINY編から1年くらいは時が過ぎています。


後日談その3 偽名の再会

カガリに呼ばれてオーブの首長室にアスランとメイリンはやってきた。今のアスランとメイリンはターミナルに所属しており、ターミナルでの任務を終えた直後にカガリ直々に呼び出されていたのだった。

 

「失礼します代表」

「ああ。入ってくれ。畏まらなくても大丈夫だ」

 

カガリとアスラン達は本来なら気さくに話せる関係ではあるが仕事の時はお互いに上下関係を意識した言葉遣いをする。だがカガリの言葉遣いから真面目な仕事子の話しでは無い事が分かりアスランとメイリンは肩の力を抜く事が出来た。

 

「分かった。それで今日はどうしたんだ?」

「お久しぶりですカガリさん」

「ああ久しぶりだなメイリン。アスランも。いや今日は二人に話しを聞きたいという人がいてな。先の大戦での事なんだが」

「俺達に?一体どこのどいつなんだか」

 

カガリに促されてアスランとメイリンはカガリと向かい合う形でソファに座る。3人でプライベートな話しをする時はいつもの席順だった。いつもは真ん中に座るカガリが横に人一人分スペースを開けている事から今から呼ぶ人を座らせるのだとアスランは把握した。

 

「まあ前置きはこの辺にして・・・出てきて良いぞ」

「分かりました」

 

カガリに呼ばれて物陰から現れる少女。その顔にはサングラスをかけて目元を隠しており、背中まで伸びている水色の髪をツインテールにして纏めていた。だがその少女に二人は見覚えがあった。

 

「えっ⁉︎貴女は!」

「お前⁉︎エリ」

「初めまして、私はラルク・オルセと申します。ジャーナリストをしています」

 

ラルクと名乗った少女は丁重な言葉遣いをして綺麗なお辞儀をする。だが丁寧に見えて強引に話しを終わらせる押しの強さと所作の一つ一つから隙の見えない場慣れした雰囲気からただのジャーナリストでは無く、軍隊所属だった事を隠しきれていなかった。がアスランとメイリンはひとまず詮索しない事にした。

 

「・・・そう、ですか。初めまして。俺、私はアレ」

「アレックス・ディノさんですよね。そして貴女がメイリンだよね、ですね」

「せめて口調は安定させろよ・・・」

「えっと・・・それで私達に聞きたい事があると言ってましたけど」

「そうでした。まずはブレイク・ザ・ワールドから・・・いえ、アーモリー1にアスハ代表が視察に来た時の話しから聞きたいのですが」

「そこまで知ってるなら全部知ってるだろ・・・」

 

それからアスランとメイリンはラルクの質問に答え続けた。ブレイク・ザ・ワールドの主犯からその動機にジブラルタルを目指す合間に連合の艦隊と何度も交戦した事、連合とオーブの同盟軍に襲われアークエンジェルとサンシャイン達が介入してきた事やベルリンの戦闘にエンジェルダウンまで大まかに質問をされていた。

 

「なるほど・・・それでかつて最強だったサンシャインを、誰にも止められなかった太陽の少女をシン・アスカが止めたというわけですか。いやー素晴らしい戦績ですね彼は。どこぞの元英雄とは大違いですね」

「コイツ・・・いや、似ているけど別人だ。別人という体なんだ・・・」

「あはは・・・えっとラルクさん。他に聞きたい事はありますか?」

「失礼、つい話しを脱線させてしまいました。サンシャインを倒した後、ミネルバはジブラルタルに着いたのでしたよね。私の調べだとそこでデスティニーとレジェンド、リバースがミネルバに配備されたらしいのですが合ってますよね?」

「そこまで知ってるのは関係者しか居ないだろうが・・・」

「だけどその後すぐに裏切り者の疑惑をかけられた男がオペレーターを人質にしてグフを奪い脱走したと。その男の動機については知りませんか?」

 

正体を隠す気のないラルクにアスランは呆れながらも相槌を打つ。するとそれまでの和やかな雰囲気を打ち消す程に真剣な目つきでラルクは質問をする。

 

「・・・そんな事何の為に聞くんだ?」

「あくまでジャーナリストとして、真実を知りたいだけですよ」

 

アスランは目の前のラルクを睨みつける様に見据えるがラルクは全く怯む事なく質問の答えを催促していた。しばらくの睨み合いの末、アスランが先に折れて回答した。

 

「アレはデュランダル議長に嵌められたんだ。俺、じゃなかった・・・アスラン・ザラはアークエンジェルと、太陽の少女達が戦場に介入した理由を問い詰めてもう止める様に忠告しただけだ。それをオーブ側の密告だとでっちあげの材料にされて反逆者にされたんだ。その時に偶然近くにいたメイ、ミネルバのオペレーターを人質にして脱出を図ったんだ。巻き込むつもりは無かった」

「・・・では本当に裏切るつもりは無かったと?ザフトのやり方に疑問を覚えて敵対する気は無いと証明は出来ますか?」

「確かにエンジェルダウンの時はおかしいとは思ったさ!だがらってミネルバの仲間達を裏切るつもりなどこれっぽちも無かった。無かったんだ」

「・・・そうですか、失礼な事を言って申し訳ありません」

 

悲痛な表情で語るアスランに対しラルクは頭を下げた。ラルクとしては気になっていた事を聞きたかっただけで相手に不快な思いをさせるつもりは無かった為にそうなってしまった事に対し申し訳なさがあったからだった。

 

「・・・別に良いさ。過ぎた話しだからな。それで、まだ聞きたい事があるのか?」

「いえ、これで十分です。長い事私の質問に答えてもらいありがとうございます。それでは私はこれで」

 

ラルクは席から立ち上がる。元々多忙の身であるカガリやアスラン達をわざわざ呼び寄せていた。なのでこれ以上時間を使わせない様に自分の用が終わったら速やかに立ち去る気だった。

 

「もう行くのか?少しくらいゆっくりしていっても」

「いえ、気持ちはありがたいですがこれ以上多忙の代表に迷惑をかける訳にはいきませんから」

「・・・分かった。それじゃあな」

「お気遣い感謝しますアスハ代表。それとアレックスさん。私の質疑に答えてもらい感謝します。これはそのお礼です」

 

ラルクは懐から出したSDカードをアスランの目の前に置いた。アスランはそれを手に取りながら怪訝そうに見つめる。

 

「一応聞くが何が入っているんだ?」

「それは後で中身を見て確認してください。ここで話せる内容じゃ無いのは貴方の方が分かっていると思います。失礼します」

 

有無を言わさずにラルクは部屋から退出した。その背中を見送ったアスランは持っていたSDカードをメイリンに渡した。

 

「とりあえずこれは戻ってから確認するとして・・・カガリ、お前どうやってアイツと連絡を取ったんだ?行方不明だった筈だろ」

「あっちから連絡してたんだよ。発信元が分からない様にしっかり対策した秘匿チャンネルでな。おまけに空港の乗客リストを調べてもラルク・オルセという名前は何処にも無かった。アイツ不法侵入が出来る程度の移動手段まで持っているから追うことも不可能だな。ザフトは隠密行動に長けすぎていないか?」

「ちょっと否定しづらいですね。先の大戦でもご迷惑をおかけしましたので・・・」

「不法侵入か・・・そんな事もあったな」

 

アスラン達が過去の思い出に花を咲かせている頃、ラルクはオーブの海岸にまで移動していた。人が寄りつかない険しい崖道を軽やかな足取りで降りていった。

 

「・・・日没に出れば見つからない、なら日が沈むまでここで待機するか」

 

岩壁に囲まれた空洞に進んでいくラルク。その先に隠しておいた機体のコクピットに入り込みモニターを開いていた。そこに移るのは世界平和監視機構コンパスの活動の記録だった。目まぐるしく動いてゆく戦場の中で的確に戦闘行動を停止させる為に介入する姿はあの時のアークエンジェルとサンシャイン達を彷彿させるものだった。

 

「戦場を広げない為に戦闘するなんて・・・でもそうでもしないと止まらないから仕方ないと考えるべきか・・・」

 

モニターを閉じ外を確認すると既に日は沈んでおり周りは光の届かない真っ暗闇になっていた

 

「・・・そろそろ出発するか。アスランもメイリンも元気そうだったし、あの子達も頑張っている。しばらくは心配せずに済みそうね」

 

機体を起動させ海に飛び込む。真っ黒な海を進む灰色と青に身を包んだ機体は誰にも見つかる事無くオーブからその姿を消していった。




 これでDESTINY編は終了です。次からはFREEDOM編になります。
 謎のジャーナリスト、ラルク・オルセは一体誰だったのか・・・割と分かりやすい名前な気がしますが今後の活躍をお楽しみに。
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