ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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更新がまた遅くなってしまい申し訳ありません。この辺の話しでギスギスさせるバランスを考えないと修復不可になりそうだった為に慎重にならざるを得なくなっていました。自分で考えてるくせに勝手に自分を追い込んでいました。どうしてこうなった・・・


第三話 考えの対立

「オレ、信用されてないのかな?」

 

ミレニアムの休憩室でシンの独り言が流れていく。シンの誰に向けられた訳でもない一言に本を読んでいたルナマリアとソファで寛いでいたマユが反応する。

 

「どうしたのよ急に?またウジウジ考えてるの?」

「ウジウジって、そういうんじゃないけどさ」

「そんな事無いと思うけどなー。お兄ちゃんジャスティス任されてるじゃん」

 

ジャスティスといえばサンシャイン、フリーダムと共に戦い抜いた英雄の機体とも言える一機だった。そのジャスティスの最新型であるイモータルジャスティスのパイロットに選ばれたシンは周りからすれば一番信頼されている証だった。しかしシンはそう思ってはいなかった。

 

「でもジャスティスに乗ってからのオレ、あんまり大した事してないし・・・いつもキラさんが一人で殆ど倒しちゃうし・・・少しくらい頼ってくれても良いんじゃないかって思うんだよ。あの時、一緒に戦おうって言ってくれたのに・・・」

 

前回の戦争が終わった後、慰霊碑でキラにかけられた言葉を思い返すシン。あの時は罪悪感を抱えていたせいで断ってしまったが、シンはあの言葉に慰められていた。その恩返しの為にキラの部下として戦う道を選びコンパスに入ったのだが、今のキラからはあまり頼りにされていない。そんな現状にシンはモヤモヤしていた。

 

「結局あの人もアスランと同じだよ。口先ではどうとでも言えるだけで、大した事考えてないに決まってるよ」

「ちょっとマユ。あんた隊長の事なんだと思って」

「だってそうでしょ。あの人歳上で階級も上なだけじゃん。わざわざコクピット外して撃つのも非効率的だしその癖自分一人でやろうとするなんて・・・どうせだったらあんな素人じゃなくてお兄ちゃんが隊長になってくれた方が良いのに」

「あのなぁ、マユ」

「だってあの人お兄ちゃんより弱いでしょ?その癖セナさんも追い出してやってる事アレなんだったらいっそ」

「マユ!」

 

マユのあんまりな言い方にシンは声を荒げて注意する。しかしマユにはそれもどこ吹く風といった様子で気にも留めていなかった。そんな様子にシンとルナマリアは頭を悩ませていた。

 

(最近、マユがキラさん・・・というか歳上相手に辛辣なんだよな。オレやルナから言っても全然だし・・・あぁ、オレもこんなんだったっけ?)

 

マユがここまで不満を口に出すのもシンには覚えがあった。自分がアカデミーで訓練をしていた頃、シンには大人というものにあまり良い感情を抱えていない時期があった。その頃は同期以外では唯一年齢が近く目線を合わせてくれたエリスくらいにしか心を開いていなかった。後になって思い返せばただの反抗期だっただけだった。今のマユは13歳。かつての自分と同じ歳でありそういう時期なのだと理解していた。

 

「そもそもあの人とは敵対してたじゃん。オーブ側についてめちゃくちゃしてさ。そんなのを今更信用なんて私は出来ないしあっちもしないでしょ」

「あのなぁ、信用される為にはこっちも相手に誠意を見せないといけないんだぞ。そうすればいずれ」

「無理に決まってるでしょ。太陽殺しと言われてるアンタが信用されるわけないでしょ」

 

マユを諭そうとするシンの言葉を遮る様にしてアグネスが入ってくる。シンに対して侮辱を込めた言い方のアグネスに対しマユは睨みつける様に、シンはめんどくさそうに振り返る。

 

「なんだよアグネス。太陽殺しなんて初めて聞いたんだけど」

「ああ、アンタは知らないのね。まぐれかどうかは知らないけどあのサンシャインを撃墜したアンタの二つ名らしいわよ。そんな奴に背中は預けたくない気持ちは私も分かるもの」

「うるさいよアグネス。まだお兄ちゃんにジャスティスを取られたの根に持ってるの?くだらない」

「アンタこそ生意気なのよガキが。ギャーギャー喚くお子ちゃまは戦場に居ても迷惑なだけなのよ」

 

両者共に一触即発の睨み合いをするマユとアグネス。アカデミーの頃は落ちこぼれだったシンをアグネスは見下しており、その見解は今でも変わっていなかった。そんなアグネスにマユは敵意に近い嫌悪を抱いており一度口を開けばこうして口喧嘩に発展しそうになる事も珍しい事では無かった。

 

「ふん、前の戦争の時はデュランダル議長に気に入られて最新鋭の機体を貰っていたから活躍出来ていただけでしょ?私だったらもっと上手くやれてたわよ。メサイアの戦いの時も、コンパスの副隊長としても」

「ジャスティス乗ってるからってそこまでの権限はねーよ。ていうかオレにどうこう言っても機体を変えられねえぞ。隊長とか艦長に言えよ」

「言っても無駄だよお兄ちゃん。現実すら見れない愚か者が乗っても大した活躍は出来ないから。そこだけは見る目あるよね艦長達は」

「はあぁ?誰が愚か者ですって、クソガキ」

「鏡でも見てきたらどうなの厚化粧」

「二人共よしなさいよ。休憩中にいらない争いはやめてちょうだい」

 

仲裁に入ったルナマリアに離されマユとアグネスの口論は手が出る寸前で中断された。そのままアグネスは不機嫌そうに休憩室から出て行き、マユは苛立ちながら寝転ぶ。最早部隊としての体裁すらも取れそうに無くなっているヤマト隊の現状にシンとルナマリアは溜め息をこぼすしか出来なかった。

 

「よろしいのですかキラ准将?まだお帰りにならなくて」

「コノエ艦長・・・すいません、もう少しだけ進めたくて」

 

コノエが作業中のキラに声をかける。キラは手を止めずにコノエに返事をする。ミレニアムの格納庫ではコンパス所属部隊の機体以外にもう一つ、製作途中の白色の羽の様なバックパックが置いてあった。キラはハインラインを含む整備班と共に日夜遅くまでそのバックパックの調整をしていた。しかしコノエからしてみれば毎日周りを巻き込んでまで作業を続けるキラに危ないものを感じていた。

 

「コレを完成させる事がそんなに大切なのですか?私から見ても貴方も貴方の部下達も良くやっている。焦る必要などどこにも無いと思いますが」

「それでも、まだ争いは続いています。それだけ被害も・・・」

「敵を圧倒する力が事態解決への早道、という事なので?」

「・・・そういうわけじゃありません。でも、僕達はまだ、何も守れていない。このままじゃあずっと・・・傷ついてばっかだ」

「それは、誰の事を指しているのでしょうか?」

 

図星を突かれたキラは何も言えず言葉を詰まらせた。キラが嘆いているのは理不尽に奪われていく命の事だけでは無かった。コノエにはそんなキラの内心を見抜いていた。

 

「セナ准将を追い出したのは貴方の判断でした。それを今更咎める気はありませんがその結果貴方一人で抱え込む様では意味がありませんよ。倒れてしまう前に休息を取る事をお勧めしますよ。貴方も、貴方以外も」

「・・・はい、すみません」

 

コノエからの注意にキラはただ頷くしか無かった。ほぼ毎日夜遅くまでキラは調整に明け暮れていた。それに巻き込まれる整備班にも疲弊が見え始めており、ミスが出てはハインラインに叱咤される事が続いていた。それでも戦闘に出てバックパックの調整もして誰よりも働いているキラの前で弱音を吐く事すら許されず疲れ果てた体に鞭を打って作業をしているのだった。そんな悪循環な現状に巻き込んでいるキラも申し訳なさを感じていた。

 

「・・・すいませんハインライン大尉。今日はこの辺までにしておきましょう。働き詰めは良くないですから」

「そうですね。キラ准将は明日から休暇なのですから、早めに帰って大丈夫ですよ。彼らも切りの良いところで終わらせますので、それでは」

「はい、お疲れ様です」

 

作業を終わらせて帰宅するキラ。その内心ではまだ進めたい気持ちはあったものの多くの人に気遣われ、多くの人に迷惑をかけている自覚があったので素直に言うことを聞いたのだった。何よりラクスを待たせている事が一番申し訳ないと思っていた。ラクスはキラにとって一番大切な女性である。キラが新型バックパックの完成を急いでいる事には理由はある。それでもラクスに帰りを待たせている事実はキラに罪悪感を感じさせるには十分だった。

 

「ただいま」

 

自宅に帰ってきたキラは消えた電気を付けようとする。しかしソファで寝てしまっているラクスを見つけてその手を止めた。キラが帰ってきたのは深夜の時間帯。待ちくたびれて眠ってしまってもおかしくない時間だった。

 

(ラクス、ごめん・・・)

 

音を立てない様にラクスに近づき毛布をかけてあげるキラ。コンパスの総裁と部隊の隊長をしているキラ。仕事上では立場があるためにあまり親しく話せる事など出来ない。そんな二人が立場関係なく過ごせる時間はごく僅かだった。そんな貴重な時間を自分が夜遅くまで働いていたせいで無くしてしまった事を心の中で謝りながらキラは自室に戻ろうとした。

 

「ラクス放ってどこ行く気なの?」

 

後ろから声をかけられキラは驚愕しながら振り返る。こんな夜更けに、それも先程まで全く気配を感じさせない相手にキラは警戒心を最大にして対峙しようとした。その目線の先には不機嫌そうに腕を組みながら壁によしかかるセナが居た。

 

「セナ?なんで、セナが・・・ここは僕とラクスの」

「そのラクスに呼ばれてきたの。キラが帰りが遅くなる。せっかくの夕飯が冷めてしまうのが勿体無いから食べに来ないかって・・・全部アンタの好物ばっかだったよ。そこにあるでしょう」

 

セナが机を指差す。その先にはラップに包まれた揚げ物の山があった。それらはキラの好物だらけでありラクスがどれだけキラが帰ってくるのを心待ちにしていたか、キラとの食事を楽しみにしていたのかを表していた。

 

「ラクスはこんなにアンタの事を思っているのに、アンタは今まで何をしていたのよ?准将だが部隊の隊長だか知らないけど、恋人の気持ちを無下にして許されると思ってんの?変わってしまったねアンタ」

「・・・変わったのはそっちの方だろ」

 

セナはラクスの事を蔑ろにしているキラに対して怒りを示していた。だがキラもそれに負けずに睨みつけながら言い返す。

 

「セナだって、昔から随分と変わってしまってるよ。あんなに人を傷つけるのを嫌がって苦しんでたのに・・・今じゃあプロミネンスカノンを、大量破壊兵器を撃つ事を躊躇しなくなっているだろ・・・あの時だってそうだ。あの一撃でどれだけの死者が出たと思ってるんだよ」

「その話しは関係ないでしょ。それにあの時はああでもしなきゃ被害はもっと酷くなっていたわよ」

 

二人はラクスを起こさない様に声を抑えながら口論をする。その中で出てきたかつてのヤマト隊の話しは二人して同じ出来事を思い浮かべていた。

 

それは今から半年程前。セナがまだコンパスのヤマト隊に所属していた頃に遡る。

 

「ちょっと膝借りるよ」

「うわ、出たよ・・・」

 

ミレニアム内の休憩室で寛いでいたマユの膝に頭を乗せてセナは寛ぐ。マユはそれに対し苦い顔をしながらもセナを退けることはせずされるがままになっていた。

 

「もう〜寝るんだったら自分の部屋に行ってよ。重い」

「うわー傷ついたーマユちゃん酷いんだー」

「体格差考えてくださいよ」

 

マユにうざ絡みをするセナ。そんな二人をシンとルナマリアは離れたところから見守っていた。

 

「なんだかんだ言って、マユってセナさんの事好きだよね」

「マユは歳上に好かれやすいし、セナも歳下の相手をするのは気が楽なんだろうな」

「そうなの。上はお堅い人が多いからこうして若いエネルギーを吸わないととやってられないわ」

「ちょっ、匂いを嗅ぐな!」

 

うつ伏せになりマユの太ももに顔を埋めるセナにマユは抗議の声を上げるがセナは止めなかった。そんな穏やかな時間を切り裂く様にアラームが鳴り響く。

 

「バナディーヤ付近で戦闘発生!ブルーコスモスの部隊と思われます!モビルスーツパイロットは発進準備を!」

「はぁ、またか・・・アイツらいい加減懲りなよ」

「そんな事言ってもしょうがないわよ。ほら行くわよ」

「バナディーヤか・・・あそこは少し、良い思い出無いんだけどなぁ」

 

砂漠地帯での出来事を思い出しセナは苦い顔をしながら出撃準備を済ませる。セナがツインサンシャインに乗り込む時には既にストライクフリーダムが発進態勢に入っていた。

 

「遅いよセナ。発進可能になり次第各員は出撃。現地住民の防衛を最優先に」

「「「了解」」」

「キラ・ヤマト、フリーダム、行きます」

「シン・アスカ、ゲルググ、行きます」

「ルナマリア・ホーク、ゲルググ、行くわよ」

 

ストライクフリーダムが発進する。その後ろから紫のゲルググメナースと赤ゲルググメナースが付いていく。

 

「マユ・アスカ、ギャン、出るよ」

「アグネス・ギーベラント、ギャン、出るわよ」

 

更に紫のギャンシュトロームと白のギャンシュトロームが続けて出撃していく。その間にセナも出撃準備を終えていた。

 

「みんな速いわね。私も体力は自信あったけど、この中じゃあ私がビリッケツかもね・・・セナ・ヤマト、サンシャイン、行きます」

 

ツインサンシャインが出撃するとすぐに飛行形態に変形してギャンシュトロームやゲルググメナース達を追い抜いてトップに躍り出る。

 

「うわ、速っ⁉︎さっきまであんな寛いでたのに」

「何よあれ、自分の方が強いって自慢のつもり?」

「マユ、アグネス、もう着くわよ」

「「分かってる」」

 

大気圏を突破したヤマト隊は空中から状況を確認すると、バナディーヤ付近の砂漠でザフト軍とブルーコスモスの部隊が戦闘していた。幸いまだ街にまで被害は及んでいないが、それも時間の問題だった。

 

「セナと僕で前に出る。みんなはザフト軍と協力して街の防衛を」

「また後ろ・・・了解」

「隊長、オレも」

「街を守ることを最優先に」

「・・・了解」

 

キラの命令にそれぞれ思うことはあれど渋々承諾するシン達。部下達を背にストライクフリーダムはビームライフルとレールガンでウィンダム達の頭部を撃ち抜き無力化させる。しかし反撃で撃たれるウィンダム達のビームライフルを回避しながらの対処のせいで侵攻を食い止め切れずにいた。

 

「砂漠の戦闘は嫌いだったけど・・・飛べるのなら楽ちんね」

 

ツインサンシャインは空中からビームライフルとシールドビーム砲でウィンダム達を撃墜していく。更に飛ばしたバックパックでビームライフルで狙われるザフト軍機体を守り広範囲をカバーしながら敵部隊を相手する姿はこの戦場で誰よりも輝いていた。

 

「やっぱセナさんは凄いよ。一人であの数を抑えられてる。なんでセナさんが隊長やってないんだろうね」

「ちょっとマユ、アンタなんて事言ってるのよ」

「私隊長やるのって一番強い人の方が良いと思うんだけど。ああして引っ張ってくれる人の方が私は信用出来るけど」

「ふん、やっぱガキねアンタは。確かにあの人は強いけど指揮能力は無いのよあの人は。だからこの部隊の隊長はキラ准将なのよ」

「あぁん?喧嘩売ってるの?」

「二人共喧嘩してる場合じゃないだろ」

 

口喧嘩するマユとアグネスをシンは嗜める。その間にも地上からビームライフルで空中のウィンダム達を紫ゲルググメナース狙撃する。それでも進軍が止まらず街にミサイルが向かってくるがストライクフリーダムがそれらをビームライフルで撃ち落とす。

 

「マユ、アグネス、何をやっているんだ!」

「すみません隊長。和を乱すクソガキのせいで」

「はあ⁉︎和を乱してるのそっちでしょ!」

「集中出来ないのなら二人共帰ってもらうよ」

「申し訳ありません隊長」

「すいませんでした・・・・・・理想ばっかで周りの事なんか知らんぷり・・・アスランの友人なだけはあるよ」

 

キラからの叱責に反省の色は見せるアグネスと謝りつつも不満をぼそっと呟くマユ。マユにとって隊長というのは部下達の心情に寄り添いつつ時に緩く時に引き締める、そんな頼れる上司をしていたエリスのイメージが根付いていた。争いを止める事にばかり注視してこちらのことを見向きもしないキラに対して人柄はともかく隊長としてはマユは受け入れる事は出来ていなかった。そんな不満をぶつけるかの如く、地上に降りてきたウィンダムにビームアックスを叩きつけ真っ二つにする。

 

「あーあ、また機嫌悪くなっちゃってるよマユちゃん・・・こりゃ後でまたご機嫌取らないとね」

 

セナは最近苛立ち始めているマユの態度に気づいていた。今のマユの思春期特有の不安定な心に寄り添える相手が必要である事は見抜いていた。身内であるシンや同期であるルナマリアという相手はいるもののそれだけでは足りないと感じセナは自発的にダル絡みをしてストレス発散させていた。

 

「キラも不器用な所あるからね・・・おっと」

 

後ろを気にかけていたセナは目の前に迫っていたウィンダムに直前で気づきビームサーベルの一太刀を躱しながらビームライフルで撃ち抜く。するとモビルスーツを撃墜しただけではあり得ない程の大爆発が起こりツインサンシャインは吹き飛ばされてしまう。

 

「アアァ⁉︎」

「セナさん⁉︎」

「何が起きたの⁉︎被弾⁉︎」

「セナ⁉︎何があったの・・・はっ⁉︎」

 

突然の大爆発に驚くキラだったが、その直後地上に墜落していたウィンダム達からも次々と爆発が起こる。それに地上に居たザフト軍の機体も巻き込まれ大破していた。

 

「何これ・・・」

「まさか、機体に爆弾を仕掛けて道連れに・・・」

 

ブルーコスモス側も侵略をしてもコンパスに邪魔される事は分かりきっていた。だからこそ足止めされる事を前提に機体に爆弾を仕掛けて少しでも多くコーディネイターを道連れにしようとする狂気的な作戦だった。

 

「これが、人間の考える事かよ・・・」

「命を・・・なんだと思って・・・」

 

自らの命を顧みないブルーコスモスのやり方に戦慄を覚えるキラ達。しかし下手に攻撃を加えれば爆発に巻き込まれ自分だけでなく周りの味方も巻き込まれてしまう。その事実にキラ達は打つ手が無くなってしまった。

 

「痛た・・・アイツら、またこんな事・・・これ以上好きにはさせないわ」

 

地上に落ちたツインサンシャインが空高く飛び上がると二つのシールドビーム砲とバックパックを飛ばして空中で合体させる。それと同時に肩レールガンとビームライフルも構え発射態勢に入る。

 

「セナ?何を・・・まさか⁉︎」

「地形の事を考えて2倍・・・いや、中途半端に撃ち漏らしたら余計な被害が出る。なら3倍にして」

「よせセナ!それは」

「いけぇ‼︎」

 

二つのプロミネンスカノンとビームライフルと肩レールガンの射撃でブルーコスモスの機体を根こそぎ焼き払うツインサンシャイン。その爆発の余波は凄まじく爆風で地上に居たモビルスーツに大量の土砂が降り注ぐ。

 

「うわっ⁉︎」

「めちゃくちゃするじゃないあの人!さっきの見てなかったの⁉︎」

「くうっ・・・アイツら、どうなって・・・」

 

爆発が収まり、広がる光景にルナマリア達は絶句した。爆発の影響で大きなクレーターが出来変わり果てた姿になった砂漠にブルーコスモスの機体の残骸しか残されていなかった。後続にいる部隊も含めて今の一撃で部隊は全滅していた。その惨状に誰も何も言えなくなっていた。

 

「・・・・・・帰艦する。全員セナの近くに」

 

キラの指示に従いツインサンシャインの近くに集まるヤマト隊。ツインサンシャインは空に向けて陽電子砲を撃ちポジトロニックインターフェアランスを発生させ全員で宇宙に飛び立ちミレニアムに戻って行った。

 

「どうしてプロミネンスカノンを撃ったんだ!あそこまでやらなくても良かっただろ!」

「あんなの放置したらどれだけ被害が出るか分からないでしょ!くだらない特攻なんかで余計な犠牲出すわけにいかないのよ!」

 

ミレニアムに戻った直後、キラとセナは激しい口論をしていた。敵であってもなるべく被害を減らしたいキラと被害を抑える為に敵には容赦しないセナの考えは対立し、より激しくなっていった。

 

「相手だって同じ人間なんだ。考えが違うからっていたずらに奪って良いわけじゃないんだ!」

「爆弾抱えて突撃してくる様な連中が口で止まるはず無いでしょ!そんな事でここにいる誰かが負傷するかもしれないのに敵の事考える余裕も無いでしょうが!大体あの状況で他に何が出来たっていうのよ?アンタは何をしてたのよ?自分の部下への命令も碌に出来ず自分のこだわりを優先して動きが遅くなって・・・それが1番の無駄だって分かってるの?」

「な⁉︎」

 

熱くなってきたセナは話しの内容と関係の無いキラの戦闘の癖にまで言及し始める。それに対してキラも自覚はしていたのか言葉を詰まらせてしまう。

 

「何を思ってコクピットを外す様にしたのかは知らないけど、その一手間のせいでワンテンポ遅れているのよキラの動きは。口だけの理想では何も守れないわよ。それとも、命を奪う責任を負いたくないから避けてるつもり?偉そうな事言っておいてただ覚悟が足りてないだけじゃない」

「命を奪わない様にして何が悪い‼︎僕はあんな事繰り返したくないから、終わらせたいから戦っているだけだ!セナこそ敵を討つ以外何も出来てないだろ!戦うしか出来ない、強いだけのセナには分からないくせに」

「何を‼︎」

 

売り言葉に買い言葉、その後も二人の罵り合いは続き周りの静止の声も届かぬまま二人の言い合いは続き、最終的にセナがヤマト隊を抜ける事になってしまった。二人がこうして顔を合わせて会話をするのは仲違いした時から実に半年程過ぎてからだった。

 

「あの時私のやり方に反対して、私が居なくなった結果がコレなら心の底から幻滅するわ。いつからキラは恋人の事を蔑ろにする様な駄目な奴になったのかしら?」

「セナに何が分かるんだ。僕達にはまだ守れていないものが多すぎる。犠牲になるものが多いんだ。それを無くさない限りはこの争うばかりの世界は変わらない。デスティニープランを否定してまで自由を求めた僕達はその責任を取らなきゃならないんだ。いたずらに敵を倒せば良いわけじゃないんだ」

「ふん、相変わらず頭固いわねキラは」

「お互い様でしょ?」

 

静かに睨み合うセナとキラ。二人から言葉は消えセナは腰を深く落としキラは拳を握りしめ構え臨戦態勢をとっていた。姉弟として育った二人には子供の時から喧嘩する時もあれば互いに手を出し合う殴り合いもあった。問題があるとすれば互いに成長した二人が本気で殴り合いをすれば喧嘩では済まなくなる事だった。

 

「二人共何をしているのですか?」

 

そんな二人の間に割り込む静かな、それでいて弱くない声が二人を止める。声のした方を振り向くとそこにはラクスが起き上がり二人を見つめていた。

 

「ラクス、起きてたの?」

「ラクス・・・これは、その・・・」

「お二人が喧嘩をしているのは別に構いません。同じ人間同士、ぶつかり合う事も時には必要でしょう。しかしそれは言葉をもっての対話での事です。相手に手を出すのはもう喧嘩とは言えません。ただの争いです」

 

ラクスに嗜められ二人は臨戦態勢を解き気まずそうに下を向く。お互い熱くなりすぎた自覚はあり、ラクスが居なければ止まれなかった自分自身に対して情けなさを感じて無言になっていた。

 

「お二人がどうしてそんな事になったのかは知りません。他者が横から口を出すものでもないとは思いますがそれでもここまでおおごとになるのでしたら見て見ぬふりは出来ません。よろしければ私に教えてくださりませんか?」

「ラクス・・・それはまた後日にしない?明日は二人で出かけるんでしょ?もう夜遅いし私はもう帰った方が良くない?」

 

セナは後回しにしようとラクスに提案する。ラクスもキラも忙しくて二人きりの時間を取る事が出来なくなっていた。そんな二人に本心から気を遣っているセナだったが側から見れば逃げてるだけにしか見えなかった。

 

「セナ・・・僕が言うのもアレだけど、それは無いんじゃないかな・・・気遣ってくれているのは分かるしありがたいけども」

「仕方ないでしょ。本当はアンタが帰ってきたら私すぐに帰るつもりだったんだから。ここまで遅くなるなんて思わなかったのよ。私だってしばらくは休みだし明後日とかでも大丈夫じゃないかな?」

「う、うんそうだね。日が空いているのなら今すぐじゃなくても良いと思うようん」

 

セナとキラは互いに穏便に済ませようとしていた。二人はラクスを巻き込むのは不本意でありそこだけは意見が合致しどうにか回避しようとしていた。しかしそんな二人の思惑はラクスには筒抜けだった。

 

「・・・分かりました。今日はもう遅いですからここでお開きにしましょう」

「うん、そうだね。それじゃあおやす」

「なので明日、セナも入れて3人でお出かけしましょう」

「「はい⁉︎」」

「それではおやすみなさい二人共」

 

ラクスは自室に戻っていった。残されたセナとキラは相手を見つめながら一言呟いた。

 

「「・・・どうしよう?」」




シンのカラーは最初は赤にしようと思いましたがルナマリアと被るので別の色にしようと思い、しかし合いそうな色が思い浮かばずマユと同じ紫にしました。
ツインサンシャインはライズサンシャインの改良版なので後に出てくる弐式になった機体みたいな立ち位置なので実はそこまで圧倒出来る性能では無いです。
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