ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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セナがプロト撃墜の時に脱出して隠れた後に移動した為、アークエンジェルはセナを見つけられず撤退して捜索依頼をオーブに出しています。
もしプロトの近くで待機していたら、また隠れられずにエリスに見つかっていたら、どうなっていたのでしょう・・・


第二十七話 戦いの傷

アークエンジェルの戦闘を聞きつけ救助に来たカガリとキサカとオーブ軍。彼らが最初に見つけたのはバラバラになったイージスの残骸だった。

 

「アスラン、あいつ・・・」

「赤の機体が自爆したのか。それでストライクを」

 

その近くに浜辺で横たわる大破したストライク。コクピットの中は爆発の熱で溶け無惨な状態となっていた。

 

「キラ・・・」

「カガリ」

「アイツ居ない!もぬけの殻だ!飛ばされたのかもしれない!いや、脱出したのか!」

「キサカ1佐!向こうの浜に!」

「キラ⁉︎」

 

カガリが駆け込むと気絶したアスランが居た

 

「キラ!・・・あ⁉︎」

「ザフトの兵士か・・・おそらくあの機体の・・・」

「アスラン・・・」

「キサカ1佐!向こうにもう一つ大破した機体が⁉︎おそらくプロトです!」

「分かった、すぐ行く!」

「プロト⁉︎まさか、セナまで⁉︎」

「カガリ、落ち着け」

「落ち着いていられるかよ!」

 

森の中に入るカガリとキサカ。そこにはプロトの残骸があちこちに散らばっていた。

 

「セナ・・・お前まで・・・」

「・・・ここまで破壊されているとなると、修理も不可能だが、中のパイロットは・・・」

「嘘だ・・・セナがそんな・・・ん?これは」

 

カガリが血痕を見つける。血の跡が森の奥まで続いている。

 

「これセナの血なのか⁉︎まさかアッチに!」

 

血の跡を追って駆け出すカガリ

 

「カガリ!一人で行くな!危険かもしれないんだぞ!」

 

キサカもカガリの跡を追う

 

「セナ、死ぬなよ・・・絶対に死ぬんじゃないぞ」

「待てカガリ!少し落ち着け」

 

血の跡を辿って行くと背中から血を流して倒れているセナを見つける

 

「セナ⁉︎おいセナ!大丈夫なのかセナ!」

「落ち着けカガリ!無闇に揺らすな!傷が悪化する」

「あ、ごめん・・・」

「気持ちは分かるが落ち着け。こんな状態で歩けるとはな・・・」

「まさか、死なないよな?」

「見たところ、爆発で吹き飛んだ破片が背中に当たって出血と行ったところか。それと全身に打撲の跡・・・おそらく脱出した時に木の枝や幹に何度も打ちつけた様だな。すぐに治療すれば助かると思う」

「本当か!なら急ごう!」

 

セナとアスランはオーブ軍に救助されすぐに治療を受ける。それからしばらくしてオーブの戦艦の医務室で目覚めるアスラン。左腕には包帯が巻かれて固定されていた。

 

「ん・・・クッ、ここは?」

「気が付いたか?」

 

声のした方を振り向くと銃を向けたカガリが居た

 

「ここはオーブの飛行艇の中だ。我々は浜に倒れていたお前を発見し、収容した」

「オーブ?中立のオーブが俺に何の用だ?それとも今は地球軍か?」

「聞きたい事がある。ストライクをやったのは、お前だな?」

「・・・ああ」

「パイロットはどうした?お前の様に脱出したのか?それとも・・・見つからないんだ!キラが、何とか言えよ!」

「アイツは・・・俺が殺した・・・殺した、俺が。イージスで組みついて、自爆した。脱出出来たとは思えない」

「お前!」

 

アスランの胸ぐらを掴んで詰め寄るカガリ

 

「それしかもう手がなかった。アイツを倒すには・・・」

「貴様!」

 

怒りのままに押し倒すカガリ。無抵抗のアスランの目には涙が流れていた。

 

「・・・クソ!」

 

アスランから離れて壁に拳を打ちつけるカガリ。アスランはカガリの方を見ながらよろよろと体を起こす。

 

「でも、なんで俺は生きているんだ?あの時脱出しちゃったからか?お前が俺を撃つからか?」

「お前・・・」

「おい、君!その状態で動くんじゃない!それにそっちは」

「うるさい!今は止めないでよ!」

 

怒号が聞こえてカガリとアスランが振り向くとセナが医務室に入って来た。セナは体中に包帯を巻きつけて松葉杖をついた状態で入って来た。

 

「セナ⁉︎お前、動いて良いのか?」

「そんな訳ないですよ!カガリ様。その人を止めてください!」

「あ、ああ。セナ、今は休んでろよ。その体じゃあ」

「そんなの大丈夫よ、動ける!それより、ソイツ‼︎キラの仇なんでしょ‼︎だったら」

「・・・セナか・・・久しぶり、って言った方がいいのか?」

「何を!・・・え、アスラン?」

 

ストライクを撃墜したザフト兵が共に救助されている。そう知らされていたセナはアスランがいるとは思わず驚いていた。

 

「どうしてアスランが・・・ここには救助されたザフト兵がいると・・・」

「俺がそのザフト兵で、イージスのパイロットで・・・ストライクと、キラと戦ったんだよ・・・」

「イージスの・・・アスラン‼︎」

 

アスランに詰め寄るセナ

 

「どうしてよ‼︎どうしてアンタがキラを!あんなに仲良かったじゃない!」

「分からない、分からないさ!俺にも!うぅ・・・あの日別れて、次会った時には敵だったんだ!」

「敵?」

「ヘリオポリスで機体の強奪をしている時に、キラを一目見て、ストライクと戦ったら、中にキラが居たんだ!宇宙で戦った時に、セナがプロトって機体に乗っているとも聞いた。一緒に来いと何度も言った。アイツはコーディネイターだ!俺達の仲間なんだ!地球軍にいる事の方がおかしい!なのにアイツは聞かなくて・・・俺達と戦って仲間を傷つけて、ニコルを殺した!」

「だからキラを殺したの?・・・親友のアンタが、キラを・・・」

「敵なんだ!今のアイツはもう・・・なら倒すしか無いじゃないか・・・」

「アスラン‼︎」

 

怒りのままにアスランを殴るセナ。アスランはそのままベッドに倒れ込んだ。

 

「グッ!」

「どうしてそんなことになるのよ⁉︎なんでアスランがキラを殺すのよ!」

「アイツは、ニコルを殺した!ピアノが好きでまだ15で、それでもプラントを守る為に戦っていたアイツを、キラは殺したんだ!」

 

今度はアスランがセナを蹴り飛ばす。隣のベッドに倒れ込むセナ。

 

「ガッ!・・・何よそれ・・・キラも私も巻き込まれた友達を守る為に戦っただけよ!なのに、なんでアスランに殺されなきゃならないのよ‼︎」

「そんなの知るか!敵として戦うのを選んだのはキラだ!俺だってキラと戦いたくは・・・お前とも戦いたくなかったさ・・・でも、俺にも戦う理由があるんだ・・・ザフトなんだ!だったら戦うしかないだろ!倒すしか無いだろ‼︎俺には、それしか無かったんだ・・・どうしろと言うんだよ・・・俺に、キラに無抵抗に殺されろとでも言うのか⁉︎ニコルやキラじゃなく、俺が死ねば良かったと、お前も言う気か‼︎」

「もうやめろ!お前ら!」

 

セナとアスランの間に入るカガリ

 

「もうやめろ・・・殺されたから殺して、殺したから殺されて。それで本当に最後は平和になるのかよ!」

「カガリ・・・うぅ、うう」

「そんなの、うぅ、キラ・・・」

 

キサカが医務室に入って来る

 

「迎えが到着した」

「キサカ・・・分かった。アスラン。ほら、迎えだ」

「え?」

「ザフトの軍人では、オーブには連れて行けないんだ」

「そっか、迎え来たんだアスラン・・・アークエンジェルは?」

「アークエンジェルから救助の依頼は受けたんだが、その後連絡が取れなくてな・・・セナは地球軍だけどオーブ出身だし、家族もこっちにいるからな。連絡取れるまで、お前はオーブで休暇すればいいと思うぞ」

「そうなんだ・・・」

 

少しだけ落ち着きを取り戻したセナ

 

「とりあえずセナはここにいろよ。ザフトの奴らに見られて変な諍いは嫌だからな。ほら、大丈夫か、アスラン?」

「・・・やっぱり変な奴だな、お前は。ありがとうって言うのかな?今よく分からないが」

「ちょっと待て!ほらこれ。ハウメアの守り石だ。お前、危なっかしい。守ってもらえ」

「・・・キラを殺したのにか?」

「もう誰にも死んでほしくない」

「そうか・・・ありがとな」

「・・・ねぇアスラン。また私達、戦う事になるのかな?」

 

セナの問いかけにアスランはどう答えれば良いか迷った。今のままならセナとも戦う事になる。それはアスランにとってキラを倒した時の様な苦しみをまた味わう事になる事だった。

 

「・・・お前が地球軍にいるのなら、また戦うだろうな・・・」

「そっか・・・」

「だけど、出来るなら、お前とはもう戦いたくない。あんな思いはもう・・・二度と味わいたくない」

「アスラン・・・私も、友達とは戦いたくないな。バルトフェルドさんの時の様にはなりたくない」

「バルトフェルドさん?いつの間に仲良く・・・でも」

「私が倒しちゃった・・・バルトフェルドさん、諦めてくれなくて・・・だからアスランは、私の前に敵として現れないでね。私はこれからどうするかは分からないけど」

「そうだな・・・」

 

束の間の邂逅は互いにとってとても苦く、それでも互いに同じ痛みを分かち合う結果となった

 

「ほら行くぞアスラン」

「ああ・・・元気でな、セナ」

「うん・・・アスランも」

 

アスランを迎えに来たイザークとエリス。エリスは前より包帯の数が増え、顔は片目が包帯で隠れており両腕が固定されていた。

 

「貴様!どの面下げて戻って来やがった!」

「ストライクは討ったさ」

「ふん、思ったより大丈夫そうだな。心配かけやがって」

 

イザークの言い方はぶっきらぼうだが、その声には心配と戻ってきた安堵に包まれていた

 

「まぁな、ってエリス?なんで前より重症になってるんだ?」

「まぁ、ちょっとね・・・」

「エリスの奴、イージスが爆発した後に俺を助けに来やがってな・・・一時はやばい状態だったんだ・・・ったく、下手したら俺だけになるかと・・・」

「何イザーク?心配してくれてたの?」

「当たり前だ!大事な同期だぞ!」

 

揶揄ってくるエリスに顔を赤くしながら返答するイザーク

 

「なら少しは態度に出してよ。私やアスランに成績で負けたからって敵視していると思ってたわよ」

「貴様!言ったな!」

「立ち話はその辺にしてくれ。俺も疲れたし、エリスはさっさと休ませないとだろ」

「アスラン!お前、疲れてるならそう言え!ほらこっちだ!さっさと寝ろ!怪我人共が」

「なんだその心配の仕方は・・・」

「不器用ね。モテないわよ」

「今はそんなの関係ないだろ!」

 

アスランがイザークとエリスと再会しプラントに戻っている頃、キラが目を覚ます

 

「ん・・・あれ、ここは?」

「おはようございます」

「あれ、ラクス・・・どうして君が?僕は一体」

「ここは私の家ですわ、キラ」

「ラクスの・・・そうだ!アークエン、グゥ!」

 

起きあがろうとするキラだったが、怪我のせいで思う様に動けなかった

 

「動いてはいけませんわ。とても傷ついていますのよ、キラは」

「傷・・・そうだ、僕はあの時・・・うぅ、うぅ・・・」

 

ラクスの胸に縋りつき泣くキラ

 

「・・・もう大丈夫です。ここでならもう休んでいいんですよ」

「うぅ・・・うぁ、あぁ、あぁ」

 

キラの頭を撫でるラクス。キラも目の前でトールを殺され怒りのままにアスランと戦った事を後悔し深く傷ついていた。今まで溜まっていたものを吐き出すかの様に、キラは泣き続けた。




元々ここでセナとアスランに直接ぶつかってもらうつもりでした。その為にオーブでもアスランに気づかないでもらいました。
それにしても泣き声を描写するのはとても難しいですね。
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