あの場面を描きたいが為に少し飛び飛びになりました。
ラクス邸で紅茶を飲むキラとラクスとマルキオ。外では雨が降っていた。
「キラは雨がお好きですか?」
「ナンデヤネン」
「・・・不思議だなって思って・・・なんで僕はここにいるんだろうって思って」
「キラはどこに居たいのですか?」
「分からない」
キラはアスランとの戦いの傷はもう癒えているのだが心の傷まではまだ治っておらず意気消沈していた
「ここはお嫌いですか?」
「・・・ここに居て、良いのかな?」
「私は勿論とお答えしますけど」
「・・・自分の向かうべき場所、せねばならぬ事はやがて自ずと知れましょう。貴方方はSEEDを持つ者ゆえに」
「ですって」
「SEED・・・もしかしてあの感覚の事・・・セナは、どうなのかな?」
「それは分かりません。貴方の方がよく知っているのではないですか?」
「そうかもしれません・・・色々、ありがとうございます。僕の事も、助けてもらって」
「私と貴方が巡り会った、それだけですよ」
オペレーションスピットブレイクの準備をするザフト軍
「この作戦により、戦争の早期終結に向かわん事を切に願う。真の自由と正義が示されん事を。オペレーションスピットブレイク、開始せよ!」
「オペレーションスピットブレイク、目標アラスカジョシュア」
「何⁉︎」
「ジョシュアだと⁉︎」
「パナマじゃないのかよ⁉︎」
ザフト兵のほとんどがパナマを攻めると思っていた為突然の目標変更に驚愕していた。
(頭を潰した方が戦いは早く終わるのでね)
「へぇー。流石ザラ議長閣下、やってくれる」
「イザーク」
「奴ら目標をパナマだと信じて主力隊を展開させているのだろう?正に好気じゃないか。これで終わりだな。ナチュラル共もさ」
シーゲルがラクス達の元にやって来る
「やはり駄目ですな。同士のシャトルでも地球へ向かうのは現在全て発進許可は出せないという事で」
「そうですか・・・」
「シーゲル様にアイリーン・カナーバ様より通信です」
「クラインだ」
「シーゲル・クライン!我々はザラに欺かれた!」
「カナーバ?」
「発動されたスピットブレイクの目標はパナマではない!アラスカだ!」
「なんだと⁉︎」
「アラスカ⁉︎」
カップを落とすキラ
「キラ?」
「彼は一息に地球軍本部を壊滅させるおつもりなのだ!評議会はそんな事承認していない!」
「そんな・・・あそこにはみんなが・・・アークエンジェルの皆が・・・」
「キラ・・・」
ジョシュアに現れる大量のザフト軍モビルスーツと戦艦。アラスカに待機していたアークエンジェルにもその知らせが届く。
「サザーランド大佐、これは⁉︎」
「守備軍は直ちに発進。迎撃を開始せよ!してやられたよ。奴らは直前で目標をジョシュアへと変えたのだ!」
「そんな・・・」
次々落とされる連合艦隊
「さて、この舞台の主役にどれだけの大物か見せてもらうぞ」
「これで戦えというのも酷な話だけど、本部をやらせるわけにはいかないわ」
「艦長」
「総員第一戦闘配備!アークエンジェルは防衛任務の為、発進します!」
「そんな、セナもキラも少佐もいないのにどうやって・・・」
ラクス邸の周りの雨が止む。それと同時にキラが立ち上がる。
「ラクス・・・僕は、行くよ・・・」
「・・・どちらへ行かれますの?」
「地球へ、戻らなきゃ・・・」
覚悟を決めた目をしたキラを見つめたラクスは試す様に真意を確認する
「何故?貴方一人が戻ったところで戦いは終わりませんわ」
「でも、ここでただ見ている事も、もう出来ない。何も出来ないと言って、何もしなかったら・・・もっと何も出来ない。何も変わらない、何も終わらないから。セナなら、きっとそうする」
「また、ザフトと戦われるのですか?」
ラクスの問いに首を横に振るキラ
「では、地球軍と?」
再び首を横に振るキラ
「僕達は何と戦わなきゃならないのか、少し分かった気がするから・・・」
「・・・分かりました。キラはこれに着替えて下さい」
キラの覚悟を見届けたラクスは使用人を呼び出し何かを持ってくるよう命じる。すぐに戻ってきた使用人からキラはザフトの赤服を渡される。
「え、ザフトの軍服?」
「あちらに連絡を。ラクス・クラインは平和の歌を歌います、と」
ジョシュアの内部に侵入するクルーゼ。その後ろから隙を窺うムウ。
「ほう・・・」
突如振り返りムウに向け発砲するクルーゼ。ムウはクルーゼの射撃を躱わすと物陰に隠れながらクルーゼに近づく。
「久しぶりだな、ムウ・ラ・フラガ。せっかく会えたのに残念だが、今は貴様に付き合っている時間がなくてね。ここにいるという事は、貴様も地球軍でも既に用済みか?落ちたものだな、エンデュミオンの鷹も」
威嚇射撃の後部屋を飛び出し逃げ出すクルーゼ
「グッ!・・・コレは⁉︎」
ムウはクルーゼが先程見ていた物の内容を確認すると驚愕する。その間に逃げ出したクルーゼは近くにいた連合兵の銃撃戦をする。そこにはフレイも居た。
「おやおや、これはこれは・・・」
「え、パパ?声、パパの・・・」
フレイが驚いてる隙に腹部に一撃を入れ、気絶させるクルーゼ
「・・・仕方あるまい、こうして連れていくのは二人目だな・・・」
キラを連れて格納庫に行くラクス
「さぁ、どうぞ」
「ここは?」
電気が付き、ディアクティブ状態の新型モビルスーツの姿がライトアップされる
「ガンダム⁉︎なんでここに?」
「ちょっと違いますわね。これはZGMFX 10Aフリーダムです。でも、ガンダムの方が強そうで良いですわね、うふふ。奪取した地球軍のモビルスーツの性能をも取り込み、ザラ新議長の元開発されたザフト軍の最新鋭の機体だそうですわ」
「これを、何故僕に?」
「今の貴方には必要な力と思いましたので・・・想いだけでも、力だけでも駄目なのです。だから・・・キラの願いに、行きたいと望む場所に、これは不要ですか?」
ラクスはキラの事を認めて、フリーダムを託そうとしていた
「想いだけでも・・・力だけでも・・・君は誰?」
「私はラクス・クラインですわ。キラ・ヤマト」
「ありがとう、ラクス。大丈夫?」
「私も歌いますから。平和の歌を」
「気をつけてね」
「ええ。キラも。私の力も共に」
キラの頬にキスするラクス。二人して恥ずかしさのあまり頬を赤く染める。
「あ・・・うん、ありがとう」
「では、行ってらっしゃいませ」
フリーダムに乗り込むキラ
「Nジャマーキャンセラー?凄い、ストライクの4倍以上のパワーがある。想いだけでも、力だけでも」
フェイズシフト装甲をつけ、起動したフリーダムが飛び立つ
「うわ⁉︎」
「なんだあのモビルスーツは⁉︎」
追いかけるジン2機の機関銃を簡単に躱し、ビームサーベルですれ違いざまに右腕と頭部を切り落とすフリーダム
「これが、フリーダムの力・・・これなら、みんなを!」
激しい攻防を繰り広げるザフト軍と地球軍。アークエンジェルも応戦してザフト軍のモビルスーツを次々落として行くが、攻撃を受け続ける。
「バリアント、1番、2番、沈黙!」
「艦の損害率、30%を超えます!」
「イエルマーク、ヤロスナフ、轟沈!」
「司令部とのコンタクトは!」
「取れません、どのチャンネルもずっと同じ電波が返ってくるだけですよ!各自防衛戦を維持しつつ臨機応変に応戦せよって!」
「既に指揮系統が分離されています、艦長、これでは」
「パナマからの救援隊は?」
「全然何も見えないよ!」
「ミサイル来ます!」
付近を飛んでいた戦闘機がアークエンジェルに接近する
「こちらフラガ、アークエンジェル応答せよ!アークエンジェル応答せよ!・・・クソォ!」
「友軍機接近!被弾している模様!」
「えぇ⁉︎着艦しようとしているの⁉︎」
「そんな無茶な!」
「整備班!どっかのバカが一機突っ込んで来ようとしているわ!退避!」
「どいててくれよ、皆さん!」
アークエンジェルに着艦する戦闘機。ムウは着艦するやいなや即座に中から飛び降りる。
「フラガ少佐⁉︎」
ブリッジに駆け込むムウ
「艦長!」
「少佐⁉︎あ、貴方一体何を⁉︎転属は?」
「そんな事はどうだって良い!それよりすぐに撤退だ!」
「え⁉︎」
「コイツはとんだ作戦だぜ!守備軍は一体どういった命令を受けているんだ!」
「えっ?」
「良いか、よく聞けよ!本部の地下にサイクロプスが仕掛けられている。作動したら基地から半径10キロは、溶鉱炉になるってサイズの代物が!」
「ええ⁉︎」
「この戦力では防衛は不可能だ!パナマからの救援は間に合わない!やがて守備軍は全滅し、ゲートは突破され、本部は施設の破棄を兼ねてサイクロプスを作動させる!それでザフトの戦力の大半を奪う気なんだよ!それがお偉いさんの描いたこの戦闘のシナリオだ!」
「そんな・・・」
ムウから聞かされた作戦は、ザフトを倒す為の生贄にさせられた事を意味していた
「俺はこの目で見てきたんだ!司令本部はもうもぬけの殻さ。残って戦っているのはユーラシアの部隊とアークエンジェルの様にあっちの都合で切り捨てられた奴らばかりさ!」
「俺達はここで死ねと、そう言う事ですか!」
「撤退した事を悟られない様に奮戦してな」
「ええ⁉︎」
「こ、こう言うのが作戦なの?・・・戦争だから、私達軍人だから、そう言われたら、そうやって死ななきゃいけないの?」
「ミリィ・・・」
ミリアリアの涙を見たマリューが決意する
「・・・ザフト軍を誘い込むのが戦闘の目的だと言うのなら、本艦は既にその任を果たしたものと判断致します!なお、これはアークエンジェル艦長マリュー・ラミアスの独断であり、乗員には一切この判断に責任はありません!」
「そう気張るなって」
「本艦はこれより現戦闘海域を放棄、離脱します!僚艦に打電、我に続け!機関全速!取り舵、湾部の左翼を突破します!」
「脱出もかなりキツイが、諦めるな。俺も出る」
「少佐!」
「心配しなさんな。忘れた?俺は不可能を可能にする男だって事を」
スカイグラスパーが出撃する
「もうゲートはくれてやったんだ。こっちは見逃してくれたって良いだろうが!」
グゥルに乗ったモビルスーツ達と交戦するスカイグラスパー
「今日こそ終わりだな!足つき!」
アークエンジェルの後方からデュエルがレールガンとミサイルを撃ち込む
「くそ!こんな時に!」
デュエルはスカイグラスパーのアグニを回避するとビームライフルを撃ち込み、ランチャーストライカーを撃ち抜く
「くそ!」
「艦長!」
「取り舵20!回り込んで!」
「10時の方向にモビルスーツ群!」
「もう駄目だ‼︎」
「落ち着け!馬鹿野郎!」
「ウォンバット撃て!機関最大!振り切れ‼︎」
「推力低下!艦の姿勢、制御出来ません!」
アークエンジェルの目の前に接近し、ブリッジに機関銃を向けるジン
撃ち抜かれるその直前に、上からビームライフルの射撃が飛んできてジンの機関銃を撃ち抜く
「何?」
その直後に上からすれ違い様にジンの頭部を切り落とされる
「え?」
「なんだ?」
「あのモビルスーツは⁉︎」
アークエンジェルの前に、舞い降りたフリーダムが翼を広げてアークエンジェルの前に姿を現す
「こちらキラ・ヤマト!援護します。今のうちに退艦を」
「おお!」
「キラ?」
「キラだよ!」
「キラ、君・・・」
キラの生存に歓喜しているアークエンジェルを背に飛び立つフリーダム。
「セナは出てないのか?でも今は僕のやるべきことを!」
キラのSEEDが発動する
フリーダムはマルチロックシステムを作動し、ザフト軍モビルスーツに狙いをつける。ハイマットフルバーストで多くのモビルスーツを無力化する。
「な⁉︎」
「くそなんだよアレは!」
「凄い・・・」
「これをキラが・・・」
「マリューさん、速く退艦を!」
「あ、本部の地下にサイクロプスがあって、私達は囮に、作戦なの、知らなかったのよ!だからここでは退艦出来ないわ!もっと基地から離れなくては」
「分かりました!」
「え?」
今までと違う、頼りになるキラの姿に少しだけ虚をつかれるマリュー達
「ザフト、連合両軍に伝えます」
「なんだ?」
「アラスカ基地はまもなくサイクロプスを起動させ、自爆します」
「え⁉︎」
「何⁉︎」
「なんだと⁉︎」
「両軍共直ちに戦闘を止め、撤退してください!繰り返します」
キラは戦争で人が死ぬ姿は見たく無かった。たとえそれが敵であっても変わらない、キラは誰も死なせない為に戦う事を決意していた。
「アイツ・・・」
「キラ君・・・」
「下手な脅しを‼︎」
後ろからデュエルがビームライフルを撃つがシールドで防ぐフリーダム
「デュエル!」
(アイツだけは許さないって、ここで落としてやるって・・・無我夢中だったの)
(デュエルを落とす。アイツだけは許さない)
セナの言葉がよぎるキラ
「エェェェェェェイ‼︎」
デュエルのサーベルをシールドで止めるフリーダム。すかさずデュエルは左手で殴りかかるがフリーダムは右手で容易く受け止める。
「止めろと言っただろ!死にたいのか!」
「何!」
至近距離のレールガンを回避するフリーダムだが頭突きを受け体勢を崩す。デュエルはビームサーベルで切り掛かるが飛んで回避してビームサーベルで切り掛かるフリーダム。
「うわぁ!」
「・・・ッ!」
デュエルのコクピットにサーベルが当たる直前でサーベルを下に下ろし、両足を切るフリーダム
「速く脱出しろ!もう止めるんだ!」
デュエルを蹴り落とすフリーダム。落ちるデュエルをディンが抱えて逃げだす。
「アイツ、何故・・・」
ザフト軍の包囲網を抜けたアークエンジェルとフリーダムが戦線を離脱し始める。その直後にサイクロプスが起動され多くのザフト兵と逃げ遅れた地球軍兵士が次々と犠牲になる。
「サイクロプス、起動!」
「機関全速!退避!」
サイクロプスから逃げる両軍。フリーダムは途中で逃げ遅れたジンの手を掴み引っ張って逃げ出す。やがて壊滅したアラスカ基地には何も残らなかった。離れた小島で停泊するアークエンジェルとスカイグラスパーとフリーダムとジン。キラはジンのコクピットからパイロットを降ろすと声をかける。
「しっかりしてください、大丈夫ですか?」
「君が、あのモビルスーツの・・・」
「はい」
「何故、助けた?」
「そうしたかったからです」
「ふ、殺した方が、速かっただろうに・・・」
息を引き取るジンのパイロット。キラは目の前で救えなかった命を前に悔しそうに拳を叩きつける。
「な・・・クッ、クソォ!」
「キラ・・・」
「本当に・・・キラ君なのね?」
「・・・はい」
キラを囲むアークエンジェルの乗組員
「キラ!」
「お前、一体どうして!」
「本当に、本当に幽霊じゃないんだな!」
「よく生きてた・・・お前」
「うん・・・お互い、お話しなくちゃならない事がたくさんありますね」
「ええ・・・そうでしょうね」
「ザフトに居たのか?」
キラが着ているのはザフトのパイロットスーツだった。それを着ている事はザフトに入ったのかどうかを問う意味でもあった。
「そうですけど、僕はザフトではありません。そしてもう地球軍でも無いです」
「分かったわ、とりあえず話をしましょう。あの機体は?どうすれば良いの?」
「整備や補給の事をおっしゃっているのなら今のところは不要でしょう。あれにはニュートロンジャマーキャンセラーが搭載されています」
「ニュートロンジャマーキャンセラー?」
「じゃあ、核で動いているって事!」
「そんなもんどっから!」
「データを取りたいとおっしゃるなら、お断りして僕はここを離れます。奪おうとされるなら敵対しても守ります」
「キラ君・・・」
「お前・・・」
「あれを託された僕の責任です」
キラの目に迷いは無かった。本気で地球軍とも、アークエンジェルであろうともフリーダムの秘密は守る。その覚悟がキラには出来ていた。
「分かったわ。機体には一切手を触れない事を約束します。良いわね?」
「ありがとうございます。こっちからも一ついいですか?」
「え、ええ・・・構わないわ・・・」
「セナは・・・どこにいるんですか?フレイとバジルール中尉も・・・」
キラの問いに誰もが気まずそうに目を背ける
「バジルール中尉とアルスター二等兵は転属してここには居ないわ・・・」
「セナは・・・あの時、デュエルと青いゲイツにやられて・・・」
「そんな・・・セナ・・・」
「オーブに救援依頼して、キラ君の行方と共に捜索してもらったのだけど、何も連絡が付かず・・・」
「くそ・・・セナ・・・」
セナが行方不明。その事実を聞かされたキラはやらせない思いでいっぱいになった。
「・・・命令なく戦列を離れた本艦は敵前逃亡艦ということになります。ならば、オーブに立ち寄ろうと考えています。セナさんの事も、これからの事も今は決められませんから」
「分かりました・・・行きましょう、オーブに」
先が見えない不安に全員が包まれていた。それでも希望があると信じアークエンジェルはオーブに向かい出した。
遂にフリーダムを登場させる事が出来ました。
アークエンジェル内の空気はセナがいなくて少し重くなっていますね・・・でもすぐに晴れると思います。