ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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今回はプラント側でのお話しが多くなっていますね


第三十話 信じるもの

プラントに帰還してきたアスランとエリス

周りはオペレーションスピットブレイクの話でざわついていた

 

「何この騒ぎ?」

「分からない・・・あ、ユウキ隊長!」

「ん?アスラン・ザラ!エリス・シルファまで!どうしたんだこんなところで?」

「いえ、それよりこの騒ぎは?」

「スピットブレイクが失敗したらしい」

「え⁉︎」

「嘘でしょ⁉︎」

 

前々から準備をしてきた作戦の失敗に驚きを隠せないアスランとエリス

 

「詳しい事はまだ分からんが、全滅との報告もある」

「そんな・・・」

「足つき以外でそこまでできる奴が地球軍にいる筈が・・・今の足つきでも不可能よ、そんなの」

「その筈なんだがな・・・アスラン、君にはもう一つ悪いニュースがある。極秘開発されていた最新鋭のモビルスーツが一機、何者かに奪取された。それの手引きをしたのがラクス・クラインだという事で今国防委員会が大騒ぎなんだ」

 

衝撃の事実にに手荷物を落としてしまうアスラン

 

「そんな・・・まさか・・・ラクスが、そんな・・・」

「それ、本当なんですか?」

「ああ、既に屋敷はもぬけの殻でな・・・総出で捜索しているらしいがな、まだ見つかっていない」

「ラクス・・・一体どうしてそんな事に・・・」

 

目に見えて動揺するアスラン

 

「アスラン、君にはザラ議長閣下から司令が出ている。奪われたフリーダムの確保及び破壊をな。関係している人間や施設も全て破壊せよとの事だ」

「関係した人間や施設までですか⁉︎最新鋭とはいえ、モビルスーツ一機の為に何もそこまで」

「フリーダムと君が受領するジャスティスには、ニュートロンジャマーキャンセラーが搭載されているとの事らしい・・・」

「ニュートロンジャマーキャンセラー⁉︎何故そんなものを!」

「戦争の早期終結の為に必要になったからだそうだ・・・だが、話しはまだ終わりじゃない。その最新鋭機のうち、最後の一機の設計図がクライン派の手によって奪われて紛失したというらしいんだ」

「最後の一機?」

「ああ、私も詳しくは知らないが、ザフトの最後の切り札になる機体で下手したら核兵器をも超える破壊力を出せるほどのヤバい機体らしいがな」

「核を超える⁉︎」

「なんなんです、その機体⁉︎めちゃくちゃですよ!」

 

プラントの人間なら、誰もが核兵器の恐ろしさを知っている。故にそれを超える力をモビルスーツが出す事はあり得ない、あってもいけないと思っていた。

 

「本当かは私も分からない。ただもし仮にその一機が地球軍の手で生み出されたとしたら・・・戦争どころの話しじゃない、プラントに住む全てのコーディネイターが滅ぼされるかもしれないんだ」

「そんな・・・わ、私があんな事言っちゃったせいで・・・そんな機体を・・・」

「君のせいではないよ、エリス。だが、それくらいおおごとになっている事は分かって欲しい」

「・・・分かりました」

 

部屋の椅子に座るキラ

 

(セナ・・・僕と同じように誰かに拾われたのか?分からないけど、生きているよね・・・)

「キラ、今大丈夫かしら?」

「あ、うん。大丈夫だよミリアリア」

 

部屋に入ってくるミリアリア

 

「突然ごめんね、キラ」

「いや・・・聞きたい事、あるんだよね?」

「うん・・・その、トールの事、何か・・・」

「ごめん!ミリアリア」

 

頭を下げるキラ

 

「え、キラ?」

「ごめんミリアリア。トールは、トールは・・・僕を助けようとして、それで・・・」

「キラ・・・ううん、キラが悪いわけじゃないわ。こっちこそ辛い事、聞いちゃったわね・・・セナも無事なのか分からないのに」

「いや、僕は大丈夫だよ・・・その」

「でもそっか、トールはもう・・・う、うぅ」

 

泣き出すミリアリア

 

「ミリアリア・・・」

「ごめんね、覚悟はしてた、つもりなんだけど、うう、うぁ、あぁ」

「ミリアリア・・・ごめん・・・」

「おい、キラここか?入るぞ」

 

ムウが部屋に入ってくる

 

「ここにいたかキラ。探したぞ、っと・・・悪い。用があったんだが、今はまずいよな」

「フラガ少佐。えっと・・・」

「グスッ・・・私に構わないでも、大丈夫ですよ、フラガ少佐」

「そうか・・・ちょっとキラ連れてくから、そこに居な。いいか?」

「はい・・・」

「行きましょう、フラガ少佐」

 

キラとムウが退室する

 

「俺からも言っておくがなキラ。あれはお前のせいじゃない。あまり気負いすぎるなよ」

「すいませんフラガ少佐。その・・・」

「悪いのは俺の方だ。トールやセナの事、助けにもいけなかったし、さっきはミリアリアにも・・・自分が情けないよ」

「そんな事は」

「お前は知らないだろうが、アラスカに着いてアークエンジェルの今までについて査問会が開かれたんだが、セナの活躍はすごく高い評価を受けていたよ。コーディネイター差別は酷いがな・・・悪い。こんなのキラに言っても良くないよな」

「いえ、あそこは地球軍の基地ですから。ああいう人がいるのは分かってますよ・・・でもまさか仲間すら簡単に切り捨てるなんて」

 

コーディネイター同士で戦う事に悩んでいたキラからすれば、同族を簡単に犠牲に出来る地球軍の上層部の人間性が信じられなかった。

 

「ああ、ほんと同じ軍人として恥ずかしいよ。だがあの場にセナがいなかったのは不幸中の幸いだったかもしれないな」

「え?どういう事ですか、フラガ少佐」

「アラスカ基地が攻められる前に俺とナタルとフレイに転属命令を出されてな。きっと邪魔者はサイクロプスで葬って、使える奴は残そうってつもりだろうがな。多分セナも引き抜きされただろうからな」

「そうなんですね・・・セナをそんな風には見て欲しくないですよ・・・でも」

 

セナの話題が出た事でキラへの用事を思い出すムウ

 

「おっと言い忘れていた。さっきオーブと連絡が取れてな。お前には一番に伝えないといけないからな」

「オーブと、何かあったんですか?」

「あの島でお前らの捜索をオーブに依頼したんだがな・・・既に見つかって保護されていたんだよ、セナが」

「セナが⁉︎本当ですか!」

 

セナの無事を知り安堵するキラ

 

「ああ、もう怪我が治ってモルゲンレーテの手伝いをしているらしい。良かったな、キラ」

「そっか・・・良かった」

 

荒らされたラクス邸を訪れるアスラン

 

「ラクス・・・」

 

草むらから気配を感じて振り向くアスラン

 

「テヤンデー」

 

ピンクのハロが飛び出す

 

「ミトメタクナイ」

「あ、待てハロ」

「マイド、マイド」

 

ハロを捕まえるアスラン

 

「ハロ・・・」

「ハロ、ゲンキ、オマエモナ」

「・・・まさか、あそこにいるのか?ラクス」

 

自宅のベッドで寝転がるエリス

 

「ニュートロンジャマーキャンセラーね・・・とんでもない事になっちゃったわ」

 

パトリックから通信が入る

 

「エリス、今、話しても大丈夫か?」

「大丈夫です、ザラ議長閣下」

「そう畏まらなくてもいいさ。君に直接感謝を伝えたかっただけなのだからな」

「感謝ですか?」

「ああ。君が評議会で発言した事がきっかけでニュートロンジャマーキャンセラーとそれを搭載した最新鋭のモビルスーツの開発をすることが出来た。お陰でザフトの戦力は大幅に向上した。君のお陰だ」

「いえ、私は何も。あれは結果的に勘違いでしたし」

 

自分の勘違いで事が大きくなった事に罪悪感を感じているエリス

 

「間違いと言うにはまだ早いのでは無いかな?実際フリーダムはラクス・クラインに手引きされ何者かに奪われ、最後の一機も製造前に設計図を盗まれたからな。それだけの力を奴らも求めているというのは明白だ」

「地球軍がニュートロンジャマーキャンセラーを求めている、という事ですか?」

「ああ。奴らの事だ。再び核の力を扱えるとなれば、迷わず核兵器をこちらに向けて来るだろう。戦闘力すらないコロニーであろうと構わずな。そういう奴らだ。ナチュラル共は」

「そうでしょうね。アイツらは何度も過ちを犯しながら、反省するということを知らない。だからこんな戦争をする事になる。ほんと、反吐が出ますよ」

 

パトリックはナチュラルに対して強い憎しみを抱いている。その気持ちはエリスも同じだった。

 

「中々言うじゃないか」

「失礼しました。議長閣下の前でこの様な言葉遣いを」

「いや、構わんよ。私も同じ気持ちだからな・・・奴らの所業を、許すわけにはいかんのだよ」

 

ラクスが隠れていると思われる劇場にやってきたアスラン

劇場内に入ると歌声が聞こえる

 

「ラクス・・・」

 

ラクスに近づくアスラン

 

「マイド、マイド、ラクス」

「あら、ピンクちゃん!やはり貴方が連れて来てくださいましたわね。ありがとうございます」

「ラクス」

「はい?」

「どういう事ですか、これは?」

 

直球に問いただすアスランにラクスは薄く笑いながら答える

 

「お聞きになったからここへいらしたのでは無いですか?」

「では本当なのですか!スパイを手引きしたというのは?何故そんな事を」

「スパイの手引きをしてはおりません。キラにお渡ししただけですわ。新しい剣を。今のキラに必要で、キラが持つのが相応しいものだから」

「キラ・・・何を言っているんです!キラは・・・アイツは・・・」

「貴方が殺しましたか?大丈夫ですキラは生きていますわ」

「う、嘘だ!一体どういう企みなんです⁉︎ラクス・クライン」

 

ラクスに銃を向けるアスランだが、手が震えている

 

「そんな馬鹿な話を、アイツは・・・アイツが生きている筈は無い!」

「マルキオ様が私の元へお連れになりました。キラも貴方と戦ったと言っておられましたわ。

 言葉は信じませんか?ではご自分でご覧になったものは?戦場で、久しぶりにお戻りになったプラントで、何もご覧になりませんでしたか?」

「ラクス・・・」

 

気づけばアスランの方が問いただされていた。そんな状態の中、アスランはラクスの言葉の意味を考えていた。

 

「アスランが信じて戦うものはなんですか?頂いた勲章ですか?お父様の命令ですか?」

「ラクス」

「そうであるならば、キラは再び貴方の敵となるのかもしれません。そして私も。敵だというのなら、私を撃ちますか?ザフトのアスラン・ザラ」

「俺、俺は・・・」

「ラクス様」

 

部屋に入って来る黒服の男達がやって来る

 

「ご苦労様でした。アスラン・ザラ」

「なんだと⁉︎」

「流石婚約者ですな。助かりましたよ」

「さ、お退き下さい」

「国家反逆罪の逃亡犯です。やむを得ない場合は射殺との命令も出ているのです。それを庇うおつもりですか?」

「そんな馬鹿な!」

 

横から男が一人撃たれる

その隙にラクスを連れて隠れるアスラン

後ろに隠れていたザフト兵に撃たれる黒服の男達

 

「ラクス様」

「ありがとうアスラン」

「もうよろしいでしょうか?ラクス様。我らも行かねば」

「マルキオ様は?」

「無事御立ちになりました」

「ではアスラン。ピンクちゃんをありがとうございました」

「マイドマイド」

「キラは地球です。お話しされたらいかがですか?お友達とも」

 

ラクス達が去っていく

 

「ラクス・・・」

 

オーブのオノゴロ島に入港するアークエンジェル

 

「私共の身勝手なお願い、受け入れて下さってありがとうございます」

「事が事ゆえ、クルーの方々にはまたしばらく不自由を強いるが、それは御了解頂きたい。ともあれ、ゆっくりと休む事は出来よう」

「ありがとうございます」

「地球軍本部壊滅の報から再び世界は大きく動こうとしている。一休みされたらその辺りのことをお話ししよう。見て聞き、それからゆっくりと考えられるのがよかろう。貴殿らの着ているその軍服の意味をな」

「・・・はい」

「だが、その前にまずは彼女の事が先だな」

「失礼します」

 

アークエンジェルのブリッジにセナが入って来る

 

「セナさん・・・無事だったのね」

「良かった、まさか幽霊とかじゃないよな?」

「少佐、それだったら笑えませんよ」

「はい・・・ご心配、おかけしました。その、キラとトールは?」

「僕は、生きているよ」

 

キラがブリッジに入って来る

 

「キラ!良かった、無事で」

「セナこそ・・・無事で良かった」

 

抱き合うセナとキラ

 

「良かった・・・一体どこに居たのよ」

「僕はプラントに居たんだ」

「プラントに⁉︎どういう事⁉︎」

「セナこそ、オーブに救助されていたなら、連絡くらい」

「そうね、すぐに見つかったと言うのなら、何故ここまで連絡が遅れたのかしら?」

 

セナが見つかったのは救助を初めてすぐであり、アークエンジェルはアラスカに到達する前だった。ザフトに基地を襲われる前に連絡を取り、セナの返却をするだけの時間は十分にあった。それなのに連絡をしてこなかった事をマリュー達は疑問に思っていた。

 

「セナが見つかった後ですぐにアークエンジェルに連絡を取ろうとしたんだが、何故か繋がらなくてな・・・その辺についても後で話しあおう。だが今はもう休まれた方が良いのでは?」

「そうですわね。ではまた後でお伺いします」




この時のラクスは切れ味が鋭いですね。
セナもキラ達と再会することが出来て、雰囲気が明るくなるでしょう。
ファーストステージシリーズの最後の一機の秘密はなんなのか。お楽しみに。まぁ出る順番を考えると最後の一機はアレなのですが・・・
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