宇宙に上がったアークエンジェルとクサナギ。クサナギは複数のパーツが合体して一つの戦艦へと変形した。
「クサナギのドッキング作業、完了した」
「カガリさんは?」
「大分落ち着きはしたが・・・色々あってな。泣くなとは言えぬよ、今は」
クサナギのブリッジに上がるキサカとマリューとムウ
「アークエンジェルと似ているわ」
「アークエンジェルが似ているのだ。親は同じモルゲンレーテだからな。宙域図を出してくれるか」
「はい」
「エリカ・シモンズ主任⁉︎」
クサナギのブリッジに居たエリカに驚くムウ
「こんにちは少佐。慣れない宇宙空間でのM1運用ですもの。サンシャインの事もあるしあたしが居なくちゃしょうがないでしょう」
「現在我々が居るのはここだ。知っての通り、L5にはプラント、L3にはアルテミスが居る。だからL4のコロニー郡に行こうと思うのだが」
「L4のコロニー郡に?」
「クサナギもアークエンジェルも当面物資に不安は無いが、無限では無い。特に水はすぐに問題になる。L4のコロニー郡は開戦の頃から破損し次々と放棄されて今では無人だが、水場としては使えよう」
「なんだか思い出しちゃうわね」
「大丈夫さ。ユニウスセブンとは違うよ」
クサナギに着艦するサンシャインとフリーダムとジャスティス。セナとキラとアスランは機体から降りると即座にカガリの部屋に向かっていった。
「カガリ」
「うぅ、セナ、ううぅ」
3人が部屋に入るとカガリは泣いていた。カガリはセナの姿を見つけるとセナに抱きつき涙を流す。
「大丈夫カガリ?その・・・ごめん、ウズミ様を、守れなくて」
「お前のせいでは無いさ。それは分かってる、分かってるが・・・」
「うん、今は我慢する事は無いよ・・・好きに泣いていいから」
セナに抱かれながら泣くカガリ。セナはカガリをあやしつつキラとアスランの方へ振り向き目で部屋を出る様に指示をする。
「セナ、その・・・俺達は」
「カガリの事、頼んだよセナ」
「うん、キラ達は行って。これからの事、考えないといけないからさ」
「うん、じゃあ後でね、カガリ」
キラとアスランが退室する。セナのアイコンタクト通りにここを離れ自分達は別にできる事をした方が良いと判断したからだった。
「悪いな、セナ」
「気にしないで良いよ。ウズミ様にカガリの事頼まれたし。何より友達だしね。それともキラかアスランの方が良かった?」
「いや、そういうわけじゃ・・・それにキラは、その・・・」
「ん?キラがどうしたって?」
「セナ・・・この写真、お父様に渡されたんだけど」
セナに双子の赤ん坊の写真を見せるカガリ
「これ・・・」
「セナ、お前はキラの姉だよな?一つ上の・・・じゃあ、なんで赤ん坊が二人居るんだ?それにセナやキラの母親と違うし・・・何よりこの金髪の子、これは多分」
「この子はカガリだよ。そしてこっちはキラだよ」
「セナ⁉︎お前・・・」
「まさかこの事実を教えられるのが私しか居ないから・・・だから意地でも私を・・・責任、重大じゃないですか、ウズミ様」
思わず頭に手を当てて考え込むセナ。ただでさえ自分も聞いた時にも驚愕して、しばらくどう接するべきなのか考え込んだ程だった。それを今のカガリやキラに伝えなくてはならない事に気づき、責任の重さに押しつぶされそうになるのを堪えるのに必死だった。
「なぁ!セナは何か知ってるんだろ!いつから、いつからだ!教えてくれよ!」
「あ〜その・・・長くなるよ」
クサナギのブリッジに上がるキラとアスラン
「マリューさん、遅れました」
「キラ君。カガリさんは、大丈夫なの?」
「はい、セナが見ています」
「そうなのね」
「L4に行くのですか?」
「ええ、廃棄されたコロニー郡が幾つもあるからそれらの内の何処かを拠点にと」
「L4にはまだ稼働しているコロニーも幾つかある」
話しを聞いていたアスランが知っている情報を抑える為に話に入る
「何?」
「え?」
「大分前だが不審な一団がここを根城にしている情報があって、ザフトが調査した事があるんだ。住人は既に居ないが、設備の生きているコロニーもまだ数機ある筈だ」
「そうなのアスラン?じゃあ決まりですね」
「ええ、そうね・・・」
アスランを一瞥するキサカとムウ。アスランが共に戦ってくれている事は知っておりある程度の信用はしていた。がそれとは別で確認しておかないといけない事もあると考えていた。
「しかし、本当に良いのか、君は?無論君だけじゃ無い。もう一人の彼もだが」
「少佐」
「オーブでの戦闘は俺も見ているし、状況が状況だしな。着ている軍服にこだわる気は無いが・・・だが俺達はこの先、状況次第ではザフトと戦闘になる事だってあるんだぜ。オーブの時とは違う。そこまでの覚悟はあるのか?君はパトリック・ザラの息子なんだろ」
「誰の子だって関係ないじゃないか」
カガリとセナがブリッジに入って来る
「カガリさん、もう大丈夫なの?」
「ああ、それよりも」
「軍人が自軍を抜けるっていうのは君が思ってるより、ずっと大変な事なんだよ。ましてやそのトップにいるのが自分の父親じゃあ・・・自軍の大義を信じていなきゃ戦争なんて出来ないんだ。それがひっくり返るんだぞ。そう簡単に行くか。彼はキラと違ってザフトの正規の軍人だろ。悪いんだけどな、一緒に戦うんならアテにしたい。良いのか?どうなんだ?」
「・・・オーブで、いやプラントや地球でも見て聞いて、思った事はたくさんあります。それが間違っているのか正しいのか、何が分かったのか分かっていないのか、それすら今の俺にはよく分かっていません。ただ自分が願っている世界は貴方方と同じだと、今はそう感じています」
「・・・しっかりしているね〜君は。キラとは大違いだ」
「え・・・昔からね」
「ほんと、よくキラの宿題手伝ってもらってたよね・・・」
「それは言わないでよ!」
「本当の事でしょう」
揶揄うセナに思わず真剣になっていた事を忘れて言い返すキラ
「ふふ」
「俺達がオーブから託されたものは大きいぜ」
「ええ」
「こんなたった2隻で、はっきり言って殆ど不可能に近い」
「そうね」
「でも、良いんだな?」
「信じましょう。小さくても強い火は消えないんでしょう?」
「プラントにも同じ様に考えている人はいる」
「ラクス?」
「ああ」
「あのピンクのお姫様?」
「アスランの婚約者だよ」
「え⁉︎」
「彼女は今追われている。反逆者として・・・俺の父に」
「ラクスが・・・」
プラントではパトリックの演説が流れていた。流れているパトリックの演説を止めるクルーゼ。
「ラクス・クラインには、議長も大分手を焼いておいでの様だな。よもやそれで我らに帰国命令が出たわけでもなかろう」
「しかし、私には信じられません。彼女が反逆者などと・・・」
「そう思う者がいるからこそ、彼女を使うのだよクライン派は。君達までがそんな事でどうするね?」
「様々な人間の思惑が絡み合うのが戦争よ。何と戦わなければならぬのか、常に考えないといけないのよ、イザーク」
「エリス・・・それはそうだが」
「まぁ、私には関係ないけどね。敵は、誰であろうと殺す。ナチュラルだろうとコーディネイターだろうと私の前に現れたなら、躊躇無く引き金を引く。たとえ相手が軍人でもない民間人でも、ただの歌姫であろうともね」
なんでも無い様に言うエリスに驚きを隠せないイザーク。以前の戦闘の時からエリスには何かナチュラルを、というよりは世界そのものに怒っている様に感じ、イザークはエリスのことを注意深く見ていた。
「お前・・・」
「エリス、アンタ・・・」
「そうでしょ?隊長」
「まぁエリスのは少し過激だが、その通りだよ。たとえ知っている者だとしても時には撃ち合うことになる。その可能性は頭に入れておけよ」
「それじゃ、失礼」
クルーゼとエリスが退室する
「エリスの奴、前から容赦無いとは思ってたが、どうしてあそこまで・・・」
自室に入るクルーゼと一緒にエリスも入室する。クルーゼは部屋に着くやいなや即座に自分の席に座った。
「良いのか?彼女をあそこに置いて」
「フレイもみんなも、あそこで殺り合う気ないでしょ?ここのみんなは私の嫌うバカな奴らじゃないし」
「私の前以外ではあまりそういうのは控えた方が良いぞ。分かっているだろうが、一応な」
「分かってるよ。それより、やっと二人きりになれたんだからさ」
クルーゼの膝の上に座るエリス。クルーゼによし掛かるエリスの顔は少しだけ上気しており、恥ずかしさもあるが、それよりも嬉しい気持ちの方が強い様だった。
「おいおい、もうそんな歳でも無いだろう?そういうのは好きな相手に」
「私は自分の意思でやってるんだよ。良いからそのままで」
「やれやれ・・・人に見られても知らんぞ」
「大丈夫、鍵はかけたから」
「いつの間に・・・色々と成長しているんだな、エリス」
エリスの頭を撫でるクルーゼ
「へへへ」
「まぁ偶にはいいさ。私も少し、リラックスしたいからな」
「癒される?私で?」
「ああ、エリスの前なら、私も素でいられるからな」
クサナギの通路で黄昏るアスラン
「アスラン」
M1アストレイの整備を終えたキラがアスランに声を掛ける
「キラ、もう良いのか?」
「うん。ある程度落ち着いたみたいだから、アークエンジェルに戻ろう」
「え?」
「どっちに居ても同じだけど、こっちM1アストレイでいっぱいだし」
「そうか・・・」
「アスラン?」
「キラ。ちょっと、良いか?」
キラとアスランの元にカガリがやってくる。その表情は何か複雑めいたものを感じキラとアスランは疑問に感じていた。
「え?カガリ、何かあるの?」
「あ、じゃあ俺・・・」
「あ、ちょちょちょ!良いから居ろって、いや居てくれ」
「どうしたのカガリ?」
「・・・コレ」
カガリが双子の赤ん坊の写真を渡す
「写真?誰の?」
「裏・・・」
カガリに言われた通りに写真の裏を見るキラとアスラン。二人はそこに書かれた文字を見て驚愕した。
「え、カガリ・・・え⁉︎」
「な⁉︎」
「クサナギが発進する時にお父様から渡されたんだ。お前は一人じゃない、兄妹もいるって」
「ど、どういう事・・・なの?」
「双子、って事なのか?」
「それは・・・」
「あ、それ見せちゃったの、カガリ?」
セナがキラ達に近づく
「セナ、コレって」
「もしかして知っているのかセナ?」
「うん。キラ、初めてオーブに寄った時の事覚えてる?」
「うん、確かその時にカガリのお父様と個人的に話しをって」
「その時にお父さんとお母さんも居てね。そこで二人の事聞いたの。ごめんね、今まで黙ってて。まだ整理出来て無かったからさ」
「あ、いや、大丈夫だよ・・・」
「俺は聞かない方が良いか?セナ」
「あ〜どっちでも大丈夫だよアスラン・・・コホン、全部知っているわけじゃないんだけど、キラとカガリの両親、もう亡くなっちゃっててね。ブルーコスモスに殺されたらしいけど、その前にお母さんに預けられたらしいの。でも双子がそのまま居たらキラがコーディネイターってバレるからってカガリを誰かに預けることにしたらしいの。で、それがウズミ様だったのよ。ウズミ様と私の両親と貴方達の両親がどういう関係かは聞いてないけど」
セナの口から聞かせられる真実にキラとアスランは驚きのあまり声も出なかった。カガリもまだ飲み込めておらず感情を整理するので精一杯だった。そんな3人の様子を見てセナは敢えて暗くならない様にいつも通りのテンションで話しを続けた。
「でもこれだけは言える。たとえ血が繋がっていなくてもカガリの親はウズミ様で、キラはお父さんとお母さんの子で私の弟。それだけは、変わらないよ」
「セナ・・・ありがとう。教えてくれて」
「うん・・・キラとアスランはアークエンジェルの方に行くんだよね?なら行きなよ」
「うん。けどセナはどうするんだ?」
「私はオーブ軍の兵士よ。それにウズミ様からカガリの事頼まれているのよ。大した理由も無しに離れるわけに行かないのよ
「そっか・・・分かった。また後でね」
「じゃあなカガリ、セナ。また後でな」
フリーダムとジャスティスがアークエンジェルに戻っていく
「キラ、良いのか?セナの奴、結構色々抱え込んでいるぞ」
「うん、でもセナはそれでも戦うのを止めないから。だから今は信じるしか無いんだ。僕も、セナの様に強くなって支えてあげたいから。今まで、僕は頼りっぱだったからさ」
キラはセナがアークエンジェルのパイロットをしていた時に自分の事を気にかけていた事を分かっていた。かつては余裕が無く気づく事ができなかったがセナが一人で抱えるには重いものを背負ってくれた事を理解しつつ逆に気遣いすぎるとセナの負担になる事も知っているので負担を減らす様に努める事にしていた。
「キラ・・・アークエンジェルに戻ったらシャトルを一機借りられるか?」
「アスラン?」
「俺は一度、プラントに戻る」
「え⁉︎」
「父と一度ちゃんと話しがしたい。やっぱり・・・」
「アスラン、でも・・・」
「分かってる!でも、俺の父なんだ」
「・・・分かった。マリューさん達に話すよ」
「済まない」
アスランの決意は堅かった。そしてキラもそれがただの思いつきじゃなく、悩んだ末の決断であると理解していた。故にアスランの意志を尊重して送り出す事にした。
さらっとキラとカガリの出生の秘密が明かされました。ここまで軽く扱って良いのか、少し不安になります。