「艦長!起きて下さい!」
どこかで呼ぶ声がする・・・でも私は
「起きて下さい!バジルール少佐!」
私は、取り返しの付かない事をしたんだ。今更どうしろと・・・それに、今起きたところで
「起きて下さい!ナタルさん‼︎」
・・・ああ、分かった。今起きるから
目覚めたナタルが見たのは、壊れかけのドミニオンの天井だった
サンシャインの一撃で爆発したドミニオンだが、完全には壊れておらず、残った部分の中でナタルは生き残っていた
「・・・まさかあの状況で生き残るとはな。それで、どうしたんだアルスター少尉?」
「どうしたじゃないですよ!でも良かったです・・・」
ドミニオンのブリッジでナタルに寄り添うフレイ
「君は、無事だったんだな・・・」
「危ないところでしたけどね・・・後ろから撃たれた時はやばいと思いましたけど、咄嗟にコクピットを脱出してなんとかってところですけど」
「そうか・・・他に生き残ったのは?」
「分かりません。私以外はこの艦には・・・オルガもクロトもシャニも・・・うぅ、なんでよ、みんなで生き残るって、戦争が終わったら私が引き取って、幸せにしてあげるって・・・うぅ、うぁ」
涙が溢れ出すフレイ
フレイを抱き、慰めるナタル
「うぅ、わた、私のせいで・・・私が、あの時・・・うぅ」
「君だけのせいじゃない。あまり自分を責めるな」
「でも・・・」
「君が考えて判断した事だ。彼らも納得したなら君たちに落ち度は無かった。それに大事なのは次どうするかだ・・・本当に彼らが大事なら、彼らの想いも背負って生きるんだ」
「ナタルさん・・・うぅ、うわぁぁぁぁぁぁん」
声を出して泣くフレイに寄り添いながら、ナタルはアークエンジェルの戦友と、仲間達の事を考えていた
(マリュー・ラミアス・・・済まない。もし許されるなら、貴女達に謝りたい。だが貴女達なら必ず生きていると信じています。セナ、君は今どうしている?・・・優しい君の事だ。きっと撃った事を気にしている筈だ。気にするなと言いたいが、会う事は出来ないだろうな・・・)
しばらくして、地球軍の艦に救助されたナタルとフレイは地球に帰還した
それから2年後
「私が、ファントムペインにですか?」
「ああ。君は第81独立機動群、ファントムペインに所属して、ガーティ・ルーと共に活動して欲しいんだが、良いな?」
「はっ。お任せ下さい。他の人員は?」
「それは後から伝えるが、ファントムペインの司令官は既に決まっている。入ってくれ」
「失礼します」
呼び出されて部屋に仮面を付けた男が入って来る
「この度ファントムペインの司令官になったネオ・ロアノーク大佐だ。よろしく」
「ナタル・バジルール中佐です。よろしくお願い致します、ロアノーク大佐」
握手するネオとナタル
「ああよろしく。それにしてもアンタが、あのヤキン・ドゥーエを生き残ったドミニオンの・・・頼りにしてるぜ」
「いえ、自分はただ生き残っただけです。あの時、私は何も・・・」
「そう謙遜するもんじゃないさ。あの戦いで生き残った、それだけでも凄い事だぜ」
「・・・あの、聞いてもよろしいですか?その・・・」
ナタルが言いにくそうに言葉を濁しているとネオは何かに気づいた様に話し出す
「ん?ああ、この仮面だろ?悪いけど、人前で外せないんだ。結構大きい傷があってな」
「そうでしたか、申し訳ありません」
「気にすんな。誰だって最初は気になるだろうしな。俺だってこんな奴いたらまず聞くさ」
「挨拶は済んだな。出撃はまだだが、お互い連携を取れる様交流を深めておくと良い」
「「はっ」」
ナタルとネオが退室する
通路を二人で歩いていると、しばらくしてネオから話しかける
「・・・そういえばアンタ、アイツらと共に居たんだよな?」
「アイツら?」
「ああ、ブーステッドマンの兵士達だよ。確か名前は・・・」
「オルガ・サブナック少尉、クロト・ブエル少尉、シャニ・アンドロス少尉です」
「そうそう。よく覚えているな」
気安く話しかけるネオにどこか面影を感じながら、表に出さない様に返答するナタル
「当然です。彼らも大事な部下でしたから」
「そうか・・・アンタも彼らを人として見るんだな」
「アンタも?」
「ああ。俺の部隊にもエクステンデッドが部下として入って来るんだが、アイツらと共に戦う時に、何か気をつける事が無いか、経験者に聞きたくてな」
(エクステンデッド。確か、新しい、強化人間の名称だったな。まだ我々はこんな事を・・・)
「・・・おい、聞いているか?」
一人考え事をして黙っているナタルにもう一度話しかけるネオ
「え?あ、申し訳ありません。少々考え事を・・・」
「まぁ、気持ちは分かるさ。同じ人間にあんなマネ、俺だって嫌さ。けど俺らが断ったら誰がアイツらを使うか分からないからな。それに最悪の場合」
「同じナチュラルの子を改造する癖にコーディネイターを人として認めないなんて・・・一体なんなんでしょうね、私達は」
「嫌な役割だよな。だが、それが俺達の役目さ。せめて、アイツらが元に戻れる日が来るまで面倒見てやりたいな。
話が長くなってしまったな、悪い。じゃあな」
「ええ、それでは」
ネオとナタルが別れる
「まだ、地球軍にも彼の様な人がいるのだな・・・」
「彼って誰の事です?」
「うぇ⁉︎」
突如後ろから声をかけられ驚いた声を上げるナタル
「ちょっと、そこまで驚かないでくれませんか」
「なんだ君かアルスター大尉。驚かさないでくれ」
「こっちも予想外ですよ・・・それでなんだったんです?」
「え、ああ。今度はファントムペイン所属になるんだが、その司令官と少し話していただけさ」
「ふ〜ん・・・というかファントムペインってアレじゃないですか?ブルコスの直属の奴でしょ。またなんでそんなとこに」
嫌悪感を隠さずに語るフレイ
「略すな。君は相変わらずなんだな」
「ええ、まぁそれほどでも」
「褒めて無いんだが・・・そういえば君の方はどうなんだ?」
「今はパイロット候補生を鍛えてるくらいですね。そういえば今度異動の話があるとかなんですけど・・・なんでしょうね?」
「そうか。まぁ君ならどこでもやっていけるさ。お互いに健闘を祈るよ」
「はい。そういえば今日は空いてます?」
「ん?今日はこの後予定は無いが」
「なら久しぶりに会えたんですから、一緒に食事でもどうですか?美味しいお店、知っていますから」
「そうだな。案内してくれ」
歩き出すナタルとフレイ
その翌日、フレイもファントムペイン所属となりナタルの下で二人のルーキーと戦う事になるのを、二人はまだ知らなかった。
ナタルとフレイですが、実は生きていました。少し無理がありますかね?
今後ネオをはじめファントムペインの一員として登場します。今後の彼女の活躍をお楽しみに。