「失礼します」
そう声を掛けた直後にエリスが部屋に入って来る。
部屋にある席に黒髪の男性が座っていた
「やぁ、久しぶりだねエリス。会えて嬉しいよ」
「それはどうも。それで何の用でしょうか、デュランダル博士」
「そう他人行儀な返し方は寂しいじゃないかエリス。もう少し軽い感じでも大丈夫だよ」
「いえ、そういう訳にはいきませんよ。貴方は私の命の恩人ですからね」
エリスは戦争終了直後はザフトの拘留場に居た。前大戦終了後ににラウ・ル・クルーゼによってニュートロンジャマーキャンセラーの情報が地球軍に渡った事、そのクルーゼと共に世界を終わらせようとしていた事。その二点がザフトによって調べ上げられ、戦死したクルーゼに変わりエリスに責任を取らせようとしていた。
しかしデュランダルの計らいによってニュートロンジャマーキャンセラー開発の立役者である事、クルーゼと共犯であったが共に戦闘していただけで具体的な犯行はクルーゼだけが行っていた事からエリスに責任追及はお門違いとし、エリスは無罪となった。
「構わんさ。私にとっても亡き友人の置き土産なのだからな、君は。といっても君達がそこまで進んでいた事は知らなかったがな」
「私は自分のやった事は後悔していませんよ。私にとって愛する人は、今もこれからも一人だけです」
クルーゼの事を愛しむ様に思い返すエリス
「そうか・・・」
「そんな事より、そろそろ本題に入りましょう。新型戦艦のモビルスーツ部隊の話しでしょう?」
「君にも話しが来ていたみたいだな」
「モビルスーツ部隊の隊長を私が務め、その部下に新人ルーキーを入れる・・・その為に今期入ったアカデミーの学生の育成をやれだなんて聞いた事ありませんよ」
(今更プラントの為なんて・・・ラウも居ないのに私が戦う理由なんて)
エリスは口では感謝しつつもデュランダルに対して余り良い印象は無かった。
元々エリスはクルーゼの犯行の責任を取る事を受け入れていた。そうなれば銃殺刑となり、クルーゼの後を追えると思っていた。
だがデュランダルに庇われて無罪となった以上、大きな借りが出来てしまい自分勝手な考えで死ぬ事も出来なくなり、ザフトの兵士として守りたいものも無いのに戦い続ける羽目になった事に心の中では憤っていた。
「うん。今の私が言うのもおかしいが、やってくれるかな?」
「私はザフトの兵士です。命じられたら拒否しませんよ。けど一体なんの考えがあってこんな・・・ただ私に忠実部下を作らせてまたクーデターを起こすとは考えないのでしょうかね?」
「今更君がする理由が無いだろ?私だけじゃなくほぼ全員が同じ見解さ」
「・・・引き受けますよ、その命令に。ですので今日からアカデミーの方に行ってきますよ」
「そうだね、忙しい中わざわざ悪かったねエリス」
「いえ・・・では失礼します」
エリスが退室する
「さて、あとは彼女の力でどれだけ成長してくれるか・・・そしてこの中に逸材がいるのかだが」
今期入ったばかりの学生達の一覧を見るデュランダル
「レイはまず入るだろうが、あとは・・・中々優秀な子が多いそうだが、特に目を引くのはこの子だな」
学生の中の茶髪の少女に注目するデュランダル
「まだ未成年なのにモビルスーツ操縦の才能は今の学生に負けていない、それどころか当時学生だったクルーゼ隊のエリート集団にも匹敵するとはな・・・彼女なら或いはだが彼女に兄がいる以上、彼女を戦場に出すのは難しいだろうな・・・」
通路を歩くエリス
「ん?おいエリス」
すれ違ったイザークに声をかけられるエリス
「何イザーク?私これから行くところあるんだけど」
「そうだったのか、悪い。特に大した用じゃないさ。ただすれ違ったから一言声をかけただけだ」
「そう・・・なら済んだわね、それじゃあ」
「あ!待ってくれエリス」
立ち去ろうとするエリスを呼び止めるイザーク
「・・・何?」
「あ、その・・・大丈夫なのか、お前?」
「大丈夫って何が?」
「・・・前回の大戦の事、お前の軍での現状、それとクルーゼ隊長の事だ。色々とお前の事軍に聞かれてな。それで逆にお前の事教えられたんだが」
「私の事ってどんな事?」
「クルーゼ隊長に拾われた子、だったんだよな。お前・・・」
少し目を逸らしながら申し訳なさそうに話すイザーク
「ああそういう・・・分かったでしょ。私がナチュラルを憎む理由、ラウ・・・クルーゼ隊長に協力していた理由が」
「・・・ああ」
「ならもう良いよね?どうせアンタもアイツらも汚れた私に興味は無いでしょ」
「汚れてない!そんな自分を卑下する様な真似は」
「・・・汚れているよ。あんな汚いの、思い出すだけで吐きそうになる。正直ラウが居なかったらいつ首でも吊って死のうとするか私にも分からなかったわね」
「エリス・・・何かあったら俺を頼ってくれ。お前よりは弱いだろうが、それでもお前は同じ同期なんだ!だから」
「記憶の片隅には置いておくわ。それじゃあ」
立ち去るエリス
「エリス・・・俺ではアイツを救えない。誰かアイツの心の穴を埋めれる奴が、居たら良いんだがな・・・」
アカデミーに向かっているエリス
(ラウ・・・私はどうしたら良いのかな?ラウの意思を継いで世界を終わらせたら良いの?ザフトとしてナチュラルのクズを一生相手するべき?私も愚かなナチュラルの様にセナに復讐すれば良いのかな?)
「ったく、私に今後どうしろと、痛っ⁉︎」
曲がり角で人とぶつかり共に倒れ込んでしまう
「痛た・・・すみません、大丈夫ですか?」
「痛て、何が・・・ん?」
違和感が感じたエリスが目を開けるとぶつかった黒髪の少年の手が胸に触れていた
「ちょっと!どこ触ってるのよ!」
「痛て⁉︎」
少年を突き飛ばすエリス
その後服の汚れを払いながら立ち上がる
「痛て・・・いきなり何するんだ!ですか!」
「こっちのセリフよ!いきなり胸触ってきやがって!」
「え、胸?・・・すいませんでした!」
「たく、わざとじゃないのは分かってるから、許すけど、次やったら撃つわよ」
懐から拳銃を取り出すジェスチャーをするエリス
それを見て震え上がる少年
「い、以後お気をつけて致します、です」
「何その敬語?まぁ良いわ。立てる?」
「はい、大丈夫です」
立ち上がる少年
「何急いでいたのかは知らないけど」
「アア‼︎やっべ、遅れる!」
走り出す少年
「え⁉︎ちょっと!」
「すいません、このままじゃあ遅れてしまうので!さよなら!」
「あ、とりあえず前向いていきなさい!・・・何やってるんだろ、私」
アカデミーに向かって歩き出すエリス
急いで走っている少年は先程出会ったエリスについて考えていた
(あの人には悪い事したな・・・怪我はしてなさそうだったけど、いやそれより綺麗な人だったな。それに胸・・・って何考えてるんだオレは!っていうかあの人は・・・あれ?なんか見覚えがある様な気が・・・なんだろう?)
駆け出す少年と歩いているエリス
二人が向かっている場所は同じアカデミーの校舎であった
エリスとあるキャラの出会いの話しでした。次はDESTINY編になります。