ミネルバの格納庫に入るインパルス達
コクピットから降りるアスラン達
「アスラン!」
アスランに駆け寄るカガリ
「・・・心配かけたか?」
「お前な、こういう事は事前に言ってくれよな」
「悪い・・・」
「・・・コホン、イチャコラは人目の無いところでやってくれますか、代表?」
「あ、悪い」
赤面してアスランから一歩離れるカガリ
「まぁ良いや。それよりアレックス、貴方はユニウス条約って知ってる?」
「あ、ああ・・・アレックスって」
わざわざアレックス呼びするエリスに嫌な予感を感じるアスラン
「知ってたか、それは良かった。説明の手間が省ける・・・まぁそのユニウス条約の一つにニュートロンジャマーキャンセラーの使用を禁ずるってのがあってね、それで私のジャッジメントは特殊な状況でも無いと出撃出来ないのよね。でもようやく私に普通の機体が来たのよね。ザクっていう良い機体がね」
先程までアスランが乗っていたザクウォーリアを指差すエリス
「どういう事なのかな?私のザクがもう乗れない程大破しているのだけど?さっきはあんなに綺麗な状態だったのに・・・誰の仕業かな?」
笑顔で話しかけているがどう見ても目が笑っていないエリス
「あ、その・・・すまない」
「んん、聞こえないねぇ?もっとはっきり言ったら?」
「あの、隊長・・・その辺で」
「別に私は怒ってないわよー強いて言うなら勝手に人の機体借りて出撃してみんな撤退する中一人残って無茶した挙句ボロ雑巾にして返した頭でっかちのアスラン・ザラに怒っているかな。アレックスはそっくりさんだからね」
明らかに機嫌の悪いエリスに冷や汗をかく一同
「ああ・・・シン!頼む。俺を助けろ!」
「はぁ⁉︎知らないっすよ!オレにどうしろと!」
「へぇ、いつの間に仲良くなったのシン?」
「いや別に!失礼します!」
その場を離れるシン
「おいシン!見捨てる気か!」
「自分でなんとかして下さいよ!」
「そう言わずなんとか!」
「どこへ行こうというのかな?」
シンの後を追うアスランと追いかけるエリス
「えっと・・・何アレ?」
「気にしなくて良いさ。俺は気にしない」
「でも、あんな楽しそうなお兄ちゃん久しぶりかも」
「そうなの?ていうかあれで良いのかな?」
ミネルバが着水の衝撃で揺れる
「うわ⁉︎」
「急に揺れたわね・・・着水?」
「その様だな。大丈夫でしたか、代表?」
「ああ。大丈夫だ」
「コラ待ちなさい!シン!」
「待ってくれ!わざとじゃないんです!」
走って逃げるシンと追いかけるエリス
「これで何回目よ‼︎今日はもう許さないわよ‼︎」
「だからわざとじゃないんだって!」
「え、なんだ?」
「ああ・・・いつもの奴ですよ」
「お兄ちゃん・・・」
「目の前で見たけど・・・そうはならないだろ」
アスランも戻ってくる
「あ、アスランさん・・・シンの奴、やらかしましたか?」
「ああ・・・」
「気にしないで下さい。いつもの事ですから」
「アスランさん!お願いです!助けて下さい!」
「・・・悪いな、俺はアレックス・ディノだ」
「ああ!この人さっきの仕返ししてる!大人気ないぞ!」
「このいい加減、食らえ‼︎」
「グヘェ!」
シンの背中にドロップキックをするエリス
その場に倒れるシン
「ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・」
「あの隊長。そろそろ戻りましょうよ」
「・・・そうね。行きましょう」
「行こう、カガリ」
「あ、ああ・・・」
倒れているシンを置いてその場を去るエリス達
「おーい、生きてるか?」
「いや、多分ダメだろうな」
「・・・勝手に殺すな」
「「あ、生きてた」」
ミネルバのデッキに上がるマユ達
「ここが地球ね・・・初めて来たわね」
「そっか。プラント出身は海見るの初めてだよね」
「マユはオーブ出身だったんだよね。って聞いて良かったかな?」
「ん?大丈夫だよ。家族で海に出かけた事もあるよ。楽しかったよ」
過去の思い出を懐かしむマユ
「そっか・・・ん?あれ」
アスランとカガリがマユ達に近寄る
「どうされましたか、二人共?」
「ああ、その・・・一つ聞いていいか、マユちゃん?」
「マユで良いですよアスハ代表・・・それよりなんですか?」
「そっか。ならマユは私やオーブの事、どう思っているんだ?」
「・・・私はそこまで・・・元々、私が落とした携帯を拾おうとしてお父さんもお母さんも亡くなったものだからさ。私は責める資格は無いわよ」
ポケットからピンクの携帯を取り出すマユ
「え?」
「でも、お兄ちゃんは変わってしまった。昔はあんな風に人に怒ったりしなかった。戦争に巻き込まれて、オーブが地球軍と戦う選択をして、そのせいでお兄ちゃんは・・・それだけは許せないとは思っています」
携帯を強く握りしめるマユ
「マユ・・・」
「でも気にしないで下さい。そうするしか道は無かった。そうでもしないともっと酷い事になっていた。ザフトに入って分かったんです。だから私はもう怒っていませんよ」
そう答えたマユの表情に怒りは感じなかった。寧ろ今までの苦労に対して労う気持ちがその一言に込められていた
「マユ・・・すまない、ありがとう」
深々と頭を下げるカガリ
「気にしないでくださいよ、アスハ代表」
「・・・シンが変わったって言ってたが、昔は違ったのか?」
「それは私達も初耳ね。アカデミー時代の時と比べたら今はマシですけどね」
「アカデミー時代よりマシ?あれでか?」
今までのシンの言動を思い返すアスラン
「そうなんですよ。昔は血まみれ」
「ルナマリア、その話はやめておけ。客人の前で、しかも本人の居ないところでそれは良くない」
レイに止められハッとした顔をするルナマリア
「あ、そっか。ごめんなさい」
「あ、いや別に。こっちは大丈夫さ」
物陰で聞いてたシンがその場を立ち去ろうとする
「良いのシン?話の輪に入らないで」
後ろから声を掛けるエリス
「・・・なんでさ?別に大した話じゃないし。ルナが言いかけたのも事実だし」
「マユとカガリが仲良くなってるけど、貴方は許せるの?」
少し目つきが荒くなるが、気持ちを抑えるシン
「・・・マユがどう思っていても関係ないさ。オレはオレ。マユはマユの考えがあるんだ。それにわざわざ自分で近づいて場を荒らす真似しないよ」
「そう・・・けど大丈夫?アーモリー1の時からずっと最前線で戦ってるけど、疲れてない?」
「そういうもんだろ、兵士なんだからさ」
「・・・辛いと感じたらすぐに言いなさいシン。無理する必要は無いのよ」
「・・・言ったらどうするのさ?」
「そうね・・・前みたいに膝枕でもしてあげよっか?」
「いつオレがしてもらったんだよ」
呆れ気味のシンと楽しそうに笑うエリス
「ふふふ、何、照れてるの?さっきは思いっきり揉んだ癖に」
「だからアレはわざとじゃ無いって!」
赤面しながら答えるシン
「ふふ、分かってるって。アンタじゃなけゃ発砲してたわよ」
「やめろよ、冗談に聞こえねーから」
オーブのオノゴロ島に着港するミネルバ
「カガリ!」
ミネルバから降りてきたカガリをユウナと多くのザフト兵が迎えにやって来る
「ユウナ⁉︎」
駆け寄り抱きつこうとするユウナを避けるカガリ
躱されて派手に転ぶユウナ
「痛て、酷いじゃないかカガリ」
「え?あ・・・悪い。急に来たからつい」
「これユウナ。気持ちは分かるが場を弁えなさい。ザフトの方々が驚かれておるぞ。
おかえりなさいませ代表。漸く無事な姿を拝見する事ができ、我らも安堵致しました」
「大事の時に不在で済まなかった。留守の間の采配、ありがたく思う。被害の状況など、どうなっているか?」
「沿岸部などは大分高波にやられましたが幸いオーブに直撃は無く、詳しくは後ほど行政府にて」
「分かった・・・」
(高波か・・・あそこは大丈夫なのか?いや、今は避難出来ていると信じよう)
「ザフト軍ミネルバ艦長、タリア・グラディスであります」
「同じく副長のアーサー・トラインであります」
ウナト達に敬礼するタリアとアーサー
「オーブ連合首長国宰相、ウナト・エマ・セイランだ。この度は代表の帰国に尽力頂き感謝する」
「いえ。我々こそ不足の事態とはいえアスハ代表にまで多大なご迷惑をおかけし、大変遺憾に思います。またこの度の災害につきましてもお見舞い申し上げます」
「お心遣い、痛み要る。ともあれ、まずはゆっくりと休まれよ。事情は承知しておる。クルーの方々もさぞお疲れであろう」
「ありがとうございます」
「まずは行政府の方へ。ご帰国早々申し訳ありませんが、ご報告せねばならぬ事も多々ありますので」
「ああ、分かっている」
その様子をミネルバから見ていたマユ達
「オーブには着いたけど・・・この後どうするのかな?」
「どうするって・・・私達は月艦隊の部隊でしょ?また宇宙に上がると思うわよ」
「それはそうなんだろうけど・・・」
「でも、せっかくここに来たのなら少しくらいは休暇欲しいよな」
「そうよね。でもそんな余裕あるかしら?」
「ミネルバはしばらく修理作業ですぐに動く事は無い筈だ。少しくらいなら上陸許可は出るだろう」
「なら私、お父さんとお母さんのお墓参りに行きたいんだけど・・・」
「行けば良いわよ」
エリスが後ろから声をかけて来る
「艦長達に聞いて来たけど、少しなら出ても大丈夫そうよ。激しい戦闘で疲れているでしょみんな?ゆっくり羽を伸ばしなよ」
「ありがとうございます隊長」
「先に行っても良いわよマユ。貴方達も。シンには私から声を掛けておくわ」
「分かりました。行こうマユ」
「うん」
モルゲンレーテで修復作業を受けるミネルバ
「ええそうね。まぁ艦体の方はモルゲンレーテに任せて大丈夫でしょう。でも艦内は全て貴方達でね」
「ええ」
「資材や機器も貸してくれるという事だから。ちょっと入念に頼むわ」
「でも良いんですか艦長、本当に?補給はともかく、艦の修理等はカーペンタリアに入ってからの方が良いのではと自分は思いますが」
「でも機密よりは艦の安全、ですものねやっぱり。艦、それも戦闘艦は特に常に信頼出来る状態でないとお辛いでしょ?指揮官さん」
タリア達に近づくマリュー
「誰?」
「あ、失礼しました。モルゲンレーテ造船課Bのマリア・ベルネスです。こちらの作業担当をさせて頂きます」
「艦長のタリア・グラディスよ。よろしく」
笑顔で握手するタリアとマリュー
「ミネルバは進水式前の艦だと聞きましたが、なんだか既にだいぶ歴戦の感じですわね」
「ええ、残念ながらね・・・私もまさかこんな事になるとは思っても無かったけど。ま、仕方ないわよね。こうなっちゃったんだから」
「ふふ、そうですね」
「いつだってそうだけど、まぁ先の事は分からないわ。今は特にって感じだけど」
「そうですわね」
「本当はオーブも、こうやってザフト艦の修理になんか手を貸していられる場合では無いんじゃないの?」
「・・・まぁ、そうかもしれませんけど・・・でも同じですわ。やっぱり先の事は分かりませんので、私達も今は今を持って信じた事をするしか無いですから。後で間違いだと分かったら、その時はその時で泣いて怒って。そしたら次を考えます」
「ま、そうね」
ミネルバ艦内でシンを探すエリス
「シンったら・・・どこに居るのよ?部屋にも居ないし・・・ん?」
シュミレーター室でモビルスーツでの戦闘訓練をしているシンを見つけるエリス
ちょうどシュミレーターが終わり、立ち上がるシン
「ふぅ・・・」
「お疲れ様。こんな時も訓練なんて模範生ね」
「エリス、隊・・・今は一人か?」
「ええ・・・上陸許可、出てるわよ。出ないの?」
「後で良いよ。オレは」
「急にどうしたのよ?」
「・・・ユニウスセブンでの戦闘の時、オレはアイツらに苦戦してた。けどエリスはあっという間にガイアとイージスみたいな奴を追い返しただろ」
「まぁ私の場合は機体の性能差があるからね」
「それにアスランさんとジュール隊長もザクでカオスとアビスを撃退していた。改めてパイロットとしての技量差を感じたよ」
目つきが鋭くなり、悔しそうな顔をするシン
「そりゃあ経験の差があるもの。でもシンは凄い方だよ」
「え?」
「私が戦場に出たばかりの頃は、プロトに何度も撃退されていたわ。人数はこちらの方が多いにも関わらず」
「エリスが・・・苦戦してたのか・・・」
「それにアスランもイザークも同じ性能のストライク一機に複数で攻撃して返り討ちにあってたわ。イザークなんて顔に傷まで付けて・・・あの時はお互い、若かったわね」
「いや、今も若いだろ・・・」
「だから私達が新人の時と比べたら、貴方は良くやっているわ。同性能の機体を複数相手にして、自分も仲間も守っているんだから。謙遜することは無いわよ」
シンの頭を撫でるエリス
「エリス・・・」
「今は休みなさい。ご両親のお墓、あるんでしょ?マユはルナマリア達ともう行ったわよ」
「・・・分かったよ。エリスはどうするんだ?」
「私も後で行くわ」
車を走らせるアスラン
「・・・ん?キラ?」
浜辺で子供達と遊ぶキラとラクスを見つけ近くに車を止めるアスラン
「・・・アスラン?」
「ああ、アスランだ!」
「違うよ、アレックスだって」
「アスランだよ!」
子供達に囲まれるアスラン
「あ、ちょっと。ふふ、元気だな」
「君も元気そうだねアスラン」
「お帰りなさい。大変でしたわね」
「君達こそ。家流されてこっちに来てるって聞いたが、大丈夫だったか?」
「まぁね・・・全員無事に避難出来たから、まだ良かった方だけど」
「そうか・・・」
「積もる話しでもあるのでしょう?子供達は私が相手しますわ。皆さん、こっちで遊びましょう」
「「「はーい」」」
ラクスが子供達を連れて離れる
「セナは?」
「出かけたよ。何かしたい事があるらしいからって」
「したい事?」
「なんなのかは言ってくれなかったけどね。カガリは?」
「行政府だ。仕事が山積みだからな」
「そっか」
「・・・あの落下の真相は、もう知っているんだろう?」
「うん・・・」
「連中の一人が言ってたよ。撃たれたもの達の嘆きを忘れて、何故撃ったもの達と偽りの世界で笑うんだお前等はって」
悲痛な顔で語るアスラン
「・・・戦ったの?」
「戦うつもりで出撃したわけじゃない。ユニウスセブンの破砕作業に出たら、彼等が居たんだ」
「そうなんだ・・・」
「・・・お前なら、どう返していた?彼等に」
「アスラン?」
「セナなら・・・どうしてたんだろうな?俺は・・・何の為に」
「アスラン・・・君も疲れているでしょ?休みなよ」
「・・・ああ」
街に出ているマユ達
「花はこれで良いとして・・・というか良いの?せっかくの休暇なのに私に付き合ってもらって」
「良いのよ。マユを一人には出来ないでしょ。それにアンタ達の事、聞いちゃったんだもの。放っておけないわよ」
「ルナ・・・」
「それに休暇は一日だけじゃないし、買い物は次の日でも大丈夫だからさ」
「メイリン・・・ありがとう、二人共」
「行きましょ、マユ」
花を抱えて歩き出すルナマリア達
「それにしても知らなかったな。マユとシンにそんな事があったなんてね」
「言わなかったからね。あの時は私もお兄ちゃんも心の整理が出来て居なかったからね」
「そりゃそうよね・・・ってわ⁉︎」
話しに夢中になって前を見ていなかったルナマリアはオレンジの髪の少女とぶつかりお互いに倒れてしまう
「あたた・・・すみません、大丈夫でしたか?」
倒れ込んだオレンジの髪の少女に手を差し出すルナマリア
「痛て・・・あ、ごめんなさい。前見てなかったみたい。怪我はないですか?」
「あ、はい。こっちはなんとも・・・」
ルナマリアの手を借りて立ち上がるオレンジの髪の少女
「ありがとう・・・ぼーとしちゃっていたみたいね」
オレンジの髪の少女の事をまじまじと見つめるマユとメイリン
「あの・・・私が何か?」
「ああ、いえ!その・・・綺麗な人だなって思いましてつい・・・スタイルも良いですし」
「あら、ありがとう。貴女達も可愛いわよ。それよりも、どこか行くところあるんでしょ?」
「はい、失礼しました」
「うん。なら私も失礼するわ」
オレンジの髪の少女が立ち去る
「オーブの人なのかな?名前、聞くの忘れたな・・・」
「そうね・・・ってマユ?どうしたのよそんな顔して」
「う〜ん・・・だめだ、思い出せない。どこかで会った気がするんだけどね・・・いつだったかな?」
自分の記憶を思い返そうとするマユだったが思い出す事はできなかった
「え?あの人知り合いなの?」
「多分会った事がある・・・気がする」
「ふ〜ん・・・まぁ良いわ。それよりも、急がないと日が暮れるわよ」
再び歩き出すマユ達
世界情勢が動き出す中、彼女達は僅かな休日を過ごしていた
シンの過去については少しオリジナル設定が入ります。今後をお楽しみに