ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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更新が出来ない日が増えてしまいました。キャラや勢力が増える事で描かないといけないものが増え、毎日投稿が中々出来なくなってしまいました。申し訳ありません。


第八話 開戦の予感

翌日

プラント行きのシャトルに乗ろうとするアスランと送迎に来たカガリ

 

「・・・本当に行くんだな、アスラン?」

「ああ・・・俺にも何か出来る事が無いかずっと考えてたんだが、これくらいしか思いつかなかった・・・」

「そうか、何かあったらすぐ戻ってこいよ」

「分かっているさ。それと・・・ユウナ・ロマとの事は分かってはいるが」

「へ?」

 

カガリの左手の薬指に指輪を嵌めるアスラン

国の代表に渡すにしては少し安上がりの庶民的な指輪ではあったが、それにはアスランの想いが込められていた

 

「え?ええ⁉︎」

「・・・受け取ってくれるか?」

「お、おま、いや、その・・・こういう指輪の渡し方って無いんじゃないのか?」

「悪かったな。急に用意したんだから、そんなのしか見つからなかったんだ」

「いや、指輪に不満があるわけじゃなくてだな、こういうのは・・・ふふ、お前らしいな」

 

指輪を眺めながら微笑むカガリ

たとえ遠く離れていても、心は側にいる。そんなアスランの想いがカガリには十分伝わっていた

 

「気をつけてな。連絡よこしてくれよな」

「カガリも。頑張れよ」

「ああ・・・ん」

 

目を閉じて顔を差し出すカガリ

頬を赤くしながらカガリにキスをするアスラン

 

「じゃあ、行って来る」

 

アスランを乗せたシャトルが上がって行く

 

「アスラン・・・私は、私のやるべき事をやってみせるさ」

 

慰霊碑を訪れたシン

辺り一面に犠牲者を弔う為に植えられた花が咲いていた

 

「父さん・・・母さん・・・」

 

目に涙が浮かぶシン

シンの心には行き場の無い怒りと理不尽に奪われた悲しみでいっぱいだった

そんな姿を誰にも、マユにさえ見せたくなくて一人で行くと決めていた

シンは未だに心の傷を一人で抱え込んでいた

 

「・・・ん?」

 

人の気配を感じて振り向くシン

花束を持っているキラとラクスがやって来た

 

「ここ、慰霊碑なんだよね?よくは知らないんだけど・・・」

「そうなんですか?なら貴方達はどうして?」

「昨日ここを訪れた女の子達を見かけましてね。それで私達もと・・・」

「女の子達・・・」

(マユ達の事か?もう来ていたんだ・・・マユはもう前に進めているんだな。オレと違って・・・)

 

慰霊碑に花を置くキラとラクス

 

「綺麗に咲いていますね」

「うん。でもせっかく咲いたのに波を被ったから、また枯れちゃうね」

「・・・誤魔化せないって事かも」

「え?」

「幾ら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす」

「君・・・君もあの戦争で?」

「ええ・・・すいません、もう行きます」

 

シンが振り返り、その場を去る

その後ろ姿を眺めているキラとラクス

 

「彼も、あの時どこかにいたのかな?」

「それは分かりませんわ。とても悲しそうな顔をしていましたわね」

「うん・・・」

 

街中を歩くエリス

 

「前来た時とは変わったわね・・・そりゃそうよね」

「あれ、隊長?こんなところで何してるんですか?」

 

買い物をしていたルナマリア達が近寄って来る

 

「貴女達、外で隊長は止めた方が良いわよ。任務中じゃないんだから」

「あ、そっか。すいません」

「まぁ次から気をつけてね・・・それよりも凄い荷物ね」

 

ルナマリアとメイリンは両手いっぱいに荷物が出来るほど買い物をしていた

マユも両手で荷物を抱える程買い物をしていた

 

「オーブってこんなに服の品揃え良かったんですね。ついつい買ってしまいまして」

「私、色々サイズが合わないのが増えてしまってたので・・・上下揃えられて良かったです」

「隊、エリスさんは何か買ったんですか?」

「いや、食べ歩きしたくらいで服は特には・・・オシャレには興味無いからさ」

「ええ⁉︎そうなんですか⁉︎」

「せっかく綺麗なのに・・・」

「・・・ならさエリスね・・・エリスさんの服、買いに行かない?」

「え?」

「それ良いわねマユ!じゃあ行きましょうよ」

「え、ええと・・・」

「ほらほら、せっかくの休暇ですよ。行きましょう」

 

ルナマリアとメイリンに両腕を引っ張られるエリス

 

「あ、貴女達。そんな急がなくても」

「何言ってるんですか。休暇は有限なんですから」

「美味しいスイーツのお店、見つけましたから後で寄りましょうよ」

「ああ、分かったから。引っ張らないでよ」

 

山道を訪れたシン

 

「・・・ここは変わらないんだな」

 

それはあの日家族と共に逃げていた時に両親が流れ弾に巻き込まれあの道だった

あの日のままの状態で残っていたこの場所には戦争の爪痕が深く刻まれていた

 

「・・・ここだ」

 

両親が倒れていた場所に花を置くシン

 

「・・・なんで、こんな・・・」

 

シンの心には様々な感情が渦巻いていた。あの時の犠牲者を弔う為の慰霊碑には花を咲かせていたのに、街は復興して元の状態になったというのに、両親と逃げていたこの道だけはそのままだった。

それが両親の死がオーブにとって大した事じゃない・・・犠牲者を弔い街を直してそれで前に進んだ気になって、死んだ人達と本気で向き合っていない様にシンには感じられた。

 

「・・・何を期待してたんだよ、オレは」

「あれ?こんなところに来る人が居るんだね?」

「え?」

 

後ろから声が聞こえて振り返るシン

相手の顔は夕陽のせいで見えなかったが、声とシルエットから女の人だと分かった。

 

「えっと・・・」

「あ、ごめんね。邪魔だったかな?」

「いえ・・・貴女は?」

「私?ここにはなんとなく来ただけだよ」

「なんとなく?」

 

ここまでの道中は険しい山道でなんとなくで来る様な場所では無い。

それも女性が一人で私服でここまで来たのだ。登山が趣味なのか、よほど体力に自信がないとここに足を運ぶ人は居ない。もしくはよほどの事情があるのか・・・自分と同じなのかとシンは考えていた。

 

「オーブが地球軍に攻められた時にね、ここに避難している人がいたって聞いてね、その人達がどうしてるか気になってね」

「・・・ここに来ても分からないでしょ」

「そうだね・・・ごめん」

「謝る事は無いですよ」

 

自分とは違って家族を亡くしたわけじゃない、けど何か大切なものをなくしている。そんな風に感じた。

 

「結局、私は何をしていたのか・・・何をしたかったのか、分からなくなっちゃってね」

「・・・オレもそうですよ」

 

だからだろうか。気づいたら怒りも悲しみも共有できる、そんな気がしてつい思ってた事を吐き出していた

 

「あんな事繰り返したくない、そう思って守れる力を欲していたけど、多分オレが欲しかったのはそうじゃないと思ったんです」

「それは何?」

「・・・多分、守って欲しかったんです。あの日の時に・・・でも」

「そっか・・・辛い思いをしたんだね」

「はい・・・でも辛いのは貴女もでしょ?」

「私は・・・もう分からなくなっちゃったな。自分が辛いのかどうか」

 

夕陽に染まった空を見上げる女性

その表情はよく見えなかったが、どことなく悲しそうな気配を感じていた

 

「・・・貴女には誰か家族、いるんですか?」

「うん、両親も弟もいるよ・・・君は?」

「オレにはまだ妹がいますよ・・・家族、大事にしてあげてください」

「うん。分かった」

 

来た道を戻ろうとするシン

更に奥に進もうとする女性

 

「・・・え⁉︎」

 

女性とすれ違った時、僅かに女性の顔が見えたシン

オレンジの髪を風にゆらめかせながら歩く女性、その顔に見覚えがあり、振り返るが女性はそのまま歩き出していた

 

「・・・今のって・・・」

 

その顔には見覚えがあった気がするが、一瞬の出来事故に確信は持てなかったシンは、再び歩き出した。いつかまた、会えた時に聞いてみよう、そう決意して・・・

 

プラント政府

 

「全くもって話にならん。一体どう言ってやれば、彼らに分かるのかね?」

「何を言ったって分からないんじゃないんんですか、そもそも最初から」

「そんな気など無かった様にも思えます。これでは」

「何を今更テログループの逮捕引き渡し等と、既に全員死亡しているとのこちらの調査報告を大西洋連邦も一度は了承したではありませんか!」

 

白熱する議員達。それもそのはずだった。ユニウスセブンの破砕作業にテログループの撃退。更に被害国への支援等もして地球の為に出来るだけの事はしてきた。それにも関わらず、突如テログループの引き渡しに賠償金や武装解除、連合理事国の最高評議会監視委員の派遣など、プラントに対して不利となる要求をいきなり突きつけて来たのだ。憤るのも無理はなかった。

 

「とても正気だとは思えんな」

「奴らだって、こちらが聞くとは思っていないでしょうよ。とにかく口実が欲しいんですよ。プラントと戦う為のね」

「例によって、プラントを撃ちたい連中が煽っているのでしょう。宇宙にいるのは邪悪な地球の敵だとね」

「全く、度し難いな・・・」

「しかし、幾らなんでもこれは無謀です!連合は、本気でこのまま戦端を開くおつもりでしょうか?今そんな事をすれば寧ろ彼らの方が」

「従わなければそうすると言っているだろうが、現に!」

「月の戦力は無事らしいし、被害が大きかったのは赤道を中心とした地域ばからだ」

「大西洋連邦とユーラシアは元気なものさ。だから戦える」

「しかし、これはあまりにも」

「やると言っているのは奴らだ!我々じゃない」

 

戦う気満々の連合に困惑している議員達

その中で一人、冷静だったのはデュランダルだけだった

 

「議長、どうされますか?こちらが弱腰では舐められますよ?」

「それは分かっています。あんな不当な要求には応えてませんし、再び争う気も無い。けど奴らは既に戦う気の様ですな。我らの最新鋭機の強奪までしてまで戦力を集めていましたからね」

「最新鋭機って、アーモリー1の強奪も奴らが⁉︎」

「ええ、こちらをご覧下さい」

 

カオス、アビス、ガイアと共に戦うエクストラとスクラッシュの姿が映し出される

 

「これは、イージスとストライク⁉︎」

「ええ、これらは元々地球軍のモビルスーツでしたからね。発展型も作るのは難しくないでしょう」

「やはりか。戦う準備が出来たから無理矢理に口実を作ろうと」

「汚い連中ですな」

「ええ、そしてその口実に今回の出来事はうってつけだった。だからこそ破砕作業を完遂されたく無かった、邪魔をしてきたと言うわけですよ」

 

カオス達がザフト軍の機体とメテオブレイカーを攻撃する映像が流れる

そこには意図してテロリスト達を攻撃している映像は外されていた

 

「これは⁉︎」

「我らの邪魔をしている⁉︎」

「ええ。そうして確実にユニウスセブンを地球に落とし、被害者を作る。そうした怒りを全てプラントにぶつける気の様ですよ、彼らは」

「なんて奴らだ!」

「あいつら、自分達以外の事はなんとも思って無いって事か!」

「人としてありえん!化け物など、そちらの事じゃないか!」

「けど、これでは我らが幾ら争いを回避しようとも、無意味ではないか!」

「落ち着いて下さい、みなさん。彼らの煽りに乗ってしまったら、それこそ奴らの思う壺です。連合が何を言ってこようが、我々はあくまで対話による解決の道を求めて行かなければなりません」

「しかし議長!連合は戦う気なのです!攻められてからじゃあまた」

「無論、ただ黙って無抵抗でいるつもりはありませんよ。然るべき対処はしますよ」

 

プラントに連合の部隊が攻めてくる

 

「奴らめ・・・もう来たのか!」

「プラントに手を出させるな!ここで食い止めるぞ!」

 

ザフトの防衛部隊も出撃する

連合とザフトの戦闘が始まる

 

「結局はこうなるのかよ、やっぱり・・・

 こちらジュール隊、イザーク・ジュール、出るぞ」

「ジュール隊、ディアッカ・エルスマン、ザク、発進する」

「ジュール隊、シホ・ハーネンフース、出ます」

 

ジュール隊も出撃する

 

「良いか、周りに警戒しとけよ。以前の様にプラントを狙う部隊が居るかもしれないからな」

「「了解」」

 

地球軍奇襲部隊がプラントへの攻撃準備を進めている

 

「本隊、戦闘開始しました」

「よし、予定通りだな。こちらも行くぞ」

「この青き清浄なる世界にコーディネイターの居場所など無いという事を、今度こそ思い知らせてやるのだ!」

 

核ミサイルを搭載したウィンダムの部隊が出撃する

 

「アイツら、またあんなものを・・・行くぞ!」

「了解!」

「了解!今回も守ってみせるぜ!」

 

青ザクファントムと黒ザクウォーリアとシホのザクウォーリアが味方機と共にウィンダム部隊の元に向かう

 

「全システム、ステータス正常。量子フレネル、ターミナル1から5まで波源座標オンライン。作動時間7秒。標的を追尾中」

「一発勝負だぞ。最大まで引きつけろ、良いか!」

「フルチャージオンライン。ニュートロンスタンピーダー起動」

 

核ミサイルが放たれる

 

「まずい⁉︎間に合わん!」

「くそぉ!」

「スタンピーダー照射!」

 

ニュートロンスタンピーダーから照射された電磁波で、撃たれた核ミサイルや撃つ前の核ミサイル、積んであった核ミサイルまで核分裂を引き起こし、連合の奇襲部隊を全滅させた

 

「なんだ⁉︎一体何が?」

「核ミサイルが全部落ちやがった・・・」

「隊長、今のは一体?」

「俺にも分からない。だがまだくるかもしれん。警戒は怠るなよ」

 

プラントにやってきたアスランはデュランダルとの面会を望んでいたが、デュランダルは中々現れなかった。連合による核攻撃と、その撃退に追われていた為に仕方のない事だったのだが、アスランはこの時外で何が起こっているのか知る術が無かった。

 

「・・・遅いなデュランダル議長。やはり忙しいのか?」

「・・・ええ、大丈夫。ちゃんと分かっていますわ。時間は後どれくらい?」

 

ふと話し声が聞こえて耳を傾けるアスラン。その声は聞き覚えがあった。つい最近、オーブで少しだけ話した彼女の声と、瓜二つの声だった。

 

「え⁉︎」

「ならもう一回確認出来ますわね」

「ハロ、ハロ、アーユーオーケー」

「ラクス⁉︎」

 

階段の上で話しているラクスそっくりの女性を見つけるアスラン

女性もアスランの姿を見るなり、駆け寄ってくる

 

「アスラン!ああ、嬉しい!やっと来てくださいましたのね!」

 

アスランに抱きつく女性

 

「な⁉︎ええ⁉︎君がどうしてここに?」

「ずっと待ってたのよ私。貴方が来てくれるのを」

「ラクス様」

「ああ、はい。分かりました。ではまた」

「あ、ああ・・・」

 

立ち去る女性の後ろ姿を見送るアスラン

 

「・・・一体何が、どうなっているんだ?」

 

彼の頭の中は様々な出来事が重なり、整理できていなかった




シンとマユの間で、あの日両親を喪った時の心のダメージに差ができています。
マユの場合は怪我をした時に意識不明の重体になったが故に、両親の死んだ姿を見ていない事。自分の我儘のせいで逃げ遅れたなどが重なり、どちらかと言うと同じ過ちを繰り返さない様にするという思いが強くなっています。
シンはある日突然理不尽に奪われた事による怒りと悲しみ。それと両親の変わり果ててしまった姿と死にかけたマユの姿を見てしまった事でより深くショックを受けています。
ですので、マユは今をどう生きるかを重視しており、シンはもう戻らない過去に思いを馳せています。この違いが後の展開に関わって来ます。
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