ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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少し速くアスランが復帰していますが、個人的にアスラン発進とミネルバ出航と復活する最強のパイロットは同日に起こった出来事と考えています。


第十話 決意

ミーアと食事するアスラン

 

「ええっと、アスランがお好きなのはお肉?それともお魚?あ、そうだ!今日の私の演説、どうでしたか?ちゃんと見てくれましたか?」

「え、ああ・・・」

「本当に!」

「ああ、まぁ本物と変わらないくらいにというかほぼ本人だけど」

「嬉しい!良かった!アスランにそう言って貰えて!」

「アイアムアンダースタンドー、ユーアーアンダースタンドー」

 

とても嬉しそうな声を上げるミーア

 

「私ね、本当はずっとラクスさんのファンだったんです。彼女の歌も好きでよく歌ってて、その時から声が似ているって言われてたんだけど。そしたらある日急に議長に呼ばれて」

「それでこんな事を?」

「はい。今君の力が必要だって、プラントの為に。だから」

「君のじゃないだろ。ラクスだ、必要なのは」

「そうですけど、今は・・・ううん、今だけじゃないですよね。ラクスさんはいつだって必要なんです。みんなに。

 強くて綺麗で優しくて、ミーアは別に誰にも必要じゃないけど」

 

そう語るミーアの顔は少し暗かった。何か失言をしたとアスランは思った

 

「あ、その・・・」

「だから今だけでも良いんです。私は。今いらっしゃらないラクスさんの代わりに議長やみんなの手伝いが出来たらそれだけで嬉しい。アスランに会えて本当に嬉しい。

 アスランはラクスさんの事よく知っているでしょ?なら教えてください」

「あ、えっと・・・」

 

オーブで修理を受けているミネルバ

 

「いや、しかしですね艦長。もう開戦しているんですよ」

宣戦布告されたんですから」

「分かっているわよそんな事。けどしょうがないでしょう。こっちはまだ物資の調達もまだなのだし」

 

アーサーの焦りもタリアは頭では分かってはいた。先日の核攻撃とそれを受けて抵抗するという評議会からの回答を受け、再び戦火が開かれようとしていた。だからこそここでのんびりしているわけには行かないというアーサーの言葉にも一理あった。

 

「焦る気持ちは分かるけど、だからといって今私達が慌てて飛び出して、何がどうなるっていうの?今本艦が下手に動いたら変な刺激になりかねないわ。火種になりたいの、貴方?」

「いえ、そんな・・・」

「情勢が不安定な時なら、尚の事艦の状態は万全にするべきだわ。幸い、オーブはまだ地球軍陣営ではないのだから」

 

タリア達の話しを近くで聞いてたマユ達

 

「まだね・・・」

「今ミネルバってどれくらい修理進んでるんだっけ?」

「万全ではないけど、一回くらいなら戦闘は出来そうってところかな?」

「そう・・・ザクって大気圏だと飛べないよね。グゥルに乗るの?」

「乗ったところでグゥルを撃ち落とされて終わるわよ。多分ミネルバの上で援護射撃くらいね、出来るのは・・・」

「そっか・・・ならインパルスとプロトインパルスがフォースシルエットで前に出るのが良いよね」

「いや、マユはミネルバ近くでブラストの方が良いんじゃないの?前はインパルスとジャッジメントが出れば良いんだし」

「ジャッジメントはユニウス条約でダメなんじゃないの?」

「あれは停戦条約だからね。開戦した今なら使っても問題無いわよ。相手も核ミサイル撃ってきたのにこっちだけ使うなは言われないでしょ」

「それにこっちは直接核で攻撃してるわけじゃないし、連合よりはマシだと思うよ」

 

戦闘になった時を想定して話し合うマユ達の会話を聞いているタリア達

 

「戦闘の作戦会議ね・・・あの子達の方がよほど現状が分かっているじゃない」

「ええ⁉︎」

「ふふ冗談よ。でも今はそこまで焦る時間じゃないわ」

「そうですか・・・」

 

アスランの部屋の扉にノックの音が響く

 

「誰だ?・・・」

 

扉を開けるとイザークとディアッカが入ってきた

 

「イザーク?」

「貴様!これは一体どういうつもりだ!」

「はっ⁉︎いきなりどうしたんだよ」

「それはこっちのセリフだ!俺達は今めちゃくちゃ忙しいってのに評議会に呼び出されて何かと思って来てみれば貴様の護衛監視だと!」

「え?護衛監視?」

「外出を希望してるんだろ、お前?」

「ディアッカ」

「久しぶりだな。けどまぁこんな時期だからな、いくら友好国の人間だろうと勝手にウロウロは出来ないだろ」

「分かってる。だから同行者が来るとは聞いてたが・・・それがお前?」

「そうだ!ふん」

 

そっぽを向くイザークだが、そこまで嫌そうではなかった

 

「まぁ事情を知ってる誰かが仕組んだってところだろうよ。それで、どこ行きたいんだ?」

「これで買い物とか言い出したらぶっ飛ばすからな」

「そんなんじゃないよ。ただちょっと、ニコル達の墓に・・・あまりプラントには行けないからな、俺は」

「そうか・・・ならさっさと行くぞ」

 

墓場にやって来たアスラン達はニコルの墓の前で敬礼する

 

「積極自衛権の行使・・・やっぱりプラントも動くのか」

「仕方なかろう。核を撃たれて何もしないわけにもいかんからな」

「第一波攻撃の迎撃に出たんだけどな、俺達は。奴らはあの攻撃でプラントを壊滅させる気満々だったぜ」

「そうか・・・」

 

またしても核攻撃をされた事はアスランにとってもイザークやディアッカにとっても嫌な出来事であった。

それ故にこの話題になると全員暗くなっていた。

 

「で、貴様は何をやっているんだこんなところで?」

「え?」

「オーブはどう動く?アイツはどうするって?」

「まだ分からないさ・・・セナはもう戦わない、戦わせないさ。これ以上アイツの心に負担をかけたくない」

「そうか・・・セナの奴、そこまで・・・」

「・・・戻ってこい、アスラン」

「え?」

「事情が色々あるだろうが、俺がなんとかしてやる。だからプラントに戻ってこい、お前は」

 

真っ直ぐアスランを見つめるイザーク。その瞳は真剣だった。

 

「いや、しかし・・・」

「俺もこいつも、本当ならとっくに死んだはずの身だ」

 

ディアッカはザフトを裏切って攻撃、イザークは民間人のシャトルの撃墜。どの様な事情であれ、どちらも極刑は免れないものである事をここにいる全員、理解していた。

 

「だがデュランダル議長はこう言った。[大人達の都合で始めた戦争に若者を送って死なせ、そこで誤ったのを罪と言って彼らを処分してしまったら、一体誰がプラントの明日を担うというのです?辛い経験んした彼ら達にこそ私は平和な未来を築いてもらいたい]ってな」

「議長が、そんな事を・・・」

「だから、俺は今も軍服を着ている。それしか出来る事も無いが、それでも何か出来る事はある。プラントや死んでいった仲間達の為にな。だからお前も何かしろ。それだけの力を、お前は無駄にする気か?」

「俺は・・・」

 

デュランダルの元を訪ねるアスランはザフトの赤服を身に纏っていた

 

「わぁ、似合っていますわアスラン」

「本当に良いのかな、アスラン?」

「はい。俺もこの戦争を早く終わらせたい、その為に出来る事をしたいんです」

「そうか、なら君にこれを渡しておこう」

「これってフェイスの⁉︎」

「君を通常の指揮系統に組み込みたくはないし、君も困るだろ?その為の便宜上の措置さ。君は己の信念や信義に忠誠を誓えば良い。どうかその力を必要な時に正しい使い方をしてほしい。皆が平和に暮らせる世界の為に」

 

フェイスバッジを受け取るアスラン

その目には強い決意がみなぎっていた

 

「はい」

「オーブの情勢も気になるだろうから、君はオーブにいるミネルバと合流してくれたまえ。私はあの艦に期待している。以前のアークエンジェルの様にね」

「アークエンジェル・・・ですがそれは」

「聞いているよ。確かに素晴らしい艦と人員だったが、少数精鋭では苦労も多いと。だから君が手助けをしてやってくれ」

 

心が傷ついたセナとシンとマユの事を思い返すアスラン

 

「分かりました」

 

ミネルバに突如秘匿通信が入る

 

「これは?一体どこの誰から?」

「分かりません。秘匿通信で先程からずっと同じ事を」

「ミネルバ聞こえるか?間も無くザフトは降下作戦を開始するだろう。そうなればオーブもこのままではいまい。今のうちに脱出しろ。聞こえるかミネルバ?」

「ミネルバ艦長のタリア・グラディスです。貴方は?この通信はどういうつもりなの?」

「おーこれはこれは。声が聞けて嬉しいねぇ。初めまして。先程言った通りだ。あまりのんびりはしていられないぞ」

「匿名の情報を正規軍が鵜呑みにする筈ないでしょう。貴方誰?目的は?」

「うーん・・・アンドリュー・バルトフェルドって奴を知っているか?そいつからの伝言さ」

「うふ、ふふふw」

「ふふwもう」

 

後ろから二人の女性の笑い声が聞こえてくる

 

「砂漠の虎・・・」

「え?」

 

仮にこれが本人の情報であれ、別人の情報であれ、ザフトと連合が戦争を始めるのはもう目前である事は事実だとタリアは考えた。

 

「ともかく警告はした。カーペンタリアの降下作戦が始まったら、オーブと大西洋連邦との同盟の締結は押し切られてしまうだろうな。アスハ代表は頑張ってはいるが、時間の問題だろうな・・・まぁあとは君の判断次第だよ、艦長。それでは」

「ん?何してるのバル」

 

少女の声が聞こえ、名前を言いそうになる直前で通信が切られる

 

「どうするんです、艦長?」

「まさか、今のを信じると?」

「信憑性はあるわ。オーブが大西洋側に傾き出しているのは分かっている事だし、もしかしたら連合もこちらの動きを事前に察してなんて事もゼロじゃないわね」

「艦長・・・」

「良いわ。命令は無いままだけど、明日ミネルバは出航するわ。結局アーサーの言う通りにした方が良かったわね」

「いえ、自分もこうなるとまでは考えていませんでしたから。艦長の判断も間違っていないですよ」

「そう、ありがとう・・・」

(それにしても、二人居た女性はともかく最後に現れた少女は、とても軍関係者とは思えないけど・・・まさかオーブがプラントの様に若者まで軍に関わらせる筈は無いわよね?だとしたら何者なのかしらね?)

 

出航準備をするミネルバを訪れたカガリがタリアに頭を下げる

 

「本当に済まないと思う」

「いえ、残念ではありますが、仕方がない事です。こうして代表が自らおいでくださった事、中立の道を選ぼうと尽力してくれた事を、私達は忘れませんわ」

「どうだろうな。尽力したと言っても結果はこの様だ。これではまたシンに怒られちゃうな、私は」

 

暗い顔で俯いてしまうカガリ

 

「彼の事はそこまで気にしないでください。彼はまだ、オーブの事は嫌いにはなっていない筈ですから」

「え?」

「本当に嫌いなのでしたら、許さないと言う筈です。オーブを信じないと言ったのはこれからのオーブを期待している事の裏返しでは無いんじゃないかしら」

「そうなのか・・・」

「私は立場上そんな事を言ったら彼を罰しないといけないのでしょうけど、彼の境遇には同情してしまうわ。あの日自分も怪我をして危険な状態だったのに、自分より両親や妹の事を思う優しい子だから」

「え⁉︎」

「だからこそ自分が守るって、どこかで決めてしまったんです。まだ若いのに、本当は誰かを頼りたい年頃なのに、彼は傷ついたまま無理して戦ってしまうんですよ」

「シン・・・」

(傷ついたまま無理をして・・・セナに似ているな)

「さ、そろそろこちらも出航致します。そろそろ」

「あ、ああ、すまない」

 

ミネルバの通路を歩くシン達

 

「降下作戦っていつからだっけ?」

「そんなの私も知らないわよ。でもこれでオーブも敵になるのね。結構好きだったのになぁ、この国」

「本当ルナ?」

「ええ、本当よマユ。ってごめん。シンには辛いわね」

「・・・別に。オレにはもう、関係ない国だし」

「お兄ちゃん・・・」

 

前方から歩いてくるカガリと鉢合わせる

 

「あ、シン。その」

「気安く名前を呼ぶな」

「ちょっとシン」

「ああ良いんだ。私が悪かったから」

「・・・今更何しに来たんだよ」

「その・・・」

「あの時オーブを攻めた地球軍と今度は同盟かよ?」

「・・・すまない」

 

弱々しく謝るだけのカガリの態度に苛つくシン

 

「謝って済む事じゃないだろ!」

「お兄ちゃん。アスハ代表に言ったってしょうがないでしょ」

「だったらあの時なんで戦う道を選んだんだよ!一体何の為に父さんと母さんが、多くの人が犠牲に・・・」

「シン・・・」

 

シンの拳が力強く握られる

 

「そこ退けよ、邪魔だ。ここは、ミネルバはザフトの艦だ。アンタはさっさと戻れよ」

 

カガリの横を通り過ぎるシン

 

「あ、シン!」

「すいません。失礼しますアスハ代表。

「・・・私は信じていますから。オーブは、貴女は今度こそ、国を守るって」

 

マユ達がカガリにお詫びしながら後に続いていく

その背中を見送るカガリは、無力な自分に対する情けなさで落ち込んでいた

その後ろから声をかけるエリス

 

「大丈夫カガリ?」

「エリス・・・」

「でも自業自得ではあるわよ・・・綺麗事を言っても結局力で黙らせただけ。だからこうなっているのよ。それならいっそあの時ジェネシスで滅ぼしてしまったら・・・なんて考える事もあるわ」

「そんな!でもそれは」

「けど、それは昔の事よ。今はアンタの平和を想う気持ちは、嫌いじゃない」

「え?」

「だからアンタは連合との同盟をすっぱり切って、ザフトと手組んでよ」

「それは・・・無理だろうな。色んな意味で」

「まぁね。なら攻めて私達の前に来ないでね、敵として。アンタ達とは戦いたくないわ。色んな意味でね」

 

そう言うエリスの顔にかつての様な怒りは見えなかった

 

「じゃあねカガリ。できたら次会う時は、ちゃんと友達らしくさせてよね」

 

ジャッジメントに乗り込みに向かうエリス

その背中を見送るカガリは、もう落ち込んではいなかった




序盤から重苦しい話ばかりで、SEED編程和やかなシーンが出せてない気がします。どこかでミネルバ陣営でもギャグ描写を出せる様にしたいですね。
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