サンシャインとフリーダムを置いてある格納庫で先日現れた特殊部隊について話し合うキラ達
「アッシュ?」
「ああ。データでしか知らないがね、アレは最近ロールアウトしたばかりの奴だ。まだ正規軍にしかないはずだが・・・」
「それがラクスさんを・・・という事は」
「・・・ザフトが、ラクスを・・・」
ラクスの顔には不安が、キラの顔には怒りが見えていた
「とりあえず、プラントにお引越しはやめた方がいいな」
「そうですね。でも僕達は・・・セナはどうするんですか?」
セナは格納庫の壁によし掛かりながら座って寝ていた
「よく眠っているわね・・・」
「無理もないわよ。元々寝ている時に襲われたのだから。それに、あの子はもう一度戦ってしまった。寝れるだけマシよ」
「あっちのソファーとかのがまだ寝やすいってのに・・・いつまた敵が来ても良いようにってところかな」
「そんな!セナをもう戦わせるわけには」
「その撃たれた足でフリーダムを動かせるのか?」
バルトフェルドの指摘に何も返せないキラ。今は誰かに肩を貸してもらわないと歩く事すらままならない。そんな状態で戦える筈がない事はキラも承知だった。
「けど・・・」
「別にまたすぐに戦うと決まったわけじゃない。セナが心配なら、まずお前はさっさと足を治せ。人の心配は自分が問題ない時にするもんだぜ」
「はい・・・」
子供達に連れられてマーナが格納庫にやって来る
「まぁまぁ⁉︎これは一体?」
「ん?」
「マーナさん?」
「あ、キラ様!」
「どうしたんですか?」
「キラ様にコレを。カガリお嬢様からキラ様にと・・・お嬢様はもうご自分でこちらにお出かけになる事すら叶わなくなりましたので、マーナがこっそりと預かって参りました」
「え⁉︎」
「何⁉︎カガリさんがどうかしたの?」
「お怪我でもされたのですか?」
カガリの安否を心配してマーナを問い詰めるマリュー達
「いえ、お元気ではいますよ。ただ、もう結婚式の為にセイラン家にお入りになりまして・・・お式まではあちらのお宅にお預かり。その後どうなるのかこのマーナにも分からない状態なのでございます。そりゃあユウナ様とはご幼少の頃から決まっていた様な事ですから、カガリ様さえよろしいのであれば」
「それはカガリに聞かないと分からないでしょ?」
「「え⁉︎」」
「「何⁉︎」」
一同が振り向くとセナが起き上がっていた
「セナ・・・」
「カガリは・・・アスランが好きなんだよ。この前、指輪を貰ったって喜んでいた。なのにこんなの・・・話しが違うわよ」
「セナ、でもこれは・・・」
「その手紙、読んでよ。今、ここで」
「あ、うん」
キラが手紙を開いて読み出す。そこには国の為にセイラン家に嫁ぐ事、アスランに指輪を返して謝って欲しい事、オーブの為に自分を捧げる事が記されていた
「カガリ・・・」
「カガリさん、そんな・・・」
「そんな、こんなのって・・・」
「嫌なものね。政略結婚って」
「・・・どうするのキラ?本当の兄妹がこんな結婚、認めるの?」
「セナの言う通りだよ・・・こんなの・・・僕は認めたくない」
「うん、親族が認めないなら成立しないわよね。よく言ったわキラ」
「セナ?」
セナの顔に笑顔が浮かぶ。それは以前に見せたような眩しい笑顔ではなく、イタズラを思いついた子供の様な悪い笑顔だった。
「セナさん、貴女、まさか・・・」
「どうせ、これから何するか決まってないんでしょ?だったら私は・・・やりたい様にやるわ」
「・・・それでどうする気なんだ、セナ?」
「そうね・・・まずはカガリを連れ去ろう」
「はぁ・・・セナならそう言うと思ったよ」
「協力してよねキラ。昔みたいにさ」
「アレは・・・いや、もうどうにでもなれだよ・・・」
半ば諦め気味で協力する事にしたキラ
「キラ・・・」
「苦労、してたのね・・・キラ君」
「まぁね・・・でも、諦めたくはないかな。僕も」
「キラ君・・・ええ、そうね」
「行きましょう、キラ」
「やれやれ・・・そうするしか無いようだな」
「ふふ、そうね」
カガリとユウナの結婚式は数多くのカメラで撮影され、生中継されていた
「カガリがねぇ・・・本当にアレと?」
その様子はドミニオンにいるフレイとナタルも見ていた
「なんか、あまり嬉しそうじゃないですよね、カガリ?」
「元から決まっていた関係らしいからな。私達に口出し出来る事では無いさ。君も、その経験はあるだろ」
「そういえばそうね・・・でも私の場合は、サイとは嫌じゃなかったよ。その資格はもう無いけどね・・・」
かつてサイを裏切りキラやセナに迷惑をかけた。その事はフレイはとても後悔しており、自分は一生をかけて償うつもりでいた。
「へぇ・・・君に婚約者が居たのか。知らなかったなぁ」
ネオがフレイとナタルに近寄り、生中継を見る
「ロアノーク大佐・・・いつの間に」
「ああ、忘れていた。地球にいる間はここに乗せてもらう事になった。急で悪いが、よろしくな」
「え、そうなの?ならステラ達と一緒なのね。でも指揮系統はどうするんです?」
「作戦は一緒に考えるだろうが、現場の指揮はバジルール艦長とアルスター隊長に任せるさ。ぜひこき使ってくれ」
「了解しました」
「いや、今くらいは畏まらなくたって良いでしょ。今日はおめでたい日なんだからさ」
「それ、本気で言ってる?」
ネオのデリカシーの無い発言に少し憤るフレイ
「いや、結婚はめでたいものだろうよ・・・そういう事にしないとアレだろ。国の代表なんて、自分の好きな奴と結ばれることの方が少ないんだ。せめて、この先が幸せになれる事を、口先だけでも願ってやらないとな」
ネオの言っている事に、フレイは反論出来なかった。自分で選べる立場では無い、ならせめてその後に幸せになれる可能性に期待する事しか余所者には出来ないのだった。
カーペンタリアに向かう途中のミネルバの休憩室のモニターでシン以外の同期達が見ていた。
「アスハ代表が結婚か、この人と・・・アスランさんと良い感じだったのにね」
「親同士で決められた話しだったんだ。そう簡単に変えられないのだろう」
「でも、あんまり嬉しくなさそうだね」
「まぁ、代表になると結婚にも色んな意味があるからな・・・」
「へ?結婚に他の意味があるの?」
現役軍人といえど、マユはまだ11歳の少女。結婚は好きな人同士で結ばれるものとしか認識出来ていなかったのだ。
「それも間違いじゃないさ、一般的にはな。だがこの場合は、オーブが地球軍と同盟を結ぶ為に、ひいてはオーブ内での結束力を強める為ってのもあるのだろう・・・」
「なんか、私は嫌だな・・・そんなの」
「私も。どうせなら好きな人と結婚したいよ」
「アンタらねぇ・・・これは他人事じゃないのよ。いずれオーブがこっちに攻撃するかもしれないのよ」
「ああそうか。同盟、結んじゃったもんね・・・」
式場にたどり着いたユウナとカガリ
祭壇の壇上に上がるユウナとカガリ
「今日ここに婚儀を報告し、またハウメアの許しを得んとこの祭壇の前に進みたる者の名は、ユウナ・ロマ・セイラン。そしてカガリ・ユラ・アスハか」
「はい」
「・・・はい」
「この婚儀をここに願い、また永遠の愛と忠誠の言葉を誓うのならば、ハウメアは其方達の願い聞き届けるだろう。今改めて問う。互いに誓いし心に偽りはないか」
「はい」
ユウナは意気揚々と答える。カガリも僅かな葛藤の末、国の為に答えようとしたその時
「ダメです!軍本部の追撃間に合いません!」
「避難を!」
「カガリ様を守れ!」
後ろで騒ぎが起こっていた
「なんだ⁉︎」
「えっ⁉︎ど、どういう事だ?」
この場に居た全員が、そしてこの中継を見ているものすら突然の出来事に困惑していた。その困惑の中、祭壇の真上から降りて来るサンシャインの姿を見つけるカガリ
「はぁ⁉︎」
「へ⁉︎サ、サンシャイン⁉︎」
「なんでここに太陽の少女が!」
動揺する結婚会場
その動揺はこれを見ていた世界中の人達も同様だった
「は⁉︎サンシャイン?これが・・・」
「ええ⁉︎艦長、こ、これって」
「まさかというかやはりというか・・・こんな大胆な事するのは一人しかいない」
ミネルバでも驚きの声が上がっていた
「何あの機体⁉︎」
「あれ・・・サンシャインって奴だよな。あの・・・」
「太陽の少女・・・実在してたんだ・・・」
「あ、あれが・・・」
「奴が太陽の少女・・・ラウの、仇・・・」
サンシャインの登場に驚くが、護衛の任を全うする為ビームライフルで狙い撃ちするM1アストレイ達
「あ、あいつを追い払え!」
「ダメだ!お前らじゃあ勝てない!」
M1アストレイのビームライフルを吸収しながら着地し、ビームサーベルですれ違い様にM1アストレイをバラバラにするサンシャイン
「ひいぃ⁉︎」
「ど、どういう・・・」
カガリとユウナに近寄るサンシャイン
カガリの後ろに隠れるユウナ
「カ、カガリ!」
「お、おい!私を守るとか言って無かったか?」
「そんなの・・・」
「全く情けない男だね。花嫁に守ってもらおうとするとは。やはり君には相応しくない」
サンシャインのスピーカから声が聞こえる
「やっぱり・・・何しに来たんだよセ」
「返してもらうよ。我が妻を」
ついセナと言いかけたカガリだったが、その言葉に思考が止まってしまう
(我が妻?誰だ?まさかアスラン・・・いや、あの声はセナだろ?どういう)
サンシャインのコクピットから降りる白いタキシードを着たパイロット
その顔は紺色の仮面で隠していたが、知っている人にはそれがセナだということは一目瞭然だった
「お、お前・・・」
「だ、誰だ貴様!というか我が妻って、カガリは僕の」
「私は・・・セキカ・ヒビキ。お前が花婿だと言うのなら、証明してみせろ!」
カガリに駆け寄り、お姫様抱っこをしながらユウナを蹴り飛ばす
「ゲフゥ!」
「ユウナ!ってお前は何してる!」
「ふむ、近くで見ても綺麗だな、我が妻」
「妻って!その呼び方はやめてくれ!というか降ろしてくれ!」
「おっとすまない」
赤面しながら講義するカガリをゆっくり降ろすセキカ
セキカに耳打ちするカガリ
「というかお前、セキカってなんだよ?」
「偽名」
「それは分かるが!分かりやす過ぎるだろ!」
「大丈夫。キラとカガリはともかく、私の名はあんまり知られてないから」
「そういう問題かよ・・・」
「くっ!おい!誰か!アイツを追い出せ!」
セキカを倒してもらおうと兵士を呼ぶユウナだが、客人の避難の為に側には誰もいなかった。あるのはそのまま放置されてセキカ達を映すカメラだけだった
「こんな大事な事を人任せとはな・・・つくづく思うよ。君は我が妻の隣に立つ資格は無い。私の友人の方がマシだよ」
「なんだと!大体なんなんだお前は!お前は、太陽の少女だろ!何故僕の邪魔をする!というか女が女と結婚なんて出来る筈ないだろ!」
「私は太陽の少女?だからオーブの味方だとでも?違うな」
「へ⁉︎お、お前、やめ」
カガリに静止される前に見せつけるようにキスをするセキカ
突然の行動にユウナは驚愕し、カガリは赤面しながら固まり、中継を見ながら待機していたマリュー達は空いた口が塞がらず、キラは上を見ながら途方に暮れていた。
「お、お前・・・おま」
「おや、指輪も渡してない様だな。ちょうど良かった。コレ、持ってきて良かったよ」
なんとか抗議しようとするカガリを無視して跪き、カガリの薬指にアスランの指輪を嵌めるセキカ
「え!コレ・・・」
「うん、やっぱり君にはコレが良い。コレを付けた君は、とても幸せになれるさ」
「セキカ・・・ありがとう」
カガリが嬉し泣きの涙を出す
「おっと、泣くにはまだ速いのに・・・まぁ良いや。さらばだ青二歳」
カガリをお姫様抱っこしてサンシャインに乗り込むセキカ
「あ、おい!」
ユウナの言葉を無視して飛び上がるサンシャイン
「お、お前、セナ!私を降ろせ!どうする気だ?」
「さぁね。とりあえず追っては」
サンシャインの後ろから追いかけるムラサメ部隊
「こちらオーブ軍。サンシャイン、直ちに着陸せよ。繰り返す」
「あら、もう来たの・・・人気あるじゃんカガリ」
「そんな事言ってる場合じゃあ!」
「着陸しないのなら、力ずくで落とさせてもらう」
ムラサメがサンシャインに向けてビームライフルを撃つが、体に当たるスレスレを通り過ぎる
「ふーん」
「ほら降ろせ!お前が戦ったら」
「心配無いよ。あっちにそこまでやる気は無いみたいだし」
「へ?」
「多分、あの人達も思うところはあったんだろうね・・・結婚するならもっと良い相手がいるってさ」
「そんなの・・・でも」
「カガリは国の為って言うけどね、18の女の子を犠牲に掴む平和なんて、私はごめんだよ」
「それ、お前が言うのかよ・・・」
海面から浮上して来るアークエンジェル
「アークエンジェル⁉︎まさか」
「セナさん、早く着艦して」
「了解です!マリューさん」
「セナ!後で話しがあるからね!」
「キラまで⁉︎そりゃそうだろうが・・・」
アークエンジェルに着艦するサンシャイン
潜航しようとするアークエンジェルをオーブ艦隊が囲い込む
「本部より入電。サンシャインが式場よりカガリ様を拉致。カガリ様の安全を第一にとの事」
「カガリ様を⁉︎」
「サンシャイン・・・あの日以来だな」
トダカの脳裏にはオーブを守る為に戦うサンシャインの背中が浮かんでいた
(多分、そういう事なのだろうな・・・太陽の少女)
「トダカ1佐。アークエンジェル、潜航します」
「このままでは逃げられます。攻撃を」
「今攻撃したらカガリ様の身の安全は保障出来んぞ」
「それは・・・ですが!」
「対応は慎重を要する、だろ?」
アークエンジェルに敬礼するオーブ兵達
(頼むぞアークエンジェル、太陽の少女。カガリ様とこの世界の行く末を)
トダカ達に見送られてアークエンジェルは海に消えていった
セキカの名前はセナ、キラ、カガリの頭文字を使っただけです。
この頃のセナはブレーキが壊れている状態なので、これくらいぶっ飛んだ事をやります。一体セナはどこへ行ってしまうのか・・・