ボスゴロフ級戦艦と共にカーペンタリアを出航するミネルバ
そのミネルバを観測して戦闘準備を始めたドミニオンは近くの基地からウィンダムを全て出す様要求していた
「当部隊ウィンダムを全機出せだと⁉︎何をふざけた事を!」
「いえ、これは必要な事なのです。どうかご協力を」
「ふざけているのはどっちさ?相手はボスゴロフ級とミネルバだぞ。それでも落とせるのか怪しいってのにこの間のオーブ沖海戦のデータ、あんた見てないのか?」
「そういう事を言っているのでは無い!我々は対カーペンタリア前線基地を作るために派遣された部隊だ。その任務もままならないままモビルスーツを全て渡すなど!」
「その基地も何も全てはザフトを討つ為だろ。寝ぼけた事を言ってないでとっとと全機出せ。ここの防衛にはガイアを置いといてやる」
「いや、しかし」
「命令だ、急げよ」
通信を切るネオ
「はぁ・・・ったく味方の要請にすら文句を言い出すとはな。って悪かったな。俺がでしゃばってしまって」
「いえ、自分はこういうのは苦手ですから。ロアノーク大佐に出てもらって寧ろ良かったと思います」
ナタルは自分が頭の固い人間だという自覚があった。だからこそこういった交渉の時に相手を必要以上に怒らせて上手く行かない事が多々あった。なので今回ネオが対応して一応協力はしてもらえるところまで行った事を良しとしていた。
「そうか?まぁ良い。俺は前に出るから指揮は任せる」
「お任せください」
「カオス、アビス、ガイアは?」
「全機発進準備完了です」
「アルスター隊、発進準備は出来てるな?」
「ええ、もちろん」
「よし分かった。モビルスーツ部隊で先行してくれ」
「「「了解」」」
「おし、俺も出るよ。アイツらに命令を入れないとだからな」
ドミニオンも一応ファントムペインのメンバーであるのだが、ネオ達とは違う部隊扱いとなっており、同じ艦にいるのにも関わらず、指揮系統は別々となっていた。
「お願いします」
「応よ・・・別々で命令させるくらいなら最初からこっちにも戦艦一つくらいよこせよな」
ぶつぶつと独り言を言いながらネオがブリッジを出る
「ふぅ・・・ドミニオンは指定区域で待機だ。行くぞ」
出撃待ちをするスティング達
「良いな、みんな。ステラだけお留守番」
「しょうがねーじゃん。ガイア飛べねーし、泳げねーし」
「海でも眺めながら待ってな。海好きなんだろ」
「うん・・・でもアイツは」
ネオがステラ達の元にやって来る
「俺もステラと出られないのは残念だがね。だが仕方ない。何も無いとは思うが、後を頼むな」
「ネオ・・・うん、分かった」
ドミニオンからカオスと赤紫ウィンダムが空へ飛び上がり、アビスが海に潜っていく
「あ、来たよ。というか追いつきそうね」
「当たり前よ。その為に遅くしてるんだから」
先に出ていたキメラプロト達と合流する赤紫ウィンダムとカオス
「待たせたか?」
「いえ、時間ぴったりよ。アウルに戦艦の方は任せるわ。私達でモビルスーツを、特にあの合体野郎?をやるわよ」
「了解!というか誰が先に倒すか競争する?」
「奴らは強い。そんな余裕ねぇと思うぞ」
「俺も合体野郎とやりたいのになぁ・・・」
「ははは、人気者だな合体野郎は」
ミネルバが地球軍の機体の熱反応をキャッチして、戦闘態勢に入る
「コンディション・レッド発令。コンディション・レッド発令。パイロットは搭乗機にて待機せよ」
「熱紋照合、ウィンダムです。数30。中にはキメラプロト、エクストラ、スクラッシュ、そしてカオスもいます」
「カオス⁉︎あの部隊だとでもいうの?一体どこから?付近に母艦は?」
「確認出来ません」
「そう・・・ブリッジ遮蔽!対モビルスーツ戦闘用意!ニーラゴンゴとの回線固定。シルファ隊を出して」
アスランがブリッジへ通信をしてくる
「グラディス艦長、地球軍ですか?」
「ええ、また待ち伏せされたみたいよ。既に回避は不可能よ。本艦は戦闘に入ります。貴方は?」
「え?」
「私に貴方への命令権は無いわ。それはエリスも同じよ」
「私も出ます。確かに指揮下にはないかもしれませんが、今は私もこの艦の搭乗員です。私も残念ながらこの戦闘は不可避と考えます」
「なら、発進後はエリスと共に部隊の指揮をお任せしたいわ」
「ええ⁉︎」
タリアの提案に誰よりも驚くエリス
「良いかしら?」
「分かりました」
「うえぇ⁉︎」
アスランも了承した事で更に驚くエリス
「心配するな。あくまで補佐に徹するさ。隊長はエリスだ」
「そう・・・わ、分かっているなら良いのよ」
「隊長・・・今の所アスランさんに負けてますよ。器の大きさとかが」
「ルナマリア、あとで話しがあるから覚悟しなさい」
「そういうところですよ!」
少しだけ緊張が抜けるシルファ隊
「まぁ冗談は置いといて、レイとルナマリアはミネルバの甲板から敵を撃って。私とシンが前に出るわ。アスランは真ん中で戦局を見てマユに指示出して」
「「了解」」
「分かった」
「え?・・・分かりました」
「よし、シルファ隊、行くよ」
ミネルバからシルファ隊が出撃する
「それでアスランさん、私達はどうしますか?」
「敵の出方がまだ分からない。狙いが分かるまではミネルバに近づく敵を迎え撃つ」
「了解です」
「良いシン、敵はあの部隊よ。つまり」
「オレが狙われやすいって事でしょう?大丈夫ですよ」
「だからあまり前に出ない様にね。囲まれすぎると私でも庇えないからね」
「分かってますよ」
一番前に飛び出すインパルスと追いかけるジャッジメント
「全然言う事聞いてないじゃないか・・・」
「大丈夫ですよ。あれでも聞いている方ですから」
「普段はどんだけなんだよ・・・」
キメラプロトを先頭に連合の部隊がインパルス達を見つける
「居たよ合体野郎。前にいるなんて分かってるじゃない」
「なんだアレは?」
「新型?また出したの?」
「凄いね、ザフトは・・・」
「ふん、あんな奴」
「スティングはあの新型を相手して。レオ、アリス、貴方達は合体野郎の方を」
「「「了解」」」
スティングはセイバーと、レオとアリスはインパルスと戦いたがっている事を分かっているフレイはお望みの相手を狙う様に指示する。自分の狙う相手が指名された事でスティング達はやる気を出した。
「ロアノーク大佐は私とジャッジメントを。アレは一人で勝てる相手ではありません」
「だろうな。けどもう一機の合体もどきはどうする?」
「ウィンダム部隊に任せます。数で囲めば前みたいに突撃も出来ないでしょうから」
前回の戦いから、プロトインパルスをフリーにされた事が原因で敗退したと見て、数で抑えることにし、この中で一番戦闘力の高いであろうジャッジメントには経験のある自身とネオで押さえる作戦に出た。
「なるほど、悪くない采配だ」
「行くわよ!」
キメラプロトがスキュラを撃ち、インパルス達を分断する
「クッ!こんなので」
「シンはあの2機を引き付けて!マユとアスランはウィンダムの部隊を」
「分かった」
「了解。数ばかり居たところで!」
ウィンダムにビームライフルを撃ち次々撃墜するプロトインパルス
「お前の力を見せてみろ!新顔!」
カオスのビームライフルとシールドの機関砲を変形して躱わすセイバー
「ええい!」
カオスに向けてビームライフルとフォルティスビーム砲を撃つセイバー
「グゥ、コイツ!」
「ちぃ!マユ、君はルナマリア達とウィンダム部隊を頼む!オレはカオスを押さえる!」
「了解です!」
インパルスを囲みながらビームライフルを撃つエクストラとスクラッシュ
「くっ、やっぱりコイツら・・・けどこの程度!」
両側から撃たれるビームライフルの射撃を躱しながらビームライフルを撃つインパルス
「コイツすぐ避ける!というか前より動き速い!」
「アレを使いこなしてる、というよりはパイロットの技能が上がったってところだな!まだ強くなるのかよ!」
「だけど、強くなったのはこっちもだ!」
スクラッシュがインパルスの射撃を躱しながら近づきビームサーベルで切り掛かる
「グゥ⁉︎前より強い?」
「いつまでも負けっぱなしだと思うな!」
「後ろがガラ空きだぜ!」
「な⁉︎くっ」
後ろからエクストラの足ビームサーベルを上に躱わすインパルス
「アレを躱せるなんてね。というか私に当たりかけたんだけど!」
「アリスなら避けれると信じてたからな」
「もう!けどこの調子なら!」
「二人だと厄介な・・・けど!」
ビームソードガンの二丁拳銃でキメラプロトと赤紫ウィンダムを狙うジャッジメント
「あの時以来かしらね、フレイ」
「今度は負けないわよエリス!」
キメラプロトがミラージュコロイドでジャッジメントの目の前から姿を消す
「うわ出た!すぐ消えて・・・っ⁉︎」
キメラプロトを探してる隙を後ろからビームライフルで狙う赤紫ウィンダム
「これを躱わすとは、流石ヤキン・ドゥーエを生き残っただけはあるね」
「くっ、思ったより速いわね」
「今だ!」
ジャッジメントの前に姿を現したキメラプロトがシールドを前に出して体当たりをする
「グゥ⁉︎油断した、でも!」
体当たりで態勢を崩しながらも後ろの赤紫ウィンダムに背部ビーム砲を撃つジャッジメント
「おっと!危ないな」
「ハァ!」
上からビームソードガンを振り下ろし赤紫ウィンダムの左足を切り落とすジャッジメント
「地上でも速いなコイツは!」
「大佐、まだ行けますよね?」
「無論だ!」
ミネルバに近づくウィンダムをオルトロスで撃ち落とす赤ザクウォーリア
「今回は思ったより楽ね」
「マユの頑張りのお陰だな」
ビーム突撃銃でウィンダムを撃ち落とす白ザクウォーリア
「この調子なら」
「ルナマリア、レイ。悪いけど水中装備で海に潜って頂戴。海中にアビスが来たのよ」
「えっ⁉︎了解です!」
「了解です。しかしミネルバの護衛は?」
「空には4機もモビルスーツがいるのよ。なんとかしてもらうわ」
「分かりました。隊長」
「うん、聞いたよ。ルナマリアとレイはアビスをなんとか止めて。倒すのは不可能と思って」
「「了解」」
白ザクファントムと赤ザクウォーリアがバズーカーに持ち替えて海に潜る
「マユとアスランは出来たらミネルバの様子を見てあげて。状況次第でマユはブラストシルエットに変えなさい」
「了解です。アスランさん」
「分かっている」
カオスをプラズマ収束ビーム砲で追い払って少し後退するセイバー
「ちぃ、待てよ!」
「スティング。あまり前に出過ぎるなよ」
「くっ、了解」
セイバーを追いかけるのをやめたカオスがジャッジメントを狙い出す
「私⁉︎けどこんなヒヨッコ一人」
「こっちはこれで十分ね。問題は」
エクストラとスクラッシュの連携でじわじわと孤立させられるインパルス。だが少しずつだが基地に近づいていってしまう。
「レオ、アリス。あまり追い込みすぎないで!」
「なんでです?」
「そっちに行かれるとバレるわよ!」
「あ、そっか。でも攻めの手を緩めたら逆に進まれますよ!」
「回り込んで押し出しなさい!」
「了解。なんとかしますよ」
エクストラがインパルスの背後に回り込みスキュラを撃つ
「後ろ⁉︎」
スキュラを横に回避したインパルスにビームライフルを撃つスクラッシュ
「いい加減、落ちなよ!」
「アリス、お前は一旦回り込め!そうすれば」
「けど!」
「このぉ!」
攻撃の手が緩んだ瞬間を逃さずスクラッシュに体当たりするインパルス
「キャア⁉︎」
「アリス⁉︎」
体当たりの反動を利用してエクストラの方に向き直して、ビームライフルを撃つインパルス
「な⁉︎」
咄嗟に躱したが、ビームライフルを撃ち抜かれるエクストラ
その隙に接近されビームサーベルで左手を切り落とされるエクストラ
「しまっ⁉︎」
「これで!」
「やらせるか‼︎」
エクストラにもう一太刀浴びせようとするインパルスに変形して体当たりするガイア
「グゥ⁉︎ガイア!なんでここに?」
ガイアの体当たりで浜辺に着地するインパルス
「ステラ⁉︎お前」
「コイツは、私が倒す‼︎」
インパルスとガイアが互いにビームサーベルで斬り合う
そのまま奥に進んでいってしまう
「ちょ⁉︎ステラダメ!そっちは!」
「ウェエエア‼︎」
「駄目だ、全然聞いてねぇ!アリス、俺達で追い払うぞ!」
「分かってる!というか半分以上私達のせいだしね!」
海に潜った白ザクファントムと赤ザクウォーリアの前にはグーンの部隊を次々撃墜するアビスの姿があった
「やっぱり海の中だと強いわね」
「二人掛かりでなんとかするしかない」
「分かってるわよ」
バズーカをアビスに向けて撃つが簡単に躱される
「そんなんで僕をやろうって?」
アビスの誘導魚雷を躱わすので手一杯の白ザクファントムと赤ザクウォーリア
「くっ、どうすれば」
「とにかく避けて隙を見つけるしかない。動きを止めれば終わりだぞ」
地上でガイアと白兵戦をするインパルスに機関砲が撃たれる
「えっ⁉︎今度はなんだよ!」
「シン!一旦下がれ!一人じゃあ危険だ!」
「どうしたのシン?」
「これは・・・基地?」
インパルスの視線の先には建設中の基地とそこで無理やり働かされる現地住民の姿が見えていた
「こんなところに基地が・・・それにあれは、現地の人達を・・・」
基地周辺を金網で分断されており、金網の外と内側で現地住民達がそれぞれ家族と会おうとしていた
「基地ですって⁉︎アスラン!インパルスの方へ行って!」
「分かった!」
インパルスが基地を見つけた事に気づくキメラプロトと赤紫ウィンダム
「まずいな、どうする?」
「レオとアリスに基地は守ってもらうわ。アウルは撤退してもらうわ」
「え⁉︎なんでだよ!」
「借りたウィンダム部隊がやられちゃったのよ。それに基地まで特定されちゃったし」
「何やってんだよ、バカ!」
「悪かったわね!そっちこそ、一番アビスが活躍できる場所で大物は落とせてないんでしょ?なら戻りなさい。粘ってもアンタじゃあ落とせないから」
「何を、やればいいんだろ!」
アウルをわざと煽るフレイ
ニーラゴンゴに向かって誘導魚雷と連装砲を放ち、撃墜するアビス
「あぁ⁉︎」
「しまった!」
「ほら見てよ!落としてやったよ!」
「あら、やるじゃない。今日一番活躍したのはアウルね」
「へへ、だろ?」
「けどここが潮時よ。貴方はともかくこっちが大変だからね」
「了解」
「分かったよ」
アビスが撤退する
「よし、これである程度は成果が出たわね。私達も頃合いを見て退くわよ」
「了解。アウルの事よく分かってるじゃないか」
「まぁね、経験者ですから」
「ニーラゴンゴが・・・くそっ」
インパルスの元へ向かうセイバーとガイアの援護に向かったエクストラとスクラッシュが対面する
「チィ、コイツにも気づかれたわね。というかもう完全にバレた!」
「俺達でこの新型を押さえるしかない」
「けど合体野郎は」
「どれが来ても一緒だ!」
セイバーにビームサーベルで切り掛かるエクストラとスクラッシュ
「チィ、邪魔を!」
「アスランさん・・・ッ⁉︎」
インパルスの目の前で脱走を図る現地住民に発砲する連合兵
「な⁉︎コイツら・・・」
シンの目の前には撃たれる罪のない現地住民の姿が、かつてオーブでの戦いに巻き込まれて死んだ両親の姿と重なる
「お前ら・・・よくも、よくもぉぉぉぉ‼︎」
兵士でもない一般市民が撃たれる光景は、シンの逆鱗に触れた。怒りのままに突撃するインパルス
「な⁉︎シン!」
「どうしたのシン!一体何があったの?」
「お兄ちゃん?一体何が・・・」
インパルスの様子はセイバーにしか見えていない。だがセイバーも上から見ているせいで現地住民が近くにいることも連合の兵士に撃たれた事も分かってはいなかった。
「ウアアアアアアアアアアアア‼︎」
目の前のガイアには目もくれずに足元の戦車をビームサーベルで薙ぎ払うインパルス
その後飛んで基地内部に入り込み、ビームライフルで対空砲を撃ち落とし、建物をビームサーベルで斬り壊していくインパルス
「シン!何してる!」
「こんな奴らのせいで・・・こんな奴らが、いるせいで‼︎」
「このぉ!」
変形して後ろからビームブレイドで切り掛かるガイアを躱してビームライフルで基地を壊すインパルス
「もう止めろ!もう彼らに戦闘力は無い!」
「ステラ、もう無理よ!戻って!」
「戻って来いステラ!」
「ぐぅぅ・・・分かった」
ガイアがエクストラとスクラッシュに両手を掴んでもらって飛んで行く
それを無視して足元の兵士にビームライフルを向けるインパルス
「止めろシン!それ以上は」
「ヒィィィ!」
基地から逃げ出す連合兵士
「もう終わりか?まだ居るのは・・・地球軍じゃないな」
基地周辺を囲う金網に近寄るインパルスに怯える現地住民達。次は自分達の番なのか、そんな考えが恐怖となり、その場を動けずにいた。
「こんなの・・・」
金網を引っこ抜いて基地外に出られる様にするインパルス。分断された金網が無くなった事で家族との再会を喜び合う現地住民達の姿を見て満足気な表情になるシン
「これで良いんだ、これで・・・やっと人を、助けられた、オレの力で」
現地住民達の感謝の声を背中に受けながら飛び立つインパルス。シンは人助けを、自分の力で誰かを守れる事が出来てとても嬉しく思っていた。軍に入ってから初めて自分のやりたい事をやる事ができ、シンの心は満たされていた。
ミネルバに帰投してインパルスから降りるシンに一発殴るアスラン
「・・・別に殴りたいなら構いませんよ。けどなんでですか?オレが間違った事をしたとでも言うんですか?」
シンからしたら意味が分からなかった。敵の基地を壊した、現地住民を助けた、それのどこが問題なのか、そもそも何に対してアスランが怒っているのかすら分かっていなかった。
「お前、本当に自分が何をしたのか分かって無いのか?」
「知りませんよ。少なくともあの基地は壊した、それでみんな助かったでしょ?それの何が悪いんだよ!」
シンの言い分にその場に居た全員が一理あると思っていた。アスラン以外は基地でシンが武器を持ってすらいない兵士相手に攻撃していた事を見ていなかった。
だからシンが基地を破壊した事しか知らないので、何が問題なのか、アスランが何を見て怒っているのか分からない為口を出す事も出来なかった。
「戦争はヒーローごっこじゃ無い!命を奪いあっているんだ!お前が撃った兵士にも家族がいて、守るものがあるんだ。あんな抵抗する手段も意思もないものを撃つのがお前の戦いなのか?」
「はぁ?だったらなんだよ!理由があれば」
もう一度シンを殴るアスラン
「勝手な判断をして勝手に動くな。力を持つものならその力を自覚しろ。ただいたずらに殺し合うだけで戦争が終わると思うな」
「なんだよそれ。それとこれの何が関係あるんだよ!」
アスランは無闇に敵を撃つだけでは新たな恨みを買い、戦争が激化することを身をもって知っていた。だからこそシンに同じ思いをさせない様にシンに力を持つ意味を考えて欲しかった。
シンからするとアスランが何を言いたいのか、今回の戦いと今の話しに何がつながっているかも分からなかった。そもそもシンが基地を攻撃した理由が現地住民が不当に働かされ、撃たれた事に対する義憤であって連合兵が憎いとかでは無い。だがアスランはそれを知らない為にシンが相手が丸腰にも関わらず容赦なく攻撃をした様に見えていた為、互いの認識にズレが生じていたのだった。
「そんな事も分からないのか、お前は?」
「言いたい事があるならはっきり言えよ!オレの何が気に食わないんだよ!」
アスランの回りくどい説教に苛つき出すシン。そんなシンの態度にアスランも少し苛つき始めていた。
「あの、二人共落ち着いて」
「よく分かりませんがお互いの認識に違いがあります。何があったのかだけでも話してもらわないと」
なんとか宥めようとするルナマリアとレイ
「オレには話し合う理由なんて無いね!勝手にすれば良いさ!」
シンが不機嫌なままその場を立ち去る
「おい待て!まだ話しは」
「はい、ストップ」
シンを追いかけようとするアスランを正面から押さえるエリス
「とりあえずアンタは一旦止まりなさい。貴方達は先に戻って良いわよ」
「分かりました・・・行こうマユ」
「うん・・・」
「失礼します」
ルナマリア達がその場を去る。近くにいた整備班の人達もそれぞれ仕事に戻っていった。
「エリス、邪魔をしないでくれ」
「そっちこそどういうつもりよ?あんな一方的に殴るなんて乱暴すぎないかしら」
「けど、アイツは」
「あんた、何様のつもり?この部隊の隊長は私よ。私の許可なく教育的指導なんてしないでよね」
エリスにも事情は全て把握しているわけでは無い。アスランがシンの行動に問題を感じて注意しているのは分かる。だがそこまで頭ごなしに叱る様な事だとはエリスには思えなかった。
その上シンはなんで自分が殴られる事になったのかを理解していない。そんな状態でアスランと話し続けてもシンに悪影響を及ぼすだけだった。それだけは見過ごすわけには行かなかった。
「先にアンタから話しを聞くから。シンにはあとで私が事情聴取する。それで問題があったら注意する。それで良いでしょ?」
「エリス・・・しかし」
「アンタはフェイス、シルファ隊じゃない。そんなのがでしゃばってせっかく築き上げた人間関係をアンタに壊されたく無いのよ。分かった?」
「・・・あぁ」
エリスの冷たい態度に少しだけ距離感を感じるアスラン
この先どうなるのか、誰にも分からなかった
最後のシンとアスランのやり取りは、敢えて相手の言っている事が分かって無い様にしましたが、本家だと何があってシンが基地を攻撃したのかアスランは分かっていますかね?
エリスは別にアスランを嫌ってあそこまで冷たく言っているわけではないです。ただ、アスランがシンに対して碌に説明せずに叱っている為シンは意味が分からないまま機嫌が悪くなるし、隊の空気まで悪くなるので黙っていられなくなりました。