ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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今回は割と独自の展開が多いかもです。気に入らなければ申し訳ありません。


第十八話 会合

ディオキア基地にたどり着いたミネルバ

 

「こちらディオキアポートコントロール、ミネルバアプローチそのまま。貴艦の入港を歓迎する」

「ディオキアか・・・綺麗な町ですよね。なんだか随分と久しぶりですよ、こういうところは」

「海だの基地だの山の中だのばかり来たものね。少しゆっくり出来たら、皆も喜ぶわね。でもこれは?」

「はぁ、なんでしょうね一体?」

 

上空からディンと橙グフイグナイテッドに抱えられた桃ザクが降りてくる

 

「皆さ〜ん、ラクス・クラインで〜す!」

「わぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ディオキア基地ではミーアの訪問ライブが行われていた

 

「うわぁ!」

「スッゲェおい!」

 

休憩室に居たミネルバクルー達もミーアの姿を見て歓喜していた

 

「・・・どうしたのこの騒ぎ?」

「ラクス様がいるらしいわね・・・」

「それでこの盛り上がりか・・・お兄ちゃんはどうなの?」

「オレはよく分かんないし、別に?ああいうのって誰がやってもおんなじじゃないのか?」

「何言ってんだよ!全然違うよ!」

「うお⁉︎そ、そうなのか?」

 

ヴィーノの熱弁に慄くシン

 

「こうしちゃあいられん!みんな、行こうぜ!」

「「「おお!」」」

 

ヴィーノの一声でライブ会場に駆けて行くミネルバクルー達

 

「行っちゃった・・・」

「ほんと男ってああいうの好きね。レイとシンは違うっぽいけど」

「あれ?今日は少ないわね。他のみんなは?」

 

エリスとアスランが休憩室に入ってくる

 

「ってミー・・・ラクス⁉︎」

「えっと、ラクス?あんな感じだったっけ?ていうかそれでみんな居ないわけね」

「はい・・・私達はどうしますか?」

「う〜ん・・・とりあえず見てみる?」

「そうしましょう、行こうメイリン、マユ、シン。アスランさんも」

「うん」

「あ、ああ」

 

エリス達もミーアのライブを見にやってくる

 

「うわぁ、すごい人だね」

「だな・・・ほらマユ」

 

マユに手を差し出すシン

 

「ありがとうお兄ちゃん」

 

シンと手を繋ぐマユ

 

「・・・もしかしてシンってシスコンって奴?」

「もしくは禁断の」

「そこ、何勝手な事言ってるんだよ」

「だってシンってそういうの全然分かんないんだもん」

「初恋もまだって感じだよねきっと」

「・・・別に良いだろそんなの」

 

ルナマリア達からそっぽを向くシン

 

「あれ?その反応・・・もしかして居たの?」

「ええ⁉︎誰?誰なの?ねぇねぇ」

「ダァァ!うるさいな!ほっとけ!」

「ええ、気になるじゃない。ねぇアスランさん?」

「え?あ、ああ」

 

曖昧に返事するアスラン

 

「どうしたんですか?ってそういえばアスランさんは聞いていなかったのですか?ここにラクス様が来ること」

「あ、ああ・・・」

「まぁ、ちゃんと連絡取り合っていられる状況じゃなかったですものね。きっとお二人とも」

「あ、ああ」

「・・・キャァ!」

 

通行人にぶつかられたメイリンがアスランの腕にだきつく

 

「おっと、大丈夫か?」

「す、すみません、誰かにぶつかられて」

「そうか・・・確かに、ここは危ないな。向こうへ行こう」

 

メイリンとルナマリアを連れて会場から離れようとするアスラン

 

「良いんですかアスランさん?見なくて?」

「え?あ、ああ・・・」

「私はもういいわ。マユとシンは?」

「私はもういいかな。お兄ちゃんは?」

「じゃあオレも」

 

ザクの上からアスランを見つけるミーア

 

(あ、居た!アスラン見に来てくれて・・・って何あれ?いっぱい女の子連れてる。まぁカッコいいから人気あるんだろうけど、こうなったら)

 

アスランに向けて投げキッスをするミーア。ミーアの投げキッスに会場は大盛り上がりする

 

「ウオォォォォ‼︎ラクス様が投げキッスを‼︎」

「俺だ‼︎俺にやってくれたんだ‼︎」

「何言ってる‼︎俺に決まってるだろ‼︎」

「うわぁ、凄い盛り上がり・・・」

「ラクス様ってあんな感じでしたっけ?」

「あ、いや・・・」

「私の知るラクスとは違うわね・・・」

「ていうか、なんかこっち見てない?」

「え、あ本当だ」

 

ミーアと視線が合うマユとシン

 

(アスランは・・・全然反応してない⁉︎もう!・・・ん?子供?なんで子供が赤服を?それに近くのあの子・・・確か議長が言ってたインパルス?だったかのパイロットで噂の・・・聞いてた話しと違うわね、大分可愛い見た目じゃない。サービスしてあげよう)

「そこのお二人さ〜ん!はい」

 

マユとシンに向けてウインクするミーア

 

「ん?」

「え?なんでこっちに?」

「誰だアイツ‼︎羨ましいぞ‼︎」

「ラクス様から個人的にだと‼︎どんな徳を積んだらそんなサービスを‼︎」

「ってシン‼︎お前、羨ましいぞこのやろー‼︎」

 

ミーアのファン達に注目されるシン

 

「え⁉︎えっええ?なんでオレだけ⁉︎」

「まぁマユは子供だから嫉妬されないって事でしょ」

「はぁ⁉︎んな事言われても・・・こういう時どうすればいいんだマユ?」

「分かんない。とりあえず・・・」

 

マユがミーアにウインクを返す

 

「あら、可愛いわね!」

「う、うぅ」

 

恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になってシンの後ろに隠れるマユ

 

「え?おいマユ?」

「いいから、そのままで!」

「ええ・・・」

「なんか、苦労してるわねシン」

「なんでライブ会場でオレが疲れるんだよ・・・」

 

ライブが終わった後の夕方にデュランダルに呼び出されたタリアとレイ

 

「全く呆れたものですわね。こんなところにおいでとは」

「ははは、驚いたかね?」

「ええ、驚きましたわよ。ま、今に始まった事じゃありませんけど」

「元気そうだね。活躍は聞いている、嬉しいよ」

「ギル」

「こうしてゆっくり会えるのも久しぶりだな」

「ギル!」

 

デュランダルに抱きつくレイ。普段の優等生っぷりからは見られないレイの一面に少し驚かされるタリア

 

(確かレイはギルバートと親密な関係って話しだったわね。義理の家族ってとこかしら?)

「でもなんですの?大西洋連邦に何か動きでも?でなければ貴方がわざわざおいでになったりはしないでしょう?」

「失礼します」

 

ハイネがシルファ隊を連れて入ってくる

 

「お呼びになったミネルバのパイロット達です」

「ご苦労。やぁ、久しぶりだねアスラン、エリス」

 

デュランダルがアスラン達に近寄る

 

「はい、議長」

「お久しぶりです、議長」

 

アスラン、エリスの順に握手していくデュランダル

 

「ああ、それから・・・」

「ルナマリア・ホークであります」

「マユ・アスカです」

「シン・アスカ・・・です」

 

ルナマリアとマユは元気に名乗り、シンは疲れが見える様な名乗りをしていた

 

「君のことはよく覚えているよ・・・このところ大活躍だそうじゃないか」

「あ、いえ・・・エリス隊長やみんなのお陰です」

「叙勲の申請も来ていたね。結果は早晩、手元に届くだろう」

「ありがとうございます!議長!」

 

嬉しそうにデュランダルと握手するマユ

 

「良かったな、マユ・・・」

「君もローエングリンゲートでの戦いで活躍したそうじゃないかシン。ところで今日はどうしたのかな?何か疲れが見えるのだが」

「ああいえ、色々あったんです・・・色々」

 

遠い目をするシン

 

「ほぉ・・・よく分からないがご苦労だね」

「お気遣い、ありがとうございます・・・」

「まぁ立ち話もなんだし、座りたまえ」

 

席に座るアスラン達

 

「アーモリー1での発進が初陣だったというのに大した者だ」

「そりゃそうですよ。みんな優秀で頼りになる部下ばかりですから。ね?」

「あ、はい」

「そうですね・・・」

「うん・・・」

「・・・ノーコメントで」

「おおい‼︎」

「貴方達・・・議長の前なのよ」

「ははは、いや良いさ。良いものを見せてもらったよ」

 

満足そうに笑うデュランダル

 

「はぁ、これのどこがですか?」

「いやいや、部隊の隊長と部下の間に壁が無い。お互いの事を分かり合い、信頼が出来ている、だからこそ普段も戦闘中でも変に緊張しないで臨む事が出来る。良い連携だ。君達は素晴らしいチームだよ」

「確かに隊長は良くも悪くも遠慮せず自然体で接する事は出来ます」

「そうですね。普段はこうでもいざって時に頼りになるのでシルファ隊に入って良かったと思いますね」

「貴方達・・・それを普段から見せてよ」

「「それは嫌です」」

「なんでよ〜」

 

楽しそうに会話が弾むシルファ隊

 

「ふふ、この町が解放されたのも君達があそこを落としてくれたお陰だ。いやぁよくやってくれた」

「「「ありがとうございます」」」

 

全員で頭を下げるシルファ隊

 

「宙の方は今はどうなってますの?」

「相変わらずだよ。時折小規模な戦闘はあるが、まぁそれだけだ」

「やっぱりまだ来るか、アイツら・・・」

「そして地上は地上で何がどうなっているのかさっぱり分からん。この辺りの都市の様に連合に抵抗し我々に助けを求めてくる地域もあるし・・・一体何をやっているのかね、我々は?」

 

デュランダルの質問に誰も返す事は出来なかった。戦争は早く終わらせたいとはこの場にいる全員の考えであるが、その為に出来る事は戦って終わらせるしか無い。その矛盾に全員が答えを出せないでいた。

 

「停戦、終戦に向けての動きはありませんの?」

「残念ながらね。連合側は何一つ譲歩しようとしない。戦争などしていたくはないが、それではこちらもどうしようも無いさ」

「ならやはり戦うしかない、私はそう思いますが・・・議長はそうではないと?」

「いや、すまない。軍人の君達にする話しではないかもしれんがね。戦いを終わらせる、戦いのない道を選ぶという事は戦うと決めるより遥かに難しいものさ、やはり」

「でも」

 

シンに全員が視線を向ける

 

「あ・・・すみません」

「いや構わんよ。思う事があったのなら遠慮なく言ってくれたまえ。実際前線で戦う君達の意見は貴重だ。私もそれを聞きたくて君達に来てもらった様なものだし」

「・・・確かに戦わない様にする事は大切だと思います。でも敵の脅威がある時は仕方ありません。戦うべき時に戦わないと、何一つ・・・自分達すら守れません。普通に、平和に暮らしている人達は守られるべきです。オレは・・・自分は、その為にザフトになったんです」

 

力強く答えるシンの目は真っ直ぐデュランダルを見ていた。

 

「うん、君の気持ちは伝わったよ。君の様な兵士が、今の軍には必要なのだと思うよ」

 

デュランダルがシンの言葉に感銘を受けていた。それはその場にいた全員同じ思いではあった。だが簡単に言える事でも出来るものでもない。だからこそこの場ではっきり自分の言葉で言ったシンの事を見直していた。

 

「確かにシンの言う通りだと思います。しかし・・・殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで本当に最後は平和になるのかと以前言われた事があります。

 私はその時答える事は出来ませんでした。そして今もまた、その答えを見つけられないまま、また戦場にいます」

「そう。問題はそこだ」

 

デュランダルが席から立ち上がり、シン達の周りを歩きながら話し出す

 

「何故我々はこうまで戦い続けるのか?何故戦争はこうまで無くならないのか?戦争は嫌だといつの時代も人は叫び続けているのにね・・・君は何故だと思う、シン?」

「えっ⁉︎」

 

突如指名されて動揺するシン

 

「それはやっぱり、いつの時代も身勝手でバカな連中が居て・・・ブルーコスモスや大西洋連邦みたいに・・・違いますか?」

「いや、まぁそうだね。それもある」

「私も同じ考えよ。概ね人は愚か者ばかり。自らの過ちに気づきもせず、相手ばかりを攻撃して・・・下らない理由で他人を傷つける奴らが蔓延っている。いっその事駆除したいくらいにね」

 

割って入ったエリスの過激な発言に驚くタリア達。普段は明るく優しい部下思いな隊長。そんなエリスからは想像もつかない強い感情のこもった答えにデュランダルとアスラン以外は驚いていた。

 

「まぁエリスのは少し行き過ぎてるかもしれないがね、気持ちは少しだけ分かるよ。誰かの持ち物が欲しい、自分達と違う、憎い、怖い、間違っている。そんな理由で戦い続けるのも確かだ、人は。

 だが、もっとどうしようもない、救いようのない一面もあるのだよ、戦争には」

「えっ?」

「例えばあの機体、ZGMFX2000グフイグナイテッド。つい先日軍事工場からロールアウトされたばかりの機体だが、今は戦争中だからね、こうして新しい機体は次々作られる。

 戦場ではミサイルが撃たれ、モビルスーツが撃たれ、様々なものが破壊される。故に工場では次々と新し機体を作りミサイルを作り戦場へ送る、両軍ともね。生産ラインは要求に追われ追いつかない程だ。その一機1体の価値を考えてみてくれたまえ。これをただの産業として捉えるのならこれ程回転のよく利益の上がるものは他にないだろう」

「「えっ⁉︎」」

「議長、その話しは」

「そうでしょうか?」

 

デュランダルの指摘に一人だけ疑問を持つマユ

 

「あ、発言してもよろしいでしょうか?」

「ああ、構わんよ。遠慮はいらないさ」

「ありがとうございます。確かにモビルスーツも兵器も作って出す程工場は売り上げが出るかもしれません。けどまた新しい機体や兵器の開発作成に資金を使って、それを繰り返していてもあまり変わらないと思うのですが?そもそも、その機体や兵器を買うのは軍であり国でもあります。ならあまり変わらないのでは?」

「ふむ、それもそうだね。ありがとう、良い指摘だよ」

「けどマユ。それは戦争中だからだろ。なら」

 

マユの疑問に自分なりに答えるシン。その答えは議長が求めていた回答だった。

 

「そう、戦争である以上仕方のない事だ。

 ほとんど儲けは無い。下手したら損にしかならない。寧ろ兵器を作っているからと襲撃でもされたらそんな話しですら無くなる。けどそうしないと攻撃されるのは自分達かもしれない。だから軍に戦ってもらいたい。そういう人がほとんどさ。

 だが人というのはそれで儲かると分かると逆も考えるのさ。戦争が終われば兵器はいらない。それでは儲からない。だが戦争になれば自分達は儲かるのだ。ならば戦争は儲かる彼らにとっては是非ともやって欲しいものになるのでは無いのかね?」

「そんな⁉︎」

「本当にそんな事考える人が・・・」

 

デュランダルの言葉に驚きと怒りが込み上げてくるシンとマユ。戦争で両親を失い、今日まで数多くの苦労をしてきた二人にとって、それは許し難い事だった。

 

「あれは敵だ、危険だ、戦おう。撃たれた、許せない、戦おう。人類の歴史にはずっとそう人々に叫び、常に産業として戦争を考え作ってきた者達が居るのだよ。自分達の利益の為にね。今度の戦争の裏にも間違いなく彼ら、ロゴスが居るだろう」

「ロゴス?」

「知ってる?」

「いや、私も知らないわよ・・・」

「彼らこそがあのブルーコスモスの母体でもあるのだからね」

「そんな・・・」

「だから難しいのはそこなのだ。彼らに踊らされている限り、プラントと地球はこれからも戦い続けるだろう・・・出来る事なら私もそれをなんとかしたいものなのだがね。だがそれこそが、何よりも難しいのだよ」

 

戦争の裏にいるロゴス。突如名前を出された黒幕の存在にどう答えれば良いか分からなかった。そんな中エリスとシンは立ち上がった。

 

「要は、そのロゴスを倒すのが最終目標ってわけですよね?教えてくれてありがたいくらいですよ」

「もうこれ以上、戦争で罪のない人が巻き込まれるのはたくさんだ。そんな奴、オレがぶっ倒します!」

「ありがとう。君達がいるのなら、その未来も遠くないのかもしれないな」

 

打倒ロゴスに燃えるエリスとシンを前にデュランダルは一人ほくそ笑んでいた

 

「本当に宜しいんですか?」

 

デュランダルとの会合を終えたシン達はホテルで泊まる事となった

 

「ええ。休暇なんだし、せっかくの議長のご厚意ですもの。お言葉に甘えて今日はこちらでゆっくりさせて頂きなさい。確かにそれくらいの働きはしているわよ、貴方達は」

「そうさせて頂け。シンもマユも。艦には俺が」

「いえ、私が艦に戻ります。アスランさんもどうぞこちらで。報奨を受け取るべきミネルバのエースはアスランさんとマユと、ついでに隊長です」

「おいレイ、アンタまでそんな事」

「そしてルナマリアは女性ですし、シンはマユの兄ですので、ここは俺が残るべきですよ」

 

エリスのツッコミを無視して話を続けるレイ

 

「そうか・・・」

「待って、なら私をディスる必要ないじゃないの」

「流れです。私は気にしていませんので」

「気にしなさいよ!」

「ははは、本当に仲が良いな」

「議長まで!笑い事じゃないですよ!」

「オレも大丈夫だからレイ。オレも艦に」

「いや、良いんだシン。お前は休むべきだ。いつも最前線に出ているのはシンだからな」

「そうよ、この前もアンタには無茶振りさせたしここで羽を伸ばして次に備えるのも兵士の務めって奴よ」

「そうなのか、ですか?なら」

「アスラ〜ン!」

 

廊下の奥からミーアが駆け足でやってくる

 

「ミー、ラクス?」

「ゲ⁉︎」

 

突如やってきたミーアに少しだけ驚くアスランと驚愕するシン

 

「これはラクス・クライン。お疲れ様でした」

「ありがとうございます。ホテルにおいでと聞いて、急いで戻ってまいりましたのよ」

 

アスランに密着するミーア

 

「ミー、あ、ラクス・・・」

 

返答に困り言葉を詰まらせるアスラン

 

「今日のステージは見てくださいました?」

「え、ああ、まぁ・・・」

「本当に!どうでしたでしょうか?」

「ああ・・・ええ、まぁ」

「素晴らしいライブでしたよ、ラクス・クライン。だよねアスラン?」

「え?、あ、ああ。良かったよ」

 

アスランの狼狽ぷりに思わず助け舟を出すエリス

 

「ありがとうございますアスラン!エリス隊長も」

「彼らにも今日はここに泊まってゆっくりするように言ったところです。どうぞお久しぶりにお二人で食事でもなさってください」

「「えっ?」」

「ほっ・・・」

 

デュランダルの提案に驚くアスランとルナマリア、その横でシンは胸を撫で下ろしていた。ライブの後、ハイネに連れられて来る前にヴィーノをはじめとするミーアのファン達に詰め寄られて、対応に大忙しだったシンは、アスランに任せれば苦労せずに済むと思い、安堵していた。

 

「まぁ、本当ですの?それは嬉しいですわアスラン!では早速席を」

「ああ、その前にちょっといいかな、アスラン?エリスも良いかな?」

「えっ?」

「私もですか?」

「ええ・・・仕方ありませんわね・・・ん?」

 

マユと目が合うミーア

 

「あ、貴女。ライブ会場に居た子だよね?覚えているわ」

「あ、どうも・・・」

「て事は・・・やっぱり貴方も居たのね」

 

シンを見つけて声をかけるミーア

 

「えっ⁉︎あ、はい・・・」

「やっぱり。確か貴方、シン・アスカって言うのよね。話しはよく聞くわ」

「オレの、自分のですか?」

「ええ、噂より大分可愛い顔じゃない。それなのに血まみれの狂犬だなんて物騒な二つ名なんてつけられて。どうやったらそんな二つ名が出るのよ」

「え⁉︎」

 

ミーアの口から出たシンの二つ名。あまりに物騒な名前に初めて聞いたアスランは驚いていた。だが知っているルナマリアやレイはやれやれと首をすくめ、デュランダルとタリアとエリスは表情を変えず、マユはミーアの事を睨んでいた。

 

「いきなり何よ?誰から聞いたのよそれ?」

「えっ⁉︎よく軍の人達からミネルバの噂を聞いていて、その中にあったから気になっていて。でも二つ名をもらってるって戦場でそれだけ活躍したって事でしょ?私は若いのに凄いなって言いたかったのだ、けど・・・言ったらダメな奴だったの?」

 

周りの空気から何か失言をしたと察したミーアは恐る恐るシンの方を見る。だがシンの表情は寧ろ冷静になっていた。

 

「いえ、別に。自分から言うものでもないですけど、事実ですから・・・ただ、戦場で貰った名前じゃないんですよそれ」

「えっ?ならいつ」

「アカデミーの時にですよ。ちょっと同期と喧嘩で、やりすぎちゃった、それだけですよ」

 

さらっと明かされる二つ名の由来は、ミーアとアスランの想像とかなり違うものだった

 

「えっ⁉︎そうなの?なんでそんな」

「別になんでも良いでしょ!行こうお兄ちゃん」

「え、おい」

「あ、待って!」

 

シンを連れて離れようとするマユを呼び止めるミーア。それに敵意剥き出しで答えるマユ。

 

「何よ?まだ何か?」

「その、ごめんなさい。デリケートな事に突っ込んじゃったよね。傷つけるつもりは無かったんだけど・・・」

 

シンとマユに頭を下げるミーア

 

「あ、いえ別に自分は」

「だから、せめて何かお詫びさせて頂戴。プラントの為に戦っている貴方達に少しでも労いたいから、それで・・・」

「だから大丈夫ですよ。けど・・・オレ、ラクス様のファンに刺されるかもなんでこれで・・・」

「え?何その話?それ詳しく」

 

離れようとするシンを追いかけるミーア

 

「いやなんで来るんですか⁉︎アンタはアスランとイチャイチャしててくださいよ!」

「アスラン、今は議長に取られちゃったんだもん!なら一人よりも誰かと居たいのよ!」

「ならマユかルナマリアにしてくださいよ!オレアンタのファンに警戒されてるんですからぁ!」

 

シンとミーアの追いかけっこを見つめるマユ達

 

「はぁ・・・自分の影響力ってのが分かってないのかしら?バカなの?」

「こらマユ。そういうのは気をつけなさい」

「隊長、でも・・・」

「アスハ代表と会った時のシンと同じになってるわよ」

「・・・分かりました、気をつけます」

「・・・なんか済まないね。私のせいでとんだおおごとになってしまったみたいだね」

「いえ・・・あんなの誰も予測出来ませんよ」

 

ホテル内ではしばらくシンの絶叫が響いていた




シンのアカデミー時代の話しは出したかったのですが、中々機会がなくてこの様な形になりました。しかし今回の話しが重くなる事と、ミーアに変にヘイトが行かない様にする為にギャグ全開のオチにしました。
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