ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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個人的にこの頃のアスランはおかしいところは無いと思ってはいます。しかしアスランがこのままザフトのアスランだったら、DESTINYの話しはどうなるのでしょうかね・・・


第二十三話 責任

ダーダネルス海峡での戦いの後ミネルバはマルマラ海沿岸のポートタルキウスで補給を受けていた

 

「ルナ、レイ。そっちは大丈夫だった?」

 

休憩室のソファーに座っていたルナマリアとレイにマユが話しかける。二人は壁際立つシンの様子を確認してから話し出した。

 

「ええ、こっちはそこまで攻撃されなかったから・・・でも」

 

待機しているマユ達が思い返すのは前回の戦いの事だった。サンシャインとフリーダムに戦場はかき乱され、ハイネを失い逃げるように去るしかできなかった前回は実質ミネルバの初黒星となった。厳密にはあの戦いで勝者おらず、連合もオーブも少なくない被害が出たのだがそれでもミネルバ陣営は敗北感を味わっていた。

 

「私、フリーダムに全く歯が立たなかった、何もできなかった・・・」

「それはこっちも同じさマユ。だから気にするな」

「そうよ、それに悔しいのは・・・」

 

その先の言葉をルナマリアは言えなかった。マユとレイも言われずともその意味を分かって何も聞かなかった。自分達の力が通用しなかった事、ハイネを失った事に悔しがってはいたのだが、それを一番気にしているのがシンであると分かっているからこそシンの前で言う事は出来なかった。

 

「これからどうするんだろう、私達」

「以前と変わらないさ。このままジブラルタルに向かうだろう」

「うん。けどまた奴らが現れたら」

「戦うだけだろ。連合も、オーブも、奴らも、敵なら倒すだけだ」

 

シンがマユ達に近寄りながら喋り出す。その目には強い怒りが滲んでいた。

 

「シン・・・それはそうだけど」

「確かにその通りだなシン」

「お兄ちゃん・・・一緒に頑張ろう」

「ああ・・・前大戦の英雄だか太陽の少女だか知らないが、ハイネの仇はオレが取る」

「それは駄目よシン」

「何?」

 

エリスとアスランがシン達の会話に入ってくる

 

「エリス隊、エリス。駄目ってどういう事なんですか?」

「まずあれはどこにも所属していないの。戦闘に乱入してきたのならともかく私達があれを追いかけて攻撃する事は出来ないのよ。そんな事に軍の戦力は裂くことはできないし、仮にしたところで被害ばかりでこちらに利点が無いもの」

「それは・・・でもエリスお姉ちゃん」

 

頭では理解していても心では納得していないマユはエリスに問いかけようとするがエリスに遮られる

 

「次に奴らに挑んでも勝てる奴がいない事。サンシャインもフリーダムも私やアスランと同じ前大戦の経験者よ、その中でも上澄みのね。半端な実力で挑んでもあっさり返り討ちにあうわよ」

「くっ・・・」

 

フリーダムの動きに全く反応出来なかったマユはその事実に言い返す事は出来なかった

 

「だからって!あんな奴らに好き勝手させてたまるかよ!あいつらハイネを」

「ハイネを殺したのはガイアよ。奴らはあくまできっかけに過ぎないのよ」

「きっかけ?それは多分オレだよ。オレを庇ったからハイネは・・・だからオレが」

 

シンの顔をはたくエリス

 

「なっ⁉︎エリス!」

「っ痛ぇ、何すんだよ!」

「シン、ハイネが死んだのは貴方のせいじゃない。ハイネはガイアの攻撃を避けれなかった、もしくはサンシャインと戦える程の力が無かったから死んだ、それだけよ。勝手に責任を取ろうとしないで」

「それだけ、だと・・・ふざけるなよ‼︎」

 

激昂したシンがエリスの肩を掴む

 

「ちょっとシン⁉︎」

「お兄ちゃん⁉︎」

「おいシン!よせ!」

「それだけってなんだよ!ハイネは仲間だぞ!仲間思いで、頼りになって、オレを助けてくれて・・・あの時オレがガイアの攻撃に気づいて対処すれば良かったんだ。あの時オレが」

「いい加減にしろ!このっバカ‼︎」

 

シンの胸ぐらを掴んで壁に叩きつけるエリス

 

「ちょっ⁉︎エリスお姉ちゃんまで」

「熱くなりすぎですよエリス。シンも」

「これは私とシンの話よ!二人は黙ってて」

 

ヒートアップする二人を止めに入るマユとレイだったが、エリスは二人の仲裁を止めてシンを叱咤する

 

「いつまでもうじうじ引きずるな!戦場に絶対は無いのよ!あの時何を判断してどう動くか、それを後から追求なんてしても意味は無いのよ!」

「はぁ⁉︎そんなの」

「そんな事しても過去は戻らない!ハイネは生き返らないわよ」

「なっ⁉︎けど!」

「ハイネは自分の最善を尽くそうとした、それがシンを助ける事だったのよ。アンタの実力を知っているから、認めているからここで死なせない様にしたのよ!それをあんたが否定して後悔するな!」

「はっ⁉︎」

 

エリスの指摘に目を見開かせるシン。先程までシンの中で燻っていたものが急速に落ち着いていった。

 

「仲間の死を悲しむのは良い。自分の実力不足を悔しがるのも良い。けどなんでも自分で背負おうとするな。シンもハイネも私もただの一兵士でしか無いのよ。分不相応な責任感は自分を押しつぶすだけよ」

 

シンから手を離すエリス

 

「エリス・・・」

「それと最後にだけど、サンシャインは個人的に恨みがあるのよ、私は。たとえ味方であっても部下であっても手は出されたく無いのよ」

「はあぁ⁉︎最後に私情かよ!」

「もう、私の前で奴に仲間を殺されたく無いのよ。分かった?」

 

食ってかかったシンを睨みつけながら話すエリス。エリスから溢れ出す憎しみと悲しみの感情にシンだけじゃなくその場にいた全員が何も言えなくなった。

 

「悪いわね、個人的な事を言っちゃって・・・でもこれだけは分かって欲しいわ。貴方達に落ち度は無い。それで納得出来ないのなら・・・ハイネの為に何かしたいと思うのなら・・・死なない様にしなさい」

「死なない様に?」

「ええ。今回の事で仲間が死ねば悲しい、それを痛いほど知れたでしょ?ならそれをもう二度と私に味わせないで。約束しなさい」

「エリス隊長・・・」

「エリスで良いわよ。分かった?」

「「「了解」」」

「・・・分かったよ、分かりました」

 

マユとレイとルナマリアはハキハキと、シンは渋々だが敬礼しながら返事をした

 

「そこまで畏まらなくて良いのよ。心に留めるだけでいいから。じゃあ失礼するわ。ゆっくりしていなさい」

 

エリスが休憩室から出ていく

 

(エリス・・・俺は自分の事ばかりでシンを・・・仲間の事を気にかけてやれていない。これではあの時と同じ・・・いや、このままじゃあ駄目だな。なら)

 

軍人として、人として成長しているエリスの背中を見て決意したアスランが休憩室を出ていく

 

「あっ、アスランまで行っちゃった・・・」

「・・・悪い。オレのせいで空気、悪くしたな」

「そんな事ないよお兄ちゃん」

「いや、良い・・・ちょっと部屋で休むよ」

 

シンが退室する

 

「お兄ちゃん・・・大丈夫かな?」

「しばらくはそっとしてやった方がいいだろう。シンも分かっているだろうからな」

「レイ・・・そうだね」

 

ミネルバからセイバーが発進する

 

(キラ、セナ・・・あの2機が単独で動けばすぐに分かる。それが見つかっていないのならば、おそらくアークエンジェルと潜伏して行動している筈。問題はどうやって見つけて接触するかだ)

 

アスランは前回の戦いに乱入してきたセナとキラの真意を知る為に、フェイス権限を行使して単独行動に出た

 

(このまま分からないままじゃあまた戦うしかなくなる。俺が止めないと・・・とりあえず目撃情報が無いか街で聞き込むか)

 

近場にセイバーを置き、車で移動するアスラン

 

「・・・ん?あれは・・・ミリアリア?」

 

すれ違ったミリアリアを見つけて声をかけるアスラン

 

「ミリアリア!」

「ん?アスラン⁉︎あんたなんでここに?」

「それはこっちの・・・いや、丁度良い。君に聞きたい事があるんだが」

「私に?いやこっちも聞きたい事があるんだけど・・・立ち話もあれだし、どっか店に行かない?」

「あ、ああ」

 

近くの喫茶店に立ち寄り互いの近況を話し合うアスランとミリアリア

 

「ふ〜ん、それで開戦からこっち、オーブには戻らずザフトに戻っちゃったってわけ?」

「・・・ああ。簡単に言うとそういう事だな」

「そう・・・」

 

ミリアリアにとってアスランはトールの仇でもある。その事はミリアリアの中では吹っ切ってはいるのだが、そのアスランがザフトに戻った事に複雑な思いを抱いていた。アスランはそんなミリアリアの心情を分かっており、気まずく感じていた。

 

「あ、向こうではディアッカにも会ったが」

「あらそう。元気にしてた?」

「えっ、あ、ああ」

「そっ、なら良いわ」

 

少しでも空気を良くしようとディアッカの話しを出したが、あまり効果が無く戸惑うアスラン

 

「本題に入るよ。サンシャインについてなんだが」

「サンシャイン?ああそういえばカガリを連れ出して行ったわよね。どこで何をしているのやら」

 

ルナマリアに聞いた話しを思い出して苦い表情をするアスラン

 

「・・・サンシャインがオーブを出て行ったのは知っているが、なんであんな事を・・・あの介入のせいでハイ・・・いや」

「混乱したし仲間もやられた、そういう事?」

「えっ?なんでそれを」

「知ってるわよ。全部見てたもの、私も」

 

ダーダネルス海峡での戦いの写真を見せるミリアリア

 

「これは・・・あの場に居たんだな、なら」

「けどアークエンジェルを探してどうするつもり?」

 

アスランに真意を問いただすミリアリア。アスランに限って邪魔をした報復はあり得ない事ではあるが、ザフトはどうするかは分からない。故にアスランが何を思って動いたのか確認したかった。

 

「・・・話し合いたいんだ。会って話したい。キラともセナとも、カガリとも」

「今はザフトの貴方が?」

「それは・・・けど、会ってアイツらの真意が知りたいんだ。でないとまたあんな・・・それだけは駄目なんだ」

 

必死なアスランの言葉を聞き、アスランに裏がない事は理解出来たミリアリアは連絡を取る事にした

 

「分かった、良いわよ。手がないわけじゃないし、貴方個人になら繋いであげるわよ」

「良いのか?」

「私も長い事オーブには戻っていないから詳しい事は分からないけど、誰だってこんな事はもう嫌なはずだものね。きっとキラも、セナも・・・」

 

心が傷ついたセナを止めれず戦闘に出し続けた結果、セナの心が壊れた事に罪悪感を感じるミリアリア。こうしてオーブを離れた今でもセナの身を案じているからこそ、アスランと同じようにミリアリアも話したいと思っていた。

 

「ありがとう、ミリアリア」

「気にしないで。私も気になってた事だし、寧ろ良いきっかけよ」

 

海中で潜伏しているアークエンジェルは次に備えて鹵獲したムラサメ3機の修理作業と情報収集に努めていた

 

「はぁ〜生き返る〜」

「ほんとね〜死ぬかと思ったからね〜」

「戦艦の中でこんな本格的なお風呂に入れるなんてね〜」

「お前ら、相当疲れてたんだな・・・」

 

アークエンジェルに増設された天使湯に浸かるアサギ達の元によるカガリとラクス

 

「お久しぶりですわね」

「あっ、ラクスさん。お久しぶりです」

「こうしてアークエンジェルに乗る事になるとは思いませんでしたよ」

「まぁ私も似た様なもんだな。全くセナの奴、あんな急に・・・」

「あっ!そういえばカガリ様。あの時公衆の面前でキスしてましたよね、セナ先生と」

「お、お前ら‼︎」

 

ユウナとの結婚式に乱入したセナにキスされた事を思い出し顔を真っ赤にして立ち上がるカガリ

 

「その事は忘れろ!良いな!」

「いや、あれは忘れられませんよ」

「凄かったですよね、どうでした?」

「感想は、どうなんですか?」

「お前らなぁ!くそ、なんて辱めを・・・」

「なんの話ししてるの?」

 

セナも入ってきてラクスの隣に座る

 

「あ、セナ先生」

「お久しぶりですねアサギさん、ジュリさん、マユラさん」

「はいお久しぶりです。それでですね、この間の」

「お前ら!それ以上言うな!」

「ふふふ、楽しそうですわね」

「いや、なんの話しを・・・まぁ良いや。カガリが元気そうだし」

「お前・・・いや、どうだろうな」

 

暗い顔になったカガリが座り込む

 

「ん?どうしたのカガリ?」

「いや・・・これで良かったのかなって思って・・・他に選択肢は無かったのかなって思って」

「・・・まず決める。そしてやり通す。それが何かを為す時の唯一の方法ですわ。きっと・・・」

「ラクス・・・ありがとう」

「そんなお礼を言う程じゃあ」

「あ、セナ。お前には礼は言わないからな」

「なんでよ⁉︎」

 

驚いたセナがカガリに近寄る

 

「当たり前だろうが!絶対にお前には言ってやらないからな!」

「ぐぬぬ・・・こうなったら、えい!」

 

カガリとラクスを抱き寄せるセナ

 

「キャア⁉︎」

「おいセナ⁉︎お前何を!」

「なんか二人だけ仲良くしてずるい!私も入れてよ!」

「近い近い!ちょっと離れろ!」

「セナ、その・・・色々当たってますから」

 

湯船でワイワイはしゃぐセナ達を微笑ましく見守るアサギ達

 

「ふふ、これで良かったんだよね、きっと」

「そうだね。カガリ様もラクスさんもセナ先生も元気そうだし」

「そろそろ上がろっか」

「おいお前ら!ちょっと助けて」

「カガリ様・・・ごゆっくり」

 

アサギ達が天使湯から上がる

 

「ああっ⁉︎これを放って行くな!」

「セナその・・・ヒャアン⁉︎どこ触っているのですか!」

「良いじゃん女の子同士なんだし。それに前はそっちの方が近付いて来てたじゃないの」

「それは・・・アァン!」

「ここか?ここが良いのかな?ん?」

「セナ!流石に、ウヒャァ⁉︎」

「ほう、カガリも中々」

 

抱きついた状態のままカガリとラクスの胸を揉むセナ

 

「ちょっ、誰か来てくれ!てかなんか触り方、やらしくないかお前!」

「そうかな?自分じゃあ分からないからね」

「うぅ、これ、以上は、ンン!」

「誰かこいつを、止めて、ンァ!」

「ふふ、良い反応ね。ラクスもカガリも」

「・・・何してるのかなセナ?」

 

壁に隔たれた男湯からキラの声が聞こえ動きを止めるセナ

 

「キラ?居たの?」

「まぁね・・・それよりセナ。ラクスに何してるのかな?」

「えっ、いや・・・ちょっとしたじゃれつきと言いますかその・・・」

「そっか・・・後で話しがあるからね」

「そんなぁ〜」

 

ラクスとカガリを離すセナ

 

「助かりましたわ・・・」

「・・・私の心配もしろよな」

 

エリスとアーサーに集められたシン達

 

「探索任務、ですか?」

「そうだ。これも司令部からの正式な命令なんだ」

「地域住民からの情報なんだけど、この奥地に連合の息のかかった研究施設があるらしいからその調査に行くのよ。今は静かだけど、以前は車両や航空機、モビルスーツまで出入りしてたかなりの規模の施設なのよ」

「それをオレ達が、でありますか?」

「そうだ。明日の明朝、シルファ隊で調査に行ってもらいたい。しっかり頼むぞ」

「了解です」

「了解しました」

「・・・了解」

 

アーサーに敬礼するレイ達

 

「詳しい事は出てから教えるわ。それまでしっかり休憩する様にね。分かったシン?」

「なんでオレだけなんだよ・・・分かってるよ」

「そう・・・なら良いのよ。それと一人で突っ走らない様にね。施設内は生身で行くんだから」

「分かってるよ!」

 

シンが不機嫌そうに退室していく

 

「・・・まだ引きずってるわね。貴方達は」

「私は大丈夫です。失礼します」

「私も・・・明日までお兄ちゃんの事見ているよ、エリスお姉ちゃん」

 

レイとマユも退室する

 

「ふぅ・・・ありがとうなエリス。僕だけだと一悶着起きそうだったから」

「いえ、別に・・・シンは悪い奴じゃないですよ」

「それは分かっているんだけどね・・・けどそれが上手い事伝わらないんだよね。だから君がシンの上司で良かったと思うよ。君ならシンに寄り添えるからさ」

「副長・・・」

 

アーサーの言葉に目を丸くするエリス

 

「多分シンは色々背負っている。それがいつの間にか大きくなりすぎて押しつぶされそうになる時が来るかもしれないからね。だから誰かがシンの隣に居てやらないと行けないと思うよ」

(多分君にもだけど、それは言わない方が良いよな?)

「それを私がですか?けどいつも小言ばかり言う私をシンはどう思っていますかね?」

「気に入らない奴からだったら無視してるよシンは。ちゃんと聞いて、反応を返してくれるのはそれだけ信頼してる証だと僕は思うけどな」

「私がシンの・・・」

 

クルーゼの事を脳裏に浮かべるエリス

 

「・・・私じゃないわ。シンの隣にいるべきなのはこんな女じゃないわよ、きっと」

「エリス・・・」

「失礼します副長」

 

自嘲する様な笑みを浮かべながら退室するエリスの背中を心配そうにアーサーは見送った

 

アークエンジェルにミリアリアからメッセージが届く

 

【ダーダネルスで天使を見ました。また会いたい。赤のナイトも姫を探しています。どうか連絡を ミリアリア】

「これをミリアリアさんが?」

「赤のナイト?」

「ああっ、アスラン・・・」

「ダーダネルスで天使を見たって・・・じゃああそこにミリアリアさんも居たって事?」

「彼女、今はフリーの報道カメラマンですからね。来ていたとしても不思議ではありませんが」

 

ミリアリアがアークエンジェルを降りてから報道カメラマンになった事はこの場にいる全員が知っている事だった

 

「アスランが、アスランが戻って来てるんだなキラ」

「そうだね・・・」

「プラントからということか・・・さぁてどうするキラ?」

「えっ?」

 

バルトフェルドの問いかけに首を傾げるカガリ

 

「誰かに仕掛けられたにしては洒落た電文だがな」

「でもミリアリアさんと私達の関係を知る人はほとんど居ない筈では・・・」

「けど彼女なら直接連絡を入れる事も出来る筈ですよ」

 

少し思考した後にキラは会う事を決意する

 

「・・・会いましょう。アスランが戻って来たのならプラントの事も分かるでしょうし。けどアークエンジェルはここを動かないで下さい。ここは」

「キラ、じゃんけんしよう」

「はい?」

 

突如セナが割り込んでくる

 

「いや、なんで急に」

「はいじゃんけんぽん」

「あっ・・・」

 

セナはグーを出し、キラはチョキを出していた

 

「ふふん、私の勝ちね。キラは突如仕掛けられたらチョキを出しがちだからね・・・覚えておきなさいラクス」

「ええっと・・・ありがとう?」

「いや、急にどうしたんだよセナ?」

「どうせアークエンジェルを動かさない気なら、どっちかが残る必要があるでしょう?だからキラはここに残りなさい。それでアークエンジェルとラクスの事を守りなさい」

「セナ・・・」

「私が一人で行く。仮に会いに来たアスランとミリアリアが偽物なら、生身での戦闘にもなるかもでしょ?なら私の方が適任よ」

 

セナを一人で行かせる事に誰もが反対したかったが、今の少ない人員ではそれが適切だと頭で分かってしまう為に、誰も否定できなかった

 

「それは・・・けどセナ」

「心配しないでよ。念には念をって奴だから」

「・・・いや、セナだけじゃない。私も行くぞ」

「へ?カガリも?」

「えっ、いや、その・・・」

「・・・アスランに会いたいの?」

「えっ⁉︎・・・あぁ」

 

カガリの顔を見たセナはカガリも共に連れていく事にした

 

「それは、断れないわね・・・分かったよ、行こう」

「ああ、ありがとうセナ」

 

翌日、ミネルバからジャッジメント、インパルス、プロトインパルス、グゥルに乗った白ザクファントムが出撃する

 

「分かっていると思うけど、これはあくまで調査だからね。敵を見つけてもなるべく攻撃せず、撤退か回避を優先してね」

「「了解」」

「了解・・・けど、全員で施設の中に入るんですか?」

 

少し考え込んだ後、答えるエリス

 

「いいえ。これだけ人数がいるのなら調査組と待機組に分けた方が良いわね・・・私とレイが中に入るわ。二人は外で待ってて」

「了解」

「了解です。けど、中で何かあったらどうしますか?私達も入れば良いですか?」

「その時は私達で連絡するから・・・マユはミネルバに戻って連絡して頂戴」

「えっ?私は戻るのですか?」

 

エリス達に何かあった時に一人だけ戻る事に疑問を持つマユ。基本的に調査や生身での戦闘は一人では行わず、パートナーや小規模のチームで行動するのが普通だとマユは考えていた。

 

「仮に4人入ってそこで始末されたら誰も情報を持ち帰れないわよ。だから、中に何か居る事をミネルバを通じて司令部に伝える必要があるのよ。必要になったら援軍を呼んで貰う事にもなるからね」

「なるほど。それなら・・・私が呼びに行った方が良いですもんね」

 

マユはモビルスーツの操縦技能は高いが、それ以外の能力はは年齢的にあまり良くはない。故に内部の安全が確認されるまでマユは施設内に入れるわけに行かないとエリスは考えていた。

 

「まぁそういう事よ。心配しなくても何あったらの話しだからね。もしそんな事になったら、頼むわよシン」

「了解・・・まぁエリスとレイならあまり心配なさそうだけどな」

「何事も油断は禁物だからね。レイは油断なんてしなさそうだから大丈夫だと思うけど、それで良いわね?」

「「「はい」」」

 

海中から浮上してきたサンシャインが海岸に上がる。サンシャインから降りたセナとカガリが先に待っていたミリアリアの方に歩き出す。

 

「久しぶりねミリアリア」

「セナ、久しぶりね。なんか最後に見た時より元気そうじゃない?」

「・・・そう見えるのか?」

「えっ・・・前よりはマシだと思うわよ」

 

カガリの問いに少しだけ考えてからミリアリアは答えた。前よりマシという言葉は、壊れたままであるが自暴自棄で倒れそうになりながらも戦ってた砂漠の時や、コーディネイターを超えた才能持ちの天然の化け物呼びされた最終決戦後の時と比べれば良好していると捉えていた。

 

「まぁ、そうだろうけど・・・けどな」

「二人共、来たよ」

 

セナが指差している方を向くと上空から変形したセイバーが降りてくる。セイバーが地面に降り立ち、アスランが降りてくる。

 

「アスラン、それは・・・」

「あの機体、前に出てた奴だよね・・・もしかして」

「その・・・念を入れて通信には出さなかったんだけど、アスランはザフトに戻ったらしいのよ」

「そう・・・」

 

近づいて来たアスランとカガリを庇う様に前に立つセナが対峙する

 

「・・・久しぶりだなセナ。前に戻った時は直接会えなかったしな」

「そうね、久しぶり・・・けどどういうつもり?私達にもキラにも、カガリにすら言わないでザフトに戻ったなんて」

「そうだぞアスラン。ずっと、心配してたのに・・・」

「その方が良いと思ったんだ。自分の為にも、オーブの為にも」

「オーブの?一体何がオーブの為に」

「カガリ、落ち着いて」

 

セナがカガリの言葉を止める

 

「セナ・・・ごめん」

「アスラン、あれはアスランの機体?」

「ああ・・・セイバーだ。今はミネルバにいるからな俺は」

「そう、ならあの時も居たんだね」

「ああ・・・お前を見て、キラまで来て・・・あの時は混乱しかしていなかったが、お前達の行動の意味が分からず怒りを感じたが、それでも話しあいたくてここに来たんだ」

 

セナの目を真っ直ぐに見つめるアスラン。その顔には前回の戦闘の乱入を咎める気持ちだけでなく、セナやカガリを心配する感情も出ていた。

 

「まず、なんであんな事をした?あんなバカな事を。お陰で戦場は混乱し、お前のせいで要らぬ犠牲まで出た」

「バカな事?あれはオーブ軍を守る為だ。あの時ザフトが戦おうとしたのはオーブ軍だったんだぞ。私達はそれを」

「あそこで君が出て、素直にオーブ軍が撤退すると思っていたのか?君がしなきゃいけないのはそんな事じゃないだろう。戦場に出てあんな事を言う前に、オーブを同盟に参加させるべきじゃなかったんだ!」

「それは・・・」

「・・・ん?」

 

カガリの薬指にアスランから送られた指輪が付けられているのを見つけるアスラン

 

「それ・・・」

「ユウナとか言う横恋慕に奪われそうになったのを返してあげたのよ。これアンタのでしょ?」

「ああ・・・けどなんでお前がそれを・・・カガリを攫う事になったんだよ?」

「そっか、そんな事から知らないんだね・・・アスランは」

「なんだと?」

 

無表情なまま淡々と語りかけるセナにわざとではないと分かっていながらも、アスランには苛立ちを感じていた

 

「アスランが何を思ったとか、何をして何を知ったのかとかはどうでも良いけどさ、そんな事の前にカガリを守る事をしなよ?あの手紙が来なかったら私達はカガリがあそこまで追い詰められた事、知らないままオーブを出るところだったんだけど」

「お前・・・」

「カガリの側に一番いたアスランが、カガリと好き合っているアスランが、カガリの側で支えてあげないでどうする気よ?」

 

セナは感情を表に出さないながらも、アスランがカガリを置いてザフトに戻った事を攻めていた

 

「・・・俺に何が出来た?ただの護衛のアレックス・ディノが居たところで、何の助けになれた?」

「何も出来ずとも、カガリには心の支えが必要だったのよ。それとも自分の力を認めてくれる人の方が良いの?」

「一刻も速く戦争を終わらせる為に!俺に出来る事なんてそれしか無いだろ!ユニウスセブンの事はともかく、その後の対応は全て連合が悪い!それでもプラントは1日でも速く平和にしようと頑張っているんだぞ。

 だから俺も、戦争を終わらせる為に協力したくて、そうすればオーブが連合と同盟を結ぶ必要も無くなるから、だから」

「だからカガリをアイツに預けたの?カガリの気持ちすら聞かず一方的に?」

「そうじゃない!大体なぁ、お前こそなんなんだよ!いつまでも心が癒えないと思えば急に戦場に出て混乱だけを起こして、何がしたいんだよお前は!」

「少なくとも私は勝手な理屈で戦争を再開した連合も、ラクスを暗殺しようとしてキラを傷つけたザフトも、カガリを置いてったアスランも許せないよ」

「はっ⁉︎お前が言ってた暗殺ってラクスを狙ってたというのか?」

 

セナがザフトに暗殺の疑いをつけた理由を初めて知ったアスランは驚愕していた

 

「その様子だと本当に知らない様ね・・・やれやれね」

「何が言いたいんだ!いつラクスが狙われたのか知らないが、それがザフトがやった証拠でもあるのか?」

「コーディネイターの特殊部隊、新型モビルスーツのアッシュって奴が複数で来た事、これで分からない?」

「それは・・・だがプラントが、議長がそんな事する筈が」

「そしてプラントには偽物のラクスが居る・・・これだけ揃っていたら信用出来る筈ないでしょ?だからアンタを許せない、カガリを置いて、そんな奴らを選んだアスランを」

「それが理由で、攻撃したのか?俺達を・・・」

 

アスランの目が鋭くセナを睨みつける

 

「その為に戦場に割り込んで、部下を痛めつけて、俺の仲間を殺すのがお前の正義なのか?やられたらやり返すのがお前のやり方なのか?」

「少なくともあの時はそうしないとみんな死んでた。前の戦場はああでもしなければオーブ軍の被害がもっと増えていた。戦場に出た時点で全部は救えないから、せめて被害を減らそうと」

「そのせいでハイネは死んだ!アイツはあんなところで、あんな死に方して良い筈が無い!そのせいでシンは今も、自分を責めているんだぞ!」

 

あくまでセナ達視点での状況証拠、それらを理由に攻撃され、仲間が死ぬ事になったアスラはセナに怒りをぶつける。たとえ理由が分からなくは無い事だとしても、その為の行動に巻き込まれ死んだハイネを、それを自分のせいと責めるシンを、なんでもない顔をして敵としたセナに感情を抑えきれなくなっていた。

 

「アスラン、少し落ち着け。セナも、無闇に煽るな」

「そうよ、二人がここで言い争う意味ないでしょ」

「カガリ、ミリアリア・・・ごめん」

「謝るのは私達じゃないだろ、ほら」

「別に良いさカガリ。今はセナの謝罪なんて求めてない。俺は忠告に来たんだ。もうあんなバカな真似はするなと・・・オーブに戻って同盟をなんとかしろと言いに来たんだ。ラクスを狙った特殊部隊については、俺が調べておく。内部からの方が調べやすいだろ?」

「そうね・・・ならそっちは任せる事にしたわ」

 

アスランがセイバーに乗り込む。そして飛び立つセイバーをセナ達は見送るしか出来なかった。

 

「アスラン・・・」

「・・・ごめん、カガリ。アスランと話す時間、奪っちゃって」

「あ、いや良い。必要な話しだっただろ・・・」

「うん・・・ミリアリアもありがとうね」

「あ、うん・・・あのセナ達はこれからどうするの?」

「・・・分からない。アスランの言う通りオーブに戻るべきなのか、それとも・・・」

「そうなのね、無理はしないでよセナ」

「・・・肝に銘じとくよ」

 

セナ達のやり取りを初めから観測していたルナマリアがその場を去る。タリアの命令でルナマリアはアスランの行動を監視していたのだった。

 

「あれがアスランの仲間・・・それにあの人、オーブに居た人だよね?まさかあの人が、太陽の少女?というかラクス様が狙われた?ザフトの誰に?一体なんなのよ」

 

その場を後にしたルナマリアの頭には先程まで聞いていた衝撃の事実でいっぱいになっていた。同じ頃シン達が別の意味で大変な状況である事をこの時のルナマリアに知る術は無かったのだった。




たまにセナにははっちゃけさせる癖でもあるのですかね自分には?ミネルバがかなり重苦しい雰囲気の中、天使湯でイチャコラさせるのはちょっとあれだったかもしれません・・・
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