ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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更新が大分遅れてしまいました。申し訳ありません。


第二十八話 優しくて暖かい世界

ムラサメ達の特攻を受けている頃、艦内の衝撃は医務室にも届いていた。

 

「クゥ!大丈夫シン?」

「グゥ!うぅ」

 

ステラがシンの方に振り向くとシンはベッドから放り出され、床で悶えていた

 

「シン!今行くから・・・グッ⁉︎」

 

ステラがシンを起こそうと近寄るが途中で紐が伸びきって首が締まって動けなくなる

 

「クッ、これ邪魔!」

「だ、大丈夫、だから・・・心配するなステラ」

「シン・・・」

 

ふらふらになりながらも壁に手を付きながら立ち上がるシン

 

「悪いステラ・・・ちょっと待っててくれ」

「えっ?待つって・・・シン!」

 

シンの考えている事に気づいたステラが呼び止めようとするが、シンはその静止を振り切りコアスプレンダーの元に向かっていった

 

「そこから先は分からない。しばらくしたらこの艦の揺れは無くなって、その後に何人か倒れた人が運ばれて、最後にシンが気絶した状態で戻ってきたの」

「なるほど・・・分かったわ。ありがとう」

 

ステラにシンがコアスプレンダーに乗っていた経緯を聞いたタリアはお礼を伝えるとその場を去っていった。ステラの周りにはお見舞いに来たマユ、左腕を固定しているルナマリア、頭部に包帯を巻いてベッドに横になるエリス、そして気を失ったままのシンが居た。

 

「なるほどね・・・起きたらシンにはキツく言うとして、大丈夫なの?色々と」

「流石にまずいとは思いますよ。実質マユしか出れない今は・・・ミネルバの損傷も今までの比では無いですし」

「これも全部、アイツらが・・・オーブのせいで」

 

マユが怒りのあまり拳を跡が残るくらい力強く握りしめる

 

「自分が情けないわね。あれだけ啖呵きっておいて、正面からサンシャインに負けるなんてね」

「いえ、仕方ない事だと思いますよ。あれだけの攻撃受けて動けるだけで十分ですから」

「エリスお姉ちゃん、任せてよ。みんなの分も私が」

「ん、んん」

 

シンが目を覚まして体を起こす

 

「あれ?なんでオレ、ここに?というかアイツは・・・ん?」

「やっと起きたわねシン。貴方に一言」

「エリス⁉︎どうしたんだよその怪我は!誰にやられた?」

 

エリスの身を心配するシンだっだが、周りの視線は冷たかった

 

「えっ?ど、どうしたんだよ、そんな・・・」

「貴方ねぇ・・・人より自分の心配をしなさいよ」

「誰よりも貴方の怪我が酷いのよシン。分かっているの?」

「そうだよお兄ちゃん!そんな怪我で出撃なんてして」

「いや、それは」

「とにかく!自分の体を治してから人の心配をしなさい。良いわね?」

「えぇ・・・」

 

エリス達が医務室去る。その場に残されたシンは呆然としていた。

 

「なんだよそれ。あんなに言わなくても」

「アレくらい言うよ。私だって言いたいことことあるんだけど」

 

隣から声をかけるステラは明らかに怒っていた。自分の体の事を気にせずに無茶をして心配させた事に対してステラは怒っているとシンにも分かっていた。

 

「ステラ・・・仕方なかったんだ。ああでもしないとミネルバを、マユやエリスやみんなを・・・何よりステラを守れなかったんだから」

「それでもだよ。シンは自分の事を考えてよ。私、本気で心配したんだから」

「ステラ・・・ごめん。気をつけるよ」

 

ステラに頭を下げて謝罪するシン

 

「・・・次は無いんだから」

 

ステラが立ち上がりシンのベッドに腰掛ける。首の紐が伸びきるギリギリまで接近したステラは少しだけ息苦しくなりながらもシンの顔に触れていた。

 

「ステラ、それ以上は」

「大丈夫、私がやりたくてやっているから。それと悪いけど・・・お願いが」

「えっ?ああそうだったな。ほら」

 

シンが服をはだけさせ首元を露出する。それを見たステラがシンの首元に口を近づけて噛みつき、シンの血を吸う。

 

「うっ⁉︎」

「痛かった?ならこれ以上は」

「だ、大丈夫さ。ただ驚いただけさ。気にしなくていいよ」

「シン・・・ならもう少しだけ」

 

しばらくの間シンの血を舐め続けるステラ。その顔は酒を飲んだ人の様に赤くなっており、恍惚の表情で堪能していた。

 

「・・・ぷはぁ、ご馳走様。シンの血は美味しいね」

「そうなのか?自分じゃ分からないけどな」

「ならシンも飲んでみたら?私の血」

 

ステラが自分の首元を曝け出して差し出す

 

「へっ⁉︎な、何言ってんだよ!」

「いつものお礼。それと守ってくれたお礼がしたいから。シンになら、良いよ」

「ステラ・・・」

 

ステラの肩に手を置き、目を見つめるシン

 

「ステラ、オレは・・・」

「シン・・・」

「入るぞシン」

 

シンがステラに何かを言おうとした瞬間にレイが入室してくる

 

「うわぁ‼︎レ、レイ⁉︎どうしたんだよ急に!」

「どうしたって、見舞いに来ただけだが・・・邪魔したか?なら後にしよう」

「いや良いから!この後気まずいだろ!」

「気にするな。俺は気にしない」

 

レイが医務室から出ていく。残されたシンは疲れ果てたかの様にベッドに倒れ込み、ステラはキョトンとしていた。

 

ドミニオンの医務室で目を覚ますフレイ

 

「あれ?ここ・・・」

「気が付いたかアルスター大尉」

 

ナタルの声が聞こえて周りを見るとナタルだけで無く、レオとアリス、ネオとスティングも自分の見舞いに来ていた

 

「隊長、良かった・・・」

「一応これで一安心ね。というかこれで起きなかったら困ると言いますか」

「中々言ってくれるじゃ無いアリス・・・あれ?」

 

生意気な事を言いアリスに一言言いたくて体を起こそうするフレイだったが、上手く体を動かせなかった。全身に包帯を巻かれているからだと思っていたが、それだけで無く右腕に違和感を感じていた。まるで肩から先の感覚が無いような感じに戸惑いを感じていた。

 

「なんか、動きづらい・・・私、どうなって、えっ⁉︎」

 

違和感を感じて自身の体を一瞥するフレイ。すると自分の右肩から先には本来あるはずの腕が見当たらなかった。というよりも無かったのだった。

 

「えっ・・・私・・・」

「キメラプロトが撃たれたのがコクピットの近くだったんだ。救助した時には右腕はもう、治せない状態でな。このままだと壊死の危険もあったが故に君の確認すら取らずに切断する事になった」

「・・・そう、ですか・・・」

 

淡々と事実を言うナタルだったが、長い付き合いであるフレイには内心とても気にしているが公私混同しないように努めているだけなのは分かりきっていた。心の底から申し訳なさと罪悪感でいっぱいのナタルの事をフレイは責める事はしなかった。

 

「・・・そっか、負けたんだ私。サンシャインに」

「隊長、貴女の分の仇は俺達で撃ちます。だから」

 

レオの言葉に頷くアリス。サンシャインを倒そうと思いを同じくするレオとアリスの目には迷いがなかった。

 

「レオ・・・アリス・・・」

「・・・話しは以上だ。アルスター大尉はそのまま休んでいてくれ。私達は他にもやる事があるからな。行くぞ」

 

ナタルが無理矢理話しを終わらせて全員を連れて医務室を出る

 

「・・・相変わらず不器用なんだからナタルさんは、不自然過ぎでしょ、ははっ」

 

残った左腕で目を抑えるフレイ。その目か溢れる涙を抑えながら泣き出した。

 

「う、うぅ・・・うぁ、ああぁ」

 

負けた悔しさももう二度も戦えない事が悲しくて泣き出したかったが人目を気にして必死に涙を抑えていた。だがナタルにはそれがバレバレだった。故にわざと気づかないふりをしてフレイを一人にしてくれたナタルに内心で感謝していた。

 

「ちょっと艦長⁉︎なんですかあの言い方は!というかなんでそんないつも通りなのですか!アンタは!」

「落ち着けアリス。艦長に当たっても仕方ないだろ」

 

アリスはあそこまで怪我をしたフレイに対していつも通りなナタルに苛立ちを感じていた。今の行動がナタルなりの気遣いである事を気づかなかったのだった。

 

「いや、良い。だがしばらくはアルスター大尉には療養を優先させる様に。特に今は近づいては駄目だ。分かったな?」

 

アリス達に忠告してからナタルはいつもの業務に戻った

 

「何よそれ。やっぱあの艦長もあいつらと同じ人でなしって事?ムカつくわね」

「違うよアリス。あれは不器用なだけでちゃんと心配しているよ」

 

ナタルの行動の真意を理解したネオはアリスを宥めつつナタルののフォローをした

 

「それよりも俺達の事も大事だ。今からお前らは俺の部下だ。それで良いな?」

「了解ですロアノーク大佐」

「・・・わかりましたよ、ロアノーク大佐」

「・・・アルスター大尉が強くて優しい奴なのは俺も知っている。だからこそ俺達でアイツに勝つぞ」

 

アークエンジェルのブリッジでカガリに頭を下げるオーブ軍人達

 

「今までのご無礼、申し訳ありませんでしたカガリ様」

「えっ⁉︎頭を上げてくれ。私こそこんな」

「いえ、カガリ様が戦争を回避する為に尽力してくれた事は我らも知っています。もしよろしければ我らもオーブの為に戦わせてください。それがいたずらに兵を失わせた我らの、トダカ1佐の最期の願いです」

 

アマギが代表して真っ直ぐにオーブ軍人達の思いをカガリに伝える

 

「アマギ・・・ああ、頼む」

「僕達はこのままでは駄目だという事だけは分かっています。でも僕達もまだどうしたら良いのかは分かっていません。それでも」

「分かっていますキラ様。仇撃ちとか、戦いたいとかその様な理由ではございません。オーブの理念を信望し、オーブの為に戦う為にこそ軍に身を置いています。難しい事は承知しています。だからこそカガリ様とこの艦と共に」

「・・・分かりました。失礼な事を言ってすみません」

「いえ、こちらこそ」

 

キラに敬礼するアマギ。それに合わせて一斉に敬礼するオーブ軍人達。

 

「えっ⁉︎いやあの・・・僕そんな敬礼される立場じゃあ」

「ふふっ」

「すっかり大物になったなキラ」

「あのキラがここまで出世するなんてね。元同級生としては嬉しい事ね」

「揶揄わないでよ」

 

キラを中心にして和やかな空気となるブリッジ。それを入り口付近で見ていたセナが無言でその場を去ろうとする。

 

「あっ、お待ちください。貴女にも感謝を太陽の少女、いえセナ様」

 

立ち去ろうとするセナを呼び止めるアマギ。だがセナは無表情のまま振り向きもせずそっけない返事をする。

 

「様付けはしなくて結構です。それに防いでもらったとはいえ私貴方達の代表に銃を向けたのよ。仲良くする必要は」

「いえ、あれが悩んでいる我らの為の一芝居である事、何よりカガリ様に当てないように逸らしていた事は承知です。それにセナ様があの日カガリ様を連れ出した事も、今までカガリ様を守ってくれました。ですので」

「止めてください。私は貴方達の仲間を殺してしまいました。それに連合もザフトも無駄に犠牲を出して戦乱を広げた。私は貴方達が思っている程善人じゃないです」

 

アマギの静止を無理矢理振り切って退室するセナ

 

「すみませんアマギさん。セナはいつもはあんなんじゃあ無いんです。ただ」

「いえ、分かっています。彼女があの太陽の少女だとしても、普通の女性である事も。かつての大戦で傷ついたのでしょう?」

 

アマギは今のやり取りでセナが前大戦で心が傷つき療養中の身であった事、まだ治りきっていないのにその状態で無理をしている事を見抜いていた

 

「あっ、はい・・・未だにセナはあの日に囚われているんだと思います」

「分かっています。なら我らはセナ様の事も守ります」

「お願いします。もうこれ以上、セナには背負わせたくないですから」

 

シャワールームで服を脱ぐマユとエリス。怪我が治りきっていないエリスはマユに体を洗ってもらおうとしていた。

 

「悪いわねマユ。手伝ってもらって」

「良いのよエリスお姉ちゃん。怪我がまだ治ってないんだし、これくらい頼ってよ」

 

二人で中に入ってシャワーを浴びるマユとエリス

 

「痛て・・・結構沁みるわね。やっぱ汗だけ拭き取ってもらうだけで良かったかな?」

「それだけじゃあ駄目だから。ほら、背中向けて下さい」

「は〜い・・・痛っ!」

 

エリスの声が今シャワーを浴びようとしたメイリンにまで聞こえてくる

 

「わっ⁉︎エリス隊長?どうしたんですか、そんな声を上げて?」

「その声メイリン?空いているなら手伝って」

「マユ⁉︎えっ、なんで二人で入って・・・もしかしてそういう」

 

変な勘違いをして顔を赤めるメイリン

 

「違うからメイリン!」

「私が体洗うのを手伝ってもらっているだけよ」

「あ、そういう・・・びっくりした」

「びっくりしたのはこっちよ!」

「・・・でもそれもアリかもね。マユ可愛いし」

 

悪い笑みを浮かべながらマユの体を撫で回すエリス

 

「ヒャァ⁉︎ちょっ、どこ触ってるのエリスお姉ちゃん⁉︎」

「お・・・もうこんなに・・・速いわねえ成長。もう少し小さいままで良いのに」

「何言ってるのよエリスお姉ちゃん⁉︎というかどこを、ヒャァン⁉︎」

 

体を撫で回されてくすぐったさで声が出るマユとマユの成長しだす体に感慨深くなりながら堪能するエリス

 

「メイリン!助けて!」

「ええっ⁉︎無理だよ、ごゆっくり」

「待ってメイリン!見捨てないでよ!このままじゃあ私お嫁に行けなくなるから!」

「そこまでは行かないわよ。偶にはマユの事揶揄いたくなるだけだから」

 

マユの頭を撫でながら謝罪するエリス

 

「もう!エリスお姉ちゃんのバカ!」

「ごめんごめん。もうしないから。メイリンもこの事は黙っててね。もし言ったら」

「ヒィィ、分かってます、分かってますから!」

 

共に出て着替えるマユとエリス。メイリンは逃げるようにシャワールームから飛び出して行った。

 

「あ・・・ちょっと揶揄い過ぎたかしら?」

「もう知らないんだから!」

「あ、待ってマユ。謝るから」

 

機嫌を悪くしたマユを追いかけるエリス

 

「ごめんねマユ。なんかお詫びするからさ。なんか欲しいものある?」

「そんなもので釣ろうとするエリスお姉ちゃんなんて知らないから」

「うぅ、ごめんなさい・・・ん?どうしたの?」

 

突如歩みを止めるマユ

 

「いや艦長と副長がなんか話ししてるから」

「そう、けどそれくらい気にしなくても」

 

曲がり角の先でタリアとアーサーの声が聞こえていた。マユは耳を澄ませて盗み聞きしようとし、エリスは気にせずに通り過ぎようとしていた。

 

「なら今のうちにあの子を本国へ送った方が良さそうね。これ以上ここに置いとくメリットも無いからね」

「ええ、どうして彼女が大した処置もしてないのに体調が良いのか分からないですが、それも全てあちらで解剖して調べて貰えれば分かると思いますよ」

「「えっ⁉︎」」

 

タリアとアーサーの会話を聞いていたエリスとマユは解剖という言葉に驚き、声を出してしまう

 

「誰?」

「あっ・・・エリスお姉ちゃん、どうするの?」

「・・・失礼しました。盗み聞きするつもりでは無かったのですが」

 

曲がり角から出て姿を見せるエリス。続けてマユも姿を見せる。

 

「エリス。それにマユまで・・・どこまで聞いてたの?」

「そこまで詳しくは聞いてないですよ。解剖ってステラの事をですよね?」

「ええ、そうね。図らずも生きたエクステンデッドが手に入ったからには生きたまま隅々まで調べたいと本国から指示されたのよ」

「データなら、あの施設に幾らでもあるんじゃあ」

「あそこにあるのは死体と成長過程のデータだけなのよ。調べる為には生きたエクステンデッドってのが重要らしいのよ」

「それでステラをですか・・・なんでなんですか!」

 

マユから見ればステラは連合に無理矢理体を改造された被害者だった。なのに生きたまま解剖させるなどとまるで実験動物みたいな扱いをするタリア達に憤っていた。

 

「マユ、あの子は敵兵士なのよ。それもガイアの。ザフトがどれだけ被害を受けたのか分からない貴女じゃあ無いでしょ」

「でも!だからって」

「落ち着いてマユ。艦長も評議会もステラを虐めたくて解剖するわけじゃ無いの。けど、これでエクステンデッドの事が分かれば後に役立つかもしれないのよ」

「役立つって、なんの?ステラみたいな子を倒す為のって事?」

 

冷静に艦長の事を擁護するエリスに不信感を抱くマユ。だがエリスはそれを気にする素振りを見せずに返答する。

 

「それもだけど、エクステンデッドの体を治す方法を探せるかもしれないのよ。もしステラの様に生きたまま捉える事が出来たら、治療が出来るかもしれない。その為にはエクステンデッドの事を知らないといけないのよ」

「でもそれでステラを殺すんでしょ?なら」

「ここで反対してステラを解剖しなかったとして、その後どうなると思うの?」

 

エリスの問いにマユは言葉を詰まらせてしまう。エクステンデッドの体は異常で特別な処置をしないと体が衰弱して弱まる事はここにいる全員知っていた。そしてマユはこのまま置いていてもいずれステラが弱り続けて死に至る事もわかっていた。

 

「・・・でもステラはあんなに死ぬのを怖がってるのに、どうしてステラは助けられないのよ」

「どの道このまま放置しても死ぬだけよあの子は。どうせ死ぬ命ならせめてこれから救う命の為に最大限活用しないといけないのよ」

「艦長・・・」

「マユ、僕達だってなんでも出来るわけじゃない。だから彼女の体でエクステンデッドの事を知らなくちゃいけないんだ。酷い奴に見えるかもだけど、そうするしか無いんだ」

 

アーサーに宥められ頭を冷やすマユ。ここで感情的になって反対してもどうしようもない事を、タリア達も心を痛めている事を今の会話で知ったのでこれ以上責める気にはなれなかった。

 

「・・・分かりました。でもお兄ちゃんには伝えたんですかこの事は?」

「いえ、まだよ。今から伝えたいとは思うけど・・・どうなるかしらね」

 

シンがステラの事を守ろうとしているのはミネルバに居る全員が知っていた。理由までは定かでは無いが、その思いの強さから同情だけでは無い事くらいしかタリア達には分からなかった。

 

「反対はされるでしょうね・・・いっそのことシンには何も知らせないで連れていく事になるかもしれないわね」

「そんなの、駄目ですよ!お兄ちゃんは」

「分かってるわよ。けど、知らない方が幸せって事もあるのよ。人には」

 

マユとエリスの事を交互に見ながら話すタリア。一方は気絶している間に両親を失い、何もかもが終わった後で知らされたが故に変わり果てた両親の姿を見ずに済んだ少女。マユがあの歳で両親がバラバラになった姿を見てしまえば一生もののトラウマになりかねない事を考えると怪我で昏睡していたのは不幸中の幸いかもしれなかった。

 一方のエリスは自分にされた事を全て覚えているが故に心が完全に壊れて歪んでしまっていた。今は一応普通に振る舞う事は出来ているが、ふとしたきっかけでまた以前の様に世界を滅ぼそうと考える危険性すら残っているとタリアは考えていた。

 その事を考えると今のシンにステラの事を話せば助けられなかった自分を責めて苦しむ事になるくらいなら知らせない事も優しさの一つだとも思えた。

 

「どちらにせよ、私達に出来る事なんて何もないわよマユ。受け入れなさいとは言わないけど、辛くてもこればかりはどうしようもないわ」

「エリスお姉ちゃん・・・」

「それでは失礼します艦長」

「ええ、こちらこそ悪かったわね」

「いえ、ほら行くわよマユ」

「うん・・・」

 

その場を立ち去るエリスとマユ。タリアとアーサーも歩こうとした時に、曲がった先の足元に何かを見つける。

 

「あら?これは」

「血の跡?一体誰の?」

「・・・まさか」

 

アスランは暗い顔をしながら通路を歩いていた。オーブを守るために戦争を終わらせようとザフトに復帰したのにオーブと戦う事になった事、前回の戦いでキラに言われた事、それらを思い返しながらアスランは一人悩んでいた。

 

(俺は・・・分かっている。本当にするべきなのは、俺は何をすれば良いのかは・・・けど)

 

答えを出せないまま悩んでいると壁に手をつきながら歩くシンを見つける。左手には強く握りすぎたのか、血が流れていたのだがアスランはそれに気づかなかった。

 

「シン?アイツ何勝手に医務室を抜け出して・・・」

 

後ろから近づき声をかけるアスラン

 

「おい、こんなとこで何やってるんだ?」

「このままじゃあ・・・けどオレには何も・・・だからって他に頼れる奴なんて・・・」

「おい、聞こえてないのかシン?」

「・・・えっ⁉︎アスラン⁉︎いつからそこに?」

 

一人で何か考え事をしていたシンはアスランの接近にようやく気づいた

 

「いつからって・・・いやそんな事はどうでも良い。それよりも何抜け出しているんだ。大人しく医務室に戻れ」

「抜け出すって・・・エリスもルナも、あんたもあそこから抜け出しているじゃないですか。なんでオレだけ」

「エリスもルナマリアも怪我はしているが歩けないわけじゃあないから問題無いんだ。それに俺は負傷まではしてないからな」

「あんなに派手にバラバラにされたのに・・・ルナやレイがミネルバを守る為に、エリスとマユが必死に戦っていたというのに何やってんですかアンタは」

「なんだと?」

 

シンに自分が気にしている事を言われて頭にくるアスラン。だがシンはそれに構わず喋り続ける。

 

「かつてフリーダムと共に戦ってたんでしたっけ?それなのにあんな簡単に・・・案外大した事ないんですね、アンタは」

「シン、お前」

「悪いのは全部連合だ。なら戦うだけでしょ?なのにそんな小さい事で惑わされて、殺す気すらない手加減した相手に負けるなんて恥ずかしく無いんですか?」

「シン!お前に何が分かるんだ!」

 

シンの煽りにキレて詰め寄るアスラン。オーブとザフト、どちらも大事な故に二つの間で揺れていたのに小さい事などと言われ、キラが人を殺したく無いからコクピットを避けて攻撃する事を手加減の一言で済ませるシンに怒りを抑えられなかった。

 

「分かりませんよ、分かりたくもない。あんな奴らの好き勝手でこんな事になったのに何を腑抜けているんですか?」

「カガリもキラもこれ以上オーブ軍が撃たれたくなくて戦っているだけだ!アイツらもやり方はともかく大事なものを守る為に」

「そんなのこっちも同じだ!だからって、自分達さえ良ければ他はどうなっても良いっていうんですか?それが三隻同盟って奴の言い分なんですか?ふざけた連中ですね」

 

シンからすればオーブ軍を守る為にこちらに攻撃する事を厭わない見境なしの身勝手な集団に見えていた。故にそんな勝手な理由で同期であるルナやレイが、家族であるマユやエリスが傷ついた事に怒り感じていた。なのにそんなフリーダム達を止めれず、倒された挙げ句庇おうとするアスランの事を信じられなかった。

 

「違うシン!ただアイツらにも事情が」

「だからってなんでもして良いわけないでしょうが!なんでそんな奴らを庇うんだよ!・・・ってそうか、アンタも同類なんだよな。だからオーブで腑抜けたままかと思えばザフトに帰ってきて・・・その癖大した活躍もしないで無様を晒したかと思えばオーブの肩を持つ。本当に何がしたいんですか?」

「ならお前は敵の言う事なら全て間違いだと言うのか?自分達の主張は全て正しいとでも?」

「はぁ?何を言ってるんですかアンタは?相手の言う事を気にしてたら、何も守れませんよ。今のアンタのようにね。オレはこうはなりたくないね」

 

不機嫌にその場を去るシン。シンが見えなくなってからアスランは視線を下げて落ち込んでいた

 

「はぁ・・・何をムキになってんだ俺は。シンの言う事も間違いじゃないし、何よりシンがキラ達の事を知らないのは当然だよな」

 

シンが、ミネルバメンバー全員が戦場に割り込んで暴れたサンシャインとフリーダムを敵視するのは当然の事だった。それを碌に説明もせずに理由があっての事と言われて納得出来る筈がなかった。

 

(やはり俺は上司には向いてないな。俺だとシンを怒らせてばかりだしな・・・ってそういえばさっきのシンは何か考え事をしてたな。それが原因で気が立っていたのか?けど俺が今行っても悪化しそうだからな。今はそっとするしかないな)

 

医務室に戻ってきたシン

 

「おかえりシン。どうしたの?」

「大丈夫だよステラ。はぁ・・・何してんだかオレは。アスランにあたっても何も変わらないのに」

 

シンもアスランと口論になった事を後悔していた。アスランもわざと手を抜いたわけでもないのは分かっていたのに機嫌が悪いのを言い訳に勝手な事を言って怒らせてしまった事を反省していた。

 

「それよりも今はこっちの事だな。けどどうしたのものか・・・」

「シン?」

 

何か考え事をするシンの顔を覗き込むステラ

 

「どうしたのシン?何か悩みがあるの?」

「ステラ・・・いや、それは」

「あら、まだ起きてたの?もうこんな時間よ。そろそろ寝なさい」

 

医務室に女性医師が入ってきてシンとステラに声をかける。ステラは自身のベッドで横になるがシンはまだ起きたままだった。

 

「今日はまたどうしたの?何か悩みなら相談でも」

「アンタはステラがこの後どうなるのか知っているのか?」

「えっ?」

 

シンの問いに女性医師は答える事ができなかった。まだステラの処遇をどうするのか聞いているのはごく一部だけであり、それを聞いていない為に何も答えられなかった。

 

「本国に連れて解剖されるんだってさ。敵だから、エクステンデッドだから、人間じゃなくて実験動物の様に隅々まで調べるってさ。知らないのか?」

「えっ⁉︎いや、それは・・・けど」

「オレはそんなの・・・認めてたまるかよ!」

 

女性医師の首の後ろを叩いて気絶させるシン。そのまま床に寝かしつけてから引き出しから手錠の鍵とナイフを取り出したシンはステラを解放する。

 

「シン⁉︎なんで」

「ステラ・・・行こう。オレは約束を守るから。ステラはオレが守る」

 

ステラの手を引いて医務室から飛び出すシン。ステラの手を引きながら走るシンは全身が悲鳴を上げていたがそれに構わず走り続けた。

 

「シン・・・なんでそんな」

「良いから。大丈夫、心配しなくても・・・⁉︎」

 

ステラを連れて逃げてるシンは途中でエリスとばったり会ってしまった

 

「シン⁉︎それにその子・・・何する気?」

 

声を低くして臨戦態勢を取るエリス。シンが何を考えて何をしようとしているのか理解してしまったからこそ、止めようとしていた。

 

「エリス・・・頼む。これだけは見逃してくれ。お願い、します」

「悪いけど、これだけは見逃せない。どうしても通りたかったら、私を倒してみせなさい!」

 

シンに殴りかかるエリス。エリスの拳を両腕でガードするが、踏ん張りが効かず壁にまで飛ばされてしまう。

 

「グゥ⁉︎くそ」

「今の貴方に勝ち目は無いわ。大人しく」

「出来るわけないだろ!オレはもう、目の前で親しい人を失いたくないんだよ!」

「えっ⁉︎・・・あれを聞いたってわけ?」

「だから、退いてくれよ!」

 

一瞬の動揺を突いてエリスにタックルを入れるシン。無防備だった腹部にシンの体がぶつかり、壁にまで飛ばされ頭を打ちつけるエリス。

 

「ガハッ⁉︎」

「グッ⁉︎クソ、こんなんじゃあエリスには・・・えっ?」

 

タックルの衝撃が自身にも伝わり倒れ込むシンはエリスからの攻撃を警戒していたが、エリスから攻撃が来なかった。エリスはその場で倒れ込んでから動かななくなっていた。

 

「エリス?なんで・・・まさか」

 

エリスの容体を確認すると息はしていたが、意識を失ったかの様に動かなかった

 

「気絶したのか?今ので・・・今は気にしてる場合じゃねぇ。ステラ、行くぞ」

「う、うん」

 

シンがステラを連れて走り出す。その姿が見えなくなるくらい離れてからゆっくり起き上がるエリス。

 

「・・・私に出来るのはこれくらいね。けどこれ、バレたら私も共犯になるかな?」

(まぁ良い。元々私は死ぬ筈だった命。ならせめて私が守りたい者の為になら捧げてやるわよ。だから行きなさい、シン)

 

格納庫に入りコアスプレンダーに近づくシンとステラ

 

「これ、あの合体野郎の」

「コアスプレンダーって言うんだ。ほら、これに乗って」

「おい、そこで何をしている!」

 

コアスプレンダーに近づくシンとステラに警備の兵士達が近づいてくる

 

「やば⁉︎ステラはそれに乗って!ここはオレが、ぐぅ!」

 

臨戦態勢を取ろうとしたシンだが、体の傷が痛んでその場で膝をついてしまう

 

「シン!無茶しないで!そんな体で」

「けど、オレはステラを守るって・・・うっ」

「無駄な抵抗は止めて大人しくしろ!この、ガッ⁉︎」

 

後ろから警備の兵士が殴られてその場に倒れる。そこには他の兵士達を倒したレイが居た。

 

「レイ⁉︎なんでここに?」

「シン。その子を逃す気なのか?」

「ああ。このままじゃあステラは本国に連れてかれて体を解剖される。オレがステラを連れてきたせいだ。だからステラを助ける為ならオレは」

「大体分かった。ゲートは開けてやるからお前達は乗り込め」

「えっ⁉︎」

「あまり時間はない。モタモタするな」

「わ、分かった」

 

コアスプレンダーに乗り込むシンとステラ

 

「ありがとうなレイ。けどなんで?」

 

レイがステラと仲良くしていた覚えはシンには無かった。だからこそレイが協力する理由が分からなかった。

 

「気にするな。ただの気まぐれだ。それにどんな生命も生きられるのなら生きたいだろう。けど、お前は戻って来い。次会ったら敵になったはごめんだからな」

「レイ・・・分かってるさ。行くよステラ」

「うん・・・」

 

ミネルバからコアスプレンダーが無断出撃する。その後フライヤーとフォースシルエットも射出され、換装したインパルスはそのまま飛んでいく

 

「けどどうするのシン?私を助けるって一体」

「ごめんステラ。あのままここに居たら君は・・・その前に返すんだ」

 

シンがインパルスのコンソールから地球軍の基地の位置データを表示する

 

「これってガイアの・・・」

「機体が内部までは壊されなかったからな。これで連絡ができる筈」

 

ドミニオンにガイアの識別コードで通信が入る

 

「なんだ急に?これも罠か?」

「今度はこっちの番って言うつもりかしら?というか余裕が無いのはあっちも同じな筈・・・何故今更」

「どうする艦長?こいつの話しを聞くか、それとも黙って撃つか?」

 

連合側からすれば相手の意図が分からず困惑していた。だがナタルだけは落ち着いていた。

 

「総員第二戦闘配備、ロアノーク大佐とダイナー少尉は出撃準備だ。まずはその通信に応答しろ」

「良いのか?罠かもしれないんだぞ?」

「今のままでは判断が出来ません。ですので敢えて乗るしかない。それでよろしいですか?」

「・・・まぁそうするしか無いしな。分かった、行くぞレオ」

「了解です」

 

ネオとレオが格納庫に向かう

 

(この感じ、キラ少尉の事を思い出すな・・・さて、あの時と同じだったら嬉しいがどうなる事やら)

 

ガイアの識別コードからの呼びかけに応じたドミニオンがインパルスと通信を繋げる

 

「よし、繋がっているな・・・ネオ、聞こえるか?ステラが待っている。一人で迎えに来い。座標はこれだ」

「こちらドミニオン艦長のナタル・バジルールだ。何故今更捕虜の返還を?目的はなんだ?」

「そんな事はどうでも良い。とにかくネオ一人で来い。話しは以上だ」

 

一方的に通信を切るシン

 

「・・・特に作戦らしい作戦は無さそうだな。どうするんだ艦長さんよ?」

「そちらに座標データを送ります。ロアノーク大佐はルーシェ少尉を受け取りに言ってください。ダイナー少尉は近くで待機を。ただし敵に見える位置で見守れ」

「敵に見える位置でですか?なんででしょうか?」

「もしもの為に待機してもらうだけだ。だがもし相手側が作戦では無いただの捕虜返還が目的なら変な誤解は生ませたく無いからな」

「それ、隠れてた方が良いんじゃないか?」

「相手の誠意にもそれなりに答えるべきですよ。我々も軍人なのですから」

「分かった。そうする。良いなレオ?」

「了解です」

 

ドミニオンから赤紫ウィンダムとエクストラが出撃して送られた座標の元に向かう

 

「待っててステラ。もうすぐ迎えが来るから」

 

先に座標の元に着いたインパルスはネオが来るのを待っていた

 

「シン・・・なんで?どうしてそこまで私に?」

「・・・オレが守りたいから、じゃあダメかな?」

 

ステラに優しく微笑むシン。だが先程から無茶を繰り返したシンの体は既に限界だった。

 

「シン、シンは自分の事を大事にしてよ。そんなんじゃあシンが」

「あっ⁉︎来たよステラ」

 

シンに言われて空を見上げたステラには赤紫ウィンダムとエクストラの姿が見えた。空中で待機するエクストラを置いて地面に降りる赤紫ウィンダムの姿を見てからシンはステラを抱えてコクピットを降りる。

 

(アイツは⁉︎血まみれの狂犬⁉︎というかアイツ、あんなボロボロな状態でモビルスーツを動かしたのか?だが今はステラの方が先だ)

 

ネオも地面に降りてから、シンに呼びかける

 

「来たぞ!ネオ・ロアノークだ。上にいるのはもしもの為だ。こちらに攻撃の意思は無い。約束通り一人で受け取りに来た」

「そうかよ・・・なら約束通りステラを返す。それで今回はそのままおさらばだ。それで良いな?」

「ああ・・・だがもし答えてくれるなら、その意図を知りたい。何故ステラを返してくれるんだ?」

 

聞いてた二つ名の印象とはまるで違うシンに戸惑いを感じていたが、それを表に出さずにネオはシンの真意を聞いてみた

 

「死なせたくないから返すんだ!だから絶対に約束してくれ。決して戦争とかモビルスーツとかそんな死ぬ様な事と絶対遠い、優しくて暖かい世界に彼女を返すって!」

「シン・・・」

(・・・ステラの体は目立つ怪我は見えないな。手錠の跡と首輪の跡くらいか・・・それにステラはコイツに懐いている。ならさっきのは本音ってわけか・・・青いな)

 

戦争のとは遠い優しくて暖かい世界にステラを返す事はネオには不可能だった。ステラはエクステンデッドである以上、ゆりかご無しでは生きれないし、戦えないエクステンデッドの存在をロゴスが残す事は無いとネオは察していた。

 だがシンの真っ直ぐな思いと、ステラに優しくしてもらったお礼にせめて自分の本音で答えることにした。

 

「・・・分かった。約束、するよ」

 

シンがステラと共にネオには近づく。シンからステラを受け取り、抱きかかえたネオはステラに優しく呼びかける。

 

 

「ステラ・・・大丈夫か?」

「ネオ・・・うん。それよりシンも連れて行っちゃあ、ダメかな?このままじゃあ、シンが」

 

シンの事を心配そうに見つめるステラ。ネオは知らなかったが、捕虜を勝手に返還しに行ったシンがこのまま戻れば罰せられる事をステラは危惧していた。

 

「・・・と言われたが、どうする?上の奴らはコーディネイター嫌いだが、俺の部下として正体を隠せばなんとかなる。それならステラと離れ離れにはならんぞ」

「・・・悪いがそれは出来ない。オレには待っている仲間が・・・まだ守りたい家族もいるからな。だから、ごめん」

 

泣きそうな顔を頭を下げて隠しながらステラに謝るシン

 

「シン・・・」

「・・・ありがとうと、言っておこうかな」

「別にそんなのはどうでも良い。ただ、さっき言った事は」

「分かっているさ。じゃあ」

「あっ⁉︎ステラ、これ」

 

シンがステラに小瓶を渡す。その中にはディオキアでもらったピンクの貝殻が大事に入っていた。

 

「シン、これ・・・」

「前にステラから貰った奴だよ。オレの事、忘れないでくれよな。それじゃあ」

「あ、シン!待っ」

 

ステラの静止を振り切り駆け出したシンはインパルスに乗り込みその場を飛び立つ。そのまま戻って行こうとしたがエクストラが回り込んでくる。

 

「お前・・・やる気なのか?なら」

「なっ⁉︎おいよせレオ!それじゃあ話しが違うだろ!」

「待て、一つだけ聞きたい事があるだけだ。それに答えてくれるならここを通すさ。良いか?」

 

スピーカーでインパルスに戦闘の意思がない事を伝えるレオ

 

「・・・なんだよ聞きたいことって?」

「お前とステラの関係はなんだ?何故そこまでしてステラを助けようとするんだ?アウルは殺した癖に」

「アウル・・・もしかしてお前らの仲間なのか?この前アビスが倒されたと聞いたが」

「アウルもステラと同じエクステンデッドだ。なら何故アウルを殺した癖にステラは返そうとするんだ?意味が分からない」

 

ステラに思い入れがあるシンの事を寧ろ不審に思ったレオはシンがステラの事をどう思うのか問い詰める

 

「アウルって奴の事は分からない。前回の戦いの時、ほとんど医務室に居たから状況がほとんど分かってないからな。

 ステラを助けるのはただオレがそうしたかっただけだ。死ぬのを怖がる子を、生きたまま解剖なんてさせたくなかった。そうでも無かったらずっと側でオレが守っていたさ」

「だからそれが何故なのか分からないんだ。お前とステラは、本当はもっと昔に」

「・・・確かにオレには幼なじみにステラって子は居た。けどステラはその事は覚えていない。なら人違いだ。きっと」

 

通信ではなくスピーカーで声だけの会話で良かったとシンは心底思っていた。シンはもう人前で弱さを見せたくなくて人目がある時には平気なふりをするのが当たり前になっていた。故に今の図星を突かれて泣きそうになっている顔を的にも味方にも見せられないと思っていた。

 

「・・・そうか、よく分からんがまぁ良い。邪魔して悪かったな」

 

エクストラが横に移動するとインパルスはそのまま真っ直ぐ飛び立って行った

 

(・・・不器用な奴だな。あんな嘘、バレバレに決まってるだろ。ならせめて、次会うときはステラとは戦わせない。俺がお前を倒して、捕まえてステラとまた会わせてやるよ)

 

インパルスが飛び立った方をずっと見つめ続けるステラ。今のステラにはシンの事が心配で頭がいっぱいになっていた。




右腕を無くしたフレイ、オーブ軍とアークエンジェルが団結するのに一人馴染まないセナ、悩みを人に話さないアスラン、怪我で戦闘出来ないルナマリアとエリス、捕まるレイ、いつまでもボロボロで味方どころか敵にも心配されるシン。箇条書きにするとこうなりますが、かなり話しが詰め込んでますね。
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