ミネルバに帰投したインパルスから降りるシン。その回りを兵士達が銃を向けながら囲んでいた。
「シン・アスカ。軍法第3条G項、他の違反により君を逮捕する」
兵士達に囲まれるシンを心配そうに見つめるマユとメイリン達
「お兄ちゃん・・・ねぇどうすれば良いのメイリン?」
「マユ、これは無理だよ。どうやっても庇えないよこれは」
「そんな!このままじゃあ・・・なんとかならないの?」
「捕虜を勝手に返したんだろ?シンの奴、これを許しちゃったら軍としてやっていけないよ」
「ここまでやらかしたら銃殺刑もおかしくはないからな・・・」
「ヨウラン!いくらなんでもそんな事」
「悪かったよ。けど事実だろうが・・・」
マユ達が話している間にシンは兵士達に手錠をかけられていた
「・・・レイはどうなった?」
「レイは共犯として既に捕らえてある。今頃艦長に事情聴取されている頃だ」
「そうか・・・それは、悪い事、した・・・な」
その場で倒れ込むシン。怪我した体を無理矢理動かしていたシンはインパルスに乗り込んだ頃からとっくに限界を超えており、その場で気絶していた。
「なっ⁉︎おい!」
「お兄ちゃん⁉︎」
倒れたシンに駆け込むマユ。ゆすって見るがシンが起きる気配は無かった。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!ねぇ起きてよ!」
「マユ、落ち着いて。無理に動かしたら余計悪化するかも」
「ならどうすれば良いのよ!」
「とにかく彼は連れていく。そこを退きなさい」
シンを連れて行こうとする兵士達の前に立ち塞がるマユ
「止めてよ!お兄ちゃん、こんな状態なのに何考えてるんですか!」
「怪我人以前に軍法違反者だ。最低限の治療をしたら色々問いたださないといけないんだ。それにその怪我も、元は勝手に連れてきた捕虜にやられたものだろ?なら自業自得だ」
「そんな言い方!」
「止めなよマユ」
「それ以上はよせマユ」
メイリン達に後ろから引っ張られシンから離されるマユ
「離してよ!お兄ちゃんを見捨てる気?」
「少なくともシンのは俺達にどうにか出来るもんじゃないんだよ」
「このままシンを庇えばお前まで捕まるかもだぞ」
「そんなの知るか!ここでお兄ちゃんを助けられないなら何のために私は力を求めたっていうのよ‼︎」
「だから落ち着いて。マユまで捕まるのはシンも望んでいないから」
揉めるマユ達を他所にシンは兵士達に担がれて連れて行かれる
「あっ・・・クソ!」
「マユ・・・その」
「分かってる。軍としてはお兄ちゃんの方が間違っているって事くらいは・・・けど」
拳を跡が出来るくらい強く握りしめて耐えるマユ。自分が庇おうとする理由ははシンが兄であり身内であるからであり私情だった。故にどちらが正しいのかはマユも頭では分かっていた。
「それにしてもシンの奴、どうしてまた勝手に捕虜を返したりしたんだろうな?連れてきたのはなんか知り合いだったからとからしいけど、返したのはどういう意味で」
「あの子エクステンデッドって奴なんだろ?見た目じゃあ分からないけど長くは生きられない状態だったとかじゃあ」
「うん。それで生きている内にジブラルタルにって・・・あっ!」
タリア達の会話をエリスと共に聞いてた時の事を思い出すマユ
「もしかして・・・お兄ちゃんもあの場に居た?それで・・・でも最後まで聞いてたら理由くらいは・・・」
シンもあの場で聞いてた可能性を考察しているマユだったが結局真相は分からなかった
「・・・ん、ってて・・・ここは?」
気絶していたシンが目を覚ますとそこは見慣れない天井だった
「・・・そういえばオレ、捕まって・・・ここは」
「ここはミネルバの営倉だシン」
「レイ」
レイの声を聞いて起き上がるシン。やはり体を起こすだけで体が痛むが感覚が少し麻痺し始めたシンには最早大したことでは無くなっていた。
「大丈夫なのか?無理して起き上がる必要は」
「もう、大丈夫・・・それよりもごめん」
「どうして謝る?」
「いやだって・・・オレの勝手な行動にお前を巻き込んでお前までここに・・・」
シンからすれば本来一人で罪を被るつもりだったのをレイまで巻き込んだ事に罪悪感を感じていた。だがレイはそんな事は気にしていなかった。
「お前に詫びてもらう理由は無い。これは俺がやりたくてやった事だ。それよりも無事に返せたのか?」
「えっ、ああ・・・」
「そうか、良かったな」
「ああ。ありがとうな・・・知らなかったよ、案外優しいところあったんだなレイって」
「それはこっちのセリフだシン。お前は優しい。少し誤解されがちなのが問題だがな」
「お前な・・・」
シンとレイはアカデミー時代からあまり親しくは無かった。仲が悪いわけでは無いのだがどちらかといえばシンが周りと関係を作ろうとしないのとレイが積極的じゃない方なので任務や訓練時以外では話さないことも珍しくは無かった。
だがこうして腹を割って話してみれば案外気が合う事を互いに知れたのは良い事だと思っていた。これなら次の戦闘でも息を合わせられると考えていた。もし次があるならのだっだが。
「ようやく目が覚めた様ねシン」
営倉にタリアとアーサー、その後ろにエリスとアスランが入ってくる。タリア達がシンの檻の前まで近寄るとシンもタリア達の方に歩み寄った。
「どうしてここにいるのかは説明しなくても分かるわよね?」
「ええ」
「勝手な捕虜の解放、クルーへの暴行、モビルスーツの無許可発進、敵軍との接触、こんな馬鹿げた軍規違反聞いた事もないわ。何故こんな事したの?」
シンが理由もなく軍規違反をする様な人間じゃない事はこの場にいる誰もが知っていた。そしてステラを助けたいという優しさで動いていたのも想像出来る範囲だった。だがわざわざ敵軍にステラを返した理由が分からなかった。このまま捕虜として捕らえておけば本国に引き渡すまでは側で守る事が出来たのに、それだけが謎だった。
「・・・このままここに置いてもステラは助かりませんでした。ステラはここに居ても誰も助けてくれない。だから連れ出すしか無かったんです」
「彼女はエクステンデッドよ。そして敵兵でもある。貴方にとっては知り合いだから可哀想に見えるのかもしれないけど」
「敵兵なら、エクステンデッドなら人間扱いしなくても良いと言うんですか?解剖してデータを取るためだけに生かしていたんですか?」
シンはあの時、エリスやマユとは別の方向であの時の話しを聞いていた。だが途中で抜け出していたシンはタリア達も葛藤していた事を知らなかった。軍人としてはどちらが正しいのかシンも分かってはいたが、人としてタリア達を信用する事は出来なくなっていた。
「それは・・・」
「ステラをあんな風に見ていたのなら・・・人間扱いしないのなら艦長達も連合の奴らと同じですよ」
「シン、口を」
「だからって貴方のやった事が認められるわけではないわよ」
「好き勝手するのが問題ならアイツらはどうなんですか?戦争が終わったから、勝ったから許されているだけでオーブもアークエンジェルもフリーダムやサンシャインも許されるんですか?」
「それは・・・それとこれは別の事よ」
「アンタはどう思っているんだアスラン?軍人として間違った事はしてはいけないとアンタも言うのか?」
「シン・・・」
シンに問われたアスランは答える事が出来なかった。以前は過激になる戦争を止めなければ人類の存続にも関わる寸前まで行っていた。だからそれを止める為に戦ったのだがザフトを抜けプラントを裏切った事には変わりなかった。
それを否定してしまえば以前の自分達の行動が間違っていると言ってしまう事になり、逆に肯定してしまえばシンの行動だけを罰するのもおかしくなってしまう。どちらも放っておけなかったが故にどちらもの肩を持っていたのが逆にアスランを追い詰める事になっていた。
「答えられないんですか?なんだよそれ・・・結局何しに来たんだよアンタは」
「シン・・・君の言う事も分かる。彼女も被害者だと、だから助けたいと思う優しさまでは否定したくないさ。けどそれなら尚更連合に返さず君が側に居てやるべきだったんだ」
「えっ?」
「自分の意思で戦場から抜け出せないのなら、あの子もまた戦いに出る事になる。それは君の望む事じゃないだろ」
「ならザフトの為に死ねば良いと言うのかよ!」
「そうじゃない!だがこれではなんの解決にもならない!」
アスランは落ち着いて話そうとしていたがヒートアップしていくシンにつられて熱くなってしまう
「それに、あの人は約束してくれた。ステラをちゃんと戦争と関係のない優しくて暖かい世界に連れて行ってくれるって!だからオレは」
「だから自分のやった事は間違ってないとでも言う気か君は!」
「だったらどうしろと言うんだよ!誰も助けないのなら、オレには助けられないのなら・・・こうするしか無いじゃないか!」
シンの叫びはステラを助けられない現状を、あの日助けてもらえなかった自分達の事を嘆く被害者の言葉だった。その言葉に誰もなんと返せば良いのか分からなかった。というよりもシンもどういった答えが欲しいのか分かっていなかった。
「シン・・・」
「そこまでにしておけシン。これ以上ここで話してもどうにもならない。アスランももう良いでしょう?」
「レイ・・・」
「もう終わった事をいつまでも掘り返してなんになるんです?艦長達も、それで良いですよね?」
「・・・そうね。ここでウダウダ言ってもどうにもならないわね。行きましょう」
タリアが引き返してアーサーとアスランも共に営倉を出た。その場には檻の中に居るシンとレイと、ずっと黙っていたエリスだけが残されていた。
「エリス・・・その、大丈夫か?さっき」
「・・・なんで何も言ってくれなかったのよ?」
エリスがシンを見つめながら聞いてくるが、その目はいつもと違って弱々しかった
「そんなに頼りないかな?でも一人で抱え込むよりは、レイまで巻き込んでこうなるよりはマシな方法を取れたかもしれないのに」
「・・・ごめん。けど他に何にも考えられなくて・・・気づいたらもう動いていたんだ」
エリスに謝罪するシンもいつもと違って弱々しかった。ステラを助ける為に焦っていたとはいえ親代わりになってくれたエリスに手を出してしまった事を今になって後悔していた。
「・・・上に報告はされるでしょうね。そして貴方達は・・・そこも考えてなかった?」
「・・・うん」
「そう・・・シンはザフトにいる事にこだわりってあるかしら?」
「えっ?」
質問の意図が分からないシンは聞き返す事しか出来なかった。だが今の反応でエリスはそれなりに察する事が出来た。
「もしもの時は・・・私がなんとかする。何をしてでもアンタは死なせないから。それだけ」
「あっ、まっ」
シンが呼び止めようとするが気づかなかったのかエリスは振り返る事もせずに営倉を出て行った
「・・・やっぱ間違いだったのか?あんなに落ち込んだエリス、初めて見た」
「短慮だったのはそうかもしれないな。けど考えるより先に助けようとするお前が、エリスもマユも好きなんだと思うぞ」
「そうなのか?・・・なんか眠い」
「どうせここでやれる事はない。お前はしっかり休んでいろ。俺もしばらくしたら寝る」
「そうするかな」
ポナパルト基地にやってきたドミニオン
「どうしてこんなところに?というかもうミネルバは追わないの?」
「我々は幾度も攻撃しては返り討ちにあった。これ以上やっても余計な犠牲が出るだけだ。悔しいだろうがここまでだ」
「・・・確かに今の戦力で行っても勝てないよね」
アウルは撃墜されてアビスと共に海の藻屑となり、フレイは右腕を失って出撃不可となった。長時間ゆりかごの調整を受けていない割には健康的なステラが帰ってきたがガイアを失いステラの機体も無い状態だった。
ミネルバの戦力が実質一人である事を知らない連合側からすればドミニオン程の戦力でも倒せない強敵にこだわるのは無駄である事はアリスも分かってはいた。
「まぁ別の作戦中に遭遇する事くらいあるだろ。その時にどうやって倒すか考えれば良いだろ」
「まぁそうだけど・・・それよりもこのデカブツ、何なの?」
スティングに慰められていたアリスだったが、それよりも基地内で最終調整している巨大な機体が気になっていた
「新型のモビルアーマー?また随分と無駄にコストのかかる大きなものを・・・上の連中って金かけるか大きければ強いなんて単純思考じゃ無いよね?」
「アリス、流石に言葉を慎めよ・・・まぁこんなの作ってどうするんだって話しだけどな」
口の悪いアリスを窘めながらもレオは無駄に目立ちそうな大きさに呆れていた
「こんなの誰がどうやって動かすんだよ?というかこれ一つに幾ら掛かることやら」
「ほんと無駄が多いったらありゃしないわね。まさか私達全員でこれに乗れなんて言いませんよね?」
「そこまでは聞いていない。だがこの機体、デストロイは我々が最初に使うそうだ」
「デストロイねぇ・・・悪役の名前過ぎないかしら?」
「物騒な名前なのは同意するが大事なのは使い方だ」
(まさかこれが完成したとはな・・・まぁその名に恥じない破壊力はあるだろうが、それでもこれは・・・嫌な役割だな)
既にネオと共に次の指令を聞かされていたナタルは作戦前の時点で気が滅入りそうになっていた。これからやる事は軍人としても人としても止めるべき非道な作戦だという事をこれからやらされる事に嫌気を感じつつも今更戻る事は出来なくなっていた。
(これを使って私達は・・・いや、あの子達は更に業を背負わされるのだろうな・・・こんな事の為に連合に居続けたわけじゃないが、引き際を間違えたのは私だからな。なら最後まで背負ってやるさ)
ドミニオンの医務室で検査を受けているステラ
「これは・・・信じられません」
「どうした、何があった?」
「まさか、ステラの体に何か悪い事が?」
「いえ、その逆です。これを見てください」
ステラの体の数値を見ると、普通の人間からすればまだ異常な値ではあったが以前と比べるとマシな値になっていた
「これは・・・どういう事だ?」
「つまり彼女は元の人間に戻りつつあります。ザフトに何をされてこうなったかは知りませんが安定性は今までのエクステンデッドを遥かに凌いでいます」
「なら長生き出来るって事?良かったじゃないステラ」
「う、うん」
ステラの事を我が事のように喜ぶフレイは左腕でステラを抱き寄せる。だがステラは自分の事よりもフレイの体の方が気になっていた。
「フレイ、それ・・・いつそんな」
「ああ、あの時はステラミネルバに捕まってて戦闘見てなかったんだよね。負けたのよ。サンシャインに」
「サンシャイン・・・あの時のオレンジの奴」
ダーダネルス海峡での戦闘を思い返すステラ
「アレは強い・・・フレイでも勝てないなんてどうしたら」
「こっちはオーブ兵と囲んで攻撃してこのザマよ。勝てるはずがないわ、あんなの」
「・・・もっと力があれば、シンのようにみんなを守れるくらい強い力があったら」
シンの事を思い返すステラ。ミネルバで一緒に居た時の怪我をした状態でも仲間を守ったシンの事を密かに憧れる様になっていた。
「ステラ・・・なら乗るか?アレに」
「アレって、あのデカイの?」
「ロアノーク大佐、それは!」
「分かっているよアルスター大尉。けどやるしかないんだよ」
「それは・・・」
負け続きのファントム・ペインにもう後が無いのはフレイも既に知っていた。デストロイで敵を倒す、その作戦をしくじれば最後だという事をネオとナタルはジブリールに告げられていた。
そしてレオもアリス達ニュースピシースも、スティングやステラの様なエクステンデッド達もここで役立たなければどうなるか・・・それを聞かされた時点でもう選択肢は残されていなかった。
「スティングはアウルの分も記憶を消した影響で万全じゃない。レオとアリスはあのモビルアーマーには向いていない。行けるのはステラだけだ。こうするしか無いんだよ」
「それは分かってますが・・・けど、あの血まみれの狂犬と約束したんですよね?あれは」
「あの坊主には悪いとは思うさ。けど断ればステラは・・・少しでもステラを生き残らせるにはこれしか無いんだ」
ネオの顔は仮面で隠されていたがそれでも十分に伝わるほど苦渋に満ちていた。ザフトに捕まっていたステラの事をジブリールはさっさと処分したがっていたがなんとか役立つ事を証明する事を条件に遅らせる様ネオは説得した。
ステラを死なせない為に残された道はステラに戦わせるしかなかったネオは罪悪感で押し潰されそうになるがそれでも決断した。
「・・・ならステラ、これだけ持ってて」
ステラに何かを手渡すフレイ
「これは?」
「ポケットにでも入れといて。いざって時のお守りよ」
「分かった・・・フレイはこれからどうするの?」
「もう戦えなくなったしね・・・しばらくこの艦から離れる事になるわね」
「そうなんだ・・・元気でね」
「うん、ステラも気をつけて」
営倉で待機していたシンとレイにザフト兵が近づいてくる
「起きろ。ここから出るんだ」
「ん?良いのか?特になんも罰受けてないけど」
「拘束中のエクステンデッドが逃亡の末死亡した事は遺憾であるが貴艦のこれまでの功績と現在の戦況を鑑み本件については不問とみなす、だそうだ。運が良かったな」
少しだけ不服そうにしながらシンの質問に答えるザフト兵。アレだけの事をしでかしたのに無罪にした司令部の判断に思う事がある様子だった。
「えっと・・・どういう事だ?」
「俺達はお咎め無しって事だ。まさか無罪になるとはな」
(まさかギルがそこまで強引な事をしてまで助けてくれるとはな・・・次会った時にお礼しなくてはな)
「えっ・・・そんな事あるんだ・・・」
シンもこの判決には驚かされた。自分の行動は人としては間違ったとは思ってはいないが軍人としては許されない事でもあると思っていた。それを何の罪にも問われなかった事には罰せられなかった嬉しさはあるがそれ以上に戸惑いも感じていた。
「まぁ司令部がそう判断したんだ。俺達は素直に受け取れば良いだろう」
「あ、うん・・・」
営倉から出てきたシンとレイが通路を歩いていると回りからの視線を感じていた。数々の問題行動を不問にされたシンとレイに思う事はあるが何も言わずにただ眺めているだけだった。
「お兄ちゃん!良かった、心配したんだから!」
「ホントだよ。レイもシンも驚かせやがってよ」
マユとヴィーノはシンとレイに駆け寄り言葉をかける。純粋に労ってくれる同期達にシンもレイもありがたみを感じていた。
「済まなかった」
「ごめん。心配かけて悪かったよ」
「全く!私がどれだけ心配したと思ってるのよ!次勝手な事したら許さないんだから!」
涙目になった顔を隠す様にシンに抱きつくマユ。シンはマユを不安にした事を心の中で反省しつつ慰める様に頭を撫でた。
「気をつけるよ・・・そういえばエリスは?」
「アスランさんと艦長に呼ばれて先程出て行っちゃったよ・・・入れ違っちゃったな」
「・・・分かった。ありがとな」
抱きついているマユと共に自室に向かうシン
「はぁ、一時はどうなるかと・・・けど俺達どうするんだろうな?これでパイロットは二人になったけどシンは怪我人だし、それなのに修理はされるけど機体の補充は無いし」
「代わりに送られたアレはあるけど、まだ調整も終わってないからまだ出せないしな・・・」
「ヨウラン、アレとは何だ?ミネルバに新しい装備でも来たのか?」
「あ、そうかレイは聞いてないよな。いやインパルスの新しいシルエットが来たんだけどよ、性能の高さは凄まじいけど割と欠陥だらけでな。このままじゃあ実戦で使えないから整備班総出でなんとか調整する事になったんだよ」
ヨウランの端末からデータを見せてもらうレイ
「・・・確かにこれでは動かすことも難しいな。だがこれだけの力ならあのフリーダムやサンシャインにも対抗出来るかもしれないな」
「かもしれないがこれ誰が使いこなせるんだよ。マユもシンも十分強いけどこんなの人間が乗ること想定しているのかよ上の奴らは?」
「だがしばらくは出る事も無いだろう。その間に慣熟訓練の時間くらいは」
「マユ!シン!居る?」
インパルスの新装備について話し合うレイ達の元に血相を変えたエリスとアスランがやってくる
「えっ⁉︎いやつい先程出て行っちゃったんですが・・・」
「何かあったのですか?エリス、アスラン?」
「あ、ああ・・・先程司令から緊急通達が来てだな」
「ザフト全軍で非常態勢を取ることになったのよ。勿論ミネルバも」
「「ええっ⁉︎」」
「ミネルバもですか?しかし今は」
「急いでマユとシンをブリーフィングルームへ連れてきなさい。貴方達も遅れない様に」
有無を言わさないエリスの様子に只事じゃない予感を感じつつレイ達も動き出した
「あ、みんなしてここに・・・なんかあったの?」
全員で何かの映像を見ているらしく騒然としていた様子に嫌な予感を感じたセナは何が起きたのかを聞いた
「セナ・・・」
「セナさん、これを見て頂戴」
マリューに促されて映像を見るセナ。そこには都市を焼き払いながら進行する連合軍。その先頭にいる一機の巨大なモビルアーマー、デストロイの攻撃で次々倒されていくザフト軍と巻き込まれる現地住民の姿だった。
「なんなのよ、これ・・・」
「ターミナルから送られた映像よ。連合の部隊が独立し始めたユーラシア中央の都市に進行しているのよ。ザフトも勢力を集めて迎撃に出たそうだけど」
「こんなの・・・ただの虐殺じゃないか・・・なんでこんな事を」
「カガリ・・・これが連合のやり方って事なのか・・・」
背中のバックパックに搭載されたアウフプラール・ドライツェーンで上空にいるバビやディン達を薙ぎ払い、ネフェルテム503で都市事バクゥやザウート達を焼き払い、目の前にあるものを何もかもを踏み潰しながら進むその姿は正気とは思えない攻撃だった
「カガリ・・・一応聞くけどこれ、どうする?私達は一刻も速くオーブに戻らないと行けない状況だけど」
「決まっている!こんなの見せられて、放っておく訳には行かないだろ!」
「まぁそう言うよね・・・」
セナもカガリが、この場にいる全員があの惨状を放っておけないとは分かっていた。無論セナ自身も放っておく気は無かった。
「言っとくけどオーブ軍兵士達は出さないでね。これ以上死なせたくないから。私とキラであのデカブツは止めるから」
「うん。マリューさん、行きましょう」
「ええ。急ぎましょう」
デストロイを止める為、アークエンジェルは今進行されているベルリンに向けて出撃した。惨状を止める為に動き出したセナ達と同様にミネルバもデストロイ討伐の為に向かっていた。
この辺の話しはよく言われる事だと思いますが、個人的に誰が悪いというよりはどうしようもない世界が悪いとしか言えませんよね。逃がすしか助けられる方法の無かったシンも少しでも長く生かす為にデストロイに乗せるしか出来なかったネオも悪くない。
けれども今後の為にエクステンデッドの事を知ろうと解剖しようとしたらザフト側が酷いとは言い切れないとも思います。ロゴス側は・・・ノーコメントで。皆さんはこの辺はどう考えているでしょうか?