ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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漸くこの話しを出す事が出来ました。かなり前の段階からこの辺りの話しは構想していましたが、漸く形にする事が出来ました。
敢えてここのタイトルは悪夢にはしませんでした。ここはあくまでザフト側が主役陣営なので、そちら側に寄せたタイトルにする為です。


三十二話 怒りの剣が目覚める時

デュランダルの放送を医務室で聞いていたネオはため息がこぼれていた

 

「はぁ・・・なんか大変な事になったな。これからどうなる事やら」

「そうですよね。がっつり関わっている貴方達はまずいですもんね。特にこの子はアレのパイロットだって知られたら地球で生きていけなくなりますよね」

 

同じく医務室で放送を聞いていたセナが寝ているステラの横に座りながら話しかけていた

 

「まぁ他の連中に教える気も無いですけど。それよりも、この子がエクステンデッド?って奴で長くは生きられないって本当なんですか?」

「ステラの前で言うな。その子はな、死ぬ事に怯えているんだぞ」

「そんな子をあんなのに乗せて人殺しさせる人の言葉じゃないですよ。それともこれも全部あの子の為とでもほざく気ですか?」

 

ネオに話しかけるセナの口調は少し荒々しくなっていた。かつて共に戦った戦友であるムウが変わり果てて自分よりも年下の女の子に非道な行為をさせた事に憤りを感じていたからだった。

 

「あの太陽の少女様にまで言われるとはな。なら俺はどうしたら良かったのか教えて貰いたいもんだな」

「確かに私もアレくらいは殺していますからね。どの口が言ってんだって話しですよね」

「・・・はっ?」

 

セナの口からさらっと出された物騒な言葉に驚愕するネオ。しかもなんでもない様にいつもの口調で言うセナの事を信じられないものを見るかの様な目で見てしまっていた。

 

「お前・・・」

「私だってわざとでは無いですよ。けど平和の為だからって言い訳出来ないくらいには多くの生命を奪ってしまったんですよ、私は。多分ロゴスが居なかったら世界で一番恨みを買っている女ですよ私」

 

ネオを正面から見つめて話すセナの表情は無に等しかった。それは気にしていないわけでなくもうそれほどの事でも感情を動かせなくなってしまう程に心が砕けていた事にネオは気づいてしまった。

 

「・・・けど、感謝している奴もいるだろ。共に戦ったオーブの連中とか」

「オーブ兵も何人か撃墜しちゃったしねぇ。そんな事よりも教えてくれないかしら?」

「そんな事よりって、てか教えるって何をだよ」

「エクステンデッドを生み出したラボの位置とか数とか。知ってる事全部」

 

いつの間にかネオの目の前に来ていたセナが詰め寄り問い詰める

 

「知って、どうする気だ?この間のを繰り返さない為にエクステンデッドを皆殺しにでもする気か?」

「まぁ戦場に出てきたなら殺るだけだけどそうじゃ無いわよ。あの子の体、元に戻してやりたいのよ」

「はぁ⁉︎なんでお前が?」

「ん・・・あれ、ココは?」

 

目を覚ましたらステラが体を起こしながら辺りを見回す

 

「ネオ!無事だったの?」

「あ、ああ。ステラこそ元気そうで安心したよ」

「ここどこ?ドミニオンに似ているけど・・・それに私、あのオレンジ奴と戦って、それで」

「おはようステラ。どこか体は痛まない?」

 

セナに声をかけられたステラはセナを一瞥する。そして初めて会う人間に名前を知られている事に首を傾げていた。

 

「誰?なんでステラの名前を?」

「私はセナ。よろしく。それよりも」

「セナもあのオレンジの奴にやられたの?あのみんな傷つける怖い奴に?」

 

ステラの言葉でセナの動きが止まる。その一言でステラがサンシャインを敵視している事、また自分の行動で怖がらせて悲しませてしまった事を知ってしまったセナは罪悪感で体が震えるのを抑えられなくなっていた。

 

「ああ、ステラ。その・・・」

 

セナのあまりにも弱々しい様子に見ていられなくなったネオが助け舟を出そうとするが言葉が浮かばなかった。サンシャインが前大戦から活躍しているのは承知だったがまさかそのパイロットがここまで危ういとは思わずつい庇おうとしていた。

 

「・・・まぁ心配しなくても私は大丈夫だよ。ね?」

 

なんとか貼り付けた様な笑顔でステラを心配させまいと振る舞うセナ。側で見ていたネオはその痛々しさに動揺していた。

 

(んだよこりゃ。これが前大戦最強の英雄の姿かよ。戦わせて良い状態じゃねーだろ。なのになんでコイツは相変わらず平気なフリをしやがるんだ。相変わらず?)

 

自分の心に浮かんだ相変わらずの言葉に疑問が浮かんだネオだったがその疑問は一瞬で頭から消えていた

 

「けどね、ステラの体はそのままだとまずいのよ。このままだと・・・元気じゃなくなるの」

「え、うん。知ってるけど」

「そう・・・なら治そうよ。それで元気で自由になりなよ」

「自由・・・」

 

セナの言葉をステラは噛み締めていた。今まで戦う事しか命じられなかったステラにとって自由は想像し難いものだった。

 

「自由って言われても・・・一体何を」

「好きな事をやれる事だよ。あと好きな人に会えるとかも自由だよ」

「好きな、人・・・シンに会える?」

 

真っ先にシンの顔が浮かんだステラがセナに頬を赤らめながら聞く

 

「シン?私はその人は会った事ないけど、好きなの?」

「うん。とっても優しくて、暖かくて、ずっと側に居て欲しいし・・・胸もドキドキして痛いくらいだけど、けどなんだかそれが嬉しくて・・・」

「なるほどね・・・うんうん、好きなんだねシンの事。可愛い」

 

ステラに抱きつきながら頭を撫でて愛でるセナ。ステラは芽生えた恋心を指摘されて羞恥心で顔どころか首まで真っ赤になる。

 

「いや、その・・・うぅぅ」

「そんなに好きなんだね。なら絶対にシンと会いたいよね。せっかくならさ、元気なステラで会いに行こうよ」

「うん・・・シンと、会いたい。会ってシンと色んな事、したい」

「うんうん、よく言えました。ならなんとかしてあげるわ」

「あ、セナ先生。ここに居たんですか?」

 

セナを探していたアサギ達が医務室に入ってくる

 

「セナ先生も聞いていましたよね、さっきの?」

「大変な事になっちゃいましたよね・・・あんなの事しちゃったら世界がまた混乱して」

「アサギさん、マユラさん、ジュリさん。力貸してください」

 

アサギ達の方に振り向きながら手を合わせてお願いするセナ

 

「はい、勿論ですよセナ先生」

「私達も微力ながら精一杯手伝わせて貰いますから」

「何でも言ってくださいよセナ先生」

「ホントですか?ありがとうございます。ではこの子、ステラの恋を成就させる為に体を治してあげましょう!」

「「「はい⁉︎」」」

 

想像だにしてない事を言われて驚きの声を上げるアサギ達。ネオも内心アサギ達に同情しながら様子見していた。

 

「えっと・・・その、ステラ?って子の体が恋と何の関係が?というよりもですね、もっと大事な」

「女の子の恋心より大事なものなんてあるわけないですよ!お願いです、貴女達が一番信頼出来ますから!」

「ええ・・・というか私達は何をすれば」

 

ステラの恋の話で盛り上がるセナを見てネオは内心穏やかになっていた

 

(なんだかんだ言って優しい奴なんだな。あの坊主と似たものを感じる・・・こういう奴がもっと居れば案外本当に世界は平和になれるのかもな)

 

出航したミネルバは雪山を進んでいた。その中でアスランはこれから自分達が行う作戦に納得がいかずタリアに直談判していた。

 

「何故今アークエンジェルを狙うのですか?議長がおっしゃったのはロゴスを討つという事です。この命令はおかしいです!もう一度」

「もうやったわよ!けど返答は同じ。その目的も示さぬままただ戦局を混乱させて戦火を広げ被害を増やす、そんな彼等を今後の情勢を鑑み放置できぬその脅威を取り除く。これは既に本国で決定した事なの。今更覆せる筈が無いわ」

 

タリアも内心不満が無いわけでは無いが本国で決定された正式な命令である事、何よりサンシャインとフリーダムによって混沌を極めた戦場で自分達にも被害が出た事で情けをかけるつもりは無かった。アスランもそんなミネルバの事情を分かっている故にそれ以上は反論する事ができなかった。

 

「それに作戦ももう始まっているわ。ここで私達が戦わなければ今戦っているザフト兵達がサンシャインに殺されるわ」

「それは・・・」

「どの道、アスランにも私にもどうしようも無いわよ。出れる機体はマユとシンのだけ。私達はここで待機だけよ」

 

エリスが二人の間に割って入り無理矢理話しを終わらせる。このままだとヒートアップして無駄な口論になる可能性を危惧して宥めようとした。その効果があったのかアスランもタリアも少し落ち着きを取り戻していた。

 

「では失礼します艦長。アスランも、今は下がるわよ」

「・・・ああ。申し訳ありませんでした艦長」

「いえ、良いのよ。かつて共に戦った仲間なんでしょ?気持ちは分からなくは無いわ。けど今は敵なのよ」

「・・・失礼します」

 

エリスとアスランが退室した頃、フリーダムが空中のバビの部隊に向けてハイマットフルバーストして、無力化させる。しかしどれだけ敵機体を無力化しても攻めの手が緩む事はなくキラは内心焦っていた。

 

「クッ、何で急に・・・何が目的なんだ?」

 

アークエンジェルがオーブに向けて出航して数分後、突如現れたザフト軍の部隊と交戦となり状況を把握出来ないままキラとセナは出撃して対応していた。だが全てにおいて後手に回っている今回の戦闘はその戦力差も相まってとても苦しいものだった。

 

「キラ様!セナ様!ここは我等にも出撃許可を。このままでは」

「ダメです!何が目的か分からない以上オーブ軍の力は借りられません。それにこれはきっと、僕達の自業自得でもあるんです」

 

連合とザフトの戦闘に割り込んで両者を攻撃して邪魔をしてきた。たとえどんな理由があったとしてもやられた側は到底看過できるものではないとキラ達も分かってはいた。故に目的までは分からずとも理由はあるとキラは考えていた。

 

「私もこれ以上数を増やされても庇いきれませんよ!オーブの為に命を賭けたいのであれば、ここは大人しく守られていてください」

「セナの言うとおりだ。今の我々では役に立たない」

「カガリ様・・・分かりました」

 

自分達以上に悔しそうなカガリの様子を見てアマギはこれ以上口出しはしなかった。それ以上にサンシャインとフリーダム、アークエンジェルの戦いっぷりに感服していた。

 

(これ程の砲撃をされても尚ここまで守れているとは・・・艦の指揮も流石だが、やはり凄まじいのはサンシャインだ。これだけ囲まれても周りを気にしながら戦えるなんて。これが前大戦最強のパイロットの本気なのか)

 

ビームライフルで的確にバビ達を撃ち抜き、シールドビーム砲で地上のバクゥ達を薙ぎ払い、アークエンジェルを狙う艦隊砲撃のうちミサイルはシールドビーム砲で掻き消しビーム砲撃はバックパックで吸収する。その一連の動きはセナの今まで培った経験と世界トップクラスの才能が成せるものだった。

 とうの本人はそんな事を気にする余裕が無くただ必死なだけなのを知っているのは前大戦の頃から共に戦ったキラ達だけで、それを知らないアマギ達オーブ兵達には太陽の少女に任せれば大丈夫かもしれないと楽観的になっているものもいた。

 

「マリューさん!悪いけどこれ以上はフォロー出来ませんから。全速力で逃げてくださいよ」

「ええ、寧ろ私達よりも自分の事を意識して欲しいくらいだわ。海に出るまで持ち堪えてちょうだい」

「了解です」

 

AWACSディンから送られた戦況を見るルナマリアとレイはアークエンジェルとフリーダム、サンシャインの奮闘に驚嘆していた

 

「そんな・・・これだけの戦力差でも倒せないの?」

「あくまで物量作戦だから全戦力とまでは行かないだろうが、それでもまだ奴らは無傷だ」

 

映像で見える範囲だけでもフリーダムはコクピットを避けて攻撃しており、サンシャインはアークエンジェルやフリーダムに向けられた攻撃を庇う動きも何度か見えていた。傍から見ればサンシャインはまだ余裕がある様に見えていた。

 

「これを相手にするの?私達だけで?」

「私達だけじゃないよ。他の仲間達も手伝ってくれてるから」

 

不安そうな言葉を呟くルナマリアに声をかけるマユ。振り向くとパイロットスーツに着替えて準備万端のマユとシンが戦場の様子を確認していた。

 

「やっぱり強いね。フリーダムもサンシャインも」

「ああ・・・だが俺達ももうあの時とは違う」

「そうだね・・・行こう」

「気をつけてねマユ。シンも」

「行ってこい。必ず勝ってこい」

「ああ」

「分かってるよ」

 

ルナマリアとレイからエールを受けて俄然やる気を出すマユとシン。そこにエリスとアスランもやってくる。

 

「マユ、シン・・・」

 

アスランは何と声をかけて良いか分からず言葉を詰まらせてしまう。本音を言うとキラやセナを撃って欲しくないのだが、それはマユとシンに負けてくれと、手を抜いてくれと言っているも同然になるのでアスランは言葉にする事はできなかった。

 

「なんすか?言いたい事があるなら言えば良いじゃないですか」

「お兄ちゃん、今はケンカしてる場合じゃないよ」

「分かってるさ。けど」

 

そんな煮え切らないアスランの態度をシンは気に入らずに食ってかかってしまう。それを注意したマユも内心自分達との熱量差を感じるアスランに対して好意的な感情は無くなっていた。

 

「数はこちらが有利でも相手は多数の敵を一度に落とせる2機よ。つまり貴方達二人で抑え込んでしまえばアークエンジェルは物量差で十分倒せるわ。けどやれるというのなら」

「私達でフリーダムサンシャインもやっつける。そういう事でしょ?」

 

作戦の概要を説明するエリスに強気な姿勢で答えるマユ。今のマユは新しいシルエットにも慣れて以前よりも強くなっており自信に満ちていた。

 

「ええ、その意気よ。シンも、もっと自信を持ちなさい。貴方も初陣の時と比べてかなり強くなってるわ。だから私は信じているわよ」

 

シンの頭を撫でながらエールを送るエリス。シンも人前で撫でられた恥ずかしさでついそっぽを向いてしまうが内心応援してくれた事を喜んでいた。

 

「分かってるよ。もう行くからな」

「ええ・・・死なないでねマユ。シン」

「分かってるよ、エリスお姉ちゃん」

「ああ・・・何度も訓練に付き合ってくれて、ありがとう」

 

エリスに一言返事をしてからマユとシンは自分の機体の元に向かった

 

「ステラ、仇は取るからな。シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!」

「今度はこっちの番よ。今までの分を返させてもらうわ。マユ・アスカ、デスティニーインパルス、出るよ!」

 

ミネルバから出撃したコアスプレンダーが慣れた動きですぐに合体しインパルスになる。その間に新しいシルエット、デスティニーシルエットを装備して赤紫のカラーとなったデスティニーインパルスが先に敵に向かっていた。

 

「速い・・・あれがデスティニーシルエットの力か。けど!」

 

インパルスもデスティニーインパルスの後に続く。デスティニーインパルスはフリーダムの真上に回り込んでからビームライフルを撃つ。

 

「なっ⁉︎」

 

突如やってきた真上からの射撃を紙一重で躱わすフリーダム。すぐさまビームライフルを撃ち反撃に転じるが簡単に躱されてしまう。

 

「なっ⁉︎なんて速さだ!新型なのか?」

「この!」

 

サンシャインもデスティニーインパルスに向けてビームライフルを撃つが避けられてしまう。お返しとばかりに延伸式ビーム砲塔で狙われる。サンシャインはそれを体を捻りながら回避するがインパルスがその隙をビームライフルで狙い撃つ。

 

「グッ⁉︎アイツは前にもいた・・・面倒ね」

「今日こそ倒させてもらうぞ!サンシャイン!」

 

インパルスとビームライフルの撃ち合いになるサンシャイン。だがまるで自分がどう動くか分かっているかの様にインパルスは的確にサンシャインの射撃を躱していく。

 

「前と動きが違う!この短期間でここまで腕を上げてくるなんて」

「見えてる。アイツの動きを、追えている。これなら!」

 

特訓の成果を噛み締めたシンはインパルスをサンシャインに接近させてビームサーベルで切りかかる。それを上に回避したサンシャインにデスティニーインパルスが突撃してエクスカリバーで切りかかる。

 

「くっ⁉︎」

「もうアンタにも、私は負けない!」

「セナ!」

 

サンシャインを狙うデスティニーインパルスにフリーダムがバラエーナを撃つが左手から出したビームシールドで防がれる

 

「何⁉︎」

「何あのシールド!ビームでできた盾なの?」

「デスティニーインパルスの力は、こんなものじゃないわよ!」

 

マユのSEEDが発動する

 

デスティニーインパルスが羽から光の翼を出して突撃する。そのあまりの速さにフリーダムは反応出来ずシールドで防ぐので精一杯だった。

 

「なっ⁉︎なんだこの機体は!」

「今までのどの機体よりも速い!大丈夫キラ?」

「なんとか・・・けど」

 

光の翼を広げて加速しながらフリーダムにエクスカリバーを突きつけるデスティニーインパルスを紙一重で躱しているが性能差故に反撃までは出来なかった。

 

「くっ!まずい・・・」

 

フリーダムがアークエンジェルの方を見ると何度か戦艦やモビルスーツ部隊の砲撃を受けていた。デスティニーインパルスとインパルスに足止めされた事でアークエンジェルの援護にまで手を回せず危険な状態になっていた。更にその後ろからミネルバが追撃しに来ているのも確認していた。

 

「キラ。ここは二手に分かれよう」

「えっ?」

「この2機に組まれたらどうしようもないわ。けど一対一なら・・・」

 

インパルスの方は以前よりは強いがセナとキラのどちらでも勝てない相手では無かった。故にどちらかがインパルスと戦いつつアークエンジェルの援護に回れば逃げる事は不可能じゃないとセナは考えていた。

 

「・・・分かった。ならセナは左に行って」

「ええ、任せたわよ」

 

デスティニーインパルスの攻撃を躱した瞬間にフリーダムとサンシャインが別方向に飛んでいく

 

「分かれた⁉︎くっ」

「落ち着けマユ。それだけ奴らを追い込んでいるんだ、お前が!」

「お兄ちゃん・・・ありがとう。お兄ちゃんはサンシャインを足止めしてて。フリーダムをやっつけてくるから」

「分かった!任せとけ」

 

インパルスがサンシャインを、デスティニーインパルスがフリーダムを追いかけていく。フリーダムは逆さまの状態でバラエーナとレールガンを撃つが躱されながら近づかれる。

 

「これで!終わりよ!」

「まだだ!ここで終わる訳には!」

 

キラのSEEDが発動する

 

「このぉ!」

 

縦に振られたエクスカリバーを回避してビームサーベルで切りかかるフリーダム。後ろに躱してから光の翼を広げて突撃するがフリーダムは危なげなく回避する。

 

「嘘⁉︎見切ったというの⁉︎」

「やっと動きが見えてきた。けど」

 

デスティニーインパルスの動きがようやく見える様になってきたキラだったが、キラの操縦にフリーダムが追いつけなくなり始めていた。

 

「くぅ・・・今の僕じゃあ勝てないか・・・」

「動きが鈍いわね。もうアンタ達の時代じゃあ無いのよ!」

 

連結したエクスカリバーの一振りをシールドで防ぐが弾き飛ばされるフリーダム。その様子を見ていたマリュー達も驚愕していた。

 

「キラ君があんなに追い詰められるなんて!」

「なんなんだ、あの機体は・・・ザフトの新型なのか?だがあれはインパルスじゃ無いのか?」

「艦長!ミネルバから国際救難信号で通信が!」

「ええ⁉︎」

 

アークエンジェルのモニターにタリアが映る。その後ろには驚くアーサーの姿も少し見えていた。

 

「ザフト軍艦ミネルバ艦長のタリア・グラディスです。本艦は現在司令部より貴艦の撃沈命令を受けて行動をしています」

「な・・・一体どういうつもり?」

 

ミネルバが軍の命令で攻撃しているのはなんとなく考えつく事ではあった。だがそれをわざわざこちらに教える理由が分からずマリューは困惑していた。

 

「ですが、現時点で貴艦が搭載機を含めたすべての戦闘を停止し投降するのならば本艦も攻撃を停止します。警告は一度きりです。以後の申し入れには応じられません。乗員の生命の安全は保証します」

 

ミネルバからの通信が切れる。全員がマリューの方を向いて判断を仰いでいた。

 

「艦長・・・」

「・・・さすがミネルバの艦長ね。やっぱり敵にはしたくないわ」

「艦長!キラからです!」

 

アークエンジェルにキラからのメッセージが送られる。そこにはカガリを連れてオーブに行く様に指示されていた。

 

「キラ・・・」

「ミリアリアさん。向こうと同じチャンネルを開いて」

「はい」

 

ミネルバにアークエンジェルから通信が入る

 

「こちらアークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスです。貴艦の申し入れには感謝します。ですが残念ながらそれを受け入れる事はできません。本艦にはまだ仕事があります。

 連合かプラントか、また世界が2色になろうとしている世界に本艦は邪魔な色なのかもしれません。ですがだからこそ今ここで消えるわけにはいかないのです。それでは」

 

アークエンジェルからの通信が切れる。その返答を聞いてタリアも覚悟を決めた。

 

「こうなったら仕方ないわね・・・こちらも全力で落とさせてもらうわ」

 

ミネルバの砲撃がアークエンジェルに向けられる。それに合わせてモビルスーツ部隊の攻撃も激しくなる。

 

「クッ!」

「やらせない!」

 

アークエンジェルに向けられたミサイルをフリーダムがフルバーストで撃ち落とす。だがその隙をデスティニーインパルスに突かれ、エクスカリバーで左翼を切り落とされてしまう。

 

「グウゥ!」

「キラ!」

「余所見なんて余裕あるじゃない、フリーダム!」

 

後退しながらビームライフルを撃つフリーダムにビームブーメランを二つ投げビームライフルと左側のレールガンを破壊するデスティニーインパルス

 

「なっ⁉︎」

「これで!」

 

光の翼を展開しながら突撃したデスティニーインパルスがエクスカリバーを突き立てフリーダムの右腕を破壊して通り過ぎる

 

「ウワァァァ!」

「これで終わりだ!」

 

フリーダムにトドメを刺す為に振り返り様に延伸式ビーム砲塔を撃つが割って入ったサンシャインがバックパックで吸収する

 

「また邪魔を!」

「セナ⁉︎」

「キラ、貴方はアークエンジェルへ」

「セナを置いて戻れるわけないだろ!」

「私が隙を作るから、その間にアークエンジェルの護衛に行って。馬鹿正直にそれの相手してたら負けるわよ」

「くっ・・・けどどうやって隙を?」

 

キラの疑問にセナは答えずデスティニーインパルスの方へサンシャインを突撃させる

 

「そっちから来るなんて、好都合よ!」

 

光の翼を展開させながらサンシャインに直進するデスティニーインパルスに向けてビームライフルを撃つ。それを光の翼を切ってから躱して再び光の翼を展開して直進するデスティニーインパルス。

 

(やっぱり、あの翼を広げている内は真っ直ぐにしかいけないんだ。速すぎてアレのパイロットも制御しきれないんだ)

「コノォ!」

 

エクスカリバーを突き立て突撃するデスティニーインパルスを横に躱してから背中向きのままビームライフルを撃つサンシャイン。その射撃を真上に急上昇して躱わすが途中で止まれずかなり距離を空けてしまうデスティニーインパルス。

 

「マユ!離れすぎだ!」

「分かってる!けどやっぱりこれ、私には扱いきれない!」

 

何度も訓練してはいたのだが、マユは光の翼による加速を制御しきる事が出来なかった。その為光の翼を出す時はその加速力を最大限に利用して真っ直ぐ進む時にのみ使用する事にしたのだったが、その戦術をセナに見極められてしまった。

 

「なるほど・・・キラ!アレはなんとか出来そうよ!だからアークエンジェルと共に下がって!」

「分かった、セナも気をつけてね」

 

フリーダムがアークエンジェルの方へと向かっていく。その背中を守る様にサンシャインが立ち塞がっていた。

 

「フリーダムがアークエンジェルの方に?先に逃げる気か?」

「ちぃ、せっかくもうすぐで倒せそうだったのに・・・だったら!」

 

デスティニーインパルスが光の翼を展開してサンシャインに突撃する

 

「幾らサンシャインでも、この速度は見切れないでしょ!」

 

セナのSEEDが発動する

エクスカリバーの突きを体を捻りながら躱してデスティニーインパルスの腹部に蹴りを入れるサンシャイン

 

「グフッ⁉︎なっ!」

「そこ!」

 

蹴られた事で動きが止まったデスティニーインパルスに踵落としで海面に叩きつけるサンシャイン。後ろから追撃してくるインパルスの射撃を躱しながら上昇して太陽を背にして目眩しするサンシャイン。

 

「くっ、眩し・・・奴は?」

「アンタもここで終わりよ!」

 

インパルスの死角からビームライフルを撃つサンシャインだがインパルスはスラスターの噴射を切って自然落下で回避する。だがサンシャインは距離が空いた事が分かるとインパルスに背を向けてザフト戦艦の方へ飛んでいく。

 

「どこ行く気よ!けどサンシャインが離れた今ならアークエンジェルを」

「なぜわざわざ孤立してまであっちに・・・まさか⁉︎」

 

サンシャインの考えを読んだシンはすぐに追いかけていく。だがその距離は遠く、インパルスでは間に合わないと察してしまった。

 

「クソッ、艦長!今すぐ全軍に後退する様に呼びかけて下さい!」

「えっ⁉︎」

「何を言っているんだシン。ここで下がったら奴らが逃げて」

「まさか⁉︎ザフト軍全軍!今すぐ後退を!」

 

シンの警告の意味を瞬時に理解したタリアが味方にすぐに下がる様に呼びかける

 

「何を言っている!この戦局で有利なのはどう見ても我々だ。奴らを落とす好機をみすみす逃す様なマネは」

「プロミネンスカノンが来るわよ!急いで!」

 

シンとタリアが危惧していた通りにシールドとバックパックを合体させ、その砲門をザフト艦隊に向ける。その様子を遠くから見ていたアークエンジェル側もセナがこれから何をする気なのかを理解してしまう。

 

「セナ!よせ!」

「それはダメよ!セナさん!」

「ダメだセナ!それを撃ったらまた」

「これしかもう手は無いの!どうせ手を汚すなら、私はみんなを守りたい。それくらいは、自分で選びたいのよ」

 

セナはあの日からずっと、人の命を奪いすぎていた事に罪悪感を感じ、自分を責め続けていた。だがそれでも、仲間や友達、家族を守れるのならまた手を汚す覚悟も出来ていた。

 それで大切なものを守れるのなら自分はどれだけ傷ついたとしても、自分が幸せになれないとしても構わなかった。

 

「出力2倍、260%・・・地上でならこれくらいかな」

「艦長!サンシャインから超高エネルギー反応検出!プロミネンスカノンです!」

「バカな⁉︎地上だぞ⁉︎太陽の少女め、まさかここまで狂った奴だったとは」

「行けぇぇぇ‼︎」

 

プロミネンスカノンが放たれる。それに巻き込まれた戦艦が6隻、空中にいたバビの部隊の6割、地上にまで届く爆発に巻き込まれたバクゥの部隊の4割が一撃で跡形もなく消し炭にされた。

 

「な・・・」

「これがプロミネンスカノン・・・これがモビルスーツ一機で出せる火力なんですか、艦長?」

「本当に地上で撃つとはね・・・サンシャインに数的有利は通じないって事かしらね・・・」

 

プロミネンスカノンの威力とそれを躊躇なく撃ってきた太陽の少女に戦慄するタリア達。そして戦闘の様子をモニターで見ていたアスラン達も驚愕していた。

 

「これがプロミネンスカノン・・・こんなのを撃ちながら戦っていたの、前大戦の時は?」

「サンシャインめ・・・」

 

信じられないものを見る様な目で見るルナマリアと思わぬ被害が出てしまって悪態をつくレイ。その横でアスランとエリスは驚きで声が出なくなっていた。

 

(セナ・・・こんなことしたらまたお前は・・・くそっ!セナを、カガリやキラ達を巻き込みたくなくてザフトに入ったのに、これじゃあ何のために俺は・・・)

(セナ、貴女はこんな事をする子じゃ無かった・・・人を撃つ事を戸惑う優しさがあったのに・・・あの時の私のせい?それでセナは、変わってしまった?)

 

セナがまた心に傷ついてないか心配するアスランと、知らぬ間に変わり果てたセナの原因が自分の言葉なのではと自責するエリス。二人の思いはセナには届かないまま、サンシャインはザフト軍に背を向ける。

 

「アークエンジェル、今のうちに逃げましょう」

「セナ、お前・・・」

「私は、大丈夫だから・・・行こう」

「・・・分かったわ。最大船速!攻撃が緩んだ隙にこの宙域を抜けるわよ!」

「り、了解」

 

マリューはセナの心がどれだけ傷ついたか心配だったが、セナの思いを無駄にしない為に今はここから逃げる事に集中する事にした

 

「逃がすか!アンタ達だけは!ここで落とす!」

「これ以上、お前達の好きにさせてたまるかよ!」

 

アークエンジェルと共に撤退しようとするサンシャインを追いかけてビームライフルを撃つデスティニーインパルスとインパルス。サンシャインはそれらを難なく躱しながら後ろ向きにビームライフルを撃って牽制する。

 

「くそ、マユ!オレが引きつける。その間に回り込め」

「分かった!」

 

デスティニーインパルスが下から回り込む。それをサンシャインに悟らせない様に高度を上げながらサンシャイン目掛けてフォールディングレイザーを投げつけるインパルス。それを足で弾き飛ばした隙に接近してビームサーベルで切りかかるがバク転の要領で躱されてしまう。

 

「クソ!機動力では勝ってるはずなのに、オレじゃあアイツを倒す事は出来ないのかよ!」

 

ハイネとステラ、目の前でサンシャインに倒され守れなかった二人の事を思い返すシン。サンシャインから大切なものを守れるように今日までずっと特訓してきたのにシンと太陽の少女の間にはまだ越えられない壁があると感じていた。

 

「クソォォォォ!」

「甘い!」

 

インパルスのビームサーベルを躱して懐に膝蹴りを入れるサンシャイン。更に追い討ちで後ろから迫るデスティニーインパルスの方にインパルスを蹴り飛ばす。

 

「グゥ⁉︎何故撃たない?舐められているのかオレは?」

「なっ⁉︎お兄ちゃん!」

 

突如蹴り飛ばされてきたインパルスを受け止めたデスティニーインパルスは追撃で撃たれたビームライフルをビームシールドで受け止める。反撃に延伸式ビーム砲塔を撃つがサンシャインの姿はそこには無かった。

 

「居ない⁉︎どこに・・・」

「マユ、上だ!避けろ!」

 

インパルスとデスティニーインパルスの真上からシールドビーム砲を撃たれて2機は分断されてしまう。その隙にデスティニーインパルスの背後からサンシャインがシールドをバックパックに、ビームライフルを腰にマウントした素手の状態で接近する。

 

「素手⁉︎私相手は武器無しで十分って事?舐めやがって‼︎」

「それはもう見切ったわよわよ!」

 

光の翼を展開して真っ直ぐ突っ込んだデスティニーインパルスはエクスカリバーを突き立てる。サンシャインは少しだけ横に逸れて回避してからデスティニーインパルスの突き出した右腕を掴んで背負い投げをする。

 

「グゥゥ!そんなので!」

 

投げ飛ばされたデスティニーインパルスが空中で体勢を立て直すとサンシャインは両手を腰に当てながら懐に入り込んでいた

 

「あの構えは!逃げろマユ!」

「なっ⁉︎」

「ハァ!」

 

両手で逆手抜刀したビームサーベルでデスティニーインパルスの右手側のエクスカリバーと左腕を切り落としながら通り過ぎるサンシャイン。そのまま振り返りながら背中を切りつけてくるサンシャインを咄嗟に躱わすがバックパックを切り落とされ、デスティニーインパルスは海に落下する。

 

「えっ⁉︎なんで・・・」

「マユ!クソ!残るはオレだけかよ・・・」

 

一瞬の内に何をされたのか分からないままサンシャインに無力化されたマユは海に落ちる時まで疑問を浮かべたままだった。海に落ちたものの、大破まではしていない事を確認したシンは一人でサンシャインと戦う決断をする。

 

「コノォォォ!」

「今更そんなの」

 

サンシャインにビームライフルを撃ちながら追いかけるインパルスだったが簡単に躱されてしまう

 

「デスティニーインパルス戦闘不能、こちらに帰投してきます」

「あの新型とマユがやられるなんてね・・・とんでもない強さね、太陽の少女」

「艦長、シンだけでは勝てませんよ。これでは」

「弱音吐かないで!ここでサンシャインを落とせなかったら、ここまでの犠牲が無駄になるわよ!」

 

タリアは弱気になりつつあるアーサーを激励していたが既にザフト軍勢には敗北の空気感が漂っていた。どれだけ数的有利になってもプロミネンスカノン一発撃たれただけで陣形は瓦解されてしまい、心が折れそうになるものも少なくは無かった。何よりもデュランダルが期待しているとされているミネルバと最新鋭の機体でさえもサンシャインに勝てなかった、その事実がザフト軍の戦意を無くさせていた。

 

「ハァァ!」

 

そんな絶望的な状況でもシンは諦めずに果敢に立ち向かうが、簡単に躱されサンシャインの反撃のビームサーベルをシールドで防ぐが押し込まれてしまう

 

「くぅ、この!」

「これで終わりよ!」

 

インパルスがビームサーベルで切りかかるのを避けてから回し蹴りしてインパルスを海面に蹴り飛ばす。蹴られて体勢を崩されたまま落下するインパルスに止めとばかりにシールドビーム砲を撃つサンシャイン。

 

「なっ⁉︎」

「シン!」

「お兄ちゃん⁉︎」

 

ミネルバからインパルスとサンシャインの戦闘の様子を見ていたアスラン達とミネルバに帰投中のマユが絶体絶命の状況に驚きと心配の混ざった声を上げる。その状況でシンが考えていたのは自分の事ではなく、今見ているであろう仲間達の事だった。

 

(クソッ、あんなにサンシャイン対策の特訓をしてきたのに・・・オレじゃあやっぱ、勝てないのか?手伝ってくれたエリスに申し訳ないな・・・それにマユも。オレが守るって言ったのに結局マユには最後まで勝てなかったし、守られてばっかだな。情けねぇなオレ)

 

シンは殺される直前の自分よりも身内の事でいっぱいいっぱいだった。だがそれでも、戦意を失ってはいなかった。

 

(けど・・・ここでオレがやられたら誰がアイツを、サンシャインを止めるんだ・・・マユを、エリスを、皆を守れないのなら、ステラの仇を取れないのなら・・・オレに生きている資格なんて無い!例え相打ちになったとしても!)

「アンタはオレが倒すんだ!今日‼︎ここで‼︎」

 

シンのSEEDが発動する

シールドビーム砲の一撃をギリギリで上昇して躱わすインパルス。その隙をサンシャインはビームライフルで狙い撃つがインパルスは最小の動きで躱して接近する。

 

「なっ⁉︎急に動きが!」

「ウオォォォォ‼︎」

 

インパルスのビームサーベルを咄嗟に躱わして回し蹴りをするサンシャインだったが、シールドで殴りつけられ蹴りを弾かれてしまう

 

「嘘⁉︎こんな・・・」

 

突如動きが変わったインパルスを脅威に感じ、サンシャインは下がって距離を取ろうとする。そこにインパルスはシールドを投げつけてビームライフルをシールドに向けて撃つ。シールドを上に避けたサンシャインの左肩をシールドで曲がったビームが掠めて傷を負わせる。

 

「なっ‼︎?こんな戦い方、何なのよ」

「サンシャインが傷ついた⁉︎」

「シンが⁉︎アレを?」

 

インパルスの普通ではあり得ない戦法にセナは驚愕していた。だがその驚きはセナだけじゃ無かった。

 前大戦の頃から一度も傷を負った事ないサンシャインにインパルスが初めて傷を負わせた、その事実は何度も苦渋を飲まされてきたザフトにとって大きな一歩だった。

 

「そんな、セナが・・・」

「セナ・・・クソッ!」

 

逆にセナとサンシャインに何度も助けられてきたキラ達は衝撃で言葉が出なかった。それと同時にセナですら追い詰めるインパルスのパイロットに恐ろしさすら感じていた。

 

「お前だけは、オレが倒す!その為ならオレは‼︎」

 

インパルスが左手に持ったビームサーベルで切りかかるが躱したサンシャインに頭と左腕を切り落とされる。

 

「誰だか知らないけど、これで決着は」

「メイリン!チェストフライヤー!フォースシルエット!」

「あっ、はい」

 

インパルスが損傷した上半身をサンシャインに向けて飛ばす。飛んできた上半身をシールドで防ぐがコアスプレンダーの機関銃でフォースシルエットが撃たれて爆発を起こし、サンシャインを山の斜面にまで落下させる。

 

「ウワアァ⁉︎クウゥ・・・」

 

爆発の衝撃に加え斜面を転がり落ちているサンシャインは身動きが取れない状態だった。その間にチェストフライヤーとフォースシルエットを換装し直してインパルスは元の状態に戻る。

 

「クゥ・・・何よあれ、普通じゃ無い・・・ハッ⁉︎」

「ウオォォォォ‼︎」

 

麓にまで転がり落ちたサンシャインが体勢を立て直した直後にインパルスがビームサーベルを振り下ろしてくる。咄嗟に飛んで回避するも回り込まれてしまう。

 

「逃がすもんか!今日ここで倒すと言っただろ‼︎」

「くっ・・・ハアァ!」

 

ビームサーベルで斬り合うサンシャインとインパルス。絶対にサンシャインを落とすと決意したシンとインパルスのパイロットを脅威と見做して本気で挑むセナ。一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

「テヤァァァ‼︎」

「今!」

 

インパルスのビームサーベルをバク転で回避してから腹部に向けてビームサーベルを振り抜くサンシャイン。その一太刀を上半身を分離して躱わすインパルス。

 

「はぁ⁉︎何それ!グゥ⁉︎」

 

想定外の回避で動きが止まった瞬間、ミサイルが直撃したサンシャインは手に持っていたビームサーベルを落としてしまう。ビームライフルに持ち替えてインパルスのビームサーベルを2本とも撃ち落とすがインパルスにビームライフルに撃ち抜かれてしまう。

 

「クッ!どうすれば・・・」

「メイリン!ソードシルエット!」

 

撃ちながら接近するインパルスに逆手で抜刀したビームサーベルで切り付けるサンシャイン。だがその戦術をシンは見極めていた。上半身を逸らして難なく躱してから飛んできたソードシルエットと合流する。

 

「アレは、換装する気?それともアレをぶつける気?」

 

セナは先程のインパルスの体の一部を特攻させる戦術を警戒していた。だがインパルスは換装せずにビームブーメランを2つ順番に投げつける。一つはシールドで防ぎ、もう一つはサマーソルトで弾き飛ばしてシールドビーム砲で撃ち落とすサンシャイン。だがその隙にエクスカリバーを一つ引き抜いたインパルスはサンシャインに向けて投げ飛ばす。

 

「そんなもの、グゥ⁉︎」

 

エクスカリバーをシールドで防ごうとするが後ろから帰ってきたビームブーメランでバックパックを切り付けられる。そのせいで体勢を崩したところにシールドビーム砲の砲門にエクスカリバーが突き刺さり爆発を起こしてサンシャインを巻き込む。

 

「ウワァ⁉︎」

「セナ!速く戻るんだ!」

「セナさん!貴女も逃げなさい!」

 

サンシャインが爆発で吹き飛ばされるが既に海面にたどり着いていた。先を行くアークエンジェルはボロボロになりながらもフリーダムと共に潜航する直前だった。

 

「タンホイザー用意。照準、アークエンジェル!」

「逃がさないと言っただろ‼︎」

 

ミネルバがアークエンジェルにタンホイザーを向けており、インパルスは残ったエクスカリバーを持ってサンシャインに全速力で突撃していた

 

「なっ⁉︎このままじゃあ・・・」

 

インパルスの突撃を回避するのは不可能では無かった。だがそれを回避すれば後ろのアークエンジェルにインパルスが突撃してしまう状況だった。だがシールドを失なったサンシャインがインパルスの突撃を受け止めるのは不可能だった。

 

「セナ!コレ使って!」

「キラ!ありがとう」

 

フリーダムが自分の盾をサンシャインに投げて渡す。デスティニーインパルスの攻撃で大きな傷が付いていたが、無いよりはマシだった。

 

「ここで、止めるしか無い‼︎」

「ウオォォォォォォォォォ‼︎!」

 

海上でサンシャインとインパルスがぶつかり合う。シールドを前にビームサーベルを突き出したサンシャインはインパルスの頭部を突き刺しながらコクピットに向けて振り降ろそうとする。だがインパルスのエクスカリバーがシールドを貫通してサンシャインの腹部に深々と突き刺さっていた。

 

「クッ⁉︎コノォ‼︎」

「エヤァァァァァ‼︎!」

 

ミネルバのタンホイザーがアークエンジェルに向けて放たれて爆発が起こる中、サンシャインとインパルスは目の前の敵を倒す為にここで退こうとはしなかった

 

「シン!よせ!それ以上は!」

「シン!下がって!貴方まで居なくなったら‼︎」

 

アスランとエリスが心配する中で大爆発が起こる。ミネルバにまで届く程の爆風が発生する。

 

「あ、ああ・・・」

「シン・・・」

「どうなったの?サンシャインは?シンは?」

 

爆発が収まり、爆煙が徐々に晴れ始める。するとそこには頭部と左腕を失いフォースシルエットの羽も欠け、エクスカリバーも半分に折れた状態でフェイズシフトダウンした状態だが、インパルスが残っていた。

 

「インパルス、健在です!」

「サンシャインの反応、ありません!」

「インパルスが・・・シンが勝ったんだ」

「お兄ちゃん・・・良かった・・・」

「シンが勝った、勝った!」

 

あのサンシャインを倒せた事実ににザフト軍全員で歓喜の声が上がる。ミネルバ内でもシンの賞賛の声が止まらず、中には嬉し涙を上げるものもいた。

 

「はぁ、はぁ・・・や、やった・・・やったよステラ。ありがとう、エリス。これで・・・」

 

インパルスのコクピット内でシンは涙を流しながら仇を取れた事を噛み締めていた。その笑みは少しの闇とようやく努力が身を結んだ喜びと、何より大切な人を守れた嬉しさが滲んでいた。




シンの覚醒回でした。この回の為にマユばかりを評価されている展開にしていました。尚、ここでシンの功績を大きくする為にサンシャインを無傷無敗のまま最強の存在として君臨させ続けていました。
 ちなみにシンが急に強くなった様に感じますが、元々セナに匹敵する強さはあるという設定でした。ですがアカデミー時代に起きた血まみれの狂犬の出来事のせいで我を忘れて暴れ回るのを防ぐ為に無意識の内に抑えていたものが今回の出来事でリミッターが外れて本来の強さを出す事が出来たのです。
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