ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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久々に本家と同じタイトルをつけました。


第三十七話 天空のキラ

「ん、んん・・・ここは?」

 

デスティニーに撃墜され大怪我をして眠っていたアスランが目を覚ます

 

「アスラン、大丈夫?」

「あ・・・キラ・・・お前、無事だった、のか」

「うん、僕もみんなもちゃんと生きてるよ」

「そっか・・・良かった」

 

アークエンジェルの仲間が無事な事を知ったアスランは安堵のため息をついた

 

「それにしても急にこんな状態で帰ってくるなんて、びっくりしたよ。カガリなんかもう泣きっぱなしだし」

「カガリ・・・そうだ、メイリン。彼女は?」

「大丈夫。今は寝ているけど君よりは軽症だよ」

「そうか・・・ふぅ」

「アスラン!」

 

アスランとキラが話している中、医務室に入ってきたカガリが駆け込んでくる。その後ろからセナとキサカも歩いて寄って来た。

 

「カガリ・・・」

「お前・・・ったく、心配させやがって・・・」

「何があったのよアスラン・・・そんな状態じゃあ憎まれ口も叩けないわ」

「セナ・・・元気そうだな。俺はてっきり討たれたものと」

「勝手に殺さないでよね。死にそうな顔してる癖に」

 

互いに挑発めいた発言をしながらもお互いを心配する気持ちを隠しきれていないセナとアスラン。どちらも以前の口論の事を水に流そうとしていたのだが、まだギクシャクした関係を治せずにいた。

 

「お前らな・・・まぁ良いや。それにしてもどうしたんだよアスラン?誰にやられたんだ?」

「・・・議長にカガリやセナ達と会った時の事がバレてな、それでスパイ容疑をかけられたんだ。メイリンはそんな俺を手助けして軍に居られなくなったから」

「連れて来たってわけね。浮気じゃ無いなら何でも良いわ。それで?誰にやられたの?」

 

セナの質問にアスランは僅かに目を逸らした。言えない訳では無いがかつて共に戦った仲間の事を、セナのサンシャインを追い詰め倒したシンの名前をここで挙げる事を躊躇していた。

 

「それは・・・」

「今すぐ話さなくても大丈夫だよアスラン。疲れているでしょ?今はゆっくり休みなよ」

「キラ・・・」

「カガリもセナも、それで良いでしょ?」

 

キラの提案を受けてカガリもセナも内心で質問攻めしてしまった事を反省した

 

「キラ・・・だな。せめて眠るまで側に居て良いか?」

「うん、行こうセナ。キサカさんも」

「分かったわ」

「ああ」

 

カガリを置いてキラ達は医務室から出る。ブリッジに向かっている途中でセナが口を開いた。

 

「・・・多分、あのミネルバに居た新型にやられたんだよね?あの赤い羽の奴にアスランは・・・」

「・・・そうかもしれない。あれほどの強さなら、いくらアスランでも厳しいと思うし」

 

セナとキラは先程のヘブンズベースの戦闘の様子を中継で見ていた時に映っていたデスティニーにやられたと考えていた。他のサードステージシリーズやデスティニーインパルスと比べても頭ひとつ抜けているその性能の高さとそれを最大限に活かしているパイロットの技量にはセナとキラは称賛するしか無かった。

 

「あの機体、もしあれが襲いかかって来たら・・・フリーダムが万全の状態でも勝てないと思う」

「・・・正直私も同じね。仮にサンシャインが合ったとしてもアレには時間稼ぎしか出来ないと思う。あの紫の機体の方は真っ直ぐ突っ込んで来るだけだからギリギリ反応出来たけど、あっちは完全にあの速度を乗りこなしている。多分私が反応出来たとしても従来の機体じゃあ追い付いてくれないわね」

 

デスティニーの戦闘を見てキラとセナは弱気な感情が出てしまっていた。自分達と相手の性能を客観的に比べる事が出来てしまったが故にこのままでは勝てないと悟ってしまった。

 

「・・・まぁ今は本当に来るかわからない脅威よりも、今起きてる問題の方を考えないとね」

「うん。とりあえずマリューさん達に報告しないと」

 

二人してこれから対峙するかもしれない脅威から目を背けたくて現実的な話しに強引に戻した。エンジェルダウンで無敗だったサンシャインが完膚なきまでに敗北を味わった事で自分達の力の限界を感じていた。敗北による暗雲を払うにはどうすれば良いか、二人とも分からなかった。

 

「ジブリールが居ない⁉︎」

「居ないって、どういう事⁉︎」

 

ヘブンズベースでの戦闘を終えミネルバに帰艦したシン達に伝えられたのはジブリールを逃してしまったという結果だった。これで終わる筈と思っていたシン達にとってショックが大きい事実だった。

 

「基地が降伏するよりも前に一人でこっそり逃げたらしいわね。ほんと卑怯でどうしようもない奴ね」

「他のロゴスメンバーを見捨てて自分だけ逃げたとはな・・・まだ終わりじゃない」

「けど、ジブリールを捕まえれば今度こそ終わるよね?」

「ええ・・・今度こそね」

 

マユの問いに答えたエリスはマユの頭を撫でて落ち着かせる。その後シン達のに方へ振り返る様子を伺った。

 

「けど今行方が分からない以上は動き様もないし、ジブリール以外のロゴスメンバーは捕まえた。あと一歩まで来たのよ。今くらいは勝利を喜びましょう」

「エリスの言う通りだな。今は俺達の方が優勢だ。焦る必要は無い」

 

エリスとレイはこの状況を冷静に分析して落ち着いていた。その様子を見てマユとルナマリアも心配する必要は無いと安堵していた。

 

「・・・しばらくは待機だよな?」

「ん?まぁすぐに出る事は無いと思うけど」

「そうか・・・ならちょっと一眠りしてくるよ。なんかあったら言ってくれ」

 

シンは持っていた缶コーヒーを飲み干すとゴミ箱に捨て、休憩室を出ていった。その背中を見ていると何か落ち込んでいる、エリス達にはそう見えていた。

 

「シン、何かあったのかな?」

「先の戦闘ではデストロイを一人で3機も倒していた筈だ。疲れたのだろう。気にする必要は無いさ」

「・・・あれ?マユも居ない。いつの間に・・・」

 

自室にたどり着いたシンはベッドに倒れ込んだ。別に疲れている訳では無かった。

 

(あの2体、ステラの仲間の・・・それをオレは・・・それにデストロイに乗っていたのもステラの様な連合の被害者で、それをあんな)

 

先程の戦闘を思い返していると自分のした事に対して嫌悪感を感じていた。普通に暮らしている人達は守られるべき、ディオキアでデュランダルとの会合の時にシンはそう答えた。なら連合の言いなりにされて選択肢を与えられていないエクステンデッドの様な子達は守られなくて良いのか、そういった弱い立場の人間を守る事が自分の仕事じゃ無いのか・・・

 そんな自身への問いかけに何も返せずただただ自分を責める事しかできなかった。

 

(何だよそれ。オレも結局オーブの奴らと、サンシャインと変わらないじゃ無いか・・・だったらオレは何の為に・・・いや)

 

ベッドから体を起こしたシンは自分の拳を見つめる

 

(それで悩んでいるだけじゃあオーブの連中と何も変わらない。それじゃあ駄目だ。オレは・・・オレが、今度こそ戦争を終わらせるんだ。たとえ誰が相手でも)

 

拳を握りしめ改めて戦う決意をするシン。その直後に部屋にマユが入ってくる。

 

「お兄ちゃん、今大丈夫?」

「そういうのは入る前に聞くもんだぞ。まぁもう大丈夫だけど」

「そう・・・良かった」

 

シンの隣に腰かけたマユはそのままシンの腕に抱きつく。シンは一度マユの方を振り向き驚いた表情になるがすぐに受け入れていた。

 

「・・・良いの?このままくっついてて?」

「今までもこうして来ただろ・・・兄妹なんだし」

「でも私は兄妹のままで終わる気は無いよ」

「・・・だろうな」

 

マユの恋心は本気だった。シンはそれを確信してなお、マユの事をふるという選択は出来なかった。別に異性としてみているでは無い。だがこうして幸せそうに抱きつくマユの事を離す事はシンには出来なかった。

 

「・・・マユはさぁ、オレとどうなりたいんだ?」

「好きだから付き合いたい。そして二人で幸せになりたいよ。だから落ち込んでいるのなら話して欲しいな。好きになってもらうとかそんなんじゃなくて、お兄ちゃんにはそんな辛そうな顔をして欲しく無いからさ」

「・・・ありがとなマユ」

 

マユはあくまでシンを慰める為にわざわざついて来た。その気遣いが嬉しくてシンはマユの事を抱きしめた。

 

「あっ・・・」

「悪いけど少し考えさせてくれ。オレはどうするべきなのかを、ちゃんと選ぶからさ」

「うん、待ってるよ・・・けど止まる気は無いから」

 

シンが答えるよりも速くマユはキスをした。以前とは違う長いキス、マユはその感触を心ゆくまで堪能していた。耳まで赤くなるほどに照れているのを自覚しながら、それでも離す気は無かった。

 

「ん・・・・・・やっぱり恥ずかしいね、キスって。カップルの人達ってこれ平然と出来るのかな?」

「さぁな・・・オレはそういうの、分からないな」

 

シンは平静を装いながら答えていた。だが耳が真っ赤になっているのが一目瞭然だったのでマユにはシンも恥ずかしさで照れている事は丸見えだった。自分と同じである事をマユは嬉しく思っていた。

 

「なんか私ばかり求めるのも悪いよね?なら・・・触る?」

「どこでそんなの覚えた・・・別にそんなのは今は良いよ」

 

シンはベッドに横になり仮眠を取ろうとしていた。だが少しだけ奥に詰めており、もう一人分くらいのスペースは空けていた。これがシンの最大限の譲歩だった。

 

「今までと変わらないかもだけど・・・それで良いなら」

「うん・・・ありがとう。大好き」

 

シンにピッタリと張り付きながら横になるマユはそのまま目を閉じて眠りにつく。それをそんなマユの頭を撫でながらシンは眠ろうとしていた。

 

「・・・もう寝たか。まぁ疲れてるんだろうからな。オレも疲れは感じてるし。でも」

 

シンは寝なかった。というよりはマユの前で寝る事を躊躇していた。

 

(多分、今日はダメな日だろうな・・・今日の戦闘の事、絶対に夢に出るだろうしな。せめて、うなされない事を願うしか無いか)

 

シンも目を閉じて寝る態勢に入る。今だけは悪夢にうなされない事を祈りながらマユを抱きしめて眠る。いつも自身に起こっている事をマユに知られて心配かける事をシンは危惧していたがシンにはどうすることも出来なかった。マユの穏やかな寝顔が胸に埋めているせいで分からないのは少し残念な気がした。

 

「そちらを優先させて欲しいの」

「分かりました。それじゃあそれでやりますわ」

「悪いけどお願いね」

 

マードックに修理の指示を出すマリュー。それが終わるのを確認してからセナが話しかけに来た。

 

「マリューさん」

「あら、どうしたのかしらセナさん」

「修理の方はどうですか?」

「大分酷くやられたからまだ時間はかかるわね。でも、みんな頑張ってくれているわ」

「そうですか・・・」

 

アークエンジェルの修理状況を聞いたセナは少し俯いていた。オーブに居た頃と比べれば表情が出る様になった分、精神面はマシになりつつあったがまだ危うい状態だというのは一目瞭然だった。

 

「・・・どうしたの?」

「えっ?」

「疲れてる?それとも落ち込んでいる?」

「いえ、そんな事は・・・」

「良いでしょ、みんな同じだもの。何かあったなら言えば良いのよ」

「それは・・・いや、もう良いのか」

 

必死に平気なフリをしようとしていたセナだったが観念して自身の悩みを打ち明ける事にした

 

「ずっと重かったんだと思います。太陽の少女という肩書きが・・・最強のパイロットだったというのが。私が戦えば、前に出ていればみんなを守れるって。だからやらなくちゃいけないって。

 でも私は、あの日負けました。ザフトのパイロットに・・・たった一人の敵に。もう最強じゃ無いんですよ、私は」

 

懺悔するかの様にマリューに本心を語るセナ。その表情は落ち込んでいる様で憑き物が晴れたかの様に落ち着いていた。

 

「そう・・・やっぱり背負わせ過ぎたわね、私達は貴女に」

「いえ、それは良いんです・・・ある意味私は救われたんだと思うんです。私の力は過ぎた力じゃ無い、私は普通の人なんだって。

 けど、そしたら逆に分からなくなったんです。最強じゃ無い私は、一体何者なんだろうなって。ヘブンズベースの戦いを見て怖くなったんです。もしまたザフトに攻められたら、私を倒したあのパイロットがまた来たら・・・皆を守れない」

「そう・・・なんか嬉しいわね」

「へっ?」

「ずっと大丈夫って言ってきた貴女が、初めて弱音を吐いてくれた事が。心の内を曝け出してくれた事が嬉しいのよ。ずっと背負わせた事を申し訳なく思っていたから」

 

セナが落ち込んでいる事を話してくれた事にマリューは安堵していた。正直状況は余り良くないがセナが段々と戦争と関わる前の普通の少女に戻りつつあるのは喜ぶべき事だった。

 

「そう、ですか・・・なんか複雑ですよ」

「ずっと申し訳ないと思っていたのよ。貴女達を巻き込んだ事を、傷ついているのに何もしてあげられなかった事を・・・だからせめて辛いのならちゃんと言葉にして欲しいのよ。頼りになるのか分からないけどね」

「マリューさん・・・失礼します」

 

一言断りを入れてからマリューに抱きつき胸に顔を埋めるセナ。マリューは優しく抱きしめ慰めた。

 

「ふふっ、こういうセナさんも悪くないわね」

「・・・すいません。なんからしくなくて」

「良いのよ。偶には誰かに甘えても」

「・・・ありがとう、ございます。もう少しだけお願いします」

「分かったわよ」

 

セナの頭を優しく撫でるマリュー。セナはマリューに身を任せて久しぶりに何も背負わない穏やかな時間を過ごせていた。

 

キラが医務室に入ろうとするとカガリとアスランが話していた

 

「それで・・・許してくれるのか、私を?」

「許す?謝るのは、俺の方だろ」

「私は!結婚しようとしていた。お前に何も言わずに・・・セナにも何をしているんだって怒られたよ」

「守りたかったんだろ、オーブを。俺は、焦っていたんだ。カガリは国を背負って毎日必死だったのに。キラやラクス、みんなは自分の出来る事をやっていたのに俺は・・・何も出来なくて。だからせめて、戦争を終わらせればって」

「分かってるよそれは。お前は優しい奴だからな」

(カガリ・・・アスラン・・・)

 

キラはこれ以上盗み聞きは良くないと思い医務室から離れようとした。盗み聞きをしようと思っていたわけでは無かったが久しぶりに二人きりになれたカガリとアスランを気遣って居たら入れなくなったのだった。

 

「・・・何してるんだろ、僕は・・・ラクス、君は今何をしているのかな?」

 

キラが考えているのは宇宙に上がったラクスの事だった。ラクスもまた自分の出来る事を頑張っているのは分かっているが通信も出来ていない今、どこで何をしているのかキラには分からなかった。そんなラクスは今、エターナル内でダコスタの持って来た資料を見ていた。

 

「いやもう、参りましたよ。コロニーは空気も抜けちゃって荒れ放題だったのに遺伝子研究所の方は何故かデータから何から綺麗に処分されちゃってまして、こんなものくらいしか」

「いえ、ありがとうございます。これで何か分かれば」

 

ラクスはメンデルに残った僅かな資料を元にデュランダルが何をしようとしているか手掛かりを探していた

 

「まぁ、この中から見つかれば良いがね・・・どれどれ」

「待って、このページ。何か書いてあるわよ」

 

古ぼけたノートを捲りながら手がかりを探しているとアイシャが昔の同僚が書いたと思われる文章を見つけた

 

「どれどれ・・・デュランダルの言うデスティニープランは一見今の時代に有益に思える。だが我々は忘れてはならない。人は世界の為に生きるのではない。人が生きる場所、それこそが世界だという事を」

「これは・・・」

「デスティニープラン?何の事やらだな」

 

デスティニープランについて皆で考えている最中、突如アラームが鳴り響く

 

「何だ!」

「偵察型ジン⁉︎」

「つけられていたかダコスタ!」

「ええっ⁉︎」

「すぐに追う!俺のガイアを」

「待って下さい」

 

出撃しようとするバルトフェルドを止めるラクス

 

「もう間に合いません。追尾してきたというのなら近くに母艦が居る筈です。メンデルを見張っていたのでしょう。私が迂闊でした」

「いえ、そんな事は」

「ああそうだ。迂闊なのはコイツだ」

「痛て、そんな〜」

 

責任を感じているラクスを宥めようとしたダコスタの横腹を突くバルトフェルド。敢えてふざけることで誰かに責任を押し付けない様に流そうとしていた。

 

「けどどうする?ここのファクトリーの機体だってまだ最終調整は終わっていない。攻め込まれたら守りきれん」

「艦を出しましょうバルトフェルド隊長。今すぐに」

「何?」

「そんな⁉︎それこそ見つかりますよ!」

「もう同じ事です」

 

ラクスはどうせ見つかるのは同じだと考えていた。それならファクトリーで最終調整をしている機体を守る事を決めていた。

 

「ならば攻め込まれる前に出て少しでも有利な状況を」

「だが今のコイツにはナスカ級一隻とだってやり合える戦力は無いぞ。どうあがいたって勝ち目は」

「勝ちたいわけではありません。守りたいのです。あれと、力を貸して下さったこのファクトリーの方々。そしてこれを。

 私達が出ればザフトはそれを追うでしょう。ファクトリーはその間に対応の時間を稼げます。我々は最悪の場合降下軌道へ逃げてあの2機と資料をアークエンジェルに向けて射出します」

「・・・分かった。エターナル発進準備!ターミナルに通達、ファクトリーには俺から話す。回線を回せ」

 

バルトフェルドはラクスの意思を汲み取り、即座に行動に移す。そして迅速に準備を進めてエターナルは発進した。それをザフト艦隊はラクスの読み通りに追いかけていた。

 

「しかしエターナルとは、ふざけた連中ですね」

「戦後のどさくさで行方不明になっていた艦にこんな形でお目にかかれるとはな。

 逃さんぞテロリストども。ようやく見つけたのだ」

 

ヴェサリウスからグフイグナイテッドとザクウォーリアが出撃し追いかけてくる。エターナルは地球への降下軌道に向かいながらポッドの射出準備に入っていた。

 

「キラ君!セナさん!すぐにブリッジへ!エターナルが発進するとターミナルからの通達よ」

「ええっ⁉︎何で?」

「とにかく行こうセナ!」

 

キラとセナはブリッジに駆け込む。

 

「マリューさん!状況は?」

「エターナルが発進って、見つかったんですか?」

「ええ、どの位の部隊に追われているかは分からないけど突破が無理ならポッドだけでもこちらに降ろすという事よ」

「ポッドを?そんなに追い込まれているって事?」

「ラクス・・・」

 

エターナルが追い詰められている状況に何も出来ない自分にイラつきを感じるキラ。そこへ医務室からネオの通信が入る。

 

「おい、なんか隣の奴がさっきからうるさいんだけど。キラ行けって、ラクスを守れってさ」

 

隣に居たアスランはキラにラクスを守りに行く様に伝えようとしたが怪我のせいで碌に動く事が出来なかった。その為ネオが代わりに通信で伝える事となっていた。

 

「アスラン・・・」

「キラ、行ってあげなよ。ここは私に任せてさ」

「セナ・・・ありがとう。カガリ、ブースター借りるよ。ありがとうアスラン!行ってくる!」

 

キラはブリッジを出ると急いで格納庫に向かっていった

 

「ブリッジの通信コードは覚えているのね?」

「えっ?あっ、そういえば何で俺」

 

ネオとの通信を途中で切るマリュー。ムウとしての記憶は無くとも断片的に思い出しているネオとの会話はマリューにとってはまだ辛いものがあった。

 

「マリューさん・・・」

「・・・ええ分かっているわ。それより今はキラ君のサポートをしないと、でしょ?」

「・・・はい」

 

格納庫に着いたキラはフリーダムに乗り込み発進準備を進めていた。まだ修理が終わっておらず片翼でレールガンも一つ失ったまま、オマケにシールドも予備が残っておらずビームライフルもムラサメ用のものの予備を持った不完全な状態だった。それでもキラはラクスを守る為、送り出してくれるアスランやセナ達を信じて助けに行く決意をしていた。

 

「エターナルの軌道要素、良いわね?大分降下してきてるわよ」

「はい、大丈夫です」

「針路クリア、システムオールグリーン。ストライクブースター発進どうぞ」

「キラ・ヤマト、行きます」

 

ストライクブースターを装備したフリーダムが飛び立つ。宇宙に向かっている最中、エターナルの護衛の為バルトフェルドはオレンジ色になったガイアに乗って出撃していた。

 

「ええい!」

 

近づいてきたザクウォーリアをビームライフルで頭部を撃ち抜きつつ、エターナルの目の前に来たグフイグナイテッドをビームブレイドで真っ二つにする。だが数で囲まれて攻撃され、ビームライフルを失ってしまう。

 

「クソッ、これじゃあキリが無い・・・ん?」

 

ガイアの目の前で横から頭部や右腕を撃ち落とされ無力化されるグフイグナイテッド達。撃たれた方向を向くと宇宙に上がっていたフリーダムの姿を見つける。

 

「キラ⁉︎お前、どうしてここに?」

「すいませんバルトフェルドさん。けど今は」

「分かっている!」

 

ガイアにビームライフルを投げ渡すフリーダム。ガイアはビームライフルを受け取ってザクウォーリア達を撃ち落としていく。フリーダムは連結させたビームサーベルを回してグフイグナイテッドやザクウォーリア達の射撃を防ぎつつバラエーナとレールガンで無力化していく。

 

「ええ⁉︎アレは」

「キラ!」

「ラクス無事?良かった」

「キラ・・・それは」

 

キラが助けに来た事を嬉しく感じていたラクスだったがフリーダムの状態を見て驚いていた。

 

「ごめん。ラクスから貰ったフリーダム、まだ直っていなくて」

「そんな状態で来たのかお前。無茶しやがる」

「すいません。でも心配で」

「いや、助かったよ。けど」

 

バラエーナとレールガンが一門ずつしか無いフリーダムでは多勢に無勢だった。ザクウォーリアのオルトロスで右翼を撃ち抜かれ、近づいてきたグフイグナイテッドのテンペストビームソードでレールガンを切り落とされる。

 

「グゥ⁉︎クソッ!」

 

グフイグナイテッドの四肢をビームサーベルの二刀流で切り落とすものの、ザクウォーリアに囲まれながらビーム突撃銃を撃たれてビームサーベル二つと右腕を撃ち抜かれてしまう。ガイアが囲んでいるザクウォーリア達をビームブレイドで切り落としながらフリーダムの援護に入る。

 

「やっぱりその状態じゃあ無理だ。エターナルに戻れ」

「えっ⁉︎でもそしたら」

「中にお前用の機体がある。それに乗ってこい!それまでは粘ってやる」

「分かりました!」

 

エターナルに帰艦するフリーダム。途中で両足を撃ち落とされながらも何とか着艦したフリーダムからキラは降りてラクスの元に向かう。

 

「ラクス!」

「キラ!」

 

久しぶりに再会したキラとラクスは抱き合いお互いの無事を喜び合う

 

「良かった。君が無事で」

「キラの方こそ、元気そうです嬉しいですわ」

「ラクス・・・アレってどこ?」

「っ!・・・こっちです」

 

ラクスに案内されて格納庫に着いたキラ。そこにあったのはフリーダムによく似た新しい機体、ストライクフリーダムがディアクティブ状態で置いてあった。

 

「フリーダムそっくりだ。それにアレは」

 

ストライクフリーダムの横にはディアクティブ状態で置いてある2機の新型の姿も見えた。そのどちらもキラには見覚えがあった。

 

「キラ・・・その」

「ラクス・・・ありがとう。これで僕はまた、ちゃんと戦える」

「キラ・・・」

 

ラクスはキラをまた戦場に送る事を躊躇していた。かつてオーブに送ったサンシャインに乗ったセナが戦い続けた結果、心を壊した事をラクスは後悔していた。もし今度はキラがそうなったら・・・ラクスにはそれが怖かった。だがキラが大切な人を守る為に戦いに出てしまうのも分かっていた。

 

「ラクス、少しだけ待ってて。すぐに終わらせてくる」

「分かりました・・・お気をつけて」

 

ストライクフリーダムに乗り込んだキラはOSの最終調整を即座に済ませる。ハッチが開けられストライクフリーダムは発進態勢に入る。

 

「X20Aストライクフリーダム。発進どうぞ」

「キラ・ヤマト、フリーダム、行きます」

 

エターナルから発進したストライクフリーダムはフェイズシフト装甲を展開し、全身を白と青、関節部を金色に輝かせる。向かってくるザクウォーリア達の砲撃を回避しながらすれ違い様にビームサーベルで頭部を切り落としていく。

 

「ふっ、来たか」

「バルトフェルドさん、遅くなりました」

「いや、良いタイミングだ」

「バルトフェルドさんはエターナルの方を。ここは僕が」

 

グフイグナイテッドの4連装ビームガンを回避しながら接近し右腕を切り落とす。その後囲んでくるザクウォーリア達の頭部をビームライフルの二丁拳銃で次々に撃ち落としていく。だが2機のグフイグナイテッドのスレイヤーウィップに絡み取られて動きを封じられてしまう。

 

「くっ、この!」

 

ストライクフリーダムは光の翼を展開しながらドラグーンを射出する。そのままスレイヤーウィップとグフイグナイテッドの四肢を撃ち抜く。そのまま敵部隊に向けてハイマットフルバーストを放ちモビルスーツ部隊を全て無力化する。

 

「凄い・・・」

「やっぱり凄いわね、あの子」

「キラ・・・」

 

ストライクフリーダムはそのまま敵艦隊の砲撃を躱しながら接近し、レールガンとドラグーンで砲門とスラスターを全て破壊し無力化する。

 

「終わったか。エターナル、帰投するぞ」

「はい」

 

ガイアがエターナルに帰艦する。エターナルと共にその場を離れていくストライクフリーダム。新しいキラの剣の力を示すかの様に戦場跡には無力化された機体と戦艦だけが取り残されていた。




フリーダムはここで退場となります。そして新しい機体の番となりました。残りの2機が何なのか、まぁ分かるとは思いますがお楽しみに。
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