ヘブンズベースでの戦いの後ジブラルタル基地に着港したミネルバ。待機している中でシンは自室で魘されていた。
「くっ・・・うぅ」
夢で見ているのは今までの戦闘の記憶。ヘブンズベースで自分の手で倒したデストロイ。ベルリンで目の前でサンシャインに撃墜されたステラのデストロイ。エンジェルダウンで追い詰めたサンシャイン。そして裏切ったアスランとメイリンの乗るグフイグナイテッドをアロンダイトで突き刺した時の事を思い返して苦しんでいた。
「うっ、ああ・・・あああ、んん」
「シン、シン。起きろシン」
「うぅ、うわぁ!」
体をゆすられながら起こされたシンは飛び上がる様に夢から覚める。体を起こし起きたシンは全身から汗が溢れていた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・あれ?オレ・・・」
「大丈夫かシン?魘されていた様だが」
声をかけられた方に顔を向けるとタオルと水を持ってきたレイが居た。シンはレイから手渡されたタオルで汗を拭きながら水を口にした。
「レイか・・・悪い。ありがとな」
「気にするな。俺は気にしていない。それよりも大丈夫なのか?」
「・・・ああ。今はまだ、大丈夫だよ」
「そうか・・・敢えて何度も言うが、彼らは裏切ったんだ、敵になったんだ。いい加減お前も割り切るんだ」
レイにはシンが魘されている理由は分かっていた。アスランとメイリンを自身の手で撃墜した事を未だに引きずっていた事は一目瞭然だった。シンもその自覚があるので気まずそうにそっぽを向く事しかできなかった。
「そんなの・・・分かってるよ。けど」
「やはり、俺が討った方が良かったな。そうすれば少なくともお前の気持ちは楽になってただろうな」
「そんな事・・・でもそしたらレイは」
「・・・お前は優しすぎる。それは弱さだ。それではいずれ何も守れなくなる」
「なっ⁉︎そんなの」
「おはよう。起きてるシン?」
エリスがシンを起こしに部屋に入ってくる。その後ろには起きたばかりで眠そうなマユもいた。
「あれ、レイ?珍しいわねアンタがここに来るなんて」
「案の定まだ寝ていましたよ。まぁ今起こしたので大丈夫です」
「そっか。なら先に行ってるからね。式には遅れないでよね」
「あ、ああ分かった」
「う〜ん・・・眠い。まだ早くない?」
「まだ寝ぼけてるの?ほらマユも支度するわよ」
「はーい」
マユを連れてエリスは退室する。それを見送ってからレイはシンの方を振り向く。
「どうせ心配かけたくないんだろ?マユとエリスには」
「ああ・・・ありがとなレイ。何度も助けてもらって」
「気にするな。これくらい大した事じゃない。それよりもエリスが言ってただろ。遅れないようにな」
レイも部屋から退室する。シンは急いで着替えを済ましてから部屋を飛び出した。
「ヘブンズベースでの功績を讃え、シン・アスカにネビュラ勲章を授与するものとする」
この日はヘブンズベースでの戦闘に多く貢献したミネルバメンバーの為の叙勲式の日だった。その中でも特に活躍の多かったシンを讃えネビュラ勲章を授与された。
「おめでとう。エンジェルダウンの時を含めて二つ目だな。いや全く素晴らしい」
「ありがとうございます」
シンがネビュラ勲章を貰うのは二回目だった。一つは今まで誰も倒す事が出来なかった最強の敵、サンシャインを撃墜した時の活躍を、そしてもう一つはヘブンズベースでデストロイ3機を一人で倒し、他にも多数の敵機を倒した実績を評価しての受勲だった。その場にいる全員から拍手が送られ、誰もがシンの活躍と強さを認めている証だった。
「凄いねお兄ちゃん。いつの間にか遠いところに行っちゃった感じがするよ」
「マユはまだ良いでしょ。私なんて逆立ちしたって勝てる気しないわよ」
「二人共、今は私語はやめなさい」
「「すいません」」
エリスに注意されマユとルナマリアが縮こまる中、デュランダルがシンに近づきフェイスバッジを渡してきた。
「議長・・・」
「不服かね?」
「いえ、そんな。そんな事ありません。ですが・・・どうして二つ?」
デュランダルは左右の手にフェイスバッジを一つずつ持っていた。シンは自分が貰う事を別に否定する気は無いが二つある理由が分からず困惑が表情に出てしまっていた。
「ああ、これは君とレイに渡すつもりだよ。これは我々が君達の力を頼りにしているという事の証だ。どうかそれを誇りとし、今この瞬間を裏切る事なく今後もその力を尽くして欲しいと思ってね」
「裏切る・・・」
シンの脳裏にはアスランの事が浮かんでいた。フェイスは議長や国からの信頼を背負う存在だった。かつてアスランがその地位にいた事を思い出したシンの心境は複雑だった。
「光栄です。ベストを尽くします」
いつの間にか隣に立っていたレイがデュランダルからバッジを受け取っていた。シンも今考えていた事を一旦忘れ、バッジを受け取った。
「オレ、いえ自分も頑張ります」
「期待しているよシン、レイ。そしてミネルバの活躍をね」
周りから再び拍手が起こる。マユとルナマリアもシンとレイを温かく見守っていたがふとある疑問が浮かんでいた。
「あれ?どうしてシンとレイだけフェイスになったんだろう?」
「私達はともかくエリスお姉ちゃ、隊長は貰わないんですか?」
「フェイスはそんなポンポン簡単に送るものじゃないでしょ。アスランの件があったから尚更ね」
「そうでしょうけど、エリス隊長もかなり活躍しましたよね。なのにどうして」
正直に言うとレイはヘブンズベースでの戦闘はルナマリアとマユと比べると撃墜数は少し多いくらいではあるが貢献度でいえばあまり変わらないと思っていた。それよりも基地に最速で踏み込み、ニーベルングを破壊しモビルスーツ部隊の道を作ったエリスの方が大きい活躍をしておりフェイスになるのではと二人して考えていた。
「あーそれなんだけどね。私断ったの。私に渡すくらいならレイにでも渡しといてって議長に言ったから」
「「はぁ⁉︎何でです⁉︎」
「しっ、声が大きいわよ」
エリスの注意通り、周りから少し睨まれてマユとルナマリアはペコペコ頭を下げ謝罪していた。その後ヒソヒソと話しを続けた。
「いや、何で断ったんですか隊長。というか事前に断るって何なのですか?」
「議長が事前に私に言ってきたのよ。そこで断ってきたわ。私はそこまで大きい肩書き要らないわよ。今くらいが丁度良いのよ。でも議長はフェイスを二人任命したいって言うからならレイにしたらって。まさか本当にするとは」
「えぇ、そんな軽い感じで・・・勿体無くないですか?」
「良いのよ。なんかあったら議会に呼び出されてここを離れる事になるかもしれないのよ。アンタ達を置いてどっかに行きたくは無いわよ。それよりも終わったわよ。行きましょう」
叙勲式が終わりシンとレイがエリス達の元に戻ってきた
「ただいま戻りました隊長」
「じゃあ行こうエリス、隊長」
「えぇ。シンのその感じ懐かしいわね」
シルファ隊が揃ってからタリアに声をかける
「艦長、我々は先に失礼します」
「ええ、ご苦労様・・・おめでとうシン」
「艦長・・・ありがとうございます」
敬礼を解除してから部屋を出る
「それにしても凄いじゃないシン。二つ目なんて」
「そうだよ。私も一つ貰えた事あったけど二つ貰った人いないんでしょ?やっぱ凄いよお兄ちゃん」
「いや、そんな・・・オレ一人の力じゃないし」
「そうね、一人の力じゃないわね。これも」
「多分エリスの力は関係無いと思いますよ」
「エリスお姉ちゃん、それは違うと思う」
「何でよ⁉︎」
ルナマリアとマユの鋭い指摘にわざとらしく驚くエリス。もう何度目か分からないやり取りをしながら笑い合う女性陣とは別にレイは耳を澄ませてデュランダル達の会話を聞いていた。
「ん?どうしたレイ?なんか気になる事でも」
「しっ。今大事なところだ」
「お、おう」
シンもレイと同じ様に耳を澄ませる。その様子を見てエリス達も雑談を止めていた。
「カーペンタリアからの情報部からの報告です。ロード・ジブリールの所在が分かりました」
「カーペンタリアから・・・彼はどこに?」
「ロード・ジブリールはオーブに潜伏しています」
「そうか、分かった。すぐにオーブに向かわせる」
デュランダル達の会話を聞いていたエリス達は驚きを表面に出しながらもミネルバに駆け足で戻ろうとしていた
「まさか、オーブにジブリールが潜伏しているなんてね!」
「オーブは連合と同盟を結んでいた。可能性はゼロでは無い」
「とにかく急ぐわよ!当然ミネルバもオーブに向かうだろうからね」
(ったく!何でまたオーブに行く事になるのよ!しかもジブリールに潜伏されるなんて無能、カガリなら絶対しないわよ!あのバカ親子!シンとマユは大丈夫かしら?)
横目でシンとマユの様子を確認するエリス。マユは驚きでまだ動揺は残っていそうだがすぐに冷静になれそうだった。だがシンの方は明らかに何か思い詰めた顔になっていた。
(やっぱマズイわね。今朝も何があったかは知らないけど何か思い詰めてた顔をしていた。下手に今のシンは出撃させない方が良いわね・・・クソッ、やっぱフェイスに私もなっとくべきだったわね!)
エリスはレイにフェイスの肩書きを譲った事を内心で後悔しながらもそれを表に出さずに走っていた。今は過ぎた事よりもシンに負担がかからない様にどうするかだけを考えていた。
ジブリールがオーブに逃げたという情報ははアークエンジェルにも伝わっていた
「ジブリールがセイランに?それは本当なのか?」
「ああ、間違いない。そしてそれはもうザフトにも知れた様だ。既にオノゴロ沖合にカーペンタリアより発進した艦隊が展開中だ」
「ウナト・・・どうしてそんな」
ザフトがオーブを攻める事になれば前大戦と同じ様に多くの被害が出る危険性があった。カガリだけでなくその場に居る全員が危惧していた事であった。
「マリューさん、アークエンジェルの修理の方はどうですか?」
「まだ、万全とは言い難いわね」
「そうですか・・・仕方ないか」
アークエンジェルがまだ出られる状態では無いことを確認したセナは覚悟を決めた顔でブリッジを出ようとした
「セナ?どこへ行くんだ?」
「アークエンジェルは修理の方を急がせて下さい。私は出撃するわ」
「出撃って、お前」
「怪我はもう治ったわよ。ムラサメ1機余ってるの借りるわよ」
「ムラサメって、というか余ってる機体なんて今は・・・あっ」
アークエンジェルに積んであるムラサメはオーブ兵達用とは別に1機だけある。本来は共にアークエンジェルに乗ったバルトフェルド用に調整された専用のムラサメが一度も出番が無いまま格納庫に置いてあったのだった。
「セナさん、流石に今出るのは速すぎると思うの。せめて」
「攻撃が始まった瞬間に出てもその間にどれだけ被害が出るか分かりません。遅れて出撃して救えない命があるのは嫌なんです」
「セナ・・・ならムラサメ部隊を連れて行け。一人よりはマシだ」
「なら二人だけ連れて行っても良い?彼らはカガリを守る為になるべく置いておきたいの」
セナも自分が焦っている自覚はあった。状況が分からないままモビルスーツ部隊を連れて出るのはザフト側に戦闘の意思ありと受け取られる可能性もあり、また修理中のアークエンジェルが襲われる可能性を考慮して防衛の為の戦力は残した方が良いと考えていた。
「そうね。こっちは今はモビルスーツ以外の戦力は無いからね。分けた方が良いわね」
「分かった・・・気をつけろよセナ」
「分かっていると思うけど貴女は怪我から治ったばかりよ。無理だけはしないで」
「大丈夫ですよマリューさん。私は太陽の・・・いえ、何でも無いです」
セナは誤魔化す様に慌ててブリッジを飛び出して行った。セナの様子が不審な事に気付きながらも誰も言い出す事はできなかった。
「・・・はぁ、何やってるんだか。一度負けた元最強の肩書きなんて気休めにもならないよね・・・」
セナは自分で思っていたよりもエンジェルダウンの時にインパルスに負けた事を引きずっていた。今まで心が壊れてしまった時も、周りに支えられっぱなしのままのんびりと過ごしてきた罪悪感もあるセナがそれでもやってこれたのは前大戦の戦績で手に入れた最強の称号のお陰であった。
最初はただ正体を隠す為だけに使っていた太陽の少女。しかし数々の敵を撃ち倒し、最強の存在となった今ではセナにとって数少ない心の余裕となっていた。自分が最強であるのなら何かあっても皆んなを守れる、自分がここに居る意味がある、役目があるという考えがセナのメンタルをギリギリで留める事が出来ていた。
だがそれも過去の栄光。一度敗北してしまった以上、太陽の少女の名前は周りの人を安心させる事は出来なくなってしまった。それがセナにとって一番辛い事だった。
「・・・いや、そんなくだらないプライドは関係無い。キラはラクスの為に出来る事をやった。私は私に出来る事をやるだけよ!」
無理矢理自分自身を鼓舞するセナ。はっきり言ってただ自分の心の悲鳴を無視して強引に立ち上がらせてるだけだが今はそれでも構わなかった。自分の事は最悪後でなんとかする、戦争が終わってからどうにかすると決めてセナはまた走り出した。
「ま、ちょっとは物の分かった人間ならすぐに見抜く筈だ。あんなデュランダルの欺瞞は」
「ええ・・・」
オーブ本島にあるセイラン家の屋敷でジブリールは匿われていた。高級な紅茶を味わいながら寛ぐジブリールとは別に目の前でやり取りしているウナトは緊張でぎこちなくなっていた。現状ザフトは今ここに居るジブリールの身柄を狙ってオーブのすぐ側まで来ていた。このままでは前大戦の二の舞になる事はウナトも分かっていた。
だがヘブンズベースの生中継を見ていれば今のザフトの強大さも分かっていた。今のオーブ軍では太刀打ち出来ない。今攻められれば自分達が終わりだという事実に震えを感じていた。
「奴の支配する世界などになったら貴方方も居場所は無い。まぁ心配せずとも我らはすぐに反撃に出る」
「えっ?」
「奴が宙に戻り、私が宙に上がりレクイエムが流れれば全てが終わるのだ」
この期に及んでジブリールはまだ余裕がある様にウナトは見えた。まるで自分はここから逃げる事は出来る、そして勝利する事が出来ると確信しているかの様に。それが逆にウナトを震え上がらせていた。
「レクイエム?」
「その時勝ち残っていたければ今どうするべきかは聡明な貴方にはよくお分かりだろうなウナト・エマ」
脅しとばかりに圧をかけてくるジブリールにウナトは内心恐怖していた。レクイエムと呼ばれるものがなんなのかまでは分からずともジブリールには勝算があっての態度である事は明白だった。ひとまずはこのままジブリールを隠し通してザフトをなんとかすればどうにかなるとウナトは少ない勝機に賭ける事にした。そうするしか手段は残って無かったのだった。
アークエンジェルから出撃した黄ムラサメは2機のムラサメを連れながらオーブに向かっていた
「セナ様、大丈夫ですか?ムラサメの操縦は」
「初めてですよ、でも良い機体ですね。小回りならサンシャインよりも動けると思う」
「そうですか・・・良かったです」
「とにかく今はオーブに」
「オーブ政府を代表して通告に対して回答する」
セナ達が話しをしているとユウナがオーブ政府の回答文を発信した
「貴艦らが引き渡しを要求するロード・ジブリールなる人物は我が国内には存在しない」
「はっ⁉︎何言ってるのよコイツ!」
「また、この様な武力を持っての恫喝は一主権国家としての我が国の尊厳を著しく侵害する行為として大変遺憾に思う」
ユウナからの回答はジブリールがオーブに居る事を既に知っているザフトにとってはただの煽りでしか無かった。その様なふざけた答えで言い逃れようとしているオーブに攻撃を仕掛けるのも時間の問題だった。
「あのバカ紫!速く行きましょう!こんな事でオーブをまた焼かれるわけにはいかない!」
「「了解です!」」
黄ムラサメを先頭に最大速で飛んでいくムラサメ達。既にザフト軍は攻撃の為に動き出していた。
「ああもう!どうしてこうなるんだ!彼は居ないと回答したのにどうして撃ってくるの⁉︎」
「嘘だと知ってるからですよ」
苛立ちを隠そうともせずに怒鳴ったユウナは冷静に正論で返されて言葉に詰まる。ある程度確信を持って迫ってきたザフトに対して何の裏工作も無くただ事実否認しただけの回答で止まる筈がないと誰もが分かっていた結果だった。
「政府は何故あんな馬鹿げた回答をしたのです?」
「だって昔、アークエンジェルの時には」
「あの時とは政府も状況も違います!」
「なっ⁉︎」
何も分かっていないユウナに対してオーブ兵達は呆れた表情で見つめていた。今がどういう状況なのか、今何をするべきなのかを知らないまま横からてきとうな事を言って危機に晒すセイランに対して忠誠を誓うものはこの場に居なかった。代表であるカガリが居ない為従うしか無いだけだった。
「ああもう!ほら!こっちも防衛態勢を取るんだよ!護衛艦群出動!モビルスーツ部隊発進!」
ようやく発進したオーブ軍部隊だったが既にオーブ領海上には多数のザフト軍モビルスーツが迫っていた
「くっ、もうこんなに」
「セイランの指示が遅いせいで・・・」
「とにかくやるしか・・・ん?横から接近するムラサメが3機?どこの部隊だ?」
戦闘が始まる直前にセナ達のムラサメがオーブ領海上に現れる
「よし、間に合った。貴方達は行政府と話しをつけて連携を取って下さい。今は協力しないとどうしようもないです」
「セナ様はどうするので?」
「私は今のオーブ政府と喧嘩売ってる様なものなのよ。変にギスギスするより一機でも多く倒した方が役に立てるわ。急いで!」
「分かりました」
黄ムラサメが侵攻しようとするバビやグフイグナイテッドに空対空ミサイルを撃ち迎撃をする。避けて4連装ビームガンを撃ってくるが避けながら近づきビームサーベルで真っ二つにする。
「このぉ!」
バビのビームライフルとガンランチャーでの攻撃の隙間を潜り抜けながらビームライフルで一機ずつ撃ち落としていく。初めて操縦したムラサメで奮闘するセナだったがその間にも攻撃は激しくなっていた。
「アマギ。ムラサメ部隊は出られるな?」
「え、はい」
「なら行こう。セナ達だけに任せるわけには行かない。我々も発進する。ストライクルージュの準備を」
戦闘の様子を見ていたカガリは出撃を決意する。動き出しが遅かったオーブ軍は後手に回りながら翻弄されていた。黄ムラサメが先頭で次々に撃墜しているのでなんとかなっているがいずれ物量差にやられるのも時間の問題だった。
「無茶よ!この戦力にストライクルージュじゃあどうしようも無いわよ」
「オーブが再び焼かれようとしているんだ!これ以上待ってなど居られない!」
カガリが飛び出して行こうとするのをブリッジに入ってきたキサカに止められてしまう
「待てカガリ」
「もう待たんと言っている!離せ!」
「良いから来るんだ」
「嫌だ!またセナに任せるだけなのはもうごめんだ!このままここで見ているくらいなら戦って死んでやる!」
「それでは困るから待てと言っているんだ」
「とりあえず落ち着きなさい。行くのは良いけどその前にウズミ様の言葉を聞いてと言っているのよ」
「えっ⁉︎お父様の?」
「そう。ついてきて」
エリカに連れられて地下の扉の前に来たカガリは埃まみれになって見えなくなっていた言葉を読む
「ほらそこの。読んでみて」
「この扉、開かれる日が来ぬ事を切に願う」
カガリの言葉に反応するかの様に扉が開かれる。そして目の前には黄金のモビルスーツが置かれていた。
「この扉が開かれる日。それはこのオーブが再び炎に包まれる日かもしれないと、つまりそういう事よ。そしてこれがウズミ様の遺言よ」
「カガリ」
「あっ、お父様!」
スピーカーから生前ウズミが残していたメッセージが流れ出す。自分が亡き後、オーブに何かあった時を想定してメッセージを残していた。
「もしもお前が力を欲する日来たればその危機に答え私はこれを送ろう。
お前に教えられなかった事は多くある。だがお前が学ぼうとさえすればそれは必ずやお前を愛し、支えてくれる人々から受け取れるだろう。故に私はただ一つこれのみを送る。
力はただ力。多くを望むのも愚かなれどむやみと疎むのもまた愚か。守る為の剣、今必要ならこれを取れ。
が、真に願うのはお前がこれを聞く日の来ぬ事だ。今この扉を開けしお前には届かぬ願いではあるが、どうか幸せに生きろカガリ」
「お父様・・・うぅ、あああ」
ウズミのメッセージを聞いたカガリはその場で泣き崩れた。そんなカガリにキサカは優しく寄り添った。
「カガリ、アカツキに乗るか?」
「アカツキ・・・うん」
アカツキを見据えながら立ち上がったカガリの目にもう涙は無かった。アカツキに乗り込んだカガリは起動させ出撃準備を完了させた。
「カガリ・ユラ・アスハ、アカツキ、発進する」
飛び立ったアカツキは外に出てムラサメ部隊を引き連れて戦場に向かっていく。戦闘中だったザフト軍もオーブ軍もアカツキの目立つ見た目に驚きを見せていた。
「何あの金ピカの機体⁉︎味方?」
「カガリ、防衛線を立て直さないと総崩れだぞ」
「まずは国防本部を掌握し戦線を立て直す。1個小隊、私と来い。残りは防衛線でセナの援護を」
「「「はっ!」」」
アカツキに連れられてムラサメ達が一部ついてくる。残りは黄ムラサメの側についた。
「キサカさん!あれって」
「あれはアカツキ。カガリの機体だ」
「そうなんですか・・・まぁ良いや。助かります!」
「こちらこそ、よくここまで粘ってくれた。行くぞ」
ムラサメ達が奮闘している頃、オーブ軍司令部にカガリが通信を入れる
「私はウズミ・ナラ・アスハの娘、カガリ・ユラ・アスハ。国防本部聞こえるか?」
「ええっ⁉︎」
「カガリ様?」
「突然の事で真偽を問われるかもしれないが指揮官と話したい。どうか」
「カガリ!ああ来てくれたんだねマイハニー。ありがとう、指揮官は僕、僕だよー」
カガリからの通信にユウナは嬉々として答える。周りからの冷ややかな目線に気付かずに戻ってきたカガリにユウナは浮かれていた。
「ユウナ、私を本物と、オーブ連合首長国代表首長カガリ・ユラ・アスハと認めるか?」
「勿論勿論僕にはちゃーんと分かるさ、彼女は本物さ」
以前戦場で呼びかけた時は自身の保身の為に偽物と言っていたのに今頃手のひらを返してくるユウナに周りの苛立ちはピークに達していた。だがユウナの言葉にカガリは待っていたとばかりに声を高らかに命令を出した。
「ならばその権限において命ずる。将兵達よ、直ちにユウナ・ロマを国家反逆罪で逮捕、拘束せよ!」
「えっ⁉︎」
救いの手から一変、カガリから出てきた非情な言葉にユウナは理解するのに時間がかかっていた。それよりも速くオーブ兵に囲まれたユウナは袋叩きにされていた。
「命令により拘束させて頂きます」
「ぐぁ⁉︎カガリ⁉︎」
ユウナの叫びを聞くものはおらずあっという間に拘束されてしまった。その間にカガリに指揮が戻ったオーブ軍は連携を取れる様になり徐々にザフト軍を押し出していた。
「ユウナからジブリールの場所を聞き出せ。残存のアストレイ隊はタカミツガタに集結しろ。ムラサメの2個小隊をその上空援護に。国土を守るんだ」
「カガリ!」
次々に指示を出しながら戦場を駆けていくアカツキに黄ムラサメが近づいてくる
「セナ、任せっぱなしで悪かったな」
「気にしなくて良いよ。それよりも、やっと戻って来れたね」
「まだ喜ぶのは速いぞ。ザフト軍を追い返してジブリールを見つけるまでは終わらない。共に戦ってくれセナ」
「勿論だよカガリ。いや、アスハ代表」
黄ムラサメとアカツキのビームライフルでバビとグフイグナイテッド達を撃ち落としていく。後ろに回り込んだバビ部隊のビーム砲を黄ムラサメは回避するがアカツキは正面から受けた。
「カガリ⁉︎」
「大丈夫だ。アカツキはビームには強い」
アカツキは受けたビームを真っ直ぐ反射させてバビ達を撃ち抜いた。ビームを跳ね返された事に驚いた残りのバビを変形した黄ムラサメの機関銃で撃ち落としていく。
「凄っ⁉︎何その機体!こんなのどこに?」
「お父様が私の為に残していたんだ」
「ウズミ様が・・・だったら絶対守り切らないとね」
「ああ、分かってるさセナ。行くぞ!」
勢いに乗るオーブ軍と押し返され始めるザフト軍は劣勢に立たされていた。だがそこにザフト軍最強と言えるミネルバが目前まで迫っていた。
自分のネームである黄金鷹の由来はRGのアカツキを作っている時に思いついた名前です。更に言うならサンシャインの設定やこの作品を作ろうと思ったきっかけもこの時です。
なのでサンシャインの見た目は色以外の造形は決めていないですが個人的にアカツキの姿をイメージしながら戦闘描写などを考えていたりします。