レクイエム発射の情報はオーブにも伝わっていた。アークエンジェルのブリッジに集合していた全員が現状を前に暗い顔になっていた。
「ジブリールって奴だよね?これ撃ったのも」
「多分ね・・・そして彼を宇宙に逃したのもきっと」
自分達のせいと口に出かかった言葉をキラは飲み込む。だがそれは誰に言われずとも自覚があったせいで全員気まずそうに俯くしか無かった。
「ジェネシスの時と同じだ・・・またあの時の様に互いに撃ち合ってしまう・・・」
「でも撃たれては撃ち返す戦いの連鎖を今の私達には終わらせる術はありません」
思い出すのは前大戦の事。互いに相手を憎み怒りのままに敵を撃つ、その狂気の果てを当たり前に感じていた両軍は超えてはいけない一線を超えてしまった。その境界が今再び超えられるのも時間の問題となった今の状況で何をすればいいか分からなくなっていた。
「結局戦う事しか出来ないのかな?連合も、ザフトも、私達も」
「そんな世界に議長は全く新しい答えを示すつもりなのでしょう。人々が決して争うことのない世界、遺伝子によって全てを決める世界が」
「遺伝子で全てを決める?」
ラクスの言葉に全員が注目する。遺伝子によって全てを決める。それによって管理された世界は戦う必要が無くなるというのがデュランダルの考える平和だった。
「そんな世界なら誰も自分自身の未来や不安からは解放されて生きられるのかもしれない」
「それって才能あるからそれだけをやれって事でしょ。たとえ本人が嫌がっていても」
「そうして否定するものは淘汰し管理する。それが議長のやり方だ」
「これが議長のデスティニープランだよ」
自身の道を遺伝子で決められ強制される世界。それはより優れた才能を得ようと遺伝子操作にまで手を伸ばした人類が遺伝子に縛られる皮肉の効いた閉ざされた未来だった。だがそれでも終わりようのない争いを終わらせるにはこれくらいの事をしなければ止められないほどに進んでいることも事実だった。
「そんな世界ならどうなるのかな?仮に私ならパイロットは確定として・・・そもそも戦う必要が無いわね。なら従わない人を粛清する係とか?」
「おいおい、冗談じゃねーぞ。そうなったら誰も逆らえないじゃないか」
「そういう意味で争いがなくなるのが議長の考えなのでしょ」
「私は自分が強いなんてあの日まで知らなかった・・・それを初めから知る事が出来るのがデスティニープランか・・・そして私は兵士だけやらせると」
元々ただの学生で兵士になるつもりは無かったセナ。だが戦争に巻き込まれてプロトに乗った日から戦闘経験を積む内に最強のパイロットとしてその二つ名を轟かせるほどになっていた。そんな自分でも知らない才能を知る事が出来るのは魅力的に感じる者が多く出るのは目に見えていた。
「どこまで決めるつもりなんだろうね・・・遺伝子で決めるって事は結ばれる相手も決められたりして」
「それは嫌」
それまで話しについていけなかったステラがセナの一言に強く否定を示す
「それは、嫌だ。ステラはステラが好きになった人と結ばれたい。顔も知らない人と勝手に結ばれたくない」
「そうだよな。ステラの言う通り嫌な事はしたくないよな」
ステラの一言にネオは同意を示す。その言葉に一人、また一人と頷き出す。その一言が暗雲が立ち込めた皆の頭に一筋の光が刺していた。
「そうだな。俺は、諦めたくない。このままで終わって良い筈がない」
「僕達も宇宙に上がろう。僕達は諦めていない。ならまだ出来る事がある筈だ」
全員の士気が上がる。ただ従うだけの先のない未来に委ねるだけでは今までの犠牲が無駄になる。そんな事は避けたいとここにいる全員の思いは一つになった。
(ようやく何と戦ったら良いのか分かってきたわね。長かった・・・なら私がやる事は一つだけ・・・今度こそアイツを)
握った拳を見つめながらセナが思い浮かべたのは自分達を追い詰めたデスティニーの姿。セナは自分達が勝つ為にはデスティニーをどうにかしないといけないと一人思案していた。
(正直今の時点でほぼ互角、いや僅かに負けてるわね・・・しかも武装全部使っちゃったからもう不意はつけそうにもない。そしてあっちは私の動きを既に見切っている・・・勝てるかな?)
「セナ?」
黙り込むセナを気遣い声をかけるキラ。周りもセナを心配そうに見ているがセナは気づかなかった。
(いや、勝てるかどうかじゃない。勝つんだ、どんな手を使ってでも、何ををしてでも私が・・・そうじゃないとまた)
「えい」
「アイタ⁉︎」
考え事をしているセナにキラがチョップする。不意をつかれたセナは間抜けな声を出しながら頭を抑える。
「何するのよキラ!力加減間違えてない⁉︎」
「うん、思ったより勢いついちゃった。慣れない事はするものじゃないよね」
「ていうか急に何よ⁉︎」
「いや、また何か一人で抱え込んでるからさ。景気付けにと思ってたけど・・・案外大丈夫そうだね」
「へ?」
初めは急に叩かれ怒りを見せていたセナだったが大丈夫そうと言われて怒りが収まった。やり返そうと振り上げた右手が行き場を失いゆっくりと降ろされていった。
「大丈夫?私が?急に何?」
「もしかして・・・気づいていないのか?」
「案外鈍感だな、お前」
「えっ?ど、どういう事?」
アスランとカガリにも指摘されるがまだセナは分かっていなかった。周りを見渡してみても何か温かい目で見られていて更に困惑していた。
「なるほど、それがお前の素って事か。そりゃアレは普通じゃないな」
「だからどういう事なのよ!そろそろ教えてよ〜」
「それだよそれ。以前みたいに感情豊かになっている」
「えっ?」
キラに言われてセナは自分の頬を両手で触る。余程の事が無い限りは無表情か僅かな微笑みしか無かった表情が今は怒ると睨み楽しいと笑う、思っている事がそのまま顔に出る以前のセナに戻りつつあった。
「そう?自覚無いんだけど・・・ホントに?」
首を傾げながら皆に聞くその顔もよく分からないという気持ちが顔に出ており感情がわかりやすくなっていた
「うん。明るくて可愛げがある」
「そんな顔も出来るんですね。初めて会った時と印象違いますよ」
「そっか・・・ふふっ」
出会って日の浅いステラとメイリンにも言われてセナは微笑む。その控えめな微笑みでさえも以前とは違う華やかさがあった。
(皆そんな大袈裟な・・・いや、そんだけ暗くなった私の事心配だったんだ。迷惑かけちゃったかな?でも良かった。今度こそ皆で・・・)
セナは内心で皆無事に帰還する事を決意する。皆で笑い合えるこの瞬間がかけがえのないものだと、自分も笑う事が出来る今が貴重な事だと分かったからこそ守りたいと考えていた。
その頃宇宙ではザフト軍が総出でレクイエム破壊に向かっていた。ミネルバもレクイエム破壊の為に大気圏を突破して向かっていた。ダイダロス基地でもザフト軍の進軍に備えて防衛戦の準備を整えていた。
「司令部との連絡はまだか?」
「待ってください。今入りました。でもこれは特命コードです」
「えっ?」
ミネルバに送られたメッセージ。それは既に開戦している中でレクイエムに回り込んで破壊するという指令だった。指令を伝えられたタリア達もシルファ隊も当然驚愕していた。
「砲の本体をオレ達だけでですか?」
「だけかどうかは分からないけど、ともかくそれが本艦への命令よ」
「確かにここからではダイダロス基地の方が近い」
「それにミネルバは最新鋭機を複数揃えた最強の艦だし速度もある。馬鹿正直に正面から行くよりは効果ありって事ね」
既にエリスは脳内でミネルバだけでの攻略の算段を建てていた。その様子を頼もしく思いながらタリアは話しを続ける。
「あれのパワーチャージサイクルが分からない以上問題は時間ということになるわ。駆けつけたところで間に合わなければ何の意味も無いものね」
「敵が月艦隊に意識を向けているのなら、上手くいけば陽動と奇襲になるという事ですね」
「そういう事よ」
「奇襲・・・」
シルファ隊の全員に重くプレッシャーがのしかかる。手薄なところを攻める分は負担が少ないかもしれないがそれでもこちらは一艦隊分の戦力でしか無い。その戦力だけで基地を襲撃するのは簡単な事じゃない。
しかも攻め入るのに時間がかかれば再びレクイエムを撃たれてしまえばそれで何もかもお終いになる危険性もある。今まで以上の緊迫感に緊張するのも無理は無かった。
「厳しい作戦になる事は確かよ。でもやらなければならないわ。良い?」
「了解です」
「はい、分かりました」
「「あ、はい・・・」」
「・・・了解です」
タリアの問いにエリスとレイは冷静に、マユとルナマリアは動揺したままだが答え、シンは神妙な顔で頷いた。どれだけ困難であっても必ずレクイエムを破壊する。その覚悟だけは全員出来ていた。レクイエム破壊に向けてシルファ隊は準備をしていた。
「表の月艦隊の方は大丈夫かな?」
「あれだけのビームだからすぐには撃たれない筈よ。けど撃たれたら」
「第二射までに第一中継点を落とせればかろうじてプラントは撃たれない。だが奴らのチャージの方が早ければ艦隊諸共薙ぎ払われるぞ」
「どのみち時間の勝負ってわけね」
パイロットスーツに着替えたマユ達が状況確認と作戦立てをしていた。今回だけは何としても失敗は許されない。その緊迫感に全員が真剣に取り組んでいた。
「トリガーを握っているのがそういう奴だという事は知っているだろ」
「ああ、分かってる。全ての元凶はアイツだ。ロゴスのロード・ジブリール」
「前回私達は奴を逃してしまった。理由はなんであれ今度こそ逃さない。良いわね貴方達?」
「ああ」
「分かってるよ」
「はい」
「ああ、もう月艦隊もプラントも撃たせるわけにはいかない」
士気は最高潮に高まっていた。ジブリールを逃した責任が全部ではなくとも自分達にあると感じているからこそその責務を果たそうとギリギリまで作戦を練っていた。
「コンディション・レッド発令。パイロットは搭乗機に乗って待機して下さい」
「時間ね・・・レイとシンは前に出て敵部隊の殲滅、私とマユでミネルバを防衛しつつダイダロス基地を落とす。ルナマリアは単騎でレクイエムに回り込んで破壊を目指す。良いわね?」
「「「はい!」」」
「よし。じゃあ行くわよ」
エリスは格納庫に向かおうと部屋を出る。その後をレイとマユもついていこうとする。シンもそれに続こうとした時、ルナマリアに呼び止められた。
「あっシン」
「ん、どうしたルナ?不安か?」
「あ、えっと、その・・・大丈夫?」
「大丈夫って、何が?」
「いや、その・・・ずっと暗い顔していたから。大丈夫かなって」
シンがずっと何か思い詰めているのはルナマリアには分かっていた。だが核心に触れない様に聞こうとすると要領を得ない言い方しか出来なかった。その問いにシンは首を傾げる。
「いや、別に大丈夫だぞオレ。それともやっぱり変わるか?」
「それは大丈夫!と、とにかく頑張ろうね」
「あ、ああ・・・」
無理矢理話しを切り上げてルナマリアは部屋を飛び出す。シンは困惑しているところにマユが飛びついてきた。
「ウオッ⁉︎今度はマユか!」
「何よ、そんな驚かないでよね。キスした関係なのに」
「なっ⁉︎おまっ」
「もうみんな先に行ったよ。だから私達だけ」
「そ、そうか。ったくヒヤヒヤさせやがって」
「・・・やっぱり、無理かな?兄妹で付き合うの」
「えっ・・・それは・・・」
シンの背中に両腕を通し抱きつくマユ。シンはそんなマユを引き剥がす事も抱き締める事も出来ず行き場のない両腕を持て余していた。
「良いよ。今はそういう場合じゃないし、お兄ちゃんを困らせたいわけじゃないから。だからもう少しだけ」
「・・・悪い、マユ」
「謝んないでよ。それじゃあもう、脈無いじゃん」
先程のルナマリアの純粋にシンを心配する気遣いにマユは敗北を感じていた。マユはシンに泣きそうな顔を見られない様に肩に顔を埋めていた。
(多分お兄ちゃんは気づいてないけど、ルナも私と同じで・・・ルナが相手じゃ勝てるわけ無いじゃん。大事な作戦前なのに、こんなのって・・・)
「マユ・・・」
シンが抱きつくマユの顔が見える様に肩を押す。マユは意地で泣かない様にしていたが瞳がいつも以上に潤っていた。
「マユ。正直オレは、恋愛感情が分からない。だからマユとどうなりたいのか決まらないんだ。こんなお兄ちゃんでごめんな」
「気にしないで良いよ。私の方が普通じゃ無いんだし」
「けどオレはマユの事は好きだぞ。家族として、兄妹としてだけど・・・でもマユのしたい事なら出来るだけ叶えてやりたいと思っている。だから」
シンからマユにキスをする。それは唇に軽く触れるだけの優しいキスだった。目を見開いて驚くマユだったがやがて目を閉じてキスを味わった。
「・・・今はこれが精一杯だ。その・・・」
「うん。続きはこの作戦が終わってからね。楽しみにしてるから」
「ああ、絶対に生き残るぞ」
抱き合っていた体を離してシンとマユは自分の機体に向かう。前に出たマユはシンが自らキスをしてくれた事で自分にも魅力があると有頂天になっていたが後から付いてくるシンの顔はあまり晴れやかでは無かった。
(何してるんだろうなオレ。妹に自分からキスして・・・誰かに見られたらお終いだな。いや、良いか。別に好きな人なんてオレには・・・)
そう思いかけた時にシンの脳裏にステラとルナマリアが思い浮かび足を止めてしまう。
(何で今ステラとルナの事が思い浮かんだんだオレは?まさか・・・いや何考えてるんだオレ!ステラは幼馴染だしルナは同期だぞ。それに二人も思い浮かべるなんて不誠実じゃないか)
思い浮かべていた事を振り払おうと頭を振るシンだったが、その直後に今度はセナの事が頭に浮かんでしまう
(いや、なんでお姉、セナ・ヤマトが浮かぶんだよ!あの人は敵で、ステラを殺した仇で、オレの・・・クソッ!)
苛立ちをぶつける様に壁に拳を叩きつけてからシンは再び走り出した。自分の思考があらぬ方に行ってしまう事も、思い浮かべた人物になんの意味があるのかも分からないまま駆け出すシンの内心はごちゃごちゃになったままだった。そのままデスティニーに乗り込んだシンにエリスが通信を入れる。
「遅いわよ。何してたの?」
「ごめん、ちょっと色々・・・」
「そう。先に出てるから急いでね。エリス・シルファ、リバース、出ます」
「レイ・ザ・バレル、レジェンド、発進する」
「ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー、行くわよ」
先に準備を終えたエリス達が出撃する。ブラストシルエットに換装したインパルスはミネルバから離れ月面付近からレクイエムに向かっていった。
「ごめんねお兄ちゃん。先に行ってるから。マユ・アスカ、デスティニーインパルス、出るよ」
デスティニーインパルスが先に出撃する。それを見送ってからデスティニーも発進態勢をとる。
(そうだ、今は余計な事を考えてる場合じゃない。今はこんな馬鹿げた兵器を壊す事だけ考えろオレ)
「シン・アスカ、デスティニー、行きます」
出撃したデスティニーはリバース達に遅れないように光の翼を展開して最大速で追いかける。瞬く間にリバース達に追いついたデスティニーは光の翼を閉じて並走する。
「揃ったわね。出来るなら戦闘になる前になるべく近づきたいところだけど」
エリスが言い終わる前に敵機接近のアラームが上がる。ミネルバとリバース達の接近は既に察知されており多数のモビルスーツとモビルアーマが展開していた。
「やっぱりそう簡単にはいかないわね。レイ、シン、頼んだわよ」
「「了解‼︎」」
レジェンドとデスティニーが前に出て交戦を始める。その間にリバースとデスティニーインパルスはミネルバと共にダイダロス基地に向かっていく。
「コノォ!」
「落ちろ!」
デスティニーのビームライフルでウィンダムを次々に撃ち落としていく。レジェンドはドラグーンを射出し次々に敵機を撃ち落としていく。モビルアーマ達は陽電子リフレクターを使って防ぐがドラグーンのビームスパイクで陽電子リフレクターをこじ開け撃墜する。
「シン。俺達でなるべく多くの敵を引きつける。良いな?」
「分かってる。このまま・・・なっ⁉︎」
デスティニーの視線の先にはミネルバの進路上に3機のデストロイが現れていた。流石のリバースとデスティニーインパルスでもデストロイ相手に数的不利ではかなり苦戦することは明らかだった。
「レイ!お前はあっちの援護を」
「シン。だが」
「レジェンドの方が広範囲をカバー出来るだろ」
「分かった。気をつけろよ」
レジェンドがリバース達の応援に向かう。タンホイザーを防いだデストロイにデスティニーインパルスが連結したエクスカリバーを突き刺し撃墜する。
「エリスお姉ちゃん!」
「分かってる!けど」
リバースはデストロイの砲撃を避けつつ背部ビーム砲で狙うも陽電子リフレクターで防がれてしまう。そのまま追い詰められたところにレジェンドがドラグーンのビームスパイクで一機撃墜する。
「レイ!なんでこっちに。シンは?」
「アイツなら大丈夫だ。コイツは俺がやる。エリス達は先に」
「アンタ、けど」
「心配するなエリス。俺だってフェイスなんだ。これくらいやれる」
「・・・分かった。背中任せた」
残ったデストロイをレジェンドに任せてリバースはミネルバと共にレクイエムを目指す。
「ウオォォォ!」
単騎になったデスティニーはモビルアーマー達をアロンダイトで真っ二つにしていく。その片手間に長距離射程砲で敵モビルスーツを薙ぎ払いながら進んでいた。
「デストロイの方は・・・あと一機とレジェンドが交戦中。ミネルバはそのまま基地に向かってるな。今のとこ順調だな。なら・・・ッ⁉︎」
突如デスティニーに向かってビームが曲がりながら飛んでくる。デスティニーは咄嗟に後退して躱わすがそこにミョルニルが飛んで来るのでビームシールドで防ぐ。
「クッ!今度はなんだ?」
なんとか態勢を整えたデスティニーが周りを確認するとレイダー、フォビドゥン、カラミティの3機に取り囲まれていた
「なんだコイツら?確か旧式の」
「見つけたぞ、この悪魔‼︎」
「はっ⁉︎」
「レオとアリスの仇だ‼︎」
「お前だけは、許さない‼︎」
「お前ら・・・まさかアイツらの⁉︎」
シンはヘブンズベースで自分が撃墜したエクストラとスクラッシュの事を思い出していた。そしてすぐに彼らの目的が敵討ちであると察して動揺していた。
(コイツらステラと同じエクステンデッド、もしくはニュースピシースか?出来ればコクピットは避けて保護したいけど・・・)
「くそ・・・オレはまた、ステラの仲間を・・・」
デスティニーに向けてシュラークが放たれるが上昇して簡単に避ける。避けた先にツォーンが撃たれるも横に回避してビームライフルを撃つ。レイダーに撃たれたビームをゲシュマイディヒ・パンツァーで曲げるがそこにアロンダイトを持って突撃される。
「速い⁉︎ウワァァァァァ‼︎」
「オレもこんなところでやられるわけには行かないんだ!」
突撃したデスティニーにフォビドゥンはニーズヘグを振り下ろすもアロンダイトで右腕ごと真っ二つにされてしまう。フォビドゥンの後ろからレイダーが速射砲で援護するもビームシールドで防がれてしまう。
「クソ!なんなんだよコイツ‼︎」
「やらせるかよ‼︎」
カラミティがデスティニーの後ろからスキュラを撃つ。デスティニーは振り返りながら長距離射程砲を撃ちスキュラと正面からビームがぶつかり合う。出力差で徐々にスキュラが押し出されカラミティの腹部が撃ち抜かれ撃墜される。
「なっ⁉︎そんな・・・」
「あの野郎・・・はっ⁉︎」
仲間を目の前で殺され怒りに燃えるフォビドゥンとレイダーだったが2機に向けられビームブーメランが飛んでくる。レイダーはミョルニルで弾きフォビドゥンはシールドで防ぐもゲシュマイディヒ・パンツァーは切り裂かれてしまう。
「グゥ⁉︎奴はどこに?」
態勢を整えたレイダーだったがデスティニーを見失い辺りを見渡す。そんな無防備なところにデスティニーはアロンダイトを横に振り真っ二つにする。
「ああ⁉︎オマエ、オマエェェェェェェェ‼︎」
フォビドゥンは怒りのままにエクツァーンとフレスベルグを乱射するがデスティニーはそれを難なく躱しながら接近する
「コノ‼︎コノ‼︎コノォォォォォォォォォ‼︎」
「・・・終わりだ」
光の翼を展開して撹乱しながら近づいたデスティニーはパルマフィオキナーでフォビドゥンを撃墜する。無傷で勝利することが出来たもののシンの心には虚しさだけが広がっていた。
「また、ステラの仲間をオレは・・・けど、こうするしか・・・」
(お前はそんな事がしたくてザフトに入ったのか?お前の力は誰かを守る為の力じゃないのか?お前がしたかった事を、思い出せシン!)
「・・・クソッ」
アスランの言葉を思い出したシンは悔しそうに俯く。自分の戦う理由と実際に出来る事の違いをはっきりと示され、自分のやってる事が正しくないと言われているようで余計にシンを傷つけていた。その瞬間に第一中継地点がザフト軍の攻撃でストップしたのがシンの目に映る。
「・・・今はオレに出来る事をやるだけだ」
シンは不安定になっている心を無視して戦闘に向かう。それが最善だと、そうして傷つきながらも戦えば戦争が終わると信じて無理をする事を選んだ。
「フォーレに異常発生!ポジション取れません!」
ダイダロス基地の方で第一中継地点がポジションを取れなくなりプラントを狙えなくなっていた。更にミネルバの進撃でレクイエムそのものが破壊される恐れもあり追い詰められているのは明確だった。
「えぇい、駄目ならそれでも良い!フォーレの奴らだけでも」
「それでは終わりです。次のチャージまではとても」
「いいから撃て!その隙に脱出する」
ジブリールはもう勝ち目が無い事を悟っていた。故にザフト軍に痛手を負わせつつ自分は撤退して次の手を打つことにした。
「私が生きてさえいればまだいくらでも道がある。基地を降伏させ同時に撃つんだ。言い訳はいくらでもつく。君はよくやってくれた。共にアルザッヘルにでも逃げればまた」
発射準備を始めるレクイエム。レクイエム元に向かうインパルスは敵機の防衛のせいで中々進めないでいた。
「もう少しなのに・・・このままじゃあ」
ビームライフルでウィンダムを撃墜しながら向かうインパルス。そんなインパルスにザムザザーが向かってくるが横から飛んできたビームブーメランに切り裂かれ撃墜される。
「えっシン⁉︎どうしてこっちに?」
「ルナ!お前は真っ直ぐ行け!後はオレが!」
「分かった!」
デスティニーが敵を引きつけている間にインパルスはレクイエム内部に入っていく。インパルスを見送ったデスティニーはモビルアーマー達をアロンダイトで撃墜していく。
「よし、後は基地を落とせばこの兵器も」
「シン下がりなさい。基地は私がやる!」
「エリス、分かった!」
「背中は任せてエリスお姉ちゃん!」
基地の目前でミネルバと合流するデスティニー。デスティニー達が暴れている間にリバースはソードモードのビームソードガンを合体させ巨大な白いビームの刃を形成する。
「これで!終われぇぇぇぇぇ‼︎」
リバースはビームソードガンを合体させたチェインブレードで月面の基地を護衛のモビルスーツごと薙ぎ払う。残った機体を延伸式ビーム砲と長距離射程砲で撃ち落とし、戦艦はタンホイザーで薙ぎ払っていく。その間にインパルスは発射直前のレクイエムの元に辿り着いていた。
「見つけた!やらせるか‼︎」
インパルスがフルバーストで司令部を撃ち落とし発射を阻止する。レクイエムの発射阻止を横目にジブリールを乗せた戦艦が脱出をしようとしていた。
「えぇい、このままで終わると思うなよ」
逃げようとする戦艦。しかし目の前にレジェンドが回り込んで来る。
「何⁉︎」
「また逃げると思ってたさ。ここでくたばれ!」
レジェンドがドラグーンのビームスパイクでブリッジを潰し、ドラグーンの一斉掃射で戦艦を撃墜する。ジブリールを討ったレジェンドの元にリバース達がやってくる。
「レイ」
「アレにジブリールが乗っていた。懲りずに脱出するつもりなのは分かっていたからな」
「そう、よくやったわねレイ」
「言っただろ?俺もフェイスだと。やる時はやるのさ」
「これで今度こそ、終わりだよね?」
「多分ね。けど連合側も戦力が無いわけじゃないからね・・・」
「皆んなよくやってくれたわ。すぐに帰艦して頂戴」
タリアに呼びかけられミネルバに帰艦するシルファ隊。長かった戦いにようやく一区切りがつき勝利を喜ぶ様にミネルバ全体の空気が明るくなっていた。これでやっと平和になるとここにいる全員がそう信じていたのだった。
シンが撃墜したカラミティ達のパイロットはレオ達の同期です。それを分かっていながら撃墜するしか出来ないシンのメンタルは更にボロボロになっていきます。
そんなシンとは対照的にセナは徐々に精神的に回復しつつあります。今まで背負っていた太陽の少女の重圧から解放された事で気持ちが楽になった結果です。まだ完全に治ったわけでは無いですがアークエンジェル陣営に明るさが出てくると思います。