ガンダムSEED 太陽の少女   作:黄金鷹

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更新が遅くなり申し訳ありません。今回は場面がコロコロと切り替わるせいで見づらいかもしれません。次は気をつけます。


第四十八話 交わらぬ思い

第一中継ステーションが攻められている頃、シンとレイはメサイアにいるデュランダルの元に訪れていた

 

「議長」

「やぁレイ。シンもよく来てくれたね」

 

デュランダルに敬礼をしながら近づくレイとシン。普段通りのレイと違いシンは神妙な顔をしていた。

 

「どうしたね?なんだかあまり元気が無いようだが」

「あ、いえ・・・」

「また大分色々とあって戸惑ってしまったかな?」

「はい・・・なんでまた、こんな事にとは」

「確かにアーモリーワンでの強奪に始まってユニウスセブンの落下。そして開戦からこんな事態にまでなってしまったんだ。誰だって戸惑うだろうね」

 

シンが戸惑っているのはデュランダルには分かっていた。そんなシンを奮い立たせる様にデュランダルは言葉を紡いでいく。

 

「だがそんなやりきれない事ばかり続いたこの戦うばかりの世界も間も無く終わる。いや、どうか終わらせてくれと言うべきかな?君達の力で」

「はい」

「・・・はい」

 

レイに続く様に返事するシン。少なくともシンは消極的ではあるもののこちらに疑問を持たず裏切る事は無いと確信したデュランダルは今の戦況について伝える。

 

「今レクイエムのステーションワンがアークエンジェルとエターナルに攻撃されている。私がアレで尚も反抗の兆しを見せた連合のアルザッヘル基地を撃ったのでそれを口実に出てきた様だが、いや全く困ったものだよ。我々はもうこれ以上戦いたくないというのにね」

「それは・・・オレも同じです。けど」

「今ここで我々が彼らに屈する事になれば、世界は再び混沌と闇の世界へ逆戻りです。そうなれば、人々が平和と幸福を求め続けるその裏でまた新たなロゴスが生まれてしまう事でしょう。それが今の人ですから」

 

レイの言葉に耳を傾けるシン。普段は常に冷静で口数の少ないレイから出てくる言葉には、クローンとして自分を産んだ対する世界への怒りと、それ故に平和な世界を求める強い想いを感じていた。その想いが、言葉が、今のシンの心に深く浸透していた。

 

「ようやくここまで来たんです。デスティニープランは絶対に実行されなければなりません」

「そうだな。私も同じだよレイ。君はどうかなシン?」

「え?」

「やはり君も同じ想いか?」

「あ、あぁ・・・」

 

レイとデュランダルに見られている中でシンは考え込んでいた。今のままではいけない、変わらなければならない。だがこのやり方で良いのか?他にやり方は無いのか?それらを自問自答しては納得のいく答えが出ずにいた。

 

(これで良いのか分からない。戦争が終わればそれで良いとは思っていたけど、それでもこのやり方が最善とは思えない。けど、他のやり方を探すだけの時間は・・・きっと無い。その間に新たな犠牲が出るのも分かり切っている。ならオレはどうしたら・・・)

 

隣にいるレイの顔を見つめ返すシン。もう永くはないと本人の口から語られたそれは、今の世界の歪さの証明だった。エリスも同じ様な存在であると聞かされ、自分の想像もつかないほどの業が今の世界にあるとシンは知った。そんな世界でシンは何のために戦っていたのか、何を守りたくて戦っていたのか、目を閉じ脳裏に浮かぶのは自分にとって大事な人の言葉だった。

 

(辛いと感じたらすぐに言いなさいシン。無理する必要は無いのよ)

(力を持つものならその力を自覚しろ。ただいたずらに殺し合うだけで戦争が終わると思うな)

(けど、私も強くなってアンタに追いついてみせるから・・・それだけよ)

(でも元気出た。ありがとう)

(誰よりも強く、誰よりも優しいお前なら、きっと戦争のない世界を守っていけるからな)

(だから落ち込んでいるのなら話して欲しいな。好きになってもらうとかそんなんじゃなくて、お兄ちゃんにはそんな辛そうな顔をして欲しく無いからさ)

 

「オレは・・・」

 

ゆっくりと目を開けたシンは真っ直ぐデュランダルの方を見据える。その瞳には憂いはありながらも迷いはなく、曇りはありながらも覚悟を決めた瞳になっていた。

 

「オレも、レイと同じです。戦争の無い世界の為に、オレ達は戦います。たとえ相手が誰だろうとしても」

「そうか、ありがとう。頼りにするよ」

 

期待通りの答えを受けたデュランダルは満足そうに頷く。隣のレイも安心して微笑んでいた。その直後、モニターに第一中継ステーションが壊される瞬間が映る。

 

「ステーションワンが壊されてしまったか。流石は歴戦の戦士達ってところかな」

「議長、このまま奴らの好きにさせるわけには行きません。俺達も出撃します」

「ああ頼む。来てもらってすぐで申し訳ないがね」

「大丈夫です。俺達はその為に来たのですから」

「メサイアも発進するぞ。こちらも反撃に出る」

 

レイとシンがそれぞれの乗機に乗り込む。それと同時にメサイアが動き出しネオジェネシスの発射態勢に入っていた。そのままオーブ艦隊に照準を向けたネオジェネシスは発射されオーブ艦隊にかなりの被害をもたらした。

 

「これで終わらせる・・・レイ・ザ・バレル、レジェンド、発進する」

「オレが・・・終わらせる。そしてみんなを、平和な世界を、守ってやるさ。シン・アスカ、デスティニー、行きます!」

 

メサイアからレジェンドとデスティニーが出撃する。その後ろからメサイアの護衛部隊のモビルスーツ達も後に続いてくる。

 

「シン。フリーダムとジャスティス、サンシャインを抑える。奴らさえ封じれば残りは敵じゃない」

「分かってる。あの人・・・奴だけはオレがやる・・・見つけた!」

 

デスティニーの視線の先にはメサイアを見つけ注意が逸れているライズサンシャインが居た。倒すべき敵を見つけた途端、デスティニーは即座に長距離射程砲で狙い撃つがライズサンシャインは当たる直前で気づき上半身を逸らして回避する。

 

「チッ、そう簡単には行かないか」

「焦る必要は無い。お前なら奴に勝てる。行くぞシン。これで最後だ」

「ああ・・・ここで全部終わらせる。オレ達で、終わらせるんだ」

 

光の翼を展開したデスティニーは真っ直ぐライズサンシャインの元に向かっていく。ライズサンシャインは牽制でビームライフルを撃つが難なく躱されて距離を詰められる。目の前まで迫ったデスティニーがパルマフィオキナーを向けるが上からガイアが体当たりで割って入る。

 

「なっ、ガイア⁉︎何でまた」

「聞こえるシン?シンだよね?」

「はっ⁉︎ステラ?」

 

ガイアから通信をかけられたデスティニーは動きを止める。デスティニーのモニターに映るステラの姿にシンは驚愕して思考停止していた。

 

「なんで・・・ステラが、だってあの時、目の前で・・・アイツに」

「ステラは生きてるよ。止めに来たのシンを」

「オレを止める?なんで?誰がそんな事」

「ステラの意思だよ。だってシン、今も辛そうだから。今度は私が助ける」

 

ガイアがデスティニーに手を伸ばす。そこをレジェンドがドラグーンを飛ばして狙い撃ちするがアカツキが身を挺して庇い反射させ、ガイアの背中を守る様にライズサンシャインが立ち塞がる。

 

「チッ、貴様ら」

「ステラはやらせないぜ」

「女の子の恋路を邪魔するなんて、悪い奴ね」

「くっ、なら」

 

レジェンドがビームジャベリンでアカツキに切りかかる。アカツキは後退して避けながらビームライフルで反撃する。2機が攻防を繰り広げている一方で、デスティニーはガイアを見据えていた。

 

「ステラ・・・生きていた事には驚いているけど、生きていた事は嬉しく思っているよ。いるけど・・・オレを止める事は出来ないよ」

「えっ?」

「オレは決めたんだ・・・戦うって、戦争を終わらせる為に、これ以上罪のない人や君の様な被害者が出ない様に、どんな敵とも戦うって。だから今更、こんなところで止まってはいけないんだ」

「シン・・・」

「これはオレの決めた道なんだ。だから止まれないんだ。それに、約束しちまったんだ。平和な世界を実現させて守るって、レイと、オレの仲間と。だから」

 

迷いを捨てる様にガイアにビームライフルを向け撃つデスティニー。撃たれたビームはガイアには直撃せず真横を通りすぎていく威嚇射撃だった。だがその一撃は決別を意味する決定的な一射だった。

 

「シン・・・そんな」

「オレは戦う。誰が相手でも・・・たとえステラでも・・・今逃げるなら追いはしない。けどもし引かないというのなら」

「その必要は無いわシン君」

 

シンが言い終わるよりも早くライズサンシャインがガラティーンを振り下ろす。不意打ちに近いその一振りを難なく躱したデスティニーはアロンダイトを取り出す。

 

「いきなりだなセナ・ヤマト。敵に君付けなんてしやがって」

「いや、見ず知らずの奴に呼び捨ては失礼だと思って。ってそんな知らない関係じゃないか」

「そんな事はどうだって良い!」

 

デスティニーが光の翼を展開する。そのまま突撃して振り下ろされたアロンダイトをガラティーンで受けとめ鍔迫り合いになる。

 

「オレは、戦争を終わらせる為に敵を討つ。それだけだ!止めたければオレを倒してみろセナ・ヤマト‼︎」

 

アロンダイトの回転切りでライズサンシャインを弾き飛ばすデスティニー。ライズサンシャインは態勢を整えてからガイアの方へ振り向き通信を入れる。

 

「ステラ、貴女はアークエンジェルの方へ。フラガ少佐と一緒に護衛しなさい」

「セナ、でも」

「シン君はもう覚悟が出来てるのよ。話しても止まらない。止めるなら力づくしか無いわ。ステラは出来る?」

「それは・・・難しいと思う。今ので分かる」

「自己分析出来てるなら十分よ。安心して。彼は引きずってでもステラの前に連れていくから」

「セナ・・・気をつけて」

 

ガイアがアークエンジェルの元に戻っていく。その後をレジェンドを抑えていたアカツキもついていく。残ったライズサンシャインはデスティニーとレジェンドに挟まれている状態で尚余裕を崩さなかった。

 

「一人で良いのか?お前ではシンには勝てないぞ」

「やってみなくちゃ分からないわよ。それにどうやら一人では無い様だし」

「何?っ⁉︎」

 

レジェンドが後ろから迫ってきたビームを咄嗟に後退して回避する。即座に振り向くとミーティアをパージしたストライクフリーダムとインフィニットジャスティスが増援にきていた。その後ろからはリバース達が2機を追っているのも見えた。

 

「キラ・ヤマト、それにアスランまで・・・だがエリスとマユもいるのなら」

 

レジェンドがストライクフリーダムの方に向かう。それを見送ったライズサンシャインは再びデスティニーの方に振り向く。

 

「まぁこれならなんとかなるかな・・・それよりも良かったの?隙だらけだったのに」

「そんな事しなくても勝てるさ。それに・・・どうやらステラを助けたのはアンタらしいからな。その借りだけ返しただけだ」

 

シンはステラとセナのやり取りでステラが信頼を寄せている事が分かっていた。そしてそうなるだけの理由を考えていくと思いつくのはベルリンでデストロイを撃墜してステラの死を偽装した事にまで辿り着いていた。故に背中から撃つ事は今だけしなかった。

 

「そっちこそ良いのか?オレに気を取られてたらレクイエムは壊せないぞ」

「なら降参して欲しいんだけど、て言っても無理よね。今は貴方を止める事だけ考えるわ。私に出来る事なんて一つしか無いから・・・他の事は皆んなに任せる事にしたの」

「そうかよ。ならさっさとアンタを倒して終わらせてやるよ太陽の少女‼︎」

「アンタには何度も邪魔されてきたからね。これで最後にするわ。行くわよ、デスティニーのパイロット‼︎」

 

ライズサンシャインとデスティニーが激しくぶつかり合う。互いの対艦刀を叩きつけ両者共に一歩も引かない戦いを繰り広げている一方でストライクフリーダムとインフィニットジャスティスはレジェンド達に押されていた。

 

「マズイな・・・」

「このままじゃあ」

 

レジェンドのドラグーンに囲まれインフィニットジャスティスは回避で手一杯だった。一方ストライクフリーダムはドラグーンを躱しつつビームライフルでデスティニーの加勢に入ろうとするデスティニーインパルスとリバースを抑えるのが精一杯だった。

 

「私達で足止めする。その間にエターナルとアークエンジェルを落としてもらえば勝てるわ」

「分かったよ」

「くっ、この!」

 

ストライクフリーダムがドラグーンを射出しリバースとデスティニーインパルスを追い払う様に撃ち払う。それと同時に光の翼を展開し更にスピードを上げた状態でレジェンドにビームサーベルで切り掛かる。

 

「ドラグーン⁉︎しかも光の翼まで!」

「コイツもなの?避けるの面倒なのに!」

「速い・・・だが」

 

レジェンドはビームシールドで防ぎつつドラグーンでストライクフリーダムを追い払う。光の翼で速くはなっているがデスティニー程ではない速度にレジェンドは対応出来ていた。その間にデスティニーインパルスがライズサンシャインに迫ろうとするがインフィニットジャスティスがファトゥムを飛ばしてビーム砲で追い払う。

 

「うわっ⁉︎こんのぉ!」

「グッ、止めろマユ!これが本当に正しい事だと思っているのか!」

「知るかそんな事!」

「何⁉︎」

「何が正しいとか、正義とか私には最初からどうだって良かった!私はお兄ちゃんを守りたい、その為の力があればそれで良いのよ!」

「マユ!これが本当にシンの為になると思っているのか!今のシンが、どんな思いをしているのか分かっているのか!」

「アンタが裏切ったせいで!お兄ちゃんもルナもレイも、みんなおかしくなったのよ!今更ごちゃごちゃうるさいのよ‼︎」

 

マユのSEEDが発動する

デスティニーインパルスはビームブーメランを2個投げつけた後光の翼を展開してエクスカリバーを突きつける。インフィニットジャスティスは脚部のビームブレイドでビームブーメランを弾き飛ばしつつエクスカリバーをビームシールドで受け止めるものの推力の差で押し出されてしまう。

 

「グッ⁉︎マユお前、どうだって良いって、君は人の為に戦える奴だろ。そんな事」

「アンタの目にどう映っていたか知らないけど、私が大事なのはお兄ちゃんだけ!お兄ちゃんの為に戦うのが私の罪滅ぼしなのよ‼︎」

「罪滅ぼし?何を言って」

「アンタなんかに、簡単に分かってたまるか‼︎」

 

回転斬りでインフィニットジャスティスを弾き飛ばすと延伸式ビーム砲塔で追撃するデスティニーインパルス。ビームシールドで防いだインフィニットジャスティスは後退しながらビームライフルを撃つがデスティニーインパルスはジグザグに動いて回避しながら接近する。

 

「何っ⁉︎」

「いつまでも、真っ直ぐだけだと思うな!」

「アスラン!」

 

苦戦しているインフィニットジャスティスの様子を見たストライクフリーダムはカリドゥス砲でレジェンドを弾き飛ばすと連結したビームライフルでデスティニーインパルスに向ける。狙い撃とうとした直後、背後から飛ばされてきたライズサンシャインとぶつかり狙撃を外してしまう。

 

「グッ⁉︎セナ?」

「ごめんキラとにかく避けて!」

「ウオォォォォォォォ!」

 

光の翼を展開したデスティニーの突撃を上に飛んで回避するライズサンシャインとストライクフリーダム。ライズサンシャインがシールドビーム砲で反撃すると長距離射程砲で相殺される。その隙をストライクフリーダムがビームサーベルで切り付けるがデスティニーの体が掻き消える。

 

「なっ⁉︎消えた?」

「キラ、上!」

 

ライズサンシャインがストライクフリーダムを突き飛ばし上から降ってきたデスティニーの突撃を右腕のビームシールドで受け止める。だがアロンダイトの回転斬りで弾き飛ばされてしまう。そこにレジェンドのドラグーンが追撃してくるがライズサンシャインは紙一重で回避する。

 

「ちぃ、コレを躱すのかセナ・ヤマト。やはりドラグーンは通用しないようだな」

「やはり?何その知ってるかの様な口ぶり。貴方誰?」

「誰だと、分からないのか?俺は、ラウ・ル・クルーゼだ」

「はっ⁉︎」

「やっぱり・・・」

 

レイからのカミングアウトにセナは驚きキラは納得していた。レイと相対している時にキラは以前クルーゼと戦った時と同じ感覚を感じていた。故に漠然と分かってはいたのでレイの言葉に驚く事は無かった。

 

「やはり貴様は分かるようだなキラ・ヤマト。俺達の犠牲によって産まれた罪深き存在。俺はお前達を許さない」

「そんな事、僕達には」

「黙れ!」

 

レジェンドがドラグーンでライズサンシャインとストライクフリーダムを囲み一斉掃射する。ストライクフリーダムはビームシールドで直撃を防ぎ、ライズサンシャインは体を捻りながら回避する。その背後からビームスパイクを飛ばして追撃していた。

 

「お前達を許さない。今度こそその報いを受けるがいい‼︎」

「そんな事、知るかあああああ‼︎」

 

セナのSEEDが発動する

背後から迫ってきたビームスパイクを振り向きながらガラティーンで真っ二つにする。そのままレジェンドにガラティーンを投げつけ回避したところに蹴りを入れる。

 

「グゥ⁉︎」

「私は私だ‼︎クローンだとかスーパーコーディネイターとか、そんな事私に言われても知らないのよ‼︎」

「セナ・・・」

「貴様!」

「アンタに構ってる暇は無いのよ‼︎キラ、後はお願い」

 

言いたい事だけ言ってライズサンシャインはガラティーンを拾ってデスティニーに振り下ろす。ストライクフリーダムはレジェンドをビームライフルで牽制しつつリバースが近くに居ない事に気づく。

 

「エリスが居ない?どこに」

 

辺りを見渡すとリバースはアークエンジェルとエターナルの方に向かっているのが見えた。更に複数のザクウォーリアとグフイグナイテッド、インパルスとミネルバが攻めてきており中々進めずにいた。エターナルからドムトルーパー達が出撃し、アカツキとガイアも援護に向かっているがそれでも手が足りなかった。

 

「おいおいどうするんだよこりゃあ。数が多すぎて守りきれねーぞ」

「アタシらで守れたとしても、これじゃあ攻める事が出来ないよ」

「このままじゃレクイエムが・・・どうすれば」

 

足止めを受けている間に中継ステーションを戻されてしまえばオーブが狙われる。全員が焦りを感じている中、キラが決断する。

 

「・・・アークエンジェルとアスランはオーブ軍とレクイエムを」

「キラ?」

「キラ君?」

「ここは僕とセナとエターナルで抑えます」

「よしそれで行こう。速く行って!」

 

キラの提案にセナがすぐに賛同する。迷ってる時間が無いからと即断したセナに習って全員がその賭けに乗る事にした。

 

「分かった」

「また後で」

「お気をつけて」

 

アークエンジェルとインフィニットジャスティスがその場を離れレクイエムに向かう。その背後を守る様にストライクフリーダムとエターナルが立ち塞がっていた。

 

「ちぃ、アイツらレクイエムを」

「逃がすか‼︎」

「あ、待ちなさい!」

「そっちこそ逃さねーよ!」

 

インフィニットジャスティスを追いかけるデスティニーインパルスを抑えようとライズサンシャインはシールドビーム砲を撃つがデスティニーのビームシールドで防がれる。その間にデスティニーインパルスは既に遠く離れていた。

 

「しまった、流石にこれじゃあ追いつけないか・・・そんなにアレが大事なの?あんな悪魔みたいな兵器」

「言ったはずだ。戦争の無い世界を実現して守るって、その為の力なんだ。あのレクイエムも、デスティニーも」

 

ライズサンシャインのビームライフルを光の翼を展開しながら避けるデスティニー。その後ビームブーメランを二つ投げつけるがサマーソルトで弾き返される。

 

「戦争の無い世界ねぇ、あんな兵器持ち出して言われても説得力無いわよ。そんな事になったらどれだけ犠牲が出ると」

「だったらどうしろと言うんだよ‼︎結局終わらせられなかったアンタが今更‼︎あの日オレの家族を助けてくれなかったくせに‼︎」

「あの日・・・貴方⁉︎、もしかしてあの時の」

 

(何してるんですか⁉︎ここは危ないですよ!)

(まだここに避難が遅れた人がいるんだ!)

 

セナは初めてサンシャインに乗った時の戦闘の山奥に居たオーブ兵との会話を思い出していた。そして目の前にいるデスティニーのパイロットがあの日逃げ遅れた人だったと直感で感じていた。

 

「オーブなんか信じない、太陽の少女なんか信じない。誰も終わらせてくれないんだったら、オレが終わらせる。そう決めたんだ!だから‼︎今更出しゃばって台無しにされてたまるかぁ‼︎」

 

シンのSEEDが発動する

デスティニーが光の翼を最大まで展開する。自身の体を包めてしまうほどの膨大な光を放ちながら突撃するデスティニーの姿はぶれて見えてしまい、援護しようと放ったストライクフリーダムのハイマットフルバーストは掠りもしなかった。

 

「なっ⁉︎捉えられない⁉︎」

「クッ、この」

「ウオォォォォォォォォォ‼︎」

 

ライズサンシャインがビームライフルとシールドビーム砲で迎撃を試みるもあっさりと躱されてしまう。そのまま周囲を回りながら翻弄していくデスティニーの動きに惑わされアロンダイトでの突撃を何発か躱しきれず装甲に傷がついてしまっていた。

 

「グッ⁉︎速い」

「アンタだって平和な方が良いんだろ?その為に戦ってきたんだろ?だったらどうして否定するんだよ!やっと終わるって言うのに‼︎」

「力で抑える事を平和とは言わないでしょ!ただ世界の支配者が現れただけでしょ!そんなもの、認められるか‼︎」

「だからって、今のままで良いって言うのかよアンタは!今までの戦争で、今の世界でどれだけ被害者が出たと思っているんだ‼︎」

 

アロンダイトの一撃でライズサンシャインのシールドにヒビが入る。すかさず左手のパルマフィオキナーをシールドに放つとシールドが砕けてシールドビーム砲が誘爆を起こす。咄嗟にシールドを捨てたライズサンシャインは吹き飛ばされるだけだったがデスティニーは止まる事なく追い詰めていく。

 

「今のままだと悲劇は繰り返される。だからオレ達で争いのない世界にしなくちゃならないんだ!そうでなきゃまた繰り返すだけなんだ‼︎アンタも分かってんだろ‼︎」

「確かにそうかもしれない・・・でも!」

 

背後からアロンダイトを突き立てるデスティニーに振り向きながらガラティーンを横に払うライズサンシャイン。両者の対艦刀がぶつかった瞬間、お互いの対艦刀が砕け散る。

 

「なっ‼︎?クッ」

「それでも、今の世界のまま平和を諦めない人を私は知ってる!実現する為に努力している人を知ってる!だから諦められないのよ‼︎」

「そんなごく一部の為に、こぼれ落ちる命を捨てるって言うのかよ‼︎」

「確かにどうやったって助けられない命はあるよ!どれだけ強くても、力が有っても、私は神にはなれないし、誰にもなれない!アンタでもなれない‼︎一人で背負えるものなんて手の届く範囲が精一杯なのよ‼︎」

 

ビームライフルで撃ち合うライズサンシャインとデスティニー。スピードで勝るデスティニーが背後に回り込みビームブーメランを投げつけるがライズサンシャインはバックパックをその場でパージして囮にする。その直後にデスティニーのビームライフルを撃ち抜き破壊する。

 

「クソッ!なんでこんな」

 

退がりながら長距離射程砲を撃つデスティニー。ライズサンシャインはビームライフルを投げてわざと撃ち抜かせて爆発させ煙に紛れて接近をする。煙を晴らそうと長距離射程砲で薙ぎ払うとライズサンシャインの姿は見当たらずデスティニーは辺りを見渡す。

 

「居ない⁉︎どこに行きやがった?」

「だからこそ助け合っていかないといけないのよ!私達は、そうやって今日まで生きてきたんだから‼︎」

 

ライズサンシャインが上からビームサーベルで切りかかる。デスティニーは咄嗟に躱わすも長距離射程砲の砲身を切り落とされ破壊されてしまう。

 

「この、舐めるな‼︎」

 

デスティニーは返しにビームブーメランで切り付けるがビームシールドで防がれる。ライズサンシャインがデスティニーの腹部を蹴り付けるが同時にデスティニーの蹴りもライズサンシャインに当たる。

 

「クッ⁉︎野蛮ね。そんな戦い方誰に教わったのやら」

「アンタには言われたくないね‼︎」

 

レクイエムに向かうアークエンジェルを追うインパルスとリバース。しかしアカツキのドラグーンのシールドで攻撃を防がれてしまい攻めれずにいた。そこにインフィニットジャスティスが合流し更に追い詰められていた。

 

「ジャスティス、こんな時に」

「アスラン、また邪魔を」

「止めろエリス!ルナマリア!今は君達と戦ってる場合じゃない!」

「そんな事で止まると思ってるの!メイリンを巻き込んだアンタが」

「メイリンは生きてる」

「なっ!」

 

アスランの言葉でインパルスが動きを止める。リバースも攻撃の手を止めてインフィニットジャスティスを見つめる中、インフィニットジャスティスはその場で静止してインパルス達を見据える。

 

「エターナルに彼女は乗っている、俺達の仲間として。だからこそ君達と、ミネルバと戦って傷つける事はしたくないんだ」

「悪いけど、それで止まる私じゃ」

「今更そんな事‼︎」

 

エリスが言い終わる前にインパルスがビームライフルを撃ってくる。難なく躱したインフィニットジャスティスだがすぐさま近づかれ振り下ろしてきたビームサーベルをビームシールドで受け止めるも押し込まれてしまう。

 

「止めろルナマリア!俺は」

「理由は何であれ、アンタがメイリンを巻き込んで!そのせいで私達は‼︎アンタだけは許さない‼︎」

「くっ、この」

 

インパルスのビームサーベルを躱し続けたインフィニットジャスティスは脚部のビームブレイドでビームサーベルを持った腕を切り落とす。その直後に左足の逆回し蹴りでインパルスをリバースの方へ蹴り飛ばして受け止めさせる。

 

「グゥ⁉︎この!」

「俺を責めるのは別に構わない。けど今だけは待ってくれ。レクイエムを破壊するのが先だ」

「待て‼︎」

 

光の翼を展開して最大速で追ってきたデスティニーインパルスがその速度のままインフィニットジャスティスにエクスカリバーを叩きつける。ビームシールドで防がれはしたがその勢いのまま押し込まれていた。

 

「マユもよせ!俺は君達と戦いたくは」

「ルナをやった癖に!今更そんな事‼︎もう敵なのよアンタは‼︎」

「ぐっ、やるしかないか」

 

デスティニーインパルスの突撃に合わせて連結したビームサーベルで切り付けるインフィニットジャスティス。すれ違い様のその一撃でエクスカリバーを一本叩き折り、振り向きながらの切りつけでビームシールドの発生装置も破壊する。

 

「なっ⁉︎やったな‼︎」

「マユ、君はシンの為だけと言ってたけどな、君はそんな奴じゃないだろ」

「何を!」

「君がそこまで怒っているのは俺がメイリンを巻き込んだからだろ。ルナリアを傷つけたからだろ。君達を裏切ったと思ってるからだろ」

「なっ⁉︎」

 

デスティニーインパルスが攻撃の手を止める。口ではシンの為だけと言っていたマユだったが内心では仲間の事が大切だったとアスランに指摘され動揺していた。そしてその挙動が図星だったと証明をしている様なものだった。

 

「マユ・・・」

「そんな事・・・そんな事ない!私は」

「俺が何か言える立場では無いとは分かってる。けどマユが辛そうにしてまで戦う必要は無い。エリスもルナマリアも、何よりシンが悲しむだろ」

「・・・でも‼︎私は、戦わないといけないのよ‼︎そうでもしなきゃ償えない。そうじゃなきゃお父さんとお母さんを死なせた私は‼︎お兄ちゃんの隣にいる資格が無いのよ‼︎」

 

マユは悲痛な叫びを上げながらデスティニーインパルスをインフィニットジャスティスに向けて突撃させる。その痛々しい様子を見ていられなくなったルナマリアがインパルスを間に入り込ませる。

 

「もう良いのよマユ!それ以上は駄目よ」

「ルナマリア⁉︎」

「ルナ⁉︎ちょっと危な」

 

急に間に入ってきたインパルスを躱わす事が出来ずエクスカリバーが突き刺さってしまう。そのまま落下したインパルスは月面に不時着し動かなくなる。

 

「ル、ルナ?ねぇ返事してよルナ」

 

マユがインパルスに通信を入れようとするも繋がらない。インパルスの方を見るとまるで死んでしまったかの様にフェイズシフトダウンを起こしていた。

 

「あっ、あぁ・・・わた、私が・・・ルナを・・・」

「落ち着いてマユ。ただインパルスが動かなくなっただけよ。ルナマリアの安否はまだ」

「私が・・・わた、ア、アアアアアアアアアアアアアア‼︎!」

 

錯乱したマユが延伸式ビーム砲塔を出鱈目に撃ち始める。インフィニットジャスティスはおろか、宥めようとするリバースや近くに居た味方すらも巻き込む無差別攻撃を始めてしまう。

 

「マユ落ち着きなさい!そんな事しても、グゥ⁉︎」

「マユ止めろ!本当に取り返しのつかない事になるぞ!」

「ウウ、ウウゥ、ウワァァァァァァァ‼︎」

「くそっ・・・この、いい加減にしろ‼︎」

 

アスランのSEEDが発動する

デスティニーインパルスの無差別攻撃を掻い潜り接近したインフィニットジャスティスは連結したビームサーベルとビームブーメランを同時に振り下ろし延伸式ビーム砲塔を叩き切る。デスティニーインパルスはビームライフルを取り出して乱射するがインフィニットジャスティスには掠りもせずグラップルスティンガーで取り上げられてしまう。

 

「なっ⁉︎コノォ‼︎」

「この、馬鹿野郎‼︎」

 

デスティニーインパルスのヤケクソの蹴りを脚部のビームブレイドで叩き折る。その直後にファトゥムを飛ばして翼のビームブレイドでデスティニーインパルスのバックパックを破壊し飛べなくする。

 

「キャアァァァァァァ‼︎?」

 

デスティニーインパルスも月面に落下していく。それを見送ってからインフィニットジャスティスはリバースの方へ振り向きながら戻ってきたファトゥムを背負う。

 

「アスラン、アンタ」

「時間が無いんだ。悪いが先に行かせてもらう」

「・・・ちぃ」

 

インフィニットジャスティスがリバースの横を通り過ぎる。リバースはその背中に追撃はせず月面に不時着した2機の方へ向かっていった。レクイエムの再発射まで残り僅かになっていた。




 前回といい今回といいインパルスだけボロボロにしてしまっている気がします。自分はインパルスが好きなのですが、その強みを活かそうとするとどうしても換装し直して即復帰になってしまうのです。中々難しいです。
 マユが突如錯乱したのは度重なる戦闘で精神が擦り切れている上に人間関係の方で自ら心を痛めて限界だったところに自分の手でインパルスを攻撃してしまった事実に耐えきれなくなり、ああなりました。両親を亡くした痛みが癒えてない11歳の子に殺し合いなんてさせたらこうもなると思います。ただこうでもしないとキラやアスランと同格の強さを誇るパイロットが何人もいる上に人数差で勝てるシルファ隊を抜けてレクイエム破壊など出来ない気がします。
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