自分に自信が無い女の子を褒めまくった結果、自信を身に着けて優勝してしまう話 作:匿名で性癖露出がきもちぇ~!
「――私、今まで一度も彼氏ができたことが無いんだよね」
女は机に突っ伏しながら、そう呟く。
普段の女であればそのようなことを吐露する事は無いだろうが、今現在、女は酷く酔っていた。
女の隣で座って飲んでいた男は、少々驚く。
女は酒に強い記憶があった訳だが、どういう訳か、今の女は酷く酔ってしまっている。
それに、女が吐露した内容も内容だ。
女は大変整った容姿をしている。それでいて、性格も非常に良い。
だというのに、彼女には今まで一度も恋人ができたことが無いというのだ。
「意外だな」
男が思ったままの感想を口にすれば、女はおずおずと顔を上げる。
「意外…かな?」
「そりゃ、意外だろ」
「どうして?」
「どうしてって……エレンが魅力的だから?」
男が女――エレンに対してそう告げれば、彼女は面白い冗談を聞いたかのように笑った。
「あははっ!クリスって、本当に誰にでもそういうこと言うよね?」
「……そうか?」
男――クリスは、少しだけ心当たりがあるといった表情を浮かべる。
そんなクリスの様子を見て、エレンは耐えきれないといった様子で、目じりに涙を浮かべるほどに大笑いする。
「……それで、なんで急に…彼氏ができたことが無いって話をし始めたんだ?」
クリスは話を逸らすかのように――とはいっても、元々の話に戻したと言った方がいいのかもしれないが――そもそもの話、何故そんなことを言いだしたのかと尋ねる。
「うーん…どんな反応するんだろって思って?」
エレン自身、どうしてこんな恥ずかしい身の上話を吐き出してしまったのかが分からなかった。
別に、直前の会話でそのような話につながるようなことは話していなかったし、彼とも普段、そういった話をする間柄ではない。とはいっても、クリス以外でも、エレンがこういった恋愛事情を話す相手は誰一人としていないようだが。
「ねぇ」
「ん?」
「どうしてだと思う?」
「どうしてって……」
クリスは酒の入ったグラスを口に付けながら、しばし考える。
エレンは、前述した通り非常に優れた容姿をしている。
性格は良い、仕事もできる。
料理もできるし、趣味も悪くない。
考えれば考えるほど、エレンは恋人にするには理想的な女性だ。
「……分からないな」
いくら考えようとも、エレンに恋人ができない理由がクリスには分からなかった。
エレンはそんなクリスの様子を愉快そうに笑いながら、やがて、ふっと静かになると、グラスに少しだけ入った状態の酒をグッと一気に飲み干す。
「私に女性としての魅力が無いからだよ」
そうして、エレンは静かに呟いた。
「はぁ?」
何を馬鹿なことを言っているのかと、クリスは思わず顔を顰める。
「そんなに可笑しなことを言ったかな?」
「いや、可笑しいっていうか……」
「皆、『かっこいい』とかっては言ってくれるの。けれどそれって、女性としての魅力ではないよね?」
「いや…俺的には…それも、魅力だと思うけどな」
「……私はそうは思えないの」
クリスからすれば、かっこいい、と言うのも女性としての魅力の一つであると思うのだが、どうやらエレンはそうは思わないらしい。
「そもそも、告白はされないのか?」
「告白はされるけど……大体は女の子からだよ」
「……成程」
そもそもの話、と言うことでそんなことを聞いてみたが、どうやら地雷だったらしい。
エレンは明らかに落ち込んだ表情を浮かべてしまう。
「それに……私って女の子っぽくない身体だし」
「……」
胸の部分を触りながら告げた最後の言葉だけは、クリスは敢えて反応しないでおいた。
しかし、とクリスは再び思考に耽る。
エレンに女性としての魅力が無いなんてことは、全く持って馬鹿な話だ。だがしかし、今の状態では…いや、例え酒が抜け素面の状態になったとしても、並大抵の説得では彼女がその認識を訂正することは無いだろう。
そこで、クリスは一つの方法を思いついた。
だがそれは、クリスにとってはちょっとばかり勇気のいる行動だ。
ただ、酒の力と言うものは偉大なもので、そのちょっとばかりの勇気とやらを補ってくれる。
クリスはグラスの半分ほどまであった酒を一気に飲み干し、ついでに店員に追加の酒を注文すると――意を決して言葉を発する。
「エレン」
「……なんだい?」
「お前はめっっっっちゃ魅力的な女性だ!」
「………………ふぇ?」
クリスは再び、エレンに対してその言葉を投げかけた。
先程よりも、大きな声で、その発言が自分の真意であると伝わるように、彼女の瞳を見つめながらだ。
「クリス…冗談は――」
無論、ここまでされてエレンもクリスが冗談で言っている訳ではないと理解していた。だがしかし、そんな反応をしたのは照れ隠しによるものだった。
「冗談じゃない。本気で思ってて言ってるんだ」
「うぅ……じゃあ…ど、どこが魅力的なの?」
エレンは苦し紛れにそんな質問をする。
だがそれは、今この状況では余りにも悪手すぎた。
クリスは注文した酒が届くや否、一気に半分まで飲み干し、勢いとばかりに今まで内心に留めていた言葉を吐き出す。
「まず何といっても顔だ!お前は顔が良すぎる!かっこいいとか、そういう次元を通り越してホントもう女神みたいに美しい!初めてお前の事を見た時、危うく祈りかけるところだったわ!それに、お前の笑顔を見ると、毎回心臓痛くなるんだよ!今日だって飲んでるとき、お前の笑顔を見る度に何とか表情が崩れないようにって舌を嚙みちぎるんじゃないかってぐらいに噛んでたんだぞ!舌がなくなったらどうしてくれるんだ!お前は自分の顔が良すぎることをもっと自覚しろ!」
酒による理性の無くし方には二種類あると以前クリスは言っていた。
一つは、だんだんと酔っていくにつれて、理性を無くすタイプ。
そしてもう一つは、一度でもタガが外れてしまえば、途端に理性が0に吹っ切れてしまうタイプだ。
何を隠そう、クリスは後者のタイプであった。
「……ぇ……ぁ……」
そして、そんな完全に吹っ切れてしまったクリスの言葉を聞いたエレンは、ここまで自分の容姿について褒められると思っていなかったのもあり、頭から湯気が出てるんじゃないかと言うぐらいの恥ずかしさを感じていた。
ただそれと同時に、今までに味わったことが無い嬉しさに近い感情――幸福感とでも言うべきものも同時に感じていた。
自身に溢れ出す感情をエレンが整理する前に、クリスはさらに畳みかける。
「それでいて性格までいいだと!?人が失敗したとしても笑い話にして許してくれて、それどころか手伝ってくれるし!困っている奴が居たらすぐに見つけ出して相談に乗ってるし!人の良いところばっかり見つけ出してすぐに褒めるし!親切にすることが当たり前のように思ってやがる!お前っ…普通顔が良かったら多少なりとも性格悪くなるもんじゃないのか!?」
「そ、そんな……ボクなんて…」
「ここまで言ってまだ自分に魅力が無いって思うのか!?あぁ、そうだったな!そもそもの話エレンは『かっこいい』って言われるのが嫌なんだな!残念ながら、エレンがそこらの男と比べりゃ段違いにイケメンだって事実は覆らないんだよ!だがなぁ…お前はそれ以上に可愛いんだ!声も、表情も、仕草も、趣味も、全部全部可愛いんだよ!こんな可愛いもんばかりな上に、かっこいいまで備わってる女性のどこが魅力的じゃねぇんだよ!もっと自信持てバァァァカ!」
そう言い切ると、クリスはグラスに残っていた酒をこれまた一気に飲み干し、大きく深呼吸をしたのかと思うと――ドシャリと机に突っ伏してしまう。
先程の勢いはどうしたのかと言う程に、クリスは途端に静かになってしまった。
同時に、それまでにぎやかだった店内も途端に静かになってしまう。
静まり返った店内で、エレンは自分の心臓の鼓動が嫌になる程大きく聞こえていた。
「…………クリス?」
しばらくして、顔の火照りは依然として残っているが、それでもクリスの想いを受け取った直後よりかは大分心に平常心が戻り始めてから、まさかこのクソボケは…と思い、エレンがクリスの肩を揺らしながら様子を伺ってみれば――
「……眠くなってきた」
返ってきた言葉に、エレンは言葉が出なくなってしまった。
「――なぁ、エレン……教えてくれよ……俺はあの夜何をやっちまったんだ……?」
「………………冗談だよね?」
「冗談なもんか!本当に何も覚えてないんだ……朝起きたらお前の部屋にいて……俺は一体何をしちまったんだ…………
ちょいとした世界観の説明
少しだけポストアポカリプス的な世界。FF7みたいな世界観に近い。
現代*魔法*異能みたいな感じ。
二人はそんな世界で、とある大企業のエージェントをしている。
エレン
笑顔が素敵なボーイッシュイケメン女子。
好きなものはお酒と甘い物。
抱き枕が無いと寝れないらしい。
付き合いたい人は「一緒にお酒を飲んでくれて、他愛のない話などをして笑い合える人」
貧乳なのを気にしてる。
『付き合いたい女子ランキング(女子投票)』にて3年連続一位。
お仕事では刀を使っている(使われもしない設定)
クリス
筋肉が素敵なムキムキイケメン男子。
ゴリスなんて呼ばれてそう。
好きなものは美味しいもの。あとお酒。
実は自己肯定感が低い。自分の思いを相手に伝えることは失礼だと思ってしまう程には低い。
筋トレすることによって自己肯定感を上げている。
『一緒にトレーニングをして汗水垂れ流したいランキング(男子投票)』にて3年連続一位。
お仕事では刀とハンドガンを使っている(使われもしない設定)
実は転生者(使われもしない伏線)
読む人がいたら続くかもしれない