自分に自信が無い女の子を褒めまくった結果、自信を身に着けて優勝してしまう話 作:匿名で性癖露出がきもちぇ~!
「――ん…ここは…?」
ふとした瞬間、クリスは目を覚ました。
目覚めてまず気が付いたのは、いつもと違う感触。何だか、妙な温もりを感じていた。
そしてすぐさま、その温もりの原因を理解する。
「ん……え……?……は……!?」
クリスの隣に居たのは…もっと言えば、眠っていたのは、昨晩一緒にお酒を飲んでいた女――エレンだった。
それと、腕にあまり感じたことのない柔らかい感触がしていることに、クリスは今更ながら気が付く。
驚いて思わず声が出そうになるクリスだが、何とかそれを抑え、布団の中を恐る恐る確認すれば……エレンがクリスの腕を、まるで抱き枕の様に抱きかかえている光景が目に入った。
「…………夢だよな?」
流石に耐えきれず呟いてしまう。だが、依然としてエレンは、随分気持ちよさそうに眠っていた。
一体何が起きているのか。クリスは煩悩に埋め尽くされそうな脳みそで、昨日の記憶を振り返る。
昨日はエレンを散々褒めちぎったところまでは覚えていた。だがその後は、突如として途轍もない眠気に襲われ…机に突っ伏した以降の記憶はクリスにはなかった。
と言うより、記憶を振り返ろうにも、エレンの女性特有の感触や匂いであったりが気になりすぎて、全く持って頭が回らない状態であった。
とりあえず、ベッドから脱出した方が良いだろう。
そう考えたクリスは、腕を抱きしめるエレンからゆっくりと離れようとしたところ――
「……あっ…………はなれないで………」
まるで、親とはぐれた子供のような、とろんとした声でそんなことを言うものだから、クリスはたちまち動けなくなってしまった。
「(何だこの可愛い生物は!?)」
エレンのそんな声は今まで一度も聞いたことが無かった。
だからこそ、その破壊力と言うものは、圧倒的な物であった。
もはや、クリスの脳内は「エレンカワイイ」という一言で埋め尽くされおり、何も考えることが出来なくなってしまっていた。
腕から伝わる体温は、時間が経つにつれて、まるで一体化するかのような、溶け合って混ざってしまうような錯覚に陥ってしまう。いや、もはや錯覚なのではなく、本当に一体化してしまっているのかもしれない。
何秒、何分、もしかしたら何時間……
もはやクリスは、時間の感覚と言うものを無くしていた。
ジリリリリリリッ!
突如として、部屋中に鈴の音が響き渡った。
音の正体は、エレンの隣の棚に置いてあるデジタル時計であった。時計は八時を示している。
予期せぬタイミングで、そんな音が聞こえてきたもので、驚きすぎたクリスは溜まらずベッドから転げ落ちた。
そして、転げ落ちたクリスが起き上がる頃には、先程まで気持ちよさそうに眠っていたエレンは、既に目を覚ましていて――
「おは……よう」
顔を真っ赤にしながらそう静かに呟いた。
それから少し時間が経って。
現在二人は、ベッドの上で互いに正座をしながら見合っていた。
一度、現在の状況を整理してみよう。
お酒を飲んで眠ってしまった次の日、同期の女性の部屋であろうことか同衾していた。
朝目覚めた時のエレンの格好は幸いにも下着姿ではなかったが、それでも大分薄着な恰好であった。
ちらりと見たベッドのシーツも、普段がどうなのかは分からないが、少なくとも現在確認した時点では乱れている。
それに、目覚めてからのエレンの…少し変な様子である。
それから導きだされる
「――なぁ、エレン……教えてくれよ……俺はあの夜何をやっちまったんだ……?」
クリスには昨晩の記憶が――正確には机に突っ伏して以降の記憶が無い。
いつまでもこうして考えていても状況は依然として変化しないままである。
それに、こうして永遠と見合っているのは、この状況においては何よりも耐えがたい時間であった。
故に切り出したその言葉。
だがしかし、その言葉を発するや否、エレンの様子が一変したということをクリスはすぐさま理解した。
端的に言えば、エレンの表情が――消えた。
「………………冗談だよね?」
絞り出すように吐き出したその言葉には様々な感情が混沌としている。
すぐさま地雷を踏みぬいたことをクリスは理解する。だがしかし、クリスからすれば本当に何一つ覚えていない為どうすることもできない。
状況は既に詰んでいたのである。
とはいえ、エレンの様子の変化にクリスは慌てすぎてしまった。
慌てすぎたが故に、さらに地雷を踏みぬくような発言をしてしまった。
「冗談なもんか!本当に何も覚えてないんだ……朝起きたらお前の部屋にいて……俺は一体何をしちまったんだ…………
エレンは無表情のまま、正座を崩すとそのままベッドから降り、その場から去ろうとする。
クリスはエレンをその場に留めようと急いで後を追いかけようとするが――
「少し、冷静にさせて…………シャワー…浴びてくる…ね」
そこでようやく、自分の失言に気が付いた。
先程までの自分は言い訳ばかりをしていた。曲がりなりにも、彼女にはまず謝罪の言葉を述べなくてはいけなかったのではないだろうか。
しかし、その事に気が付いた頃にはもう、エレンはその場から去ってしまっていた。
自責の念に苛まれながら、クリスはその場で唖然とするしかなかった。
「――はぁぁぁぁぁ……………やっちゃった………」
シャワーを浴びながら、エレンは先程までの自分の行動を反省する。
らしくない行動に、自分自身何故あんな行動をしてしまったのかが分からなかった。
ただ、クリスに昨晩の夢のような――いや、それこそ夢だったのかもしれない――幸福のひと時を「覚えていない」と否定された時、頭が真っ白になっていた。
そして気が付けば、まるで彼を突き放すような冷たい言葉が出てしまっていた。
「やっちゃった……やっちゃったよ……」
昨晩の夜の出来事について、そろそろ語る必要があるだろう。
あの後――クリスが机を枕に眠った後、実のところすぐさまクリスは起き上がったのである。
それでも酩酊状態である為、半分眠っている状態とでも言うべきか、クリスは少しでも突いたらそのまま突いた方向に思いっきりぶっ倒れてしまいそうな状態だったのである。
流石にこれ以上は飲めないなと判断したエレンは、会計を済ませて店から立ち去ることにした。
何とか立ててはいるが、支え無しではすぐさま倒れてしまいそうなクリスを、エレンは肩を貸すことによって支えになっていた。
それで、事前に呼び出していたタクシーにクリスをゆっくりと乗せてあげ、続いてエレンもそれに乗る。
「お客さん。目的地は?」
「とりあえず……」
そこでエレンは、ハッとする。
そういえば、クリスの住んでいる場所が分からないな、ということだ。
「おーい、起きろー。君は一体、どこに住んでるんだい?」
「うーん…………日本…………」
「ニホンなんて当の昔に滅んでいるだろう?……まったく、困った奴だな」
そう言って、「仕方ないな」とどこか嬉しそうに呟きながら、エレンは自分の住んでいるマンションの住所を運転手に伝える。
車内ではクリスがエレンの膝を枕にして眠ってしまっていた。
そんなクリスの頬時々つついたり、引っ張ったりしてエレンが遊んでいると、気が付けば目的地であるマンションに到着していた。
タクシーに運賃を支払い、既に眠ってしまっているクリスを「あと少し頑張って」と頬を軽くひっぱたきなんとか起きさせる。そうして、再び肩を貸してあげながら、自分の住んでいる部屋まで歩いていると、だんだんとエレンの酔いも醒めていき――そこで、自分のしている行動が、実はとても凄いことをしてしまっているんじゃないかと言うことに、エレンは今更ながら気が付いてしまった。
「(あれ…?これって、もしかしなくても……お持ち帰りしちゃってる……?)」
いやいや、とエレンは首を振る。
これは、お持ち帰りではなく介抱しているだけだと。
酔っぱらいを一人にしてしまってはいくらクリスでも危ないから、仕方なくやっているんだと。
そんな言い訳を脳内で考えていると、気が付けば部屋の目の前に辿り着いている。
「仕方ない……仕方ない…よね?」
そう呟きながら、エレンは扉の鍵を開き、そのままクリスを部屋の中へと連れ込んだ。
とりあえず、クリスを普段自分が使っているベッドに――その前に、匂いは大丈夫かと十分に確認してからであるが――寝かせてあげ、一先ず着替えることにした。
「(は、恥ずかしくない格好を……あと下着……いやいや!何考えてるの私!?)」
あーでもない、こーでもないと思考を巡らせていると、不意にベッドの方からゴトンッと重量のある何かが落ちる音がした。
急いで着替えを終わらせたエレンが、先程クリスを寝かせたベッドに向かえば、案の定と言うべきか、クリスがベッドから落ちてしまっていた。
「あちゃ~……大丈夫?」
そう言って、心配する言葉をかけながら近づけば――突然、クリスに腕を引っ張られる。
急だったことや、体制が前かがみになっていたということもあり、エレンは流れに抗えずそのままクリスに倒れこんでしまう。
「ちょ、ちょっと……?…………むぐっ!?」
そして自分に倒れ掛かってきたエレンを、あろことかクリスは力いっぱいに抱きしめた。
「…………良い匂い…………だな」
「――――っ……!?」
クリスの心臓の鼓動を肌で伝わる度に、エレンの心臓は鼓動の速度を速める。
クリスの呼吸を耳に入れる度、エレンの呼吸は荒くなる。
クリスから漂う微かなタバコの匂いは、エレンにとってはむしろ心地よい香りだ。
クリスの顔が視界いっぱいに広がって、エレンは瞬きをすることすら忘れてしまう。
視覚、聴覚、触覚、嗅覚。五感のうちの四つをクリスによって支配されたエレンは、しばしの思考停止へと陥る。
そうして永遠のようにも、刹那の様にも感じる時間が過ぎ去り、ふとした時にクリスがエレンを抱きしめる力を緩めた。
エレンはその隙を見逃さず――とはいっても、少しだけ葛藤の時間があったが――クリスから離れる。
「――――はぁッ……はぁッ……」
エレンの呼吸は、激しく乱れていた。
激しい運動をしたわけではないというのに、首筋には汗が流れている。
「セクハラで……訴えてやる……」
顔を真っ赤に染めながらそんなことを言っているが、口の端は僅かに上がっていることは本人も気づいていない。
それでも、エレンと言う女性は非常に心優しい人物だ。
先程、あれだけの目に遭ったというのに、このまま床で寝かせてはアレだということでクリスをベッドに戻してあげたのである。
それでいて、またベッドから落ちないようにと、今度はクリスの腕を抱き枕の様に抱きかかえながら、一緒に寝てあげることにしたのである。勿論、風邪を引かないように布団はしっかり掛けている。
エレンのベッドは、セミダブル程度の大きさである為、体格の良いクリスと一緒に寝るとなると、大分お互いの距離を詰めなくてはいけない。
密着と言う表現がまさしく正しい程に、二人のベッドでの距離感は近い状態であった。
クリスのゴツゴツとした筋肉質な腕は、一般的に見れば抱き心地は悪く思えてしまうが、エレンからしてみればまさしく最高級の抱き枕であったようだ。
エレンはクリスの腕に頬ずりをしながら、全身から溢れ出してくる幸福感に身をよじらせる。
「…………クリス…………好きだよ…………」
故に、口元が緩み思わずこぼれ出た本音。
しばらくしてから、自分は何を言ってしまったのだと焦り、咄嗟にクリスの顔を見るが、幸いにもこの酔っぱらいは目を覚ましている様子ではなかった。エレンは内心ほっ、と胸をなでおろす反面、心なしか残念がる自分がいることにも気づいていた。
「――俺も……だ……」
そんな時、不意に返ってきた返答に、エレンは思わず固まった。
「(………今なんて?……オレモダ?………オレ…モ…ダ……………俺もだ……!!??)」
その言葉を理解するのにどれ程の時間を要したのだろうか。
しかし、理解するや否、エレンの顔が途端に真っ赤になってしまう。ただ言葉を発しただけと言うのに、全身から尋常じゃない程の熱を発し始めた。
「好き……スキスキスキ……好き…大好き………」
もはやエレンには理性と言うものが無い。エレンもまた、一度タガが外れてしまえば止まらないタイプだったのかもしれない。
溢れんばかりの想いを、そのままに伝える。
クリスからの返答はそれ以降帰ってくることは無かったが、それでもエレンの脳内はもはやお花畑である。
それが、昨晩の出来事である。
結局のところ、別にヤってしまった訳ではなく、クリスは寝ぼけてエレンの告白に対して「俺もだ」と言い返してしまっただけに過ぎなかったのである。
その後、永遠と「好き」という言葉を伝えている内に気づけば眠りについており…そうして朝を迎えたのである。
「……これじゃボク……メンドイ女だよ……」
クリスが強い恥と自責の念に苛まれている一方、エレンもまた同じ感情に苛まれていた。
「記憶があったら……いや…それもそれで…ボクがもっと恥ずかしいかも……」
そんなことを呟きながら、シャワーを浴びること数分。
エレンは待たせている存在がいることに、遅れながら気が付く。
冷静になる為、普段あまりしない朝シャワーをしてみたが、思ったよりも長く入ってしまった。
早朝と言うこともあり、脱衣所は少し肌寒い。その寒さはエレンの思考を少しばかり冷静にさせてくれた。
「(とりあえず…昨日の事を説明しなきゃ……だよね?)」
シャワーを浴び、少し濡れた髪でエレンが再び寝室へと戻ってくると……そこには、とても美しい土下座をするクリスが居た。
想定していなかった状況に、エレンは思わず呆気に取られてしまう。
「エレン……本当にすまない……必ず責任を取る……本当にすまない……」
「えぇ…っ!?ちょ、ちょっと……一体何のこと?」
「この通りだ……俺はお前に本当に悪いことをしたと思う…いや、間違いなくしたはずだ……俺なんぞに取れる責任にはたかが知れているが…煮るなり焼くなり好きにしてくれ……」
「待って待って!絶対なんか誤解してるよ!」
そこで、クリスはようやく顔を上げる。
エレンはしゃがみ込み、クリスに目線を合わせる。
「ご、誤解…?」
「う、うん……どうしてそんなに謝ってるの?」
「い、いや……俺はお前に責任を取らなきゃいけないことをしたんじゃないのか?」
「……それって?」
「…………ヤった…とか」
しばしの沈黙ののちに、静かに吐き出されたその言葉に、エレンはたちまち顔を真っ赤に染め上げる。
「や、やっぱりそうなのか……!?なんてこった……やっちまったよ……」
クリスは顔を真っ青にし、頭を抱える。
当然、エレンはすぐさま間違いを訂正しようとするが――ここで、ナニカがエレンへと囁いた。
『もし、「そうだよ」と肯定したら?』
これを言ってしまったら一体どうなるのだろうか。
ありもしない責任を、クリスは取ってくれるのだろうか。
…………。
「そ…ぅ……そんなわけないじゃん!」
「…………ホントか?」
「うん。……ただ、寝ぼけたクリスが私の事をベッドに巻き込んだだけだよ」
嘘をついた。クリスが巻き込んだのはなく、自分自身からベッドに入っていったというのが、真実であるというのに。
喉元にツーっと汗が伝る。
「それも……十分アレだな……」
「ケッコー寝心地よかったよ?クリス抱き枕」
「な、なんだそれ?……けど………はぁーっ……良かった」
クリスは非常に安堵した様子を見せる。
そんなクリスに、何故かエレンは少しイラっとした。
「何が良かったの?」
「いや…酒の勢いに任せするのは違うだろ?こういうのはもっと段階を踏んで――」
「あはは!クリスって、結構ピュアなんだね?」
「いや…普通……そうだろ?」
そう不安そうに尋ねるクリスとは反対に、楽し気な、何処か蠱惑的にも感じる笑みを浮かべながらエレンは――
「うん。……普通は、ね」
そう答えた。
この後いっぱいセ(以下略)みたいな終わり方しましたけど、普通に支度して帰ってます。
ただ、この日以来エレンの様子が……?
エレン
誘惑に抗った良き女。
魔性の女の素質〇
クリス抱き枕にハマりそうである。
あの時クリスの言葉を否定しないで、「そうだよ」と言った場合のその後を考えて時々悶々するようになった。
クリスの事は元から好きだったが、好意を自覚することは無かった。今回の件で好意を自覚した。
好きな動物は犬。
好きな犬種はゴールデンレトリーバー。モフモフしてて、顔が可愛いかららしい。
クリス
ゴリス。
喫煙者。ただし、嗜む程度。最近はタバコをある女性に禁止されつつある。
こと戦闘に関しては冷静沈着であるが、私生活面では結構パニくる。
好きな動物は犬。
好きな犬種はフレンチブルドッグ。前世で飼っていたというのと、口元がたまらなくかわいいらしい。
続きました。
マジで勢いで書いたからあとで修正するかも。
それはそうと、お気に入り・高評価・感想ありがとうございます!
こういった恋愛系のヤツはほとんど書かないので…何というか難しいですね(語彙力)
けど概念はポンポン浮かび上がるじゃんね。